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浅野議員(自民)

(問)公立幼稚園の保育料軽減について

1.県内市町村によって対象児童の範囲が異なっているが、県内の公私立保育所や幼稚園の実施状況と、県の今後の具体的対応を伺う。

 

(答)教育長

1.まず、公立幼稚園における第3子以降の園児に係ります保育料の軽減制度の実施の状況についてお答えいたします。

 県内の公立幼稚園を設置しております市町村は10の市町がございます。それぞれの市町においては、第3子以降の園児の保育料について、兄、姉の年齢や一定の所得要件に応じて軽減措置を行っております。

 また、第3子に関係なく、第1子、第2子についても、所得に応じて定額の減免を行っているところもあります。

 こうした制度は、国の幼稚園就園奨励費補助事業、これは県の予算を通らない市町村への国からの直接の補助事業でありますが、これを導入いたしましてやっているところが、1市を除いて9つの市町で行われております。

 県で単独で行っております第3子以降の保育料の軽減事業の対象は、これは保育所の場合の事業でありますが、3歳未満児を対象としておりまして、幼稚園については満3歳からの幼児を対象、要するに3歳以上ということになっておりますので、この県の軽減事業の対象にはなっていない状況にありまして、先ほど述べました国の補助事業を導入しながら市町村が行っておりますので、この事業の円滑な活用を薦めておるという状況にございます。

 


 

(問)大学センター試験の向上対策について

1.平成十年と平成二十年の難関大学への本県合格者数と大学センター試験点数の比較について伺う。

2.平成二十一年度より県教育委員会に学力向上対策スタッフの調整監を配置されたが、その取組状況と成果について伺う。

3.進学校の英・数・国・理等の担任は、部活動等他の分担業務から外して大学センター試験科目に専従させるよう特別な配慮を望むが、県教育委員会の考えを伺う。

 

(答)教育長

1.次に、難関大学への合格者数とセンター試験の点数について、平成十年と平成二十年の比較についてであります。

 まず、いわゆる国立大学難関大学合格者数を比較いたしますと、平成十年は百七十人、平成二十年は百二十人となっております。

 実数でみますと、この十年減少傾向が認められますが、少子化で生徒数全体が減少しているということで、率でみますと、平成十年は、一・七三%、平成二十年は、一・七一%と、大きな増減はないと、数字としては出ております。

 次に、大学センター試験の点数についてでありますが、全国平均点と島根県の平均点を比較いたしますと、平成十年は、八百点満点のところで、全国平均点を十三点下回っておりました。平成二十年は、九百点満点のところで五十六点下回っておりまして、この十年の中でも平成二十年が最も低くなっております。

 今年度についてみますと、この五十六点の差が四十六点ということで、この五年では最も小さな値で、少し復調いたしたという数値になっております。

 この点数については、基本的にはオープンにされていないものでありますが、分析いたしますと、島根県はセンター試験の受験率が全国の中でも一、二番の高い受験率であります。またその受験の中で、受験生が自分で業者にデータを提出いたしまして採点の結果が出るわけでありますが、その提出率の高いのも島根県は全国で有数であります。こうした受験率が高く提出率が高い都道府県ほど平均点や都道府県順位は、低くなる傾向にございます。弁解してみてもしようがないのことではありますが、客観的にみまして、そのようなデータだと、承知しております。

 

2.次に、学力向上対策スタッフの配置と取り組みの状況についてであります。

 先ほど述べましたように、センター試験などの数値が、学力のすべてを現すというふうには考えておりませんが、過去の島根が教育県を自認していた頃と比較いたしますと、低下しているということは否めませんので、中学・高校を通しての学力向上対策のさらなる強化が必要と考えまして、昨年の四月には、高校教育課に学力向上スタッフを配置したところであります。

