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須山議員(民主県民)

(問)全国学力調査について

1.現時点で、全国学力調査方法や公表がどのようにあるべきと考えるか、所見を伺う。

2.市町村教育委員会や教員らに具体的にどのような方法で意見を聞き取る予定なのか伺う。

3.県における結果の分析、考察、そしてそれを今後どのように改善しようとしているのか伺う。

4.以下の点について伺う。

 (1)島根県学力調査にかかる経費の額

 (2)全国調査に加え、県独自の調査を続ける意義

(3)全国調査と県調査との公表の方法が違うことも含め、結果の公表についての所見

(答)知事

1.最初は、全国学力調査についてであります。

 現制度の公表方法に賛否があることなどを踏まえ、今後市町村教育委員会や教員らから意見を聞いたうえで、学力テストのありかたを検討する必要があるとお答えしたことがあるわけでありますが、今の学力調査の方法、これは文科省の実施要領の中に決められておるわけでございます。

 もう一度その部分を読んでみますと、「この調査の実施主体は国である」「市町村が基本的な参加主体である」ということから、「都道府県教育委員会は域内の市町村及び学校の状況について、個々の市町村名、学校名を明らかにした公表は行わないこと」「市町村教育委員会は域内の学校の状況について、個々の学校名を明らかにして公表は行わないこと。」しかし、次の項で、「市町村教育委員会が、保護者や住民に対して説明責任を果たすため、当該市町村における公立学校全体の結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねること」また、「学校は自校の結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねること」と、こうなっておるようでございます。

 いずれにしましても、今回のテストはこの実施要領を事前に皆さんがよく理解をして、こういう方法であるので格別問題ないということで、行われたわけでありますから、その後の公表はやはり、最初に示した要領に沿ってやるべきものだろうというのは、私の考えであります。

 将来についてはいろいろよく意見を聞いて、それぞれの方々が相談してお決めになればいいことだろうという趣旨で申したわけでありまして、私の意見はそれだけでございまして、それ以上のことはないわけでございます。

 いずれにしましても、子どもの教育をどうするか、それぞれの地域で事情も違うこともおありでしょうから、地域の中でやっぱり考えていく、これが基本的に大事なことではないかと思います。

 市町村の教育委員会もあるでしょう、学校もあるでしょう、保護者の方もあるでしょうし、あるいはその地域にお住まいの方々の意見もあるでしょうから、そういうものを教育委員会が総合的にお考えになる必要があるということじゃないかと思います。

 今後も実施するかどうかにつきましても、それはそれぞれの市町村が参加をするわけですから、その中でよくお考えになる必要があるんじゃないかと思います。

 しかし、学力の状況が自分のところでは他と比べてどうなのかというのは、関心が多くの人にあるわけであります。学力だけが教育の目的ではありませんけれども、学力がどういう状況であるかということは重要な関心事でしょうから、それについて一定の調査をしていくというのは、必要性が、私は個人的にはあるんではないかと思いますが、私が決めることではありません。

(答)教育委員長

1.全国学力・学習状況調査の実施方法や公表について、現時点での私の考え方を申し上げたいと思います。

 全国学力調査は、生徒の学力や学習状況を把握し、今後の教育施策や学習指導の在り方の参考とする上で有効であると同時に、児童生徒一人一人への指導や学習状況の改善にも役立つと考えております。

 調査結果の公表について、溝口知事の答弁の繰り返しになるかもしれませんが、「都道府県教育委員会は、市町村及び学校の結果を公表しない」とした実施要領にもとづいて県や市町村が参加を決定した経緯がございます。この実施要領に反して県が市町村や学校の結果を公表することは、約束をたがえることになり、ひいては、国や県と市町村の信頼関係を損ねることにもなりかねません。

 したがって、県教育委員会が市町村の結果を公表することは、現時点では考えておりません。ただ、市町村が自らの結果を公表することについては、それぞれの市町村が判断されることであり、実施要領でも認められておりますので、例えばご参考までに申し上げますと、昨年度は9市町が公表しております。

 調査結果を公表することで、過度な競争意識をあおったり、序列化を招いたりするような行為は厳に慎むべきであると私は考えておりますが、現在、そういう風潮が見られることは危惧をしているところでございます。

(答)教育長

2.学力調査の実施方法などについては、どうあるべきかという、いわゆるそもそも論としては、いろいろな意見があるというふうに承知しております。これまで、市町村の教育長会とかあるいは校長会、教務主任の会などにおいても、いろいろな意見交換をする中に、こうした学力調査についても意見交換を行ってまいっております。

