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決算特別委員長報告

 

決算特別委員長報平成21年11月定例会(12月15日)

 

 決算特別委員長報告をいたします。

 

本年9月定例会で上程された公営企業会計並びに一般会計及び特別会計に係る平成20年度の決算の認定議案6件につきましては、本年9月、決算特別委員会を設置して以来、決算審査の結果を平成22年度の予算に反映させるべく精力的に審議・調査を行ってきたところであります。

 以下、その経過及び結果について申し上げますが、はじめに、国及び本県の経済、財政等の状況について申し上げます。

 

 11月の内閣府の「月例経済報告」によると、景気は持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあり、デフレなどの景気を下押しするリスクが存在するとの判断を示しています。

 このため、内需を中心とした安定的な経済成長を実現するよう雇用・環境等について重点的な取り組みを行い、景気の下支えを図るとしています。

 このような中、政府は、雇用や環境対策などを盛り込んだ追加経済対策を決定したところです。

 本県経済も、厳しい状況が続いており、一部に下げ止まりの動きもみられますが、住宅建設や雇用情勢、設備投資などの早急な回復は難しく、全体として、しばらくは低調な動きが続くと見込まれています。

 また、地方財政の現状は、大幅な財源不足、借入金の急増等、依然大変厳しい状況にあります。

 本県においては、県財政の危機的な状況を脱するため、平成19年10月に策定された「財政健全化基本方針」に基づき、平成20年度から平成23年度までの4年間を集中改革期間とし、抜本的な改革の取り組みが実施されているところです。

 

 以下、平成20年度における歳入歳出決算について、申し述べます。

 まず、一般会計についてであります。歳入総額5,126億円余、歳出総額5,073億円余。翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は25億円余の黒字でありました。また、11の特別会計を合算した歳入総額1,289億円余、歳出総額1,232億円余、実質収支は56億円余の黒字を計上しております。

 また、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく平成20年度決算に係る健全化判断比率等については、いずれも早期健全化基準等を下回っています。

 なお、財政健全化集中改革期間の初年度である平成20年度末基金残高は、468億円余と当初目標の残高を3億円余上回っています。

 しかし、景気後退に伴う県税の大幅な減収等により、今後も厳しい財政状況が続くことが見込まれることから、新政権の地方財政対策等に対応しながら、引き続き、「財政健全化基本方針」に基づき着実に健全化努力を推進されるよう求めます。

 なお、昨年来の厳しい経済・雇用情勢に対応するため、国の累次にわたる経済対策に呼応した経済対策を積極的に実施されてきたところですが、新政権の公共事業費削減等により、今後、本県経済への影響が懸念されますので、国の対策を注視しつつ、適切な対応を講じられるよう求めます。

 

 次に、病院事業会計の決算についてであります。

 中央病院については、単年度で純損失を4億円余計上し、累積欠損金は131億円余となっております。

 こころの医療センターについては、単年度で純損失が2億円余となり、累積欠損金は22億円余となっております。

 病院事業については、医師や看護師の不足、国の総医療費抑制策による診療報酬の改定等により、病院経営を取り巻く環境は深刻な状況が続く中、経営努力の跡は窺えますが、平成21年3月に策定された「島根県病院事業中期計画2009」の着実な達成等により、県民への質の高い医療の提供と健全経営の推進に努められるよう求めます。

 なお、中央病院については、医療従事者の一定の確保に努められており、特に看護師については、平成21年4月から「7対1」看護配置を導入し、入院患者へのより手厚い看護を実現されましたが、働きやすい職場環境づくりに取り組むことなどにより、引き続き医療従事者の確保に努められるよう求めます。

 こころの医療センターについては、診療報酬の加算が受けられる急性期病棟に係る精神科救急入院料の算定を平成21年4月から開始されたところですが、これは、経営の安定に大きく寄与するので、引き続き関係機関と緊密な連携を図り、精神科救急入院料の維持に向けた取り組みを推進されるよう求めます。

 

次に、電気事業会計、工業用水道事業会計、水道事業会計及び宅地造成事業会計の決算についてであります。

各事業会計の営業実績は、電気事業は純利益6千万円余、工業用水道事業は純損失3千万円余、水道事業は純利益4億9百万円余、宅地造成事業は純損失百万円余を計上しております。

 

企業局の今後の事業運営においては、発電設備の計画的な更新や電力自由化による価格競争への対応、江津高野山風力発電所の円滑な運営確保、斐伊川水道建設事業の供用開始に向けた参画市町との協議等などの課題があり、県の厳しい財政状況が続く中、現在の「経営計画」に基づく事業を着実に実施するとともに、将来を見据えた的確な次期経営計画を策定されるよう求めます。

特に、八戸川工業用水道建設事業のあり方については、一般会計への移管なども含め、課題や問題点を整理し、県との協議を積極的に進められることを求めます。また、斐伊川水道建設事業については、平成23年4月の給水開始に向け、料金の算定に影響を与える水需要見込みなどについて、今後も受水市町と連絡を密にとりあい事業を進められるよう求めます。

 

本委員会におきましては、全体会及び4つの分科会において、平成20年度に係る予算執行が、議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などの諸点に視点を置いて、出納局及び関係各部局長から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取しました。

さらに、監査委員からは、決算審査の意見について説明を聴取するとともに、監査の途上で気づかれた「組織及び運営の合理化に資するための意見」の説明を受けたところであります。この意見に対する改善措置について、執行部におかれては、内容に応じ、できうる限り速やかに実行に移されるよう求めます。

以上のような審査の結果、平成20年度決算については、いずれも賛成多数により認定すべきものと決定いたしました。

なお、「事務費に係る経理処理の実態調査」の結果について、全体会及び各分科会で報告・説明を受け、裏金のプールや私的な流用などの不正な事例は認められなかったものの、経理処理において不適切な事例が明らかにされたところです。今後、このようなことが起こらないよう再発防止策を徹底するよう強く求めます。

また、今後改善すべきものとして指摘した事項は、お手元に配付しております「平成20年度決算における指摘事項」のとおりであります。この事項に配慮し、本委員会の設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成22年度の予算に反映されるよう要請し、決算特別委員長報告といたします。

 

 

【平成20年度決算における指摘事項】

(一般会計及び特別会計決算)

土木部公共事業費について

土木部の公共事業費については、平成19年度に策定された財政健全化基本方針を堅持しつつも、県単独事業費をより有利な国庫補助事業や交付金事業に振りかえたこと及び経済対策などにより事業量の確保が図られた。また、平成16年度から休止されていた石見地方や中山間地域の道路整備事業のうち22箇所が再開されたところである。

しかし、今後、公共事業の見直しなど国の施策が大きく転換される中で公共事業については、地域経済に及ぼす影響を考慮し、引き続き石見・隠岐地方や中山間地域の実態を勘案した予算配分や各地域の特性に配慮した執行に努められたい。

 



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