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総務委員長報告平成18年6月定例会


総務委員長報告をいたします。
総務委員会に付託されました議案の審査結果等について御報告いたします。

今定例会において本委員会に付託されました議案は、「議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例」など条例案6件、一般事件案4件であります。

これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

次に、請願の審査結果について御報告いたします。

このたび新規に提出された請願2件及び継続審査中の請願6件について、慎重に審査いたしました。

その結果を申し上げます。

まず、新規の請願第74号は、出雲市平田地域で計画されている風力発電事業に関し、エネルギーの安定供給やCO2削減等の地球環境問題への対応に資するものであり、同時に地域振興の観点からも有益である。このことから、早期の事業推進について採択するよう求めるものであります。

本請願については、請願者と事業者、地元出雲市の3者に参考人として出席を求め、詳細な説明や意見を聞いたところであります。委員から、風力発電施設の建設及び作業道路の整備に伴う洪水調整や土砂流出防止上の対策、また、風力発電事業を実施することにより期待できる地域振興の面での効果などについての質問が行われ、これに対しては、万全の防災対策を講ずるよう適切な指導を行うこと、期待できる効果として、CO2の削減はもとより作業道の整備による森林保全等への貢献、観光振興の側面等について、地元出雲市などの意見が述べられました。
これら質疑応答の後、本請願に係る事業について、関係する法令等を遵守した上で早期に事業推進することは、エネルギーの安定供給や地球温暖化防止に役立つものであること。更に、地域振興に貢献するものであること、が認められることから、全会一致で「採択」とすべきとの審査結果でありました。

また、同じく新規の請願第78号は、地域住民が安心して暮らすのに欠かせない事業の確保や公共サービスの持つセーフティネット機能が担保されるよう、地方交付税制度の財源保障と財源調整機能を堅持し、自治体の安定的財政運営に必要な一般財源の総額を確保すること。地方交付税の見直しに当たっては、人口と面積だけといった極端な算定基準では不適切であり、離島や中山間地域などを有する団体の実態も踏まえて行政需要を的確に把握すること。の2点について、国へ強く働きかけることを求めるものであります。
本請願については、本県の要望内容とも合致することから、全会一致で「採択」するとともに、国に提出する意見書(案)を取りまとめることといたしました。

なお、継続審査中の6件の請願については、私学への助成や振興を願意とするものでありますが、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

以上が、本委員会が付託を受けた議案等に係る審査の概要であります。

続いて、先ほど申し述べました意見書のほかに本委員会として、郵政民営化に向けた、このたびの郵政公社の集配郵便局再編計画を受け、サービスの低下が懸念されることから、これまで郵便局が果たしてきた公共的・社会的役割の重要性を十分認識し、既存の住民サービスの提供を確保するよう、郵政公社に提出する意見書(案)を取りまとめることといたしました。

最後に、島根原子力発電所2号機における「ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用に係る事前了解願い」に関する、本委員会の調査結果について報告をいたします。

本委員会は、「島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定」に基づいて、昨年9月、中国電力株式会杜から島根県に提出された島根原子力発電所2号機における「ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用に係る事前了解願い」、通称プルサーマル計画の事前了解願いについて、委員会の所管事務の調査として、昨年12月定例会から今定例会まで、精力的に参考人の意見聴取や現地視察等を行ってまいりました。
委員会の調査は、まず、事業者である中国電力株式会社の担当者を参考人として招致し、事前了解願いの申し入れ内容や混合酸化物燃料(MOX燃料)の使用計画等について事情聴取を行いました。さらに、四国電力の伊方原子力発電所及びその立地自治体である伊方町、また愛媛県を訪問し、先行事例の調査を行うとともに、MOX燃料使用予定の2号機を中心に島根原子力発電所を現地視察したところであります。また専門家の意見聴取として、資源エネルギー庁並びに原子力安全・保安院の各担当者から国のエネルギー政策や原子力政策またプルサーマルの安全規制等について意見の聴取を行いました。また、使用済ウラン燃料再処理のアクティブ試験が始まったばかりの青森県六ヶ所村日本原燃株式会社と、茨城県東海村日本原子力研究開発機構を視察し、核燃料サイクルとその現状、MOX燃料の製造やその使用実績、使用済MOX燃料の再処理実績等について調査を行いました。そして、先般は、再び中国電力株式会社の担当者から原子力発電安全運転のための取り組みについて集中して調査を行ったのち、「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」の正副会長お二人から、知事に提出された「報告書」について事情を聴取したところであります。以上が、本委員会における主な調査の経過とその内容であります。

