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報告第24号

(鴨木生涯学習課長)

報告第24号実証!「地域力」醸成プログラムモデル公民館の選定についてご報告する。

 20年度の新規採択に向けて24件の提案があった。そのうちブロック別の予選を経て本選の企画プレゼン大会に18件の提案があり、最終的にモデル公民館選定委員会の審査を経て12件を20年度の新規選定モデル公民館に選定した。

 なお、19年度も9月に同じようにプレゼン大会があり、昨年も同じ数字であるが、24件の提案に対して12件のモデル公民館を選定した。したがって、19年度の公民館は引き続き2年目の実証事業に取り組んでもらっている。それに加え、20年度12カ所を新規選定したということである。

 リーフレットにこの事業をなぜ進めているかという課題意識などを記載しているのでご覧いただきたい。子どもの教育をめぐって大変深刻な問題があるが、それを打開していくためには、学校、家庭、地域、三者のスクラムを組み直す必要がある。特に地域の教育力を高めて、学校に対する支援を行っていく、あるいは家庭教育に対する支援を行っていこう、ということが課題になっている。ただ、地域の教育力といっても、今の地域社会の状況を見ると、「地域力」そのものを高めていくことから始めないと、なかなか地域の教育力にも結びついていかないだろうと、このような課題意識からこの事業を進めている。

 実際に、島根県内の公民館というのは、地域に根差した住民自治活動、例えば自治会活動、地区社協、地区体協、あるいは地域によっては自主的な防犯・防災組織などもあるが、そういった地域に根差した住民自治活動を束ねる、中核となるような役割を果たしている。したがって、県の教育委員会として、その公民館の活動に光を当て、「地域力」がいかに大切であるかということをできるだけ多くの県民の皆さんに再認識していただきたい、これがこの事業の趣旨である。

 教育委員の皆さん方にもプレゼン大会をご覧いただいて体感してもらったことと思うが、この事業は決して助成金が欲しいから申請をして、プレゼンをして、その助成金を交付する相手を選定するという趣旨のものではない。むしろ多くの県民の皆さんに対して、選ばれた公民館が具体的な実践活動を行うことを通じて「地域力」が醸成されていくプロセス、これを実証しようとするものである。多くの県民の皆さんに見ていただき、なるほど「地域力」が大事だということに気づいていただこう、そのためのいわば代表選手を、県公連あげて選ぶ、そのような形でプレゼンを行ったところである。

 選定結果をご覧いただくと、2の2ページには19年度に選定された12館が継続して取り組んでいる事業内容を載せている。本日は時間の関係もあり、継続事業については説明を省略させていただく。

 2の3ページは、6月17日、企画プレゼン大会を経て新規の箇所として選定された12カ所である。この表の掲載順は当日のプレゼンの順番である。

 特徴的なところをいくつかかいつまんで申し上げたい。まず、松江市の古志原公民館は、「地域縁」と「目的縁」の融合というテーマを掲げている。住民の皆さんの自治活動、もともと地域に根差した地縁的な活動としてなされていたが、近年はそういう地域の枠組みを超えて、目的や志を同じくするような人たちがバーチャルな関係を結ぶ、「目的縁」の人たちの活動が非常に注目されている。一方でやはり地域に根差した自治会、地区社協、地区体協というような活動が盛んになる必要がある。その両者を公民館が仲立ちすることによってうまく融合できないか、そのような問題意識を持って、古志原公民館が「安全安心ネットこしばら」の立ち上げに取り組みたいというようなテーマであった。

 また、その次に書いているが、大田市立中央公民館は、中学生、高校生の参加がキーワードである。子どもの問題を議論するときには、どうしても大人の側がいかにサポートするかというような議論が中心となるが、中学生、高校生も地域の主役である、自分たちが地域の担い手である、そういう意識を持ってもらうということがキーワードになっている。そのような観点は、松江市の玉湯公民館にも出ている。