 こうした意見交換で得た見解につきましては、全国の協議会の場などで、文部科学省に伝えてきておりますし、またこれからも必要があればそういうことで伝えていきたいというふうに思っております。

 なお、公表の是非だけが、大きく論点として報道されているように見受けておりますが、市町村へは、市町村のそれぞれの該当のところの所管する学校、学年ごとの結果、学校へは、それぞれその該当する学校の学年、学級、児童生徒一人一人の個人の結果が送付されておりまして、ある意味では、結果を必要とするところに対しては、適切な情報の提供が現在も行われているというふうに考えておるところであります。

3.次に、結果の分析、考察、それからどのように改善しようかと考えているかということでありますが、この全国の学力調査につきましては、国語、算数・数学の2教科に対しての、基礎に関するA問題、活用に関するB問題という問題の構成と、生活習慣とか学習環境に関する調査で構成されております。

 残念ながら、小学校については、全国平均を下回っております。中学校については、ほぼ全国の中程度というふうな状況にあるわけでありますが、かいつまんで申しますと、国語、算数・数学ともに、思考力とか、あるいは判断力、表現力を問う問題の正答率が低いという状況、それから家庭での学習時間が、全国に比べましても、絶対的に、かなり大幅に不足しているという状況があります。

従いまして、こうした状況に対応するために、昨年度から導入しました学習プリントの配信システムを活用いたしまして、学習習慣の確立、あるいは基礎学力の定着に向けた取組や教師の方では、学力向上セミナーによりまして、子どもたちが学ぶ意欲を高め、学び合いを通じて、思考力や表現力を育むような取組、それから、中学校については、教員一人一人の専門性とか教科の指導力を高めるような取組、中学校と高等学校、あるいは大学との連携をしまして教科指導とか生徒指導、授業の改善など行っていくということに活かしておるところであります。

 中でも、家庭の学習時間を増やすということが、まずもって一番大きな課題だというふうに思っておりまして、この夏休みを含めまして、相当家庭での学習時間を増やそうということを現場の方と取り組んでまいったところであります。

4.次に、県単の学力調査の関係でございます。

 経費については、平成18年度が4,980万円、約5,000万円でございます。19年度と20年度は約4,600万円でありまして、そのうちの1/2を市町村が負担いたしております。去年と今年が減少しておりますのは、全国の学力調査によりまして、教科を少し全国調査の方に委ねたということに伴うものであります。

 国の学力調査に加えまして県の学力調査を続けることの意義でございますが、県の学力調査は、国が実施しているもの以外の、理科とか社会、英語も対象といたしておりまして、学年も小学校3年から中学校3年までということで行っておるところでありまして、これによりまして、いわゆる5教科といわれます科目についての児童生徒の学力の状況を把握するということを目的としておりますし、また、毎年度実施するということで、児童生徒一人一人にきめ細かく対応した学習指導が、毎年度実施することによって可能となるというふうに思っております。

 これらの点についての経年比較、例えば昨年の5年生が今年6年生になりますが、それが去年と今年でどうだったか、あるいは去年の6年生と今年の6年生がどうだったかというふうなことを比較することによりまして、それぞれの担任とか、あるいは学校別、あるいはクラス別にその状況あるいは課題を分析することによりまして、学校が組織として学力の向上に取り組むことができるというふうに思っております。

 これまで3年の取組により、学校現場では学力向上に向けた積極的な取組を行うようになってきておりますし、各教育委員会においても、独自の積極的な取組を行う例が見られてきております。特に小学校と中学校の連携というふうなことを強調してまいっております。市町村の教育委員会からは、調査を是非継続しながらやっていきたいという、強い要望も聞いておるところでございます。

 次に、この結果の公表につきましては、県で県の全体の結果と各市町村の結果を公表いたしておりますが、これはあらかじめ、県と市町村との合意の上で、そういう公表のしかたを行っておるものでありまして、その中でも、それぞれの市町村で小学校・中学校が1校しかない場合には、学校が特定されますので、この場合には、その該当の市町村は公表の対象から除くというふうな扱いにしております。

 一方、国の学力調査は、先程来、答弁にありましたように、実施要領に基づいて県では公表しないということになっておりますから、その扱いに従っているということでございます。

