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高速交通網整備促進調査特別委員長報告

 

高速交通網整備促進調査特別委員長報平成21年2月定例会(3月12日)

 

 高速交通網整備促進調査特別委員会の調査の経過並びに結果について御報告いたします。

 

 本委員会は、平成19年6月定例会において設置され、「高速交通網の整備促進に関する審査及び調査」を付託されました。

 

 以来、2年間にわたり、本県の高速交通網、とりわけ高速道路の早期整備と空港並びに航空路網の整備充実に向けて、執行部から事業の進捗状況や今後の計画、課題等について説明を受けるとともに、各種の調査・要望活動を実施してまいりました。

 この間、道路特定財源にかかる暫定税率の取り扱いを巡る議論、そして道路特定財源の一般財源化など、高速道路の整備を取り巻く状勢が大きく変化した2年間であったと思っております。

 平成19年12月には、今後10年間の道路整備方針が示されましたが、昨年4月の1ヶ月間、道路特定財源の暫定税率が期限切れとなり、また道路整備に関する予算もその執行が遅れるなど、混乱が生じました。

 そして、昨年5月には、道路特定財源は平成21年度から一般財源化すること、道路の中期計画は5年とし、最新の交通需要推計を基礎に新たな整備計画を策定し、平成20年度予算の執行にも厳格に反映することなどが閣議決定されたところです。

 一方、平成21年度の予算案においては、国の直轄事業費が大幅に削減されることになり、本県の高速道路整備に大きな影響が出るのではないかと懸念されるところです。

 本委員会としては、こうした事態を踏まえ、本県の高速道路について整備促進が図られるよう、要望活動、国土交通省の担当者との意見交換を行うとともに、県議会でも道路整備の財源確保に関する意見書を提出していただくなど、精力的に活動を行って来たところです。

 その結果、本県が平成20年度新規着手要望しておりました山陰自動車道の整備促進については、出雲・湖陵間、静間・仁摩間が国土交通省の社会資本整備審議会道路分科会において、新たに了承されたところであります。

 このことは、我々の要望が反映されたものであり、評価をしているところであります。

 

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 

 はじめに、「高速道路網の整備について」であります。

 高速道路ネットワークは、産業の振興による働く場の確保や若者の定住、生活の安定に寄与するものであり、また、災害時の緊急輸送や救急医療、安全保障の面からも欠くことのできない最も根幹的かつ重要な社会資本であります。

 本県においても、山陰自動車道及び中国横断自動車道尾道松江線の整備は、日本海沿岸の都市間を結び、全国各地との連携・交流を活発にするなど、地域の自立的発展と企業の競争力強化のために、必要不可欠な路線であり、本委員会としても最重要課題として取り組んでまいりました。

 

 まず、本県の高速道路の整備状況についてであります。

 山陰自動車道については、県内での西日本高速道路株式会社による施工の最終区間として、斐川・出雲間13.6キロメートルが、平成21年度中の供用開始に向け着実に工事が進捗しております。

 出雲・仁摩間につきましても、出雲市知井宮町から大田市仁摩町までの37キロメートルのうち、平成18年度の多伎・朝山間9キロメートルの事業化に続き、朝山・大田間6.3キロメートルが平成19年度より一般国道9号朝山大田道路として事業着手されたところであります。

 

 また、平成16年度に事業着手された一般国道9号仁摩温泉津道路は、既に区間の43%で工事をしており、同じく浜田三隅道については、52%で工事をしており、それぞれ順調に進捗しております。

 

 益田道路に関しましては、平成18年度末に高津・須子間が開通しましたが、来年度には遠田・久城間が開通し、一部県道を利用することで、益田道路7.8キロメートルが全線利用可能となります。

 

一方、中国横断自動車道尾道松江線については、三刀屋木次インターチェンジから尾道まで、全線が新直轄方式として事業が進められています。

昨年12月には全線供用のポイントとなる県境の大(おお)万木(よろぎ)トンネルの起工式が行われ、平成20年代後半の供用開始に向け、工事も順調に進捗しております。

 