 本年度の取り組みといたしましては、先ず、生徒の学習意欲を喚起する取り組みを行いました。例を挙げますと、八月に、全県の公立と私立高校から、医学部や理工系学部に進路希望を持つ2年生を募りまして「夢実現進学チャレンジセミナー」と銘打った勉強合宿を行いまして、六十七名が参加いたしました。島根大学医学部による講義や実習、県外から有名な講師を招いての授業を通しまして、互いに刺激を受けた生徒達が、その後、各学校においてのリーダーといいますか、牽引するような、意欲的な学習を続けていると聞いております。

 二番目に、教員の指導力アップをめざす取り組みであります。自分の学校や地域の学校の教科指導力向上の中核となります「リーダー教員養成事業」を行っております。この事業は、五教科について各二名ずつ、十名の若手の教員をリーダー教員として指名いたしまして、それぞれに一人ずつベテランの指導教員を配置いたしまして、一年間の研修を行うものであります。リーダー教員は自らの研究授業、指導教員の師範授業、さらには予備校教員研修を通しまして、指導力を高める研修を行っております。

 三番目に、中学校と高校との学力向上対策をつなげるために、「中高連携ステップアップ事業」と銘打ちまして、効果的な指導法の研究を進めております。その成果は、中学校の学習を高校につなぐための演習書としてまとめまして、各学校に配布することとしております。

また、これまで、個々の学校が他の学校をいわばライバル視いたしまして、情報やノウハウを自校の中に留めるという傾向がありましたけれども、今年度からは、個々の学校の枠を越えて、進学指導や学力向上のノウハウを共有していこうということで「チームしまね」という理念を掲げてまいりました。

 こうした取り組みを積み重ね、教員の指導力と「チームしまね」の意識を高めることで成果をにつなげていきたいと考えております。

 

3.次に、教科指導の専従についてであります。

 現状を申しますと、英数国など五教科の教科担任は、日常の教科指導あるいは補習の授業などによりまして、部活動の指導に関わる時間が充分にとていない状況が実態だというふうに考えております。

 望ましいことは、授業だけではなく、部活動とか生徒会活動、読書活動、ボランティア活動などを通して、生徒の全人格的成長を支援するために、教員自らが感性と知性を備え、学校のあらゆる教育活動に関わっていくことでありますが、現実はなかなか時間に追われておりまして、そうなっていないと思っておりますが、教員の中には、教科指導と部活動指導の双方に高い実績をもつものもおります。

 ご意見がありました教科指導と部活動等とのバランスにつきましては、学校経営の中で常に最善を追究していくべき課題であると考えますので、この点については、今後、校長会とも、どういうものが一番最善かということについて議論してまいりたい。

 

(問)中高一貫校について

1.県立の中高一貫校が中国地方でも開校しているが、そのねらいと効果は何か、また県教育委員会は今どう考えているか伺う。

2.県教育委員会の中で、中高一貫教育について、どれだけ議論されて具体的取組をされないのか伺う。

 

(答)教育長

1.次に、中国地方の中高一貫校についてであります。

 例えば、鳥取県では、平成十六年度に県東部と中部の意欲のある学校に併設型の中高一貫校を設置する方向が出されております。その後、県中部に私立の湯梨浜中・高等学校が開校されました。平成二十年六月には、鳥取県教育審議会から、鳥取県はもとより日本や世界でリーダーとして活躍できる、高い能力を持つ人材を育成するという理念を掲げまして中高一貫校設置の答申が出されております。

 そして、現実問題といたしましては、有名大学への進学を増やすということを目的として検討が進められているものと理解しております。また、中国地方他県の状況も同様と考えております。

 次に、こうした各県の中高一貫校の効果についてのお尋ねがありました。

 岡山の操山高校の例でありますが、平成二十年、二十一年の二カ年の国公立大学の合格者数で見ますと、百八十人、百六十七人という数字を把握しております。それ以前の一貫校でなかったときと同水準で、特に顕著な数字の動きはございません。広島の安佐北高校の場合は、国公立大学の合格者が一桁であったものが平成二十一年に二十二名、山口の高森高校は同じく国公立大学の合格者が一桁であったものが平成二十一年に十四名となっているというふうに数字を把握しております。