 これらの調査結果の公表につきましては、いずれにいたしましても、市町村や学校の序列化、過度な競争につながること、あるいは、ただでさえ心理的に余裕のない現場の教師が、内発的に向上を目指すということは、これは大変必要なのですが、外的な要因によりまして、何かこう追い込まれるというふうなことで、更にストレスを感じて、結果としてそれが教育の低下に作用することのないよう、今後も配慮していく必要があるというふうに思っております。

(再質問)

1.学力調査について、毎年調査を行う意義について、また、県の調査を見直すかどうかを伺う。

2.調査結果の公表について伺う。

 

(答)教育長

1.2.私の方が一括して答えさせていただきます。

 まず、公表の仕方について国の調査と県単の調査がまちまちでないかということでありますが、おっしゃいますように、県で市町村分を公表するか、あるいは市町村の自主性に委ねるかというところの違いがございます。

 これは先ほどの答弁もございましたように、約束事として、一方では県では公表しないということを前提にして実施した、片方は、市町村と、市町村分についても、ある程度の公表が必要であれば、学校の特定を避けるようなやり方で、県の方で公表しても差し支えないということでスタートいたしたわけであります。

 結果的に21のうちの、国の調査も9市町村では公表されているという状況でありますが、あくまでも、そういうような形で市町村の自主性に委ねるということが、この調査におけるところの国の調査、あるいは県の調査としての取扱いというのを、現時点では前提にしているということでございます。

 それから、今後、毎年度調査する必要があるかということでございます。国の調査を毎年度実施するかどうかということについては、国の段階でも議論があるのは承知しております。私共としては、国が実施をするということになれば、もとより市町村の意向を確認したうえでありますが、実施していくことが必要だと思います。あるいはそうでなければ、県の単独の調査との関係でどう整理するかということになろうかと思っています。

 県の調査をまだやるかということであります。今年で3年やらせていただいております。学習時間の関係、あるいは、教科の中身についても、こういうところは成果が出ている、あるいはこういうところについてはまだどうも取り組みが不十分だというふうなところが、3年分時系列的に分析いたしますと、だんだんわかってきている部分もあります。

 そういうことから、もう、10年とは、あるいは続けるというわけにはまいらないかもわかりませんが、もうしばらくやらしていただきまして、これなら学力の向上ということが形として、あるいは数字としても成果が出てくるというところが見極めがつくところまで、是非、来年度の予算についてもやらしていただきたいというふうに考えておるところでございます。

 


(問)教職員の健康管理について

1.教育委員会事務局職員における1月当たり100時間を超える時間外労働を行った職員と、その中で医師による面接指導を受けた者の人数、及びその数字に対する所見を伺う。

2.4月以降の教職員の勤務実態調査の結果及び対処方針について伺う。また、一般行政職との比較を伺う。

3.今回の調査結果に対し、教育庁における全体の集約とその対処方針を検討する必要があると思うが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.次に、時間外労働の関係についてでございます。

 まず、一般行政職員については、平成18年10月から時間外勤務の多い職員について医師による面接指導の制度を導入しております。

 ひと月でも時間外勤務100時間を超えた職員は、すべて医師による面接指導を受ける扱いにしておりまして、平成18年度で6人、平成19年度で2人でございました。

 いずれも年度末の人事異動に伴う業務のために、やむを得ず時間外勤務を命じたものでありますが、効率的な業務の遂行に努めまして、さらなる縮減に努めてまいりたいと考えております。

 

2.次に、県立学校の教育職員についての状況についてお答えします。

 県立学校の教育職員については、本年4月から同じような面接指導の制度を導入しておりまして、これまでに延べ20人の職員の面接指導が行われております。

 教育職員については、時間外勤務手当が支給されないため、時間外勤務命令簿というものをもっておりません。

 そのため、この制度の導入に当たりましては、職員本人が出勤時刻と退勤時刻を記録しまして、学校長に提出することによって行うこととしました。

 面接指導は、100時間を超える時間外労働がある場合で、かつ疲労の蓄積が認められた場合に、職員の申し出を受けまして行っておりますが、時間外労働が百時間を超えない場合であっても、職員から申し出があれば受診できるということとしております。

 面接指導を受けました、わずか20ほどの例でございますが、学校長から提出された報告によりますと、医師の意見に基づいて、部活動の指導などの業務の負担軽減を図るとか、年次有給休暇の取得を促すなどの措置がとられております。

