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和田議員(民主県民)

 

(問)教育問題について

1.新教育基本法の制定段階で、島根県においてはどのような論議が行われたのか、現場の意見の反映があったと考えるのか伺う。

2.所得の低い世帯の子どもたちへの県の支援について伺う。

3.これぞ島根県と言われるような大胆で先駆的な地域の教育力活用策を推進する必要がないか伺う。

4.派遣社会教育主事制度の一層の活用について、所見を伺う。

5.教員の一層の増員を行う考えがないか伺う。

 

(答)教育長

1.まず、新教育基本法の制定と島根県での議論の状況についてお答えいたします。

 新教育基本法につきましては、平成13年11月に中央教育審議会に諮問がなされておりまして、平成15年3月答申があり、18年の12月に可決・成立致しております。足かけ6年に及ぶ長い期間をかけて制定されたものであります。

 この間の過程の中で、賛否両論、様々な意見が出されたことは記憶に残っております。

 論議は国の方で進められました審議会方式でありましたので、詳細については承知しておりませんが、島根県においても、平成17年3月に松江市で文部科学省主催のタウンミーティングが開かれており、このタウンミーティングでこの教育基本法の見直しについても議論がなされた経緯がございます。また、都道府県教育長協議会などの組織を通じましても、意見を述べる機会があったと認識しております。

 

2.次に修学のための経済支援についてであります。

 小中学校においては、経済的な理由により就学困難と認められる場合には、要保護者・準要保護者を対象といたしました市町村の実施する就学援助の制度がございます。

 また、高等学校においては、県の奨学金制度と授業料の減免制度を設けております。

 このほか、福祉関係の資金として、生活福祉資金や母子寡婦福祉資金にも修学を支援する制度がございます。

 このうち、奨学金についてみますと、現在、従来からの県単独の高等学校奨学金に加え、旧日本育英会からの事業移管をしておりまして、今年度では、537名の新規の貸し付けが行われております。直近でも、顕著な申請者の増加というような数字は見られておりません。

 また、県立高校の授業料減免につきましては、年々対象者が増加しております。今年度は、現時点で、1,976名になっております。これは全生徒数の10%を超える生徒が減免を受けているという数字でございます。

 20世紀初頭以来といわれる世界的な経済危機の中で、今後、生活困窮世帯が増加し、修学に影響がでるのではないかという強い危惧の念を抱いています。

 ただいま申し上げました各種修学支援施策、とりわけ高校の場合には、奨学金等の修学支援制度がございます。これまでも、保護者向けの広報、中学校での説明などにより周知を図っておりますが、今後とも、経済的理由により高校進学をためらったり、あるいは、断念することがないよう、より早期からの、また、全ての生徒・保護者に情報が届くよう一層の周知に努めて参ります。

 また、既に高校在学中の生徒に対しては、随時・緊急に奨学金の貸与や授業料の減免を決定する制度を設けており、これらを的確に活用して、修学の支援に万全を期して参ります。

 

3.次に、子どもの健全育成に欠かせない地域の教育力についてであります。

 新しい学習指導要領の重点事項には、伝統や文化に関する教育、道徳教育、地域での体験活動等の充実が強調されております。そのためには、「地域の教育力」を高めていくことが必要だと考えております。

 「これぞ島根の地域教育力」という取組があるかとのお尋ねでありますが、本県では、既に先ほど申し上げました新学習指導要領の重点事項の考えをもとにいたしまして「ふるさと教育」として、全国に先駆けた取組を進めてまいりました。

 この「ふるさと教育」では、地域の大人たちが、学校の教育課程に積極的に関わりながら、「地域を学ぶ・地域で学ぶ・地域に学ぶ」というスローガンを掲げまして、「学社連携・融合」の取組を、県内全ての市町村・全公立小中学校・全学年・全学級で一斉に実施しているところに特色があります。全国に例のない、全県的に実施している例だと考えております。

 また、「放課後子どもプラン」では、「地域全体で子どもを育む」ということを考えながら取組を進めております。放課後や休日に年齢の異なる子どもたちが群れて遊んだり、体験・交流する場を設けることになっております。異年齢集団での子ども同士や、世話をする地域の大人とのふれあいを通じましてコミュニケーションの力をのばす良い機会となっております。本県は、全国の中でも実施状況が高い割合となっております。

 さらに、昨年度から取り組みました『実証!「地域力」醸成プログラム』では、地域の教育力は、「地域力」を高めれば、おのずと「教育力」も高まるとの考えに基づき、公民館の活動に光を当てながら、「地域力」を高めることの重要性について世論喚起を進めているところです。

 この事業も、全国の社会教育関係者から見ますと、羨望の眼差しを含めて高い評価を受けております。

 教育力の低下、とりわけ家庭の教育力の低下が指摘される状況にありますが、こうした地域が主体的に活動することを支援するなど、学校・家庭・地域の連携協力によります社会総がかりの取組を進めてまいります。

 

4.次に、派遣社会教育主事制度についてです。派遣社会教育主事は、市町村の社会教育行政を推進する貴重な戦力となっております。ピーク時は32名を派遣しておりました。しかしながら、市町村に人件費の2分の1相当の負担を求める制度となっていることから、近年、市町村の極めて厳しい財政状況から、人数が急激に減少しまして、今年度は18名の派遣となっております。

 このため、来年度からは、こうした町村の財政状況を考慮しまして、町村分についてですが負担率を4分の1、したがいまして、県4分の3、町村4分の1というふうに制度改正をしました。

 こうしたこともありまして、来年度は、町村派遣が拡大し、合計19名、1名の増員ですが、6市6町に派遣することとなりました。社会教育主事の専門性を活かしながら、学校・家庭・地域の連携協力関係を具体的に組みたてていくうえで、より一層大きな成果をあげてもらいたいと期待しております。

 

5.次に、教員の増員についてお尋ねがございました。

 現場が抱えますいじめや不登校、学力低下などの教育課題への対応策として、子どもと向き合う時間を確保するために、かなうならば、できるだけ多くの教員を配置することがよいということについては、論を待たないところであります。

 小学校では、昨年度に引き続きまして、小学校の1、2年生を対象とします、30人学級編制、又は、スクールサポート事業の選択ということで、117人分の予算のお願いをしております。

 また、小学校の通常の学級に在籍する発達障害のある児童を支援するための「にこにこサポート事業」とか、その他の個別な指導の関係での要員として、約150人の非常勤講師を予定しております。

 加えまして、国では来年度、外部人材活用事業を拡充いたしまして、新学習指導要領の先行実施に対応しようとしておりまして、そのための予算が措置されております。本県でもこの事業を活用いたしまして、新たに非常勤講師45人の配置について予算をお願いしているところであります。

 県単独での新たな教職員の配置は、非常に厳しい財政状況がございましてなかなか困難でございますが、国などの事業を積極的に活用いたしまして、教職員が頑張れる環境を作っていきたいと考えております。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
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