 そして、その次に津和野町の左鐙公民館のテーマであるが、現役の親世代、小学生、中学生の親世代が中心になって地域づくりを引っ張っていこうという活動である。

 さらに、来待の地区公民館は、豊かな田舎暮らしの可能性を住民と一緒になって公民館が探っていきたいというテーマである。

 それぞれに「地域力」を目指すが、どういうアプローチで「地域力」に迫ろうとするのか、その方法論は多種多様である。そこが公民館の良さでもあり、教育長がつねづね言っているように千手観音のような公民館の機能ということを表しているものであると思う。

 2の1ページに戻ると、3番に審査の視点を掲げているが、先ほど申し上げたように、プレゼンの内容のよしあしだけで選んだということではない。県公連の代表選手として「地域力」を県民の皆さんに再認識していただくためにどの公民館がふさわしいかという点で審査が行われている。プロセスを実証する上で、説得力を持った内容であるだろうか、あるいは多くの住民の皆さんを巻き込んでいくような仕掛けがあるだろうか、そして県民の皆さんの注目を集めるアピール性があるのかというような観点から審査が行われており、この3の1から5、それぞれに配点し20点満点で採点され、審査委員の点数が集計される。その審査結果をもとに、当日は2時間半ほどの会議になったが、合議の上で12件を選定したところである。

 この事業を始めて2年目になるわけであるが、少しずつ効果が現れてきたという手ごたえを感じている。1点目は、まずは公民館の職員さんの熱意、意欲が目に見えて上がってきたということである。県公連としても、そして公民館としても、光が当たり、自分たちが非常に重要な役割を担っているということを県民の皆さんにアピールできることは一つの喜びになっているとよく聞かされている。特に公民館は研究集会をよく行っており、県公連としても県東部・西部でそれぞれ年1回、公民館の研究集会をやるが、その研究集会の討議テーマでこの実証事業のことが取り上げられるようになった。あるいはそれぞれ市町村ごとに毎月1回というような頻度で、定例的に公民館長さんがお集まりになるような機会があるが、その中でも実証事業についてよく取り上げられている。

 効果としての2点目であるが、市町村における議論が少しずつ始まってきたという印象を受けている。実は島根県内の公民館というのは全国の中でも非常に活発な活動をしているという意味で注目を集めていた。従前からそうであったし、それだけの実力を持っている大変恵まれた地域であるとは思うが、そうは言っても市町村合併後、それぞれの市町村の財政改革や、行政サービスのレベル合わせ、レベル調整というようなことの中で、公民館がいわゆるリストラの標的にされ、具体的には公民館の再編統合というようなことが動き出したりということがあったわけである。だが、この事業がきっかけとなり、もう一度公民館そのものを見直してみよう、しっかり議論した上で将来の方向性を考え直そうという機運が出てきたことは喜ばしいことだと思っている。

 効果の3点目として、全国的にもこの事業が注目を集めている。例えば私も全国の大会に呼ばれ、シンポジウムで発表したことが何回かあった。他県からもよく調査にいらっしゃる。島根県のこの取組が全国の中でも注目を集めるものになっているという点で、この事業に手ごたえを感じている。

(七五三委員)

 全国的に評価もされているようだが、私はやはりこういうことは今こそ必要なことだと思う。というのは、御承知のように町村合併することによって、それぞれの市町村は非常に規模が大きくなる。それで地域の力をどうするかとか、あるいは、例えば、何か一つやろうとしても今のように行政区画が広範になってくると、どこかまとめるところがないとできない。ところがそれを町なら町、市なら市ができるかと言ったら、難しい。それでこれから先、地域のやる気、地域力を高めるためにはどこかがへそになってやらなければならない。公民館のこういった活動が一生懸命行われることによって、地域がまとまり、地域のことをみんなで考えるということにつながっていくと思う。そういう意味では非常に時宜を得た事業であるし、この事業をどんどん進めていくことによって、地域の活性化につながっていくという見方を私はしている。

(山根委員)

 今、雲南市では公民館という名前を、交流センターか何かに変えて、所管も教育委員会だけではなく福祉なども包含したような位置づけにするというような動きがある。出雲あたりでも同様の動きがあるようである。何かの変化が起きているのだろうか。情報があれば説明いただきたい。

(鴨木生涯学習課長)

