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地方分権・行政改革調査特別委員会委員長報告

 

 平成19年2月定例会
はじめに
地方分権・行政改革調査特別委員会の調査結果について御報告いたします。
地方分権・行政改革については、平成17年3月に前の「地方分権・行政改革調査特別委員会」から調査結果が出されておりますが、本委員会は、平成17年5月の臨時会において、市町村との新たな関係の構築や県組織のあり方など議会が関与すべき課題がまだ残されており、議会においても引き続きこれらの課題解決に取り組むべきであるという認識のもとに設置され、以降8回にわたり調査を行ってきました。
本委員会設置後の地方分権・行政改革をめぐる動きを振り返ってみますと、国においては、道州制のあり方を含む第28次地方制度調査会の答申や「地方分権改革推進法」の成立があり、県においては、公の施設への指定管理者制度の本格導入、市町村合併の一段落、また、定員の管理や給与の適正化、民間委託の推進などについて具体的目標を明示した「県行政に関する集中改革プラン」の策定、さらには市町村への権限移譲の推進体制の強化を図るために市町村課内への権限移譲推進室の設置がありました。
本委員会は、これらの動きに関して適宜執行部から報告を求め調査してまいりましたが、以下、その調査結果及び調査の際委員から出された意見等を踏まえた本委員会の要望について御報告いたします。
地方分権
まず、地方分権についてであります。
本委員会の基本認識といたしましては、地方分権の究極の目的は、住民がゆとりと豊かさを実感できる、個性と活力に満ちた地域を創造することであり、その基盤となりうるのは真の分権型社会しかあり得ず、それを実現するためには、まず、国、県、市町村の役割分担を明確にするところから始めなければならないということであります。
この基本認識に立って、本委員会の主要な調査項目であります道州制及び市町村への権限移譲につきまして以下御報告いたします。
(1)道州制関係では、第28次地方制度調査会の「道州制のあり方に関する答申」について、また、本県の基本的考え方についても報告を受けました。
この答申では、道州制の導入が適当であるとし、全国を9ないし13の道州とする複数の区域例を示し、今後、国民的な議論が幅広く行われることを期待しております。
本県の基本的考え方は、平成15年12月に「今後の地方自治制度のあり方に関する論点整理等」に示されておりますが、県としては今年1月に全国知事会がとりまとめた「道州制に関する基本的考え方」を踏まえて、さらに政府における議論も注視しながら、今後、議論を深めていくものとするということでありました。
執行部からの報告を踏まえ、本委員会は、道州制について議論を行ってきましたが、今後、道州制導入について本格的な議論がなされることが予想されますので、県民の認識、議論に資するよう十分な情報を提供されるよう要望します。
(2)次に市町村への権限移譲関係についてでありますが、権限移譲計画の平成18年度に入ってからの見直しの検討状況、権限移譲計画の素案などについて報告を受けました。
本県においては、平成15年に「市町村への権限移譲計画」が作成されておりますが、その後の地方分権の進展や市町村合併により早急に見直す必要が生じ、今年度中に改訂され、平成19年度から市町村と協議を進め、平成20年度以降可能なところから実施していくというスケジュールになっております。
市町村合併が当面、一段落し、今後、合併後の地域で新たなまちづくりが進められていますが、市町村が住民に最も身近な総合的行政主体としてそれぞれの体制・能力をさらに充実強化することが必要であると考えられ、その一環としても積極的な権限移譲が必要であると考えます。
そして、権限移譲を進めるに当たっては、本委員会の地方分権に関する基本認識として述べましたように、まず、国、県、市町村の役割分担を明確にすることが必要ですので、新しい権限移譲計画は、この視点に立って作っていただくことを要望します。そして、実際に権限移譲を進めるに際して、市町村はその規模・体制等で千差万別であり、大きな格差が実態上存在していることを考慮しつつ、市町村と十分協議し押しつけにならないように市町村の意向を踏まえて権限移譲を進めていただくことを要望します。
 