本県の高速道路は、計画延長284キロメートルの内、141キロメートルが供用済みであり、約50パーセントの供用率であります。

このように、整備に向けた動きは進んでおりますが、本県の現在の供用率は、全国平均72%に対し、依然として低い状況が続いております。

 

こうしたことから、執行部におかれては、本県の産業振興、安心安全の確保のため、高速道路の必要性、有効性を改めて訴え、出雲以西の未事業化区間60キロメートルの早期事業着手、事業中区間の事業の進捗等、島根県の高速道路の早期整備に向け、今後とも、効果的な取り組みを続けていただくよう要望いたします。

 

一方、利用促進についてであります。

 

高速道路の料金割引については、ETC装着車を対象に、通勤割引等が行われてきましたが、本年度、割引時間帯の拡大が行われました。

さらに、昨年秋以降の急激で世界的な景気の後退は、我が国にも大きな影響を与えており、国においては様々な景気対策が取られようとしております。

その中で、生活対策として高速道路料金の大幅な割引が実施されることとなりました。

従来よりETCの普及促進に向けた施策が展開されていますが、この割引の拡大の影響もあり、ETCを装着した車の台数がこのところ急増しております。

また、今年度、4月から1月末までの県内有料区間の利用状況は、松江玉造・宍道間が対前年比4%の増加、浜田道が5%の増加となっています。これは、観光施設である石見銀山遺跡やアクアス、遷宮で賑わった出雲大社などへの観光客の増加や島根あさひ社会復帰促進センターの建設工事の影響によるものと思われます。

県内高速道路の利用率の向上が、今後の高速道路の整備促進にも繋がるものと期待するところです。

 

次に、「空港の整備について」であります。

出雲空港については、これまで定期便や小型機等が1本の誘導路を通行していたことから、年間多数の遅延便が発生しておりましたが、平成19年8月に2本目の誘導路が完成し、航空機の定時性が確保されたところです。

 

次に、「航空路網の充実について」であります。

 

現在、国内航空業界は、景気後退による航空需要の減少や燃料価格の高騰、さらには規制緩和による運賃競争にさらされており、その経営環境は、極めて厳しい状況にあります。

こうしたことから、各航空会社は、最近、収益性の低い地方航空路線を減便・廃止する動きを強めており、地方空港の路線維持は予断を許さない状況となっております。

本委員会としては、新幹線や高速道路など高速交通網の整備が立ち遅れている本県においては、大都市圏と短時間で往来できる航空路網の充実は極めて重要な課題と認識しているところです。

各空港の利用状況や課題等について、執行部から詳細な説明を受けたところ、まず出雲空港につきましては、東京便の6便化と福岡便の3便化、また萩・石見空港においては東京便の複便化、さらに隠岐空港においては夏季におけるジェット便の継続運航が大きな課題となっております。

このため本委員会は、各空港における利便性向上や課題解決のための調査を行いました。中でも、福岡便の3便化について、昨年1月に、福岡空港施設の現況調査を行うとともに航空会社から今後の見通し等についての意見聴取も行ったところです。

その結果、航空会社から条件等が整えば増便運航するとの前向きな回答が得られたところです。また、隠岐の夏季ジェット便についても、航空会社から、発着枠等の条件が整えば、平成21年度も継続運航する予定であるとの回答をいただいております。

一方、平成22年10月には、羽田空港に4本目の滑走路が完成し、その後順次、国内線の発着枠の増枠配分が行われる予定と聴いており、執行部におかれましては、この絶好の機会を逃されることのないよう、東京路線の増便に向け取り組みの強化を要望します。

また、各空港の利用促進についても、極めて重要であり、関係団体等と十分に連携し、3空港の更なる利活用が図られるよう、引き続きその取り組みをお願いいたします。

 

最後になりますが、高速道路をはじめとする高速交通網は、島根県の発展に必要不可欠な社会資本であり、執行部におかれましては、非常に厳しい財政状況ではありますが、官民一体となって、その整備や利用の促進を引き続き強力に取り組んでいかれるようお願いして、委員長報告といたします。

 



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