 

次に、委員会の調査にあたつては、核燃料サイクルやプルサーマル計画について、その必要性や経済性そして安全性の三つの観点から調査を行い、特に安全性に重点をおいて、調査を行ってきたところであります。以下調査の結果の概要を申し述べます。

先ず、必要性については、使用済みのウラン燃料から回収したウランやプルトニウムを再利用するプルサーマルは、今後世界的にエネルギー需給の逼迫が予想される中、エネルギー自給率が極めて低いわが国において、エネルギー資源の有効活用と安定供給に寄与すること、また発電に伴う二酸化炭素の排出量の抑制につながり温暖化対策に寄与すること、さらに、「利用目的のない余剰なプルトニウムを持たない」というわが国の公約を果たしていくことの三つの側面から有効であることを確認しました。

次に、経済性については、MOX燃料によるコストの増嵩分は事業者の経営努力で吸収できるレベルであることを確認したところであります。

また、安全性については、現在のウラン燃料との相違点と事業者の安全管理体制の両面から調査にあたってきたところであります。
その結果、現在のウラン燃料を用いた発電でも約30%はプルトニウムの核分裂によるものであること、また使用実績においては、豊富な海外はもとより国内においても試験の実績があり、それらが有効なデータとして蓄積されていること、またMOX燃料の健全性については、プルトニウムの特性を考慮して燃料が製造されればウラン燃料と同等の健全性を持つことができること、MOX燃料の装荷率を炉心の3分の1以下に押さえれば、原子炉の制御性もウラン燃料の場合と変わらないこと、などが理解できたところであります。安全運転のための組織、体制、教育・訓練、品質保証等につきましては、事業者たる中国電力では、トップマネジメントによる品質保証の体制がしっかり採られており、また中央制御室を模擬したシミュレータ設備による技術訓練や、あるいはトラブルを実際に模擬体験する「異常徴侯体感装置」によって異常を感知できる能力を養う訓練など、職員の資質向上を図る体制の充実に努められているところであります。以上が調査の結果の概要であります。

なお、本委員会の調査期間中に、例え「トラブルの評価尺度以下」の水準とは言え、三度にわたる不具合事象が発生したことは遺憾であり、原子力発電については、県民の厳しい求めに対して、設備・機器等の徹底した品質の確保はもとより、ヒューマンファクターによるトラブルを回避するため、発電に従事する者の高い「士気と倫理」の確立のもとに、安全を最優先にした管理運営が行われる必要があると認識しているところであります。

今議会の冒頭において、知事におかれては、「中国電力からの事前了解願いについては、基本的に了解する。なお、最終的な回答は、国の安全審査まで留保し、安全審査結果を確認した上で最終的な事前了解を行う。」との対応方針を示されたところであります。これに対して、本委員会としては、これまで述べてきた調査の結果に基づいて、この度の知事判断は適切・妥当なものであると理解したところであります。

なお、最終的なプルサーマル計画の事前了解にあたっては、以下の諸点について国及び県そして事業者たる中国電力株式会社に対し、十分配慮した対応を求めるものであります。

一、プルサーマル計画の実施にあたって、国においては厳格な安全審査を行うこと。
一、国・県及び事業者が強く連携して、原子力発電の安全確保に万全の体制を持って臨むこと。
一、テロ、災害等に備えた危機管理体制の一層の強化を図ること。
一、原子力発電所の安全運転のための組織、体制、教育・訓練、品質保証のさらなる充実と、安全思想・安全文化の尚一層の醸成に努めること。
一、住民の理解と信頼を得るため、国・県及び事業者は不断の努力を行い、事故・トラブルなどの際はもとより、正確でわかりやすい徹底した情報の公開と説明責任を果たすこと。
一、国は、使用済MOX燃料の再処理及び高レベル放射性廃棄物最終処分場の問題について解決を急ぐこと。
一、国は、高速増殖炉を含む核燃料サイクルの早期確立を図ること。

以上が、島根原子力発電所2号機における「ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用に係る事前了解願い」に関する本委員会の調査結果であります。

以上、総務委員会における審査の概要及び調査の結果を申し述べ、委員長報告といたします。
 



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