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総務委員長報告

 

総務委員長報平成19年11月定例会

総務委員長報告をいたします。
今定例会12月5日の本会議で総務委員会に付託された議案の審査結果等について報告いたします。

本委員会に付託された議案は、補正予算案1件、条例案8件、一般事件案1件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項等のうち主なものについて報告いたします。
第140号議案「知事等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」等、給与の減額等を行うための3件の条例案についてであります。
本議案は、財政健全化へ向けた取組として、知事等の給与や一般職の給与について減額期間を4年間延長し、また、執行機関である委員会の委員等の報酬を4年間減額しようとするものであります。
委員から、これら条例案の提案に至る経過は尊重し理解するものであるが、4年という期間を設けていることについて違和感を覚える。県民に対して分かりやすいという観点からは、一年一年財政状況等を検証しながら、その都度条例案を検討していくべきであると思うが、執行部の考えを確認しておきたいとの質問がありました。
これに対し執行部から、財政健全化基本方針において集中的に取り組む期間として4年間を定めている。現時点では、厳しい取組を行ったとしても、収支均衡状態に達するまでには概ね10年もかかるような状況にある。財政状況が好転することがあるとしても、この4年の間は、給与の減額を回復するような状況には至らないのではないか、などの回答がありました。

次に、請願の審査結果について報告いたします。
このたび新規に提出された請願1件及び継続審査中の請願1件について、審査いたしました。
その結果を申し上げます。
新規の請願第14号「子どもの権利条約の趣旨にそい、私学助成制度の堅持と私学助成費の増額などを求める請願」についてであります。
5つの請願項目のうち、「授業料直接補助」を求めた項目1については、経済的困窮者を対象とした授業料減免事業に対し補助が行われており直接補助はなじまないこと、「私立学校への運営補助金の大幅増額」を求めた項目2については、本県の財政状況からみて困難であること、「就学保障の観点から私学助成費の配分見直し」を求めた項目4については、私学助成は保護者の学資負担の軽減や教育環境・教育水準の維持向上等を目的として交付されているものであること、以上のことから、これら3つの項目については「不採択」とすべきとの審査結果でありました。
その他の項目及び継続審査中の、私学助成の拡充を求める請願1件については、厳しい財政状況を踏まえ慎重に検討を行う必要があることから、引き続き「継続審査」とすべきものと決定いたしました。

次に、報告事項など所管事項調査に関連したものについて申し上げます。
総務部所管事項についてであります。
島根県人材育成基本方針について、執行部から人材育成の目的、具体的な施策等の概要の報告がありました。
委員から、現在の「島根県職員研修長期構想」との違いや策定スケジュール、数値目標などの施策の具体化について質問があり、執行部からは、「島根県職員研修長期構想」は研修制度に特化したものであるが、基本方針は職場の人材育成、人事異動、人事評価制度等を含めて長期的・総合的な視点から県職員の人材育成を図ろうとするものである、委員会へ報告した内容で基本方針の成案としたい、基本方針には目指す方向性を示すこととし、個々の分野の具体的施策については必要に応じ別途定めて対応したいとの回答がありました。

続いて、「組織のフラット化グループ化」についてであります。
今定例会の決算特別委員会第1分科会において、フラット化グループ化について協議検討が行われ、総務委員会又は地方分権・行政改革調査特別委員会で調査を進めることが適当であるとの検討結果が、決算特別委員会で報告されました。
これを受けて本委員会では、所管事項調査として、執行部からフラット化グループ化の導入目的や現時点における評価・問題点、今後の対応について説明を求め質疑を行いましたが、組織については他の常任委員会にも関係する事柄であること、過去に特別委員会において、「新行政システム推進計画」の中で組織について検討してきた経緯があること等から、この問題に関しては、地方分権・行政改革調査特別委員会において意見をとりまとめることが適当であるとの本委員会の協議結果でありました。
 

