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報告第24号

(鴨木総務課長)

 報告第24号新型インフルエンザ対策「県内発生期」における公立学校等の対応方針(改定版)についてご報告する。

 6月16日の前回の教育委員会会議以降、様々な状況変化があった。6月19日に厚生労働省から運用指針の改定の通知が出され、全国的に対策の方針が転換される状況にある。資料の中のチラシについて、島根県内でも本日から新型インフルエンザ対策の基本的な対応を変更することにしている。幾つか変更点があるが、最も大きな変更点はインフルエンザ様症状のある方、具体的には急な発熱、せき、のどの痛みなどのある方は発熱相談センターに電話をしてもらい、新型インフルエンザが疑われる場合には発熱外来という専用の医療機関に誘導し、そこでのみ受診してもらうやり方をしてきたが、本日から一般の診療機関で受診をしてもらうということで、一般診療への切りかえを島根県内では行うこととなったところである。

 従前は発熱外来で新型が疑われる場合にはPCR検査で新型インフルエンザなのか、季節性インフルエンザなのか、あるいはそれ以外の疾病による発熱なのか、遺伝子レベルでウイルスを確定していたが、本日からそのようなやり方はとらないことになり、今後は定点調査に移ることになる。新型患者の動向を把握するための定点医療機関は全国約500カ所のうち島根県内は38カ所あり、定点医療機関で受診されたインフルエンザ様患者は、定点観測の一環としてPCR検査にかけていくことになるが、それ以外の多くの医療機関を受診された場合には新型かどうかはわからない状態で治療をすることになる。

 そうなると学校側の対応に大きな影響を与えることになり、これまでは新型確定の情報を前提にして対策を講じていくことができたが、今後は、例えば児童生徒や教職員の中で発熱症状のある人が出たとしても、それが新型なのか季節性のインフルエンザなのか、あるいはそれ以外の疾病による発熱なのか、基本的にわからない状態の中で学校側としては対応せざるを得ない状況になる。

 学校は新型インフルエンザの急速な感染拡大の場となり得る状況であるので、学校側としては新型であるかどうかを早目に探知して、新型であればしかるべき対策を打ちたいと考えているので、そこをどう調整するかということであるが、今後はそういう急速な感染拡大につながりかねないような端緒であると認識できた場合には、集団発生の端緒に限って特例的にPCR検査をやることになり、これをクラスターサーベイランスと言っている。集団探知方式を動かすためには学校側からインフルエンザ様症状の児童生徒が今こういう状態で発生しているから、クラスターサーベイランスを動かしてくれということを学校側から保健所に連絡をとって、保健所の判断で、今後急速な感染拡大につながる可能性があるためPCR検査で確定して新型かどうかを判断することになって初めて検体をとってPCR検査に移していくことになる。そういう意味で、今後学校側が感染拡大の端緒をきちんと把握をする、兆しを見きわめて保健所に連絡をする、その上でクラスターサーベイランスを入れてもらって新型かどうかを確定し、新型ということがわかるとそれに応じた適切な対処をしていく流れになる。

 そのような流れを踏まえ、今後の学校側の対応方針をどうするかということで、資料1の1について、公立学校の対応方針を6月22日付けで改定したところである。厚生労働省の運用指針の改定は6月19日である。

 資料1の2について、1番目の対応方針の改定に当たって留意すべき事項であるが、学校は今後感染動向を把握する重要な対象であるのでクラスターサーベイランスが機動的に行われるように学校側としてもできるだけの協力をすべきであるという趣旨である。(2)学校側としては初期段階では新型なのかわからない状態で臨時休業措置の内容を決定していく必要があるので、どうしても初期段階は必要最小限の対応にならざるを得ない。その上でクラスターサーベイランスが入り、新型であることが確定し、濃厚接触者の範囲などがわかれば必要に応じて対策を拡大し、広く長く対策をとり直すような段階的な措置にせざるを得ないという趣旨である。

 2番目の「県内発生期」における公立学校等の対応方針(改定版)についてであるが、今後は例えば初期段階は学校長の判断で学級閉鎖、学年閉鎖又は臨時休校という臨時休業措置の内容を決めてもらうが、その後、クラスターサーベイランス、そして積極的疫学調査による濃厚接触者の確定などを経て、保健所側の判断で必要に応じて対応を拡大をしていくやり方を定めたものである。

 市町村教育委員会に対する要請であるが、市町村教育委員会に対しても同様なやり方で、基本的には学校長の判断で必要最小限の対応をとってもらった後、保健所との連絡を通じて必要に応じて対応を拡大をすることを要請をするやり方である。