行政改革
次に行政改革についてであります。
本委員会では、平成18年2月に策定された行政改革の基本計画ともいうべき「県行政に関する集中改革プラン」の報告を受けました。
このプランには、総人件費の抑制、地方機関等県立機関の見直し、民間委託等の推進、外郭団体の見直しなどについて改革の実施状況と平成17年度から平成21年度までの5年間の取組目標が示されております。執行部におかれては、今後ともこのプランを着実に実施され効率的な行政運営が図られるよう要望します。
以下、このプランに示されている主な事項に関して個々に御報告します。
(1)まず、地方機関等県立機関の見直しについてであります。
市町村合併による市町村の規模、能力の拡大に伴い、県に求められる役割、機能の変化への対応や簡素で効率的な執行体制を図る観点から、6ヶ所の総務事務所を東部、西部2ヶ所の県民センターに再編するなどの大規模な地方機関見直しが進められています。
こうした見直しの実施に当たっては、住民に対する行政サービスへの影響についても配慮が必要と考えられることから、十分な検証をしていただくよう要望します。
(2)次に公の施設への指定管理者制度の導入についてでありますが、他県に先駆けて平成17年度から一斉に本格導入された同制度に基づく施設の運営実績について報告を受けました。それによりますと、集客施設においては、集客数が増加に転じたものや減少率が低下したものが多く、貸出施設においては、利用率は増加又は横ばいとなっており、一定の導入効果が窺えます。また、サービス提供体制、イベント等ソフト面、施設設備面においても各指定管理者において様々な工夫がなされています。
新たに導入された制度であることを踏まえ、導入効果をより高めるためにも、執行部におかれては、運営状況に併せて導入後の課題についても把握し、適宜制度の改善に努められるよう要望します。
(3)次に外郭団体の見直しについてですが、「島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例」に基づき、平成16年度、平成17年度決算における経営評価について報告を受けました。
経営評価の取り組みも3年目を迎え、事業実績・財務状況等の経年比較が可能となり、各団体の運営状況の傾向などについて検証が容易となってきております。今後ともこの取り組みを踏まえて、各団体が自ら業務改善やあり方の検討に取り組んでいただくとともに、執行部におかれても多額の借入金を抱えている団体、基金を取り崩して運営している団体などに対する適切な指導をはじめ、団体の自立を図る観点などから団体のあり方等についても引き続き検討していただくよう要望します。
(4)次に総人件費の抑制についてであります。
1)まず、定員管理についてですが、総人件費の抑制につながる1000人の定員削減計画の取組実績について報告を受けました。この計画は、平成15年4月から平成24年4月までの10年間で、一般行政部門の職員を中心として、その約20%に相当する1000人を削減しようとするものであります。平成17年度の実績は、計画の91人を上回る117人の削減となっており、目標の早期達成に向け徹底して取り組まれているものと評価する次第であります。
なお、この計画の着実な推進はもとよりでありますが、執行部におかれては、新たな行政課題への対応や行政サービスに及ぼす影響などについても留意していただくよう要望します。
2)次に職員給与費の見直しについてですが、総人件費の抑制につながる給料表水準の引き下げを含む給与構造の抜本的な見直しなどの報告を受けました。
この見直しは、民間給与における地域間格差の拡大を踏まえて、給料表の水準を平均4.8%引き下げるとともに、勤務成績が昇給により反映されやすいしくみとするなど、職員の職務・職責や勤務実績に応じた給与制度にしようとするものであります。
職員の勤務実績を給与に的確に反映させるためには実効性のある人事評価制度の構築が不可欠であります。本県における人事評価制度導入の取り組みは、管理職を除く職員については、現在、試行段階にありますが、公平性、透明性等を確保するとともに、職員の士気向上にもつながるような実効性のある人事評価制度を、職員の理解と協力の下に早期に確立していただくよう要望します。
3)次に時間外勤務の縮減対策についてであります。これまで、業務体制の大幅な見直しや事務事業の整理・合理化、事務処理の改善等により勤務の時間数を最小限にとどめるよう取り組まれ、成果が上がってきているところであります。
その一方で、時間外勤務命令が適切に行われないことにより、いわゆる「サービス残業」が生ずるといったことがないよう留意する必要があります。そのため、平素から業務の的確な把握に努め、引き続き円滑で効率的な執行管理などを図られるよう要望します。
おわりに
以上、本委員会の調査テーマに関する調査結果及び要望について申し上げましたが、終わりに今後の地方分権・行政改革に関して本委員会の考えを申し上げます。
本県の厳しい財政状況をみますと、今後も改革の手をゆるめることは許されず、「県行政に関する集中改革プラン」の取り組みを強力に進めるなど不断の改革努力が必要であると考えます。
また、地方分権改革推進法の成立により、第2期地方分権改革が今後進められ、さらには道州制導入の議論も本格化していくものと思われますが、道州制導入は、国の行財政改革のためではなく、あくまでも分権型の社会を作るためのものでなければならないと考えます。執行部におかれては、引き続き県民の福祉の向上のため県民の視点に立って地方分権・行政改革を進めていただくよう要望し、本委員会の最終報告といたします。

 



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