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加藤議員(自民)

 

(問)将来を託す子供の教育について

1.これからの豊かな自然・文化・歴史を持つ島根の将来を担う子供たちへの教育について所見を伺う。

2.新学習指導要領の教育現場に対する趣旨の周知徹底や支援方法について伺う。また、保護者への周知方法についても伺う。

3.県内におけるコの字型教室の取り組み状況と今後の方針について伺う。

(答)知事

1.島根の子どもたちへの教育につきましては、平成18年に文教厚生委員会からいただきました政策提言でありますとか教育ビジョン21に基づきまして、教育委員会におきまして、一生懸命努力をしているところでございます。

 島根が将来にわたり元気であるために、子どもたちが健やかに育つよう、教育を充実していくということは、県政の大変重要な課題だと考えているところであります。

 子どもたちの教育の環境、私どもの小さい頃と比較しますと、大きな変化が出ているように感ずるわけでございます。

 子ども達がいる場所としては、まず、家庭があるわけでございますけれども、かつては家庭の中にはおじいさんやおばあさんがいたり、兄弟がたくさんいて、そこでもまれていたわけでございます。学校に行きましても非常に友達同士の濃密なつきあいがあったわけでございます。また、学校から帰って地域社会で遊んだりする場合も上級生がいたり、隣近所の人たちが子どもたちを見守ったり、悪いことをすると注意をしたり。濃密な人間関係で子どもたちが危うい方向へいかないような安全網が色々とできておったわけですけども、近年、都市化などに伴いまして、非常に希薄になっているということでございます。

 それからもう一つは、メディアとかテレビとかいろんなこのインターネットとか通じまして、子どもたちだけで強烈な刺激に会うことが可能になり、そういう中でややバランスを欠いたものの見方をすることが起こりうるという事態になっているわけでございます。

 加藤議員のお話の中にもありましたけれども、濃密な人間的なつきあいができるように力を付けていくことが大事な課題ではないかと思います。学校教育の中でコの字型の配置をしてそういうこともやれるという例もありましたけれども、そういうことも含めまして、種々努力・工夫をしていかなければならないという風に考えておるところでございます。

 今年度から、学校におきます図書館の利用を充実していこうと。図書を通じまして、地道といいますか、じわっとくるような刺激を子どもたちが受ける。考える力、いろんなことを創造する力を養おうと教育委員会がやろうとしているわけでございます。こういうことも工夫しながら、子どもたちが健やかに育つようにしていきたいと思っているところでございます。

 

(答)教育長

2.まず、新学習指導要領の教育現場に対する趣旨の周知徹底についてでありますが、この三月に、島根県の教育課程審議会に諮問しておりました、今後の島根県における望ましい教育の在り方についての答申を得ております。この答申は、島根の目指す教育についてのポイントを明らかにいたしまして、具体例を示すことで分かりやすいものになっております。

 また、このポイントについて、特にその中でも島根の教育で大切にしたい点について、リーフレットも作成いたしました。そして、この答申については、全教職員が読むべきだというふうに考えまして、リーフレットと共に県内の幼稚園・小学校・中学校の全教職員に配付いたしました。

 また、今年度の管理職の研修会での私の講話の中で、県内の五カ所、十回行いましたが、小中学校の全てのすべての校長、教頭に対しまして、具体的な内容にも触れながら、「是非、全教職員が読んで趣旨を理解し、島根の教育を進めてほしい」ということを要請いたしました。今後の経験者の研修でありますとか、教務主任の研修、あるいは事務職員の研修等においても、各担当から周知を図ってまいります。

 また、保護者に対しましても、このリーフレットを使いまして、PTAの総会、あるいは学級懇談会等を通じまして、保護者あるいは地域の方に対して、島根の教育で大切にしたい点ということを、周知を図って参りたいと思っております。

 

3.次に、コの字型の机の配置によります学習についてであります。

 本県の小中学校におけるコの字型の机の配置による状況を調査いたしましたら、常時コの字型にしておるところと、教科とか学習内容によって机を動かす場合ともありますが、両方合わせますと、小学校では80%、中学校でもおよそ55%がそういう形態での授業を行っております。意外に多くてびっくりした数字でありました。

 学校で、こうしたコの字型の他に島を作りまして、それでグループ学習などを行っておりますが、こうした学習の形態というのは、児童生徒が互いの顔を見ながら発表したり、あるいは意見を聞いたりできるという点での利点があると思っております。学び合おうとする雰囲気をつくりまして、児童生徒が言葉を使って伝えたいことをそれぞれ伝えたり、あるいは聞くということによりまして、言語能力を高めることにも有効であると考えています。

 紹介がありましたように、この度の学習指導要領の改訂の中では、「いの一番」に「言語活動の充実」が挙げられておりまして、この考え方には私も非常に賛同をしております。言語能力は単に知的な活動だけではなくて、常々申しております感性の部分のベースにもなるということであります。また、コミュニケーションの能力「思ったことが表現できる」あるいは「相手が言いたいことや思いを汲み取る」ということについての能力でもありますし、論理的なものの考え方にも通じると思います。

 今後も、こうした教室の机の配置の在り方も含めまして、各学校が工夫して取り組めるよう進めて参りたいというふうに考えております。

 


