洪水調節効果発揮事例(令和3年8月9日台風9号)
集中豪雨のようす
8月4日9時南シナ海で発生した台風第9号は東シナ海を北東に進み、8日20時過ぎに鹿児島県枕崎市付近に上陸し、9日5時過ぎには広島県呉市付近に再上陸、9日9時に中国地方で温帯低気圧に変わり、その後低気圧は日本海に抜けました。このため島根県では大気の状態が非常に不安定となり、隠岐地方を含む島根県の広い範囲で大雨となりました。海士では8日8時の降り始めから10日05時までの総降水量は335.0ミリを観測し、平年の8月の月降水量の2倍を超える大雨となりました。
9日は海士で日最大1時間降水量76.0mmを観測し、松江市西津田で月最大24時間降水量156.0ミリを観測したほか、複数の観測点で日最大10分間降水量、日降水量の8月及び通年の第1位を更新するなど、記録的な大雨とりました。
隠岐地方では線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が降り続いたため、9日10時39分に「顕著な大雨に関する島根県気象情報」を発表しました。
雨雲レーダー(8月9日9時、10時、11時、12時)
銚子ダム管理所と周辺の状況
8月8日
21:25・・大雨警報発令ダム警戒体制開始
8月9日
・4:10・・洪水量(20m3/S)到達
・8:25・・流入量67m3/S(計画最大流量95m3/Sの70%)
・9:07・・最大流入量135.88m3/S(放流量7.81m3/S調節量128.07m3/S)
10:35・・非常用洪水吐越流(洪水時最高水位65.60m)
12:44・・最高貯水位66.64m、最大放流量76.2m3(計画最大放流量9m3/S)
17:32・・洪水量(20m3/S)を下回る
8月10日
・4:12・・大雨警報解除(大雨注意報切り替え)
・4:55・・ダム警戒体制解除
計画24時間雨量230mm超過確率年1/50
累計雨量516mm(8月8日8時から8月10日8時)
最大日雨量454mm(8月9日1時から8月9日24時)
最大1時間雨量75mm(8月9日8時から8月9日9時)
・非常用洪水吐きからの越流状況・・・・・・・・・・・・・・・・・洪水時最高水位に到達したダム湖の様子
・・・
・ダム上流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダム直下流
・・・・・・
銚子川・・・・・・・・・・・・・・・・・・八尾川と銚子川の合流点・・・・・・・・八尾川の蔵見橋上流
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・・・
洪水時最高水位(サーチャージ水位65.60m)到達
大雨警報が発令中でしたが、9日の5時頃に雨は一端やみはじめて、ダムの水位59.29mでした。しかし6時頃から再び強い雨となり、銚子ダム雨量計では8時から9時の間に、時間雨量75ミリのすごく強い雨が降りました。9時には最大となる135.8m3の流入があり、ダムの水位が63.35mまで上昇していましたが、流入量は徐々に減少していて、雨の勢いも弱まってきていました。10時頃から再び強めの雨が降り始め、結果的には10時35分にサーチャージ水位に到達しました。(9時頃の時点において現在の技術では10時35頃にサーチャージ超えすることを予測することはできません。)
銚子ダムの調節効果
隠岐では、台風第9号の影響により線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が降り続き、銚子ダム上流域では降り始め(8月8日9時)からの総雨量が8月10日10時までに516ミリに達しました。
この出水により、銚子ダムでは洪水調節を行い、最大135.9m3/Sの洪水に対し128.1m3/Sの流量をダムに貯めることで、下流の八尾水位局では、ダムがなかった場合に比べて約80cmの水位低下ができたものと考えられます。
また、8月9日の10時35分より非常用洪水吐から越流しましたが、下流河川への被害はありませんでした。なお、事前放流については、予測降雨量が基準降雨量に達しなかったため、実施しませんでした。
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