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五百川議員(自民)

 

(問)教育の理念について

1.これからの教育には、人を多面的に評価することが必要であり、他人の権利・存在を認めあう心、ひいては倫理観や道徳観を醸成する教育が必要と考えるが、所見を伺う。

2.ちょっとした失敗も許されない環境では、愛情を持って子どもに接し、情熱を持って教育を行うことのできる質の高い教師は育たないと考えるが、所見を伺う。

3.学力を向上させる目的が日本民族の発展、日本国家の将来のためであるとすれば、一部のエリートではなく、全体の底上げという視点に立った学力の向上施策が必要と思うが、所見を伺う。

4.自分が持っている力を出し切ることが、将来、その人の人生を豊かにする、ポテンシャルを高める。それがスポーツ教育の理念だと思うが、所見を伺う。

(答)教育委員長

1.教育のあるべき姿、教育の理念に関するご質問にお答えします。

 島根が目指す教育の基本理念について、「しまね教育ビジョン21」の中では、「子どもたちが、社会と人の関わりの中で、自分の生き方を考え、決定し、行動し、問題を解決していく力の源は、家族から愛されているという実感や周囲の人たちから自分の存在が認められることにより育まれる安堵感や自信、自尊感情にある。」とその趣旨を述べ、「生きる喜び、学ぶ楽しさを通して、一人一人の可能性を開花させ、社会の一員として生きていくことができる子どもを学校、家庭、地域が連携して育む。」と唱っています。

議員が指摘なさいましたように、人を多面的に評価し、他人の権利や存在を認め合う心を育むこと、倫理観や道徳観を醸成することは、全ての教育の基本に置くべきものであると考えます。

 したがって、本県の教育においても、子ども達の発達段階に応じて、規範意識や、自分を大切にする心、他を思いやる心、卑怯を恥じる心などをしっかりと育んでいかなければならないと思います。

そのためには、学校だけではなく、家庭や地域がそれぞれの役割を果たし、相互に補完しながら教育を行っていく必要があります。

こうした考えは、いつの時代にあっても不易不変の教育理念であると私は思います。

(答)教育長

2.まず、失敗を許さないという環境の中では教員が萎縮してしまい、子どもに対して体と体をぶつけ合うような情熱のある教育が不足するというご意見でございます。

 私も、過度な管理統制を徹底することによって、教育の効果が上がるという考えとは意見を異にしております。むしろ、現在の教育におけるさまざまな課題に対応するためには、現場を励ますことでやる気を高めていくことが大切だと思っております。

 昨年4月の新規採用教員の辞令交付式で、代表が「私には4つの夢がある。」ということを宣言で語ってくれました。

(1)一人一人が学ぶ楽しさを通して、生きる喜びを実感できるような授業をしていきたい。

(2)家庭と連携しながら温かく子どもたちを見守っていきたい。

(3)先輩教職員の方々から謙虚に学びながら、島根の教育現場に、新しい波を共に起こしていきたい。

(4)絶えず学び続けながら豊かに生きる人間でありたい。

というものでありました。

 こうした新規採用教員が、教員生活をスタートするに当たっての初心、原点ともいえる精神がその後も持続できる、明るく活力のある学校運営を行うことを組織目標に掲げまして、そのことについては、校長、教頭などの管理職にも要請しております。

 そうは言うものの一方では、生徒の範としての人格を備えることも必要でありまして、社会の厳しい目から、批判やそしりを受けることのないようにすることも必要であります。

 管理職には、こうした服務規律の確保も要求しておりますが、堅苦しい管理統制型の学校運営を求めるというふうに聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、これまで培ってきた教育についての不易の理念に自信を持ってやってほしいと言っております。

 こうした気持ちから、新任の校長、教頭には辞令交付に当たって、ワンフレーズで学校運営についての決意表明をしてもらっていますし、また、新任教職員には、いっしょに頑張ろうと私の方から一人一人と握手をして、激励して現場の方に送り出すということを行っておるところであります。

3.次に、学力の向上についてお答えします。

 今日の社会において、学力に関する様々な議論がなされております。その際の、「学力」あるいは「学力の向上」という言葉の概念というのは、必ずしも単一ではないというふうに考えております。例えば、センター試験で話題になりますのは、上位の子どもたちの結果でありますし、小中学校の全国の学力調査では、すべての子どもの平均について言われております。

 理想から申しますと、上位の子どもが多くて全体としても結果がよく、さらに「徳」と「体」も備わっているということが望ましいというふうに思います。

 しかしながら、島根県の現在の子どもたちの学力は、残念でありますが、必ずしも正確なデータに基づくものではないとは言いながら、全国的に見て上位にないというのが事実であります。

 また、経済界の方々との意見交換の中では、若者たちの常識の不足とか基礎的な計算能力とか、あるいは言語とかコミュニケーションの能力が不足しているというような指摘もいただいております。

 こうしたことから、本県においては、平成18年度から学力調査を実施いたしまして、来年度も続けての実施をお願いしておりますが、これまでの調査で明らかになった課題に基づきまして、

 ○家庭での学習習慣の定着

 ○学習意欲の向上

 ○教師の指導力の向上

などの施策を、引き続き行ってまいりたいと思っております。

 中でも、学習プリントの配信システムというのを行っております。宿題や放課後の補習の学習、土曜教室などで利用しておりまして、家庭学習の時間を増やし、学習習慣を身に付けさせるなど、期待どおりの効果をあげております。今後も、学校でもさらなる活用をしていきたいと思っております。

 また、大学進学に対応する学力向上のためには、来年度、高校教育課に調整監を配置いたしまして、中学校との連携や島根の学力状況の分析を基にいたしまして、学力向上対策を行っていきたいと考えております。

4.次に、スポーツ教育についてでございます。

 本県のスポーツ振興計画で掲げる柱の一つ目は、「県民のだれもがいつでもどこでも気軽に楽しむことのできる生涯スポーツの振興」、二つ目は、「県民に夢と感動を与える競技スポーツの振興」、三つ目は「子どもたちの心身を健やかに育む学校体育・スポーツ活動の充実」であります。

 議員ご指摘のように、スポーツ教育は、単に体力やスポーツ技術を身につけるだけでなく、感性を磨くなど全人格教育につながるものと考えています。この振興計画の柱もそういう趣旨から掲げていると理解しています。

 積極的にスポーツに取り組むことで、運動することの気持良さや爽快感あるいは達成感とともに、気力や集中力あるいは忍耐力を高め、規範意識やモラルなどの社会性を身につけ、また、互いに切磋琢磨する中で友情を育み、さらには、何事にも挑戦する強い精神力を養うなど、心・技・体の調和のとれた、豊かな人間性を育んでいくものと考えております。今後もそうしたスポーツ教育をすすめていきたいと考えています。


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