(問)特別支援教育の取り組みについて

1.義務教育段階における特別支援教育の通級による指導の対象者について県内の現状を伺う。

2.学校教育法施行規則の一部改正に基づく県の取り組みを伺う。

3.障害の早期発見の機会の充実と早期対応への取り組みの強化が重要と考えるが、その対策を伺う。

4.県内の特別支援学校の在籍人数の推移並びに知的障害者の増加状況とその要因について伺う。

5.高等部の卒業生の進路の状況と進路指導の取り組みについて伺う。

6.在学中の生徒の職場実習を受け入れるための企業への支援について、文部科学省所管の国事業の制度化または県独自の支援策の考えについて伺う。

 

(答)教育長

1.次に、特別支援教育の通級による指導の対象者の県内状況についてであります。

 まず、通級による指導は、小中学校の通常の学級に在籍している生徒などで、軽度の障害で言語障害・自閉症・注意欠陥多動性障害等がある生徒などが対象となります。

 この通級による指導には、三つの形態があります。一つは自分の学校で通級指導教室を開設している所に通う自校通級があります。二つめには、他の学校での指導に通う他校通級。三つめには、通級指導担当教員が学校へ訪問して行う巡回の指導であります。

 それぞれ全部をあわせました本県の通級による指導の対象者の状況については、昨年度の場合で、全県では小学校二十一校、四百四十一名、中学校では九校、百三十二名が対象になっております。

 

2.次に法改正に伴います特別支援教育の取り組みについてであります。

 平成十九年四月の学校教育法の一部改正により特殊教育から特別支援教育へ転換が図られました。その中で、通常の学級に在籍する発達障害など障害のある子どもたちの自立と社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点が明らかにされました。

 そこで、小学校においては、特別な支援を必要とする子どもに対して非常勤講師を配置する、ニコニコサポート事業の実施や先程述べました、通級による指導を通じて特別支援教育の推進を行っているところであります。

 また、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の各学校において、校内の支援体制を整えるという意味では、特別支援教育コーディネーターを各学校で指名しております。また、校内で支援の具体化について協議する校内委員会の設置を進めてまいっております。

 また、特別支援学校については、平成十九年三月に転換基本計画というものを策定いたしまして、それぞれの特別支援学校が自分とこの担当以外の様々な障害にも対応する体制を作り、地域の学校に対する相談支援を行うというセンター的な機能の充実を図ることにいたしております。

 

3.次に、早期からのこうした障害に対する対応についてであります。療育、医療分野に係るところも大きくありますが、例えば、療育相談或いは検診、健康相談などでの早期な対応を行うことによりまして、早期からの支援をする体制を作っておくことが大事だと考えております。教育委員会としましても、関係機関と連携協力しながら、それぞれが果たすべき役割を果たしていく必要があると考えております。

 例えば、乳幼児の段階からでありますと、テレビや携帯電話を見ないで、ちゃんと目を見ておっぱいをやるというふうなことの重要性も言われておりますし、スキンシップの重要性も言われております。また、親の生活リズムが、子どもの生活リズムに密接に関係があるということからいたしますと、夜になったら眠る、夜が明ければ起きるといったリズムを乳幼児の時から作っておくということの重要性も指摘されております。こういうことも含めまして、それぞれの関係機関が協力いたしまして養育の体制の整備を心がけていく必要があるというふうに考えております。

 

4.次に特別支援学校の在籍の人数、それから増加の要因についてであります。

 人数について、五年前と比較しますと平成十六年度の総在籍者数は六百八十九名でありました。平成二十一年度には八百六十五名となり百七十六名の増加であります。そのうち知的障害者である生徒に対する教育を行っております養護学校の高等部についてみますと、平成十六年度の二百八十名が今年度は四百十五名と百三十五名の増加を見ております。

 その要因としては、様々なことがあろうかと思いますが、その一つとしては特別支援教育を充実してきたこと、保護者の養護教育についての理解が進んだことが大きな要因であると考えております。

 

5.次に、こうした特別支援学校の卒業生の進路の状況あるいは進路指導の取り組みについてのお尋ねがありました。

 各学校の高等部と盲学校、ろう学校専攻科卒業生の進路状況については、平成十六年度では一般就労が二十八%、平成二十年度この三月には三十四%でありました。また、福祉的な就労については卒業生の約五十%となっております。この、一般就労率は全国平均からみますと例年約十%高い数値を示しております。その要因として考えておりますのは、県単の事業として平成十年度より行っております「あいワーク事業」と称する事業でありますが、この事業によりまして、進路開拓の推進、職業教育の充実、卒後の支援といった点について労働、福祉の関係部局、機関とも連携して取り組んでまいっておるのが成果に繋がっておると考えております。

 

6.次に、在学中における現場実習への支援についてであります。こうした現場実習も自立支援法に基づきます国の事業の対象には、なっておりますが、実施の時期或いは日数が限定されているために、学校においては利用しにくい状況にあります。例えば、その対象が高等部3年生に限られているという点であります。今後、学校において使いやすい方向への改善が必要だと考えます。そして場合によっては自立支援法に基づく県単の制度の補完も含めて、関係部局と実務的な協議を行ってまいりたいというふうに考えております。


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