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高速交通網整備促進調査特別委員長報告

 

高速交通網整備促進調査特別委員長報告  平成23年2月定例会

 

 高速交通網整備促進調査特別委員会の調査の経過並びに結果について御報告いたします。

 

 本委員会は、平成21年5月臨時会において設置され、「高速交通網の整備促進に関する審査及び調査」を付託されました。

 

 以来、2年間にわたり、本県の高速交通網、その中でも特に、高速道路の早期整備、航空路線の維持・充実を基本理念とし、執行部から事業の進捗状況や今後の計画、課題等について説明を受けるとともに、調査活動を行って参りました。

 この間、国の厳しい財政事情による道路予算の圧縮や、景気の低迷などによる航空業界の業績の悪化、それに伴う路線の廃止など、厳しい状況が続いております。

 

 そうした中、まず、「高速道路の早期整備」についてであります。

 本県における高速道路網の整備状況は、いまだ全国水準から大きく立ち遅れており、経済活動の発展と広域交流の拡大のため、また災害時の緊急輸送や救急医療、安全保障の面からも欠くことのできない重要かつ基礎的なインフラとして早急に整備する必要があります。

 この間、山陰道では、平成21年3月には「出雲・湖陵 道路」及び「静間・仁摩 道路」が事業着手、同年11月には「斐川インターチェンジ〜出雲インターチェンジ間」13.6kmが開通、また、22年3月には「益田道路」の「遠田〜久城間」1.7kmが開通したところです。

 一方、中国横断自動車道尾道松江線については、22年11月には、大万木トンネルの本坑の掘削が広島県境に達するなど、三次インターチェンジまでの間については、平成24年度中の開通を目指し、着実に進捗しているところです。

 しかしながら、県内の高速道路の計画延長286kmの内、供用済み区間は156kmと、約55%の供用率にとどまっており、全国平均の74%と比べると、まだまだ低い状況にあります。

 

 平成23年度の直轄事業の概算要求では、山陰道全体で上限でも116億円であり、今年度当初予算134億円に対し86%程度と、2年連続15%程度のマイナスとなっており、非常に厳しい状況にあります。

 このような中で、昭和62年の第4次全国総合開発計画における、「国土を凝縮して圧縮して、利用度の高い国土にする」といった基本理念を忘れ、財源の側面のみから、高速道路ではなくても現道のバイパスを作ればよいなどの意見が出てくる事に危機感を感じるところです。確かに県内においては、高速道路にバイパス的機能を求めているという一面はありますが、やはり高速道路によって時間的距離を短縮し、利用度の高い県土にしていくということが不可欠であります。

 

 当委員会としましても、昨年1月に県選出国会議員に対して、「道路整備財源の確保と山陰道及び中国横断自動車道尾道松江線の早期整備」について要望活動を行ったところであります。

 高速道路ネットワークは、地域の安全保障、国民生活の向上、活力ある国土形成や災害時の緊急輸送、救急医療の面などから欠くことのできない根幹的な社会資本でありますので、執行部におかれましても、改めて高速道路の必要性を訴えていただき、未事業化区間の早期事業着手、事業中区間の着実な進捗により、県内高速道路の早期整備に向け、取り組んでいただきたいと思います。

 

 次に、「航空路線の維持」についてであります。

 リーマンショックに端を発する世界同時不況や、燃油の高騰、あるいは、昨年度の新型インフルエンザ流行などの要因により、航空需要は国内線、国際線ともに落ち込んでおり、国内航空会社の経営状況は非常に厳しいものがあります。

 日本航空では、平成20年度決算において631億円の純損失を計上し、昨年1月、会社更生法の適用を申請し、現在、経営再建を進めているところです。

 また、全日空においても21年度決算において573億円の純損失を計上したため、新経営計画を策定し、経営改善を進めております。

 こうしたことを背景に、路線の廃止や運休、機材の小型化や減便が進められ、島根県内3空港においても、その影響が出ているところであります。

 

 出雲縁結び空港では、東京線で機材の小型化、大阪線でナイトステイの休止及び減便となったほか、季節便である札幌線は運休という方針が示されました。

 出雲縁結び空港の利用者数は回復傾向にありますが、機材の小型化や減便による利用者への影響は避けられないものであり、昨年10月31日から減便となった大阪線では、利用者数が大幅減少に転じています。今後、東京線も含め、利便性の確保に向けて取り組んでいく必要があります。

 また、一方で、昨年7月に出雲縁結び空港という愛称がつけられました。これを機に、これまで以上に県、地元、関係団体等が連携し、利用促進を図り、観光振興や地域づくりに貢献していただきたいと思います。

 

 萩・石見空港につきましては、大阪線の運休や東京線のダイヤ改正がありました。

 大阪線につきましては、昨年5月に、本年1月5日からの運休が発表され、以降、運航再開を目指し、県や利用拡大促進協議会などが一体的になって、搭乗率80%を目標に様々な利用促進対策が展開され、一定の成果が得られたところです。その結果、平成23年上期での定期運行再開は見送られたものの、今年7月15日から8月31日まで夏季期間運航便として運航されることとなりました。

 今後は、夏季期間運航便の取り組みをすすめるとともに、併せまして東京線維持と2便化のため、搭乗率向上も大きな課題であると認識しています。当委員会でも厳しい意見がありましたように、単に運賃助成をするということだけでなく、新たな需要の開発など、中・長期的展望の下で、きちんと戦略を立てて対応していただきたいと思います。

 

 隠岐空港につきましては、出雲縁結び空港線が、一昨年の12月から、朝早い便から昼間の便にダイヤ改正されたこともあり、若干利用者数が減っているところです。一方で、大阪線につきましては、7月、8月のジェット便が、今年度は搭乗率79.9%とほぼ目標どおりであり、それ以外の期間の大阪線についても、関東圏からの伊丹空港経由での利用者が多くあり、引き続き好調に推移しているところです。いずれにしても、引き続き利用促進に取り組んでいく必要があります。

 

 昨年1月には、石川県の能登空港における利用促進の取り組みの調査を実施しました。

 能登空港では、地元と航空会社が共同し、利用促進を図る制度を導入しています。具体的には、搭乗率保証制度として、定めた目標搭乗率に対し、一定程度下回った場合は地元が航空会社に保証金を支払い、一定程度上回った場合には、航空会社が地元に販売促進協力金を支払うものです。

 そのほかには、地元住民の利用促進だけではなく、地域外から呼び込むための取り組みにも力を注いでいます。例えば、空港からの二次交通の不足を補うために乗り合いタクシーを運行したり、観光客への様々な情報提供、また、羽田空港を経由した乗り継ぎ運賃を多く設定し、全国各地から能登空港へ移動しやすくするなどの取り組みを行っています。

 その地域ごとの課題や特性などにより、取り組むべき内容というのは異なりますが、参考にすべき取り組みであると思います。

 

 最後になりますが、高速道路の整備、地方空港の維持につきましては、国家論の中で、これらをどう位置づけていくのかということと同時に、島根県の県土論の中で、今後、これらをどのように生かしていくのかということを、より具体的にしていく必要があると考えます。

 すなわち、日本という国の中での、高速道路の整備、地方空港の維持の必要性と、島根県おけるこれらの活用性を国に訴えると同時に、それをしっかりと県民に示していくことが大切であります。

 高速交通網整備促進にあたっては、国家としての使命と、それらの島根県における重要性を明らかにし、その実現に向けて、国、自治体、地元などが連携して取り組むことが重要であることを、強く訴えていく必要があると思います。以上で、高速交通網整備促進調査特別委員長報告といたします。

 

 



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