石綿(アスベスト)の事前調査の徹底
- 建築物及びその他工作物の解体・改造・補修工事を行う際は、大気汚染防止法により、石綿の有無を事前に調査すること(事前調査)が 義務付けられています。
しかし、事前調査の不徹底により、不適切な解体等工事が行われる事案が全国的に報告されています。
石綿の存在が見落とされ、適切な飛散防止対策がとられることなく解体等工事が行われると、周辺住民や工事関係者への健康被害が懸念されます。
解体等工事を行う際は、次の点に留意して適正に事前調査を行うほか、大気汚染防止法をはじめとした関係法令の内容をあらためて確認していただきますようお願いします。
- 石綿の事前調査は元請業者または自主施工者の義務です。
- 令和4年4月1日から事前調査結果を県知事に報告する必要があります。
- 令和5年10月1日から資格者等による事前調査の実施が義務付けられます。
掲載内容
(1)事前調査とは
(3)事前調査を実施する者
(4)事前調査の実施方法
(6)事前調査結果の県への報告
(7)事前調査結果の掲示
(8)事前調査結果の記録
(9)工事関係者間の情報共有
(10)石綿含有建材が使用されている建築物等の解体等工事を行う際の注意点
(12)参考資料
事前調査とは
全ての解体等工事において石綿含有建材の有無に係る事前調査及び説明が必要です。
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解体等工事の元請業者又は自主施工者は、工事を行う前に石綿含有建材の有無について事前に調査を行い、元請業者は発注者に調査結果を書面で説明することが義務付けられています。
- 根拠:大気汚染防止法第18条の15
- 「解体等工事」とは、建築物又は工作物を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事のことです。
- なお、規模等にかかわらず全ての解体等工事が事前調査の対象です。
発注者から受注者への情報提供
発注者は、受注者に対し、設計図書や過去の改修の記録、資産除去債務の計上のための石綿使用有無の調査結果などの過去に実施した石綿に関する調査の結果を適切に提供してください。
- 発注者が過去に行った調査により石綿含有の事実を把握していたにもかかわらず、受注者に対し分析結果を渡さなかったこと等により、受注者が石綿含有建材の存在を認識せずに工事を開始した事案がありました。
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事前調査においては、発注者が有する設計図書や過去の改修の記録、石綿に係る調査の記録等が、石綿含有建材の見落としを防ぐ上で重要です。
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また、解体等工事の発注者は、「調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力しなければならない」とされています(大気汚染防止法第18条の15第2項)。
事前調査を実施する者(令和5年10月1日より)
建築物の事前調査は、必要な知識を有する者(以下「資格者等」という。)に実施させてください。
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令和5年10月1日から資格者等による事前調査の実施が義務付けられます。
- 資格者等とは・・・
- 一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
- 特別建築物石綿含有建材調査者(特別調査者)
- 一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)※一戸建て住宅や共同住宅の住戸の名部のみ実施可能
- 義務付け適用前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録された者
- 資格者等とは・・・
事前調査の実施方法
大気汚染防止法において事前調査の方法が規定されています。
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事前調査の方法(大気汚染防止法第18条の15第1項)
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1)設計図書その他の書面による調査
- 設計図書等により新築工事に着手した日、建築材料を確認します。使用されている建築材料に石綿が使用されているか否か、石綿(アスベスト)含有データベース(外部サイト)等を使用した調査を行います。
- 平成18年9月1日以降に設置の工事に着手したことが明らかな建築物や、ガスケット等猶予期間を設けられていた一部製品の使用禁止後に設置の工事に着手した工作物については、設計図書等の書面で着工日を調査するだけで構いません。
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2)現地での目視による調査
- 現地で各部屋・各部位を網羅的に確認します(書面調査との相違等を確認)。
- 書面調査のみで「石綿なし」と判断してはいけません。
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3)分析による調査
- 現地での目視調査では石綿の有無が不明であった場合、同一材料毎に代表資料を採取・分析し、石綿含有の有無を判定します。
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1)設計図書その他の書面による調査
- 事前調査の方法の詳細については、こちら(外部サイト)をご参照ください。
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過去の事前調査では、次のような事案がありました。
- 設計図書等の確認を十分に行わなかったため石綿含有建材を見落とした。
- 設計図書等と異なる建築材料が使用されていたため見落とした。
- 設計図書の情報を無視して目視調査のみで判断した。
- 目視調査の際、建築物の一部のみを調査したが、その他の箇所から石綿含有建材が発見された例や、外側からの目視では確認できない箇所に石綿含有建材が存在した例があるので、注意が必要です。
- 事前調査を行ったものの解体が始まらないと確認できない箇所がある場合、適切な時期に当該箇所での石綿含有建材の有無の確認を行ってください。
元請業者から発注者への説明
事前調査の結果は、作業開始前(届出対象特定工事の場合は工事開始の14日前まで)に書面で元請業者等から発注者に説明する必要があります。