 参考までに、島根県の高校の同じ国公立大学の合格者数で見ますと、松江の三校でいいますと、百五十五人、二百一人、百十七人というふうな数字でございます。また、県内での高校で一番多いところは二百八十三人という数字でございます。

 

2.次に、中高一貫校に対します教育委員会の考え方、あるいはどういう議論をしているかということについてであります。

 教育委員会といたしましても、学力向上のみならず、知・徳・体のバランスの取れた心身の健全な心の豊かな人格形成を図るという意味では、中高の連携は積極的に進めようと考えております。

 しかしながら、従来の繰り返しにはなりますが、併設型などの中高一貫校は、一般的に高校と中学校を同一敷地内に設置する必要がありますので、校舎や体育館等の新たな施設整備が必要となってまいります。

 また、既存の学校施設を活用する場合でも、敷地の拡張や新たに体育館やグランド等の整備が必要となる場合もありまして、いずれも相当の経費がかかるというふうに考えております。

 また、併設型などの中高一貫校は、受験の指導という面では効果的でありますが、一部の学力の高い生徒を一校に集めて受験に特化した教育を行うということで、他の高校あるいは中学校間の受験の加熱や地域全体としての学力がどうなるかということについての検討が必要だと考えております。

 例えば、このような状況を松江市の普通高校三校に当てはめてみますと、現在、三校は互いを切磋琢磨し高め合うことで、進学や部活動などに優れた教育成果をあげております。そのうち一校を一貫校にいたしますと、志願者がそこに集中するという可能性もあります。三校の序列化、あるいは現在まで行っております三校による切磋琢磨によります成果が失われるのではないかという懸念もあります。こうした点については、平成十七年に松江の三校の現在の校区制をどうするかという議論した中での、結果的に現在の校区制を維持ということに結論づけましたけれども、この三校の共存ということついて結論を出した経緯もございます。

 したがいまして、現在の教育制度あるいは財政上の枠組みからいたしますと、現時点では、新たに「中等教育学校」や「併設型」の中高一貫校を設置することは現実的には困難だというふうに考えております。

 以上の点については、教育委員会の中での現時点での私どもの検討結果でありまして、例えば、今後の高校のあり方を検討いたしましたあり方の検討委員会などでの意見が基になったものではございません。

 いずれにいたしましても、中高の連携は重要であると考えておりますので、これまでの行ってまいりました、あるいは現在取り組んでおります学力の向上対策を強化いたしまして、まずもって、そうした取り組みによりまして中高一貫校に劣らない成果があがるよう全員で取り組んでまいります。

 

 


 

(問)朝食の摂取と対応

1.学力向上のためにも、毎朝朝食を食べさせる家庭指導が必要と思うが、その実態と対応を伺う。

 

(答)教育長

1.最後に、朝食の摂取の実態と対応についてであります。

 「食育基本法」前文では、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも『食』が重要である」「食育を知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付ける」と述べられております。

 私も、子どもたちが心身ともに健やかに成長していくためには、まず健全な食生活が大事なことだと思っております。そのために家庭が果たすべき役割は非常に大きいと考えます。

 今年度の全国の学力・学習状況調査において、「朝食を毎日食べている」との回答が、小学校では九十七.四%、中学校では九十五.六%でありまして、いずれも全国と比較しますと高い数値でありますし、また昨年度と比較しても高くなってまいりました。

 これは、県をあげて「食育」や「生活習慣の改善」に取り組んでいることのということも言えるのではないかと思います。

 ご案内のように、バランスのよい朝食を食べるということは体温が上がり、脳が活発に動くようになり、学力の向上のためにも、子どもたちには、タンパク質、ビタミン、ミネラルも十分含んだバランスの取れた朝ごはんを食べさせたいものだと考えます。

 今後も、「食育」の取組をさらに充実させるとともに、来年度から県民運動として展開を予定しております「ふるまい向上の県民運動」の中で「乳幼児期からの生活習慣づくり事業」の取組を、この朝食の摂取などの食習慣、生活習慣の改善に、学校・家庭・地域が連携して取り組んでまいりたいと考えております。

 


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