 社会教育法に根拠を持つ公民館、これが正式な公民館である。そういう正式な公民館ではない、公民館的な機能を持つ施設というものも県内にいくつか現れている。本来の公民館は市町村の教育委員会の所管とすべきことが法律上定めてあるが、首長部局の所管にするというような例も出てきた。

 具体的に申し上げると、出雲市がコミュニティセンター条例というものをおつくりになり、従来の公民館機能に加えてさまざまな行政サービス、情報提供などの機能もあわせ持ったものとしてコミュニティセンターを設置しておられる。これは社会教育法上の純粋な公民館には当たらないわけである。類似の事例として、安来市は名称を交流センターと変えている。ただ、安来市の場合は、条例上は公民館を残し、新たに交流センター条例もつくっている。したがって法令上は2つの機能を持った施設が、公民館でもあり交流センターでもあるというような形で併存するような形で残しておられる。今も話にあったように、雲南市が従来の公民館を交流センターに変えていくということだが、社会教育法との関係をどう整理するか、現在検討しておられるというように承知している。

 昨年の秋に詳細な公民館の実態調査を行った。それぞれの公民館の所管の問題、あるいは根拠条例、そして人員配置がどうであり、常勤、非常勤、どのような形で配置をしているかということも把握している。

(山根委員)

 いわゆる従来の公民館プラスアルファのような位置づけができてきたときに、例えばこういう行事や何かの活動を盛んにやっていくという教育委員会からの指令があっても、施設は必ずしも教育委員会所管でないということになる。その辺りうまくいくのか。

(鴨木生涯学習課長)

 所管の問題も一つの大きな課題であるが、それ以外にも、財政状況が非常に厳しい中、公民館の人員配置や予算がどうなっているのかという深刻な問題を抱えている。一方、公民館の設置主体が市町村であり、この分権の時代にあって県の教育委員会としてどれだけの指導力が発揮できるか、あるいは指導の法令上の根拠はあるのかという点になると、だんだん根拠が脆弱になっていることは事実である。

 そうは言っても、公民館はこれからもっと大きな役割を果たしていかなければならない、地域の最後のとりでである。とりでをどう守るのかという議論が市町村できちんと行われるように、それを法令上の根拠をもってではなく、例えばこの事業を通じて、あるいは私が実際に市町村に出向いて話をする、そういう中で理解を得ていく努力をする必要がある。

 あわせてもう一つ、文科省の設置している中央教育審議会がこの問題について2月に答申を出した。今後の社会教育行政がどうあるべきか、その中で公民館についても取り上げている。その答申を受けて6月11日に社会教育に関係する三法、社会教育法、図書館法、博物館法が改正された。その中で特に社会教育法が大きな改正であったが、市町村の教育委員会が社会教育に関して担うべき事務について従前16項目が掲げてあったが、これが19項目に、改廃もあるが純粋に号数でいうと3号増えている。特に学校、家庭、地域のスクラムに関する仕事を明確に行うべきである、あるいは学校に対する支援を行うべきである、家庭教育に対する支援を行うべきである、ということが法律上、市町村教育委員会の事務として明確にされた。市町村教育委員会のそういった仕事を、実際に住民と接し、現場で行うのは公民館であるので、公民館の必要性について市町村へ訴えていきたい。

(石井委員)

 昨年と今年と継続している公民館と、今年新たに加わった12の公民館とがあるが、これは毎年やり直しなのか。去年からの分も継続していきながら加えていくのか。

(鴨木生涯学習課長)

 予算事業は毎年毎年の編成になるし、そういう意味でいうと建前ではなかなか複数年のことを申し上げにくいわけである。この事業を19年度に始めるに当たり、19、20、21、3カ年の事業として行うことについては財政当局の理解は得ている。

 初年度に選定された公民館は3年間かけて「地域力」をつくり上げていく。今年度選定された公民館は20、21年の2年間でやる。来年度もまた新規の選定をやりたいわけであるが、21年度にどれほどの予算を確保できるかによって、3年目の取組をどの程度の規模でやるかというところが決まってくる。精いっぱい努力する。


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