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フリー配偶体技術を導入したワカメ養殖を行っています

"フリー配偶体技術"・・・それって何?と思われる人が大半だと思います。

この"フリー配偶体技術"、何かというと休眠状態のワカメの配偶体をフラスコ内で管理する技術です。フラスコ内で管理される配偶体

ではこのワカメ配偶体とは何なのでしょうか?ワカメは10月頃から5月頃にかけての寒い時期は胞子体と呼ばれる、一般的によく知られているワカメの形で生活していますが、5月から10月頃にかけての暖かい時期は、肉眼では確認できないほど微小な大きさのままで休眠しています。この状態のときを配偶体といいます。

ワカメはこのように配偶体⇔胞子体で世代交代をしながら生活をしていますが、養殖する際に手間がかかる配偶体の段階の管理を簡単にしようというのが"フリー配偶体技術"を導入する最大の理由です。

 これまで一般的に行われていた養殖方法ではワカメが配偶体の段階の時期に種糸と呼ばれるロープに配偶体を付着させ、それを大型水槽内で水温や照度の調整を適宜行いながら管理していたため、非常に手間がかかっていました。しかしながら"フリー配偶体技術"は配偶体を直接フラスコに入れて恒温機械で管理するため(写真参照)、簡易で安定的な管理が可能となります。

わかめの生活史

ワカメ養殖は時化が多い冬季の日本海では重要な漁業の一つで、山陰地方で養殖されたワカメは主に特産品である板ワカメに加工されています。しかしながら近年は就業者の高齢化や種苗管理の煩雑さ、海水温の上昇傾向による漁期の縮小等様々な要因により生産量は減少傾向にあります。これらの問題を解決するために、種苗管理の省力化やコスト削減が可能な"フリー配偶体技術"を一部の漁業者が導入しており、松江水産事務所ではそれらの漁業者が円滑に技術導入できるよう支援を行っています。

平成19年は、11月より出雲市河下地区および中山地区では、"フリー配偶体技術"を用いて生産したワカメ種苗を陸上管理施設から海上養殖に移行する沖出しが始まりました。これらの地区では"フリー配偶体技術"を今年度から本格的に導入したのですが、現在のところワカメ種苗は大きな問題もなく順調に生育しています。

この沖出し用種苗は今年5月よりフラスコ内で配偶体を管理したものを10月に種糸に付着させ、陸上水槽で1ヶ月ほど飼育してきたものです(下写真参照)。今後来年1から4月頃まで養殖され、刈り取られて板ワカメに加工されていきます。

松江水産事務所では、養殖に新しい技術を導入していくことで水産業の振興を図っています。

陸上水槽で管理されている種糸種糸に付着しているワカメの幼芽

 


お問い合わせ先

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島根県東部農林水産振興センター 
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