 また、一般行政職員と比較してどうなのかということですが、学校現場は、一般的にどの学校においてもクラブ活動などがあり、多忙であると理解しております。

 ただいま申し上げたデータは面接指導を申し出た職員の数でありますので、実際に100時間を超える時間外労働をしている職員の数は、土曜日曜における部活動ということを考えますと、相当数、これを上回るのではないかと思われます。

 

3.次に、教育庁における全体の集約とその対処方針をどう考えるかということであります。

 労働安全衛生法の改正趣旨は、事業所単位で長時間労働による健康被害を防止することにありまして、県立学校につきましては、学校長が教育職員の出退勤状況を把握して行うということにしております。

 また、この制度の導入によりまして、面接指導の有無はともかく、自らの健康管理に対する意識の変化、職場全体の取り組みの成果が期待されるのではないかと考えており、その結果として時間外労働が減少していくのではないかと考えております。

 国においても学校現場での教職員の負担軽減は課題とされておりまして、例えば、今年度については、小・中学校において非常勤講師7,000人が措置されましたが、外部の人材を活用した事業が導入され、本県においても37人を配置したところです。

 県立学校の教育職員については、制度を導入して半年が経過しますが、可能な範囲で出退勤状況のデータの全体を集約しまして、分析をするとともに、この制度の運用を通じて、教職員の適切な健康管理に努めてまいりたいと考えております。

 


(問)石州半紙のユネスコ無形文化遺産登録について

1.今回の登録は、島根県にとってどのような意味があると考えるか伺う。また、登録を契機に県としてどのような取組が必要と考えるか伺う。

 併せて、現在の組織体制について改善の余地がないか伺う。

2.石州半紙の伝承者が激減している。県として積極的に保存に乗り出すべきと考えるが、所見を伺う。

 

(答)知事

1.国の工芸技術に関する重要無形文化財は、「石州半紙」をはじめ14件が指定されていますが、その中から第1回目のユネスコ無形文化遺産の候補として「石州半紙」が国において選定されるという大きな評価を得たことは島根の文化や伝統を国内のみならず世界に知ってもらう良いきっかけとなったと思います。

 今回の選定を契機に、先に世界遺産登録された「石見銀山遺跡」などとともに、島根県の歴史文化遺産を貴重な地域資源として、地域の振興に役立ていく必要があると考えます。

 「石州半紙」の製作技術保持者である技術者会の会員は、昭和50年代の10名から現在では5名と半減していますが、今回のユネスコ無形文化遺産候補としての選定や石州和紙会館の建設を契機として、直接生産に携わる方のみならず、地元浜田市や島根県としても文化・産業面での活動の活性化を図っていくべきであると思います。

 また、「石州半紙」については、文化財の指定は教育委員会で、伝統工芸品の方は商工労働部でそれぞれ所管しておりますが、地元浜田市とともに関係部局間で緊密な連携を図りながら、原材料の確保・技術者の育成・製品の需要といったサイクルの拡大を図ることが重要と考えます。

 その意味では、例えば賞状や名刺、特産品の包装紙など身近なものに活用することで「石州半紙」の良さを地元はもとより首都圏等へPRするということが考えられますので検討していきたいと考えます。

 

(答)教育長

2.次に「石州半紙」の伝承・保存についてお答えします。

 今回「ユネスコ無形文化遺産」への登録措置がなされました「石州半紙」は、昭和44年に国の重要文化財の指定を受けたものであります。製法につきましては、石州産の楮(こうぞ)を用い、「流し漉き」の技法で製作され、薬品漂白を行わないなどの特徴を有しています。

 この伝承技術は、その技術育成に時間を要することから、保持者の構成員を短期間で増やすことは困難ですが、今年度1名の方が準構成員から昇格されたと伺っています。

 「石州半紙」の製造技術の保存・伝承には、原材料の確保や技術者の育成、さらには製品の需要といったサイクルの拡大が必要です。

 この度の国における選定や、石州和紙会館の建設が、皆さんの励みとなりまして、そのサイクルが拡大するよう願っております。

 石州和紙会館は、旧三隅町時代からの取り組みで、県も計画づくり等の相談に関わってきたものが今回オープンに至ったものです。その意味で私どもとしても支援できることは、大いにお手伝いしたいと考えております。そのためには、まず地元浜田市でサイクル拡大に関するプランが作成され、必要に応じて県の中山間地域活性化支援事業やふるさと島根定住財団によります各種支援事業などの活用を検討いただけたらと考えております。

 

 

 


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