 3番目の新型インフルエンザウイルスの変異等への対応であるが、新型インフルエンザは、現在、オーストラリア、チリ、アルゼンチンなどの南半球で爆発的に感染拡大している。今後、ウイルスが変異する可能性もある。北半球では、通常であれば夏場に向かって一般の季節性インフルエンザは終息する時期であるが、この新型に限っては北半球でも依然として猛威を奮っている。日本の秋、冬に向けてさらに国内で感染が拡大していくと思われるが、この間にウイルスの性状が変異する可能性があり、感染力あるいは病原性、そして特に怖いのが薬剤耐性が変わることでタミフルやリレンザが効かなくなる可能性がある。最新の情報を収集して各学校現場で的確な対応に役立ててもらいたい。

 今回はブタ由来のH1N1型であるが、最悪のシナリオである高病原性鳥インフルエンザがヒト型に変異するリスクは依然としてあるので、新型の変異に加えて高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)のヒト型への変異の両方を見据えながら引き続き緊張感を持って対応していく必要がある。

 今回の6月22日に行った通知は、対応そのものは季節性インフルエンザに近い対応になるが、学校は依然として感染拡大の温床となりやすく、さらに県内児童生徒の中に重症化リスクのある子どもが相当数いるので、現場では緊張感を持って対応してもらいたいという趣旨である。

(山根委員長)

 予防接種の対応はどうなっているのか。

(鴨木総務課長)

 今回の新型インフルエンザのウイルスでワクチン製造用の株は日本国内に既に届いており、製薬会社にも引き渡しが行われて、今後新型インフルエンザのワクチン製造に入る予定であるとの報道を通じて入手した情報である。ただし、想定したよりもワクチンの製造量が少なくなるだろうということで、当初は二千数百万人分のワクチンができることを想定していたが、その6割から7割程度、具体的には1,500万人前後の供給量にとどまるのではないかと報道されている。11月から12月以降に重症化リスクのある人などを優先してワクチン投与することになる。しかし、それまでに国内で相当の感染拡大があることが想定されている。夏場になかなか終息するような気配がなく、特に日本国内でも既に確定患者が2,200人に増えており、ここのところ毎日1日当たりの確定数が100人を超える状態になっている。ワクチンが間に合う時期までに国内で相当の感染が進むことが考えられる。ワクチンがない状態の中で対処していく必要がある。ただし、治療薬としての商品名であるタミフルとリレンザは現時点でも効いており、逆に言うと薬剤耐性を持ったウイルスは一部にとどまっているという情報である。なお、国内で重症化した事例はまだ1例もなく、すべて軽症で回復している。

(北島委員)

 新型インフルエンザに何人くらいかかったら学級閉鎖になるのか。

(鴨木総務課長)

 従前は新型が確定してからの対処なので、島根県の対処方針では学校内で1人、児童生徒又は教職員の感染者が出れば、その学校単位で休校措置をとるようにしていた。今後は症状から見ると新型であるのか、季節性であるのか、それ以外の要因であるのかわからないことになる。島根県内の多くの学校の状況からいって毎日数名は熱が出て子どもが休んでいる状態が起こることになる。例えばその状態で臨時休校にすると学校は1日もあかないことになる。今から夏場に向かい通常の季節性インフルエンザは、おさまる時期なので、暑くなってもそういう症状の子どもが何人も出ることになると新型をまずは疑ってみる必要がある。心配があれば学級閉鎖をし、直ちに保健所に連絡をとってクラスターサーベイランスによる遺伝子確定をしてもらい、新型でないことがわかれば通常の対応をすればよいし、新型が確定すれば通常の季節性インフルエンザより慎重な対応をする必要がある。具体的に何人でということは言えないが、その判断を現場の学校長が学校医と保健所との連携の中でやってもらうことになる。

(山根委員長)

 臨時休業措置の内容を学校長の判断に任せてしまって大丈夫なのか。

(鴨木総務課長)

 実態として児童生徒の状況を間近で見ているのは学校の教職員であり、養護教諭であり、そしてそれをサポートする学校医なので、日頃の状態と比べて異変を早く察知をして、異変を認識をしたら保健所に連絡をしてクラスターサーベイランスを入れてもらうが、そこまで含めて学校の判断で適切に動いてほしいと思っている。

 そのためには学校がどういう役割を担い、どういう情報をどのタイミングで保健所に届けて、保健所のどういう判断に従う必要があるのか、そこを十分に理解する必要がある。今週の月曜日と火曜日に学校関係者を対象にした今後の対応に関する説明会を開き、松江会場と浜田会場の県内2カ所で県立学校の管理職、市町村教育委員会の担当者、それに加えて私立学校、あるいは専修学校からも出席があり、2カ所合わせて170名を超える参加者があり、新しい対応方針の中でどういうことに現場で気をつけなければならないか、どういうタイミングで保健所との情報共有を図るのか、そのあたりを詳細に説明したところである。

 

 

 


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