最後に、本委員会の調査テーマ「ポスト過疎法の制定に向けて」に関する調査結果について報告をいたします。
過疎地域は豊かな自然や景観、歴史的に育まれてきた文化を有するとともに、安全安心で新鮮な食料の供給、水源の涵養、国土・自然環境の保全など多様な機能を持ち、将来にわたり健全な姿で引き継いでいくべき国民共通の財産であります。
しかしながら、高度経済成長期以降続いた急激な人口減少により、過疎地域では地域の活力が失われるとともに、地域社会の機能低下が見られ、都市との地域格差が国土政策上の大きな課題となりました。
そこで、国においては、昭和45年に「過疎地域対策緊急措置法」を制定されて以来、3次にわたる法律の制定を伴いながら、今日にいたるまで、地域格差の是正と人口の過度の減少を防止するため、過疎対策が実施されてまいりました。
過疎地域においては、この制度を活用し、道路、下水、公共施設など遅れてきた社会資本の整備が行われるなど、過疎対策は、定住のための条件整備に大きな役割を果たしてきたところであります。
また、本県では平成11年に議員提案により制定した「中山間地域活性化基本条例」に基づき、集落の維持活性化対策など中山間地域の活性化に向けた取組を過疎対策と一体となって進め、一定の効果を上げてきたところであります。
しかし、近年過疎地域では、医療の確保、地域交通の確保、集落の維持など新たな地域課題の発生により、地域の維持すらも困難になるような様々な事態の発生が見られるところであり、これらの今日的課題に対応するため、過疎対策はこれまで以上に重要な施策となっております。
本委員会は、現行の「過疎地域自立促進特別措置法」が平成22年3月末をもって失効することから、所管事項調査として「ポスト過疎法の制定に向けて」をテーマに設定し、本年8月には、全国過疎地域自立促進連盟や同連盟の会長県である長野県の取組状況等を実地に調査し、また、去る9月定例会においては本委員会に知事の出席説明を求めて本県の取組状況等について質疑・意見交換を行うなど、集中的にその調査を進めてまいりました。
これらの調査を踏まえ、本委員会としての意見を以下のとおりとりまとめたので、ポスト過疎法の制定に向けた取組に反映されるよう要望するものであります。

ポスト過疎法制定に向けた取組体制の整備について
これまで、4次にわたる過疎対策が行われてきたが、都市部にはこれ以上の過疎対策は不要との声もある。このため、次の法律制定には、過疎地域振興の主体となる市町村の積極的な取組を誘導するとともに、県内外の関係機関を巻き込み、大きな運動を興しながら取り組む必要がある。
そこで、市町村を始め他県や関連団体と連携した推進体制を本県がリーダーシップをとって構築し、ポスト過疎法制定に向けて取組を行われたい。
過疎地域振興のためにポスト過疎法に盛り込むべき事項について
次期過疎対策においては、これまで取り組まれてきた定住促進のための社会資本の整備に加え、次の事項について盛り込む必要がある。
(1)産業振興対策について
過疎地域の振興のためには、過疎地域で所得を得るための手段を整える必要がある。そのために、地方自治体が進める、企業誘致、地域資源活用型産業の育成、農林水産業の振興、建設産業の業種転換、産業振興に必要な道路整備などの取組に対しての支援を過疎対策の中で位置づける必要がある。
(2)地域での生活を支える施策について
過疎地域の生活を支える基本的な要素である、医師確保対策や医療機関の連携など医療の提供体制の確保、住民の相互扶助による過疎地有償輸送やディマンドバスなど生活交通の維持に係る取組に対する支援とともに、離島航路の維持対策についても位置づける必要がある。
(3)集落維持・活性化対策について
限界集落が増加する過疎地域において、集落の維持・活性化のために必要な地域社会機能維持に係る集落営農組織の育成、文化や伝統行事などの継承、耕作放棄地の解消、新たな地域コミュニティの形成などへの取組に対する支援について位置づける必要がある。
(4)情報基盤の整備対策について
定住や産業振興を支える基盤である情報基盤の整備を進めるために、地上波デジタルへの切替に係るTVの難視聴対策、携帯電話の不感地域対策、高速インターネットやIP電話が活用できる光ファイバー網の整備などに対する支援について位置づける必要がある。
(5)国土保全・環境の整備対策について
水源涵養や二酸化炭素吸収など公益的機能の高い森林の適切な維持・保全に係る取組に対する支援について位置づける必要がある。
過疎地域振興のために必要な手法について
(1)過疎対策におけるソフト対策の位置づけについて
上記のような取組を行うためには、これまでの過疎対策で行われてきたハード整備に加えて、地方自治体等が行うソフト施策に対する支援が必要となる。
そこで、過疎対策基金を造成するなど適切な財源措置を検討する必要がある。
(2)関連する法律の改正について
過疎地有償輸送を行うための道路運送法の改正、耕作放棄地対策に取り組む上での農地法の改正など関連する法律等の見直しを併せて行う必要がある。

以上が、本委員会調査テーマ「ポスト過疎法の制定に向けて」に関する調査結果の報告であります。

以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。

 



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