<説明事項>
(1)石綿使用の有無に関わらず必ず説明する事項
(新法第18条の15第1項第1号及び第4号、新規則第16条の7第1号及び第2号
- 事前調査結果、調査の終了年月日、調査の方法並びに調査を行った者の氏名及び調査者等に該当することを明らかにする事項(調査者の講習実施機関の名称等)
(2)特定工事に該当する場合の説明事項
(新法第18条の15第1項第2号及び第3号、新規則第16条の7第3号及び第4号)
(★は届出対象特定工事で該当する場合のみ)
- 特定建築材料の種類・使用箇所・使用面積
- 特定粉じん排出等作業の種類
- 特定粉じん排出等作業の実施期間
- 特定粉じん排出等作業の方法
- 対象となる建築物等の概要(構造・階数・延べ面積等)・配置図及び付近の状況★
- 特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要
- 特定工事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所
- 下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡場所★
※説明の書面の写しは、工事終了後3年間保存してください。
事前調査結果の県への報告(令和4年4月1日より)
一定規模以上の工事を行う場合は、石綿の使用の有無に関わらず、事前調査結果を元請業者又は自主施工者が県知事に報告しなければなりません。
※事前調査結果報告に関する詳細はこちらをご覧ください。
- 令和4年4月1日から事前調査結果を県知事に報告する必要があります。
<規模要件>
(1)建築物の解体:対象の床面積の合計が80m2以上
(2)建築物の改造・補修、工作物の解体・改造・補修:請負金額の合計が100万円以上
※工作物は環境大臣が定めるもの(令和2年環境省告示第77号)、金額には事前調査の費用は含まず、消費税を含みます。
<報告事項>
(1)調査対象の建築物等の概要
(2)解体等工事の期間
(3)建築材料の種類及び特定建築材料に該当するか否か(該当しないと判断した場合はその根拠)
(4)調査者等の氏名及び調査者等であることを明らかにする事項等
<報告の方法>
新たに整備する電子システム石綿障害予防規則の報告と共通のシステム
事前調査結果の掲示
事前調査結果は、解体等工事の現場において公衆の見やすいように掲示しなければなりません。
- 事前調査結果の掲示(大気汚染防止法第18条の15第5項、同法規則第16条の10)
- 掲示板の大きさ:日本産業規格A3判(42.0cm×29.7cm)以上
<掲示事項>
(1)事前調査の結果(特定工事に該当するか否か及びその根拠
(2)解体等工事の元請業者等の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
(3)事前調査を終了した年月日
(4)事前調査の方法(書面調査・目視調査・分析による調査及び調査者等に調査を行わせたこと)
(5)解体等工事が特定工事に該当する場合は特定建築材料の種類
<掲示板の設置場所>
公衆の見やすい場所
<掲示板の掲示日>
作業の開始前
事前調査結果の記録
事前調査に関する記録を作成し、その写しを解体等工事の現場に備え置く必要があります。
<記録事項>
発注者への説明事項に発注者氏名等を加えたもの
<現場への備え置き>
備え置きの方法は指定していません。
工事を施工する者や都道府県等が立入検査の際に確認できる状態であればよいので、電子データでも紙媒体でも差し支えありません。
<記録の保存>
当該記録は、解体等工事終了後3年間保存しなければなりません。
工事関係者間の情報共有
石綿含有建材の存在やその取扱いに関する情報を工事関係者間で十分に共有してください。
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過去に次のような事案がありました。
- 事前調査結果が判明する前に下請業者が作業を開始した。
- 事前調査で把握した石綿含有建材の情報が下請業者に伝えられなかった。
- 現場作業員への周知が不足していた。
- 工事開始前の発注者と元請業者の打合せが不十分であったため元請業者が工事指図書の内容変更を認識せずに工事を開始した。
石綿含有建材が使用されている建築物等の解体等工事を行う際の注意点
- 解体等工事を行う建築物等に石綿含有建材が使用されている場合、特定粉じん排出等作業届出や作業基準の順守の徹底に加え、特に天井板の裏側などの隠蔽部では、それ自体には石綿含有建材が使用されていない場合でも、周囲の吹付け石綿などが付着している可能性があることから、そのような場所の調査、解体等工事の際には、飛散防止対策を実施してください。
解体工事業者からの事案発生時の連絡
解体等工事中に新たな石綿含有建材を発見した場合には、速やかに最寄りの行政に連絡してください。
- 解体等工事中に施工業者が石綿含有建材を把握してから行政に報告するまでに1ヵ月程度を要し、その間、適切な石綿飛散防止措置がなされていなかった事案がありました。
参考資料
- 平成29年11月20日付け環水大大発1711201号「事前調査の不徹底により石綿含有建材が把握されずに建築物等の解体等工事が開始された事案等について」(環境省水・大気環境局大気環境課長通知)(PDFファイル)(134KB)
- 別紙1(PDFファイル)(528KB)
- 別紙1参考添付(PDFファイル)(375KB)
- 別紙2(PDFファイル)(128KB)
- 令和元年6月12日付け環水大大発第1906123号「事前調査の不徹底により石綿含有建材が把握されずに建築物等の解体等工事が開始された事案等について」(環境省水・大気環境局大気環境課長通知)(PDFファイル)(151KB)
- 別紙1(PDFファイル)(669KB)
- 別添1(PDFファイル)(79KB)
- 別添2(PDFファイル)(238KB)
お問い合わせ先
環境政策課
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
(事務室は、 松江市殿町128番地 県庁東庁舎4階 にあります)
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・再生可能エネルギー推進係 [再生可能エネルギー]
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0852-22-6555
宍道湖・中海対策推進室
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