しまね女性消防吏員活躍推進研修会開催結果
- 平成31年4月1日時点では、島根県内の女性消防吏員は17名でその割合は1.42%です。国がめざす5%に向けて、この割合を高めていく必要があり、このほど研修会を開催しました。
- 島根県内の女性消防吏員に係る職場の理解を深め、男女ともに働きやすい職場づくりや女性消防吏員の人材育成について助言をいただくため、元東京消防庁丸の内消防署長の谷口由美子さんと、総務省消防庁女性消防吏員活躍推進アドバイザー荒木泰史さんのお話を伺いました。
- 島根県内の女性消防吏員を増やし、誰もが働きやすい消防職場をつくること、あらゆる職場で女性も男性も共に活躍してもらうための参考としていただくとても良い機会となりました。
- 消防団においても女性の活躍推進が重要であることから、消防団にも参加を呼びかけました。
- 開催日時:令和元年11月8日(金)午後1時30分から午後4時30分(午後1時から受付)
- 開催場所:大田市民会館1階中ホール(大田市大田町大田イ128)
- 参加者:65名(うち女性25名)
- 対象:県内消防本部職員、消防団員、県・市町村職員、誰もが働きやすい職場づくりに関心のある方
第一部〔テーマ〕女性消防官として見たもの、考えたこと
〔講師〕谷口由美子さん/元東京消防庁丸の内消防署長(東京消防庁第一期女性消防官)
〔主な内容〕
- 女性消防官として考えてきたこと…消防は在野である・都民と消防のかけ橋になろう・リーダーとして心がけてきたこと・ソーシャルキャピタルを大切に
- 東京消防庁の現状…女性消防吏員1,221人(6.5%)・出産後の職場復帰率99.6%・女性活躍・次世代育成のための取組
- 東日本大震災から考えること
- 今後重点にすべきこと…女性の視点を防災対策に活かす
〔参加者アンケートより〕
- 女性の人数も少なく、これからどのような目標を持っていけばいいのか、また自分にその重責が担えるのかなど、悩みも多い中、今回パイオニアの谷口さんのお話が伺えて良かったです。
- 「人を動かすのは言葉とそれに反しない行動」これは今後、若手職員を指導していくために自分の中で幹となるものだと思った。
- 仕事と子育ての経験談について参考になりました。
- 男性らしさ、女性らしさをお互いに尊重しながら、心構えは同じだと感じた。
- 女性と男性の視点は違っていて、互いに気付けない部分を補えばもっと良い組織になっていくと思いました。
- 今は県内の情報しかないので、もっと外に目を向けて色々な県や国の情報を得たいと思いました。
- デイタイム救急隊や出産後の復帰率などさまざまな取組みをしているので、そういったことを増やしていき、働きやすい環境ができていったらいいと思った。
第二部〔テーマ〕女性消防吏員の人材育成について
〔講師〕荒木泰史さん/総務省消防庁女性消防吏員活躍推進アドバイザー
(新潟市消防局企画人事課人事育成係長)
〔参考資料〕女性消防吏員の人材育成について(PDFファイル:1.22MB)
〔主な内容〕
- 新潟市消防局の紹介…女性消防職員17名(1.81%)20代、30代のみ
- 全国の女性消防吏員の状況
- 採用試験
- 受験者増加の取組…a.説明会の開催・参加b.小・中学校への広報c.メディア・広報媒体の活用
- 定年まで勤務できる環境づくり…a.教育体制の充実b.職域の拡大c.ロールモデルの育成d.育児休業時の人員の確保
- まとめ
a.「採用した実績」が効果的
b.女性に不利にならない試験方法
c.女性に「消防」を就職の選択肢に入れてもらう
d.女性を特別扱いせず、男性と同じく定年まで勤務できる環境づくり
〔参加者アンケートより〕
- 女性を採用するためにさまざまな取組みをしていて、すごく学ぶことができた。
- 消防局をPRするための動画作成や、マスコットキャラクターなど作成しておられ、有効なPRを行うためのツール作成が構築されていた。
- 説明会のやり方や、女性仮眠室について、自本部でも注視している話題について先の取組みをしておられて参考にしたいと思いました。やはりPR動画を作ることで短時間で消防のある程度が分かるので、より採用募集に効果的だと思いました。
- 小中学生への広報、民間企業が主催の説明会、メディアを使った広報が参考になった。「消防」を就職の選択肢に入れてもらう事は重要と感じた。
- ただ女性を採用し、人数を増やすでは意味がないと思う。その後、仕事がしやすい環境、体制づくりが必要。
- 「出来る時に積極的に現場へ出そう」この言葉を聞いて、女性吏員の配置について考えさせられました。新規採用時の配置は日勤ではなく、当直可能な部署に配置させようと考えました。
- 子育てしながら勤務している例があり、男女問わず子育てしながら勤務できる可能性があると働きやすそうだと思いました。
- 性別によって職域を制限しない。女性を特別扱いしないという視点。育児休業時等の対応方法を参考とさせていただこうと思います。
- 女性消防吏員の活躍推進への対応については、現在の課題でもある。各種ハラスメント、働きやすい環境作り等、女性だけではない課題の対応にも通じるところもあり、本日の研修会を参考にして取り組んで行きたい。
講師との意見交換会
研修会終了後、講師お二人と女性消防吏員10名との意見交換会を実施しました。
約30分ほどの短い時間でしたが、それぞれの職務に関する疑問や、子育てとの両立についての悩み、研修会での内容について次々と講師のお二人に対し質問が出るなど、非常に有意義な意見交換会となりました。
東西に長い島根県では、これまで女性消防吏員が一堂に会する機会がほとんどありませんでしたので、このような場を持てたことは、お互いに顔の見える関係づくり、今後のネットワーク作りにもつながる成果でした。
まとめ
県内の女性消防吏員活躍推進を進めるにあたり、本人の努力はもちろんのこと、職場の理解や支援について具体的な取組事例も含めた研修内容は、参加者の理解を深め、今後向かっていくべき方向性を示す素晴らしいものでした。
今年度、この研修会も含め、島根県消防学校と防災部消防総務課とが連携し、各消防本部及び各消防本部女性消防吏員の協力を得て、総務省消防庁「消防本部における女性消防吏員活躍推進モデル事業」の委託を受けて女性消防吏員活躍推進事業に取り組み、一定の評価をいただいたことは非常に嬉しいことであると同時に、より一層取り組みを進めていくことの必要性を実感しました。
今後も島根県内の女性消防吏員はもとより、消防全体の活性化が図られるよう、各関係機関と共に取り組んで参ります。
お問い合わせ先
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