• 背景色 
  • 文字サイズ 

文教厚生委員長報告

 

文教厚生委員長報平成20年9月定例会

 

 文教厚生委員長報告をいたします。

 今定例会で文教厚生委員会に付託されました議案の審査結果等について、報告いたします。本委員会に付託されました議案は、予算案3件、条例案1件、及び一般事件案3件であります。

 

 これら議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 予算案及び一般事件案に相互に関連する「川本・島根中央高等学校PTA会費等の不正支出」に関する議案の審査について申し上げます。

 

 執行部から、同校PTA会費等不正支出対策委員会は、不正支出に係る未返済額1570万円余のうち210万円余を直接、前事務長に請求し、県には1360万円余の損害賠償を請求された。県は使用者責任のある立場から、前事務長に代わり損害賠償を行うこととし、元校長2名が支払う200万円を控除した1160万円余を対策委員会に支払うもので、補正予算に計上している。また、前事務長に対し損害賠償額の返済を求める支払督促を裁判所に申し立てる。との説明がありました。

 

 委員からは、損害賠償の法的根拠の説明を求められ、また、対策委員会はなぜ、前事務長に210万円余を直接請求するのか、との質問がありました。

 これに対し執行部からは、被害者救済の観点から民法第715条に定める使用者責任を負う県が損害賠償を行い、前事務長に対しては求償権を行使する。また、対策委員会は自らの責任も考慮し、所有する会計のうち直ちに事業に要しない会計の損害について、前事務長に直接請求する対応とされた。との回答がありました。

 さらに委員から、こうした事案については「厳罰をもって処す」という教育委員会の強い姿勢を示す必要がある。また、団体会計を委任する、あるいは委任を受ける立場で、それぞれの責任分担の明確化が必要である。との意見がありました。

 

 次に、請願の審査について申し上げます。

 新規に付託されました請願8件及び継続審査中の8件について、慎重に審査いたしました結果を申し上げます。

 

 新規の請願第24号は、「後期高齢者医療制度の廃止を国に働きかけるよう求める」ものであります。

 この制度に反対する声が大きくなっており、今こそ廃止を求め採択する好機であるとの意見に対し、国では大幅な見直しに向けて動き出そうとしている状況であり、これを注視する必要がある。また、昨年提出された、この制度の見直しを求める請願は継続審査中でもあり、この制度を直ちに廃止ということには成り得ない、との意見がありました。

 このような議論の後、本請願については、挙手採決の結果、「不採択」とすべきことを賛成多数で決定いたしました。

 

 同じく、新規の請願第25号は、「原油や食料の高騰に伴う実質所得低下を緩和するための対策を国に要請するよう求める」ものであります。

 国の緊急総合対策の特別減税や臨時福祉特別給付金の検討状況、また今後の物価動向を注視する必要があると考えられ、本請願は「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

 

 同じく、新規の請願第26号、第27号の2件は、「国の社会保障予算の2200億円削減方針の撤回を求める意見書採択を求める」ものであります。

 6月に閣議決定された「骨太の方針2008」において、「歳出削減の取り組みを行うが、なお対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わない」とされており、国における社会保障制度の検討状況を見守ることとし、この2件の請願は「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

 

 同じく、新規の請願第29号は、安心して出産できる医療体制の整備など3項目にわたり、「周産期医療の充実を求める」ものであります。

 国においては地域医療の確保対策などの検討が行われており、いずれの項目もその動向を注視していくことが必要であり、本請願は「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

 

 同じく、新規の請願第30号は、「ひとり親家庭への子育て支援策の充実を国に要望することを求める」ものであります。

 請願項目1の児童扶養手当の削減の見直しについては、関係政省令に定める一部支給停止の適用除外規定により、県内対象者の大多数が従来どおりの額を支給されていることから、項目1は「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

 請願項目2の生活保護の母子加算廃止の見直しについては、平成17年度から段階的に減額され本年度をもって廃止されることとなっております。また、母子世帯の自立促進のため就労する母子世帯に支給される「ひとり親世帯就労促進費」が、平成19年度から新たに創設されております。制度の整理はなされていると考えられますので、項目2は「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

 請願項目3の父子世帯向けの手当の創設については、国の今後の動きを見守りたいとの考えから、項目3は「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

 

 同じく、新規の請願第31号は、県内児童生徒に対し、「ゆきとどいた教育が行われることを求める」6項目にわたるもので、教育の諸条件整備を求める内容であります。

 請願のいずれの項目も今後の研究、検討事項として「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

 

 また、新規の請願第32号は、「性別適合手術を望まない性同一性障害者が国民健康保険証などに表記される性別の変更を希望した場合に、自治体の自主的な判断を認める扱いとするよう国への意見書提出を求める」ものであります。

 国民健康保険証などの性別表記について、各自治体の自主的な判断に委ねることとなると、混乱を招くことも生じかねないことから、必ずしも適当でないと思われます。一方、この課題解決のためには、国において性同一性障害者の人権に配慮した基準が示されることが肝要と考えられます。

 したがって、本請願は「趣旨採択」とし、今後の審判制度の見直しにおいては、手術を行っていない性同一性障害者を含むすべての性同一性障害者が普通の日常生活や社会活動が可能となるという視点に立った検討を行うことを求める内容の意見書を国へ提出する取り扱いにすべきものと決定いたしました。

 この審査結果を受け、全員一致で承認された意見書案につきまして、後ほど小沢委員が提案理由を説明いたしますので、御賛同いただきますようお願いいたします。

 

 次に、継続審査中の請願について申し上げます。

 継続審査中の請願第11号は、「養護学校高等部の分教室を大田市に設置するよう求める」ものであります。

 出雲養護学校高等部の分教室を邇摩高等学校に設置する補正予算案が今定例会に提出され、来年4月の開設が予定されていることから、本請願は「採択」とすべきものと決定いたしました。

 

 なお、その他継続審査中の請願については、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 以上、文教厚生委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。

 

 

 



お問い合わせ先

島根県議会

住所 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
TEL 0852-22-5356
FAX 0852-22-5273
メール  kengikai@pref.shimane.lg.jp