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総務委員長報告平成18年2月定例会


今定例会で総務委員会に付託されました議案並びに継続審査中の請願について、その審査結果と経過を御報告いたします。

まず、付託議案26件について、審査結果を申し上げます。
いずれも知事提出議案であり、それぞれ執行部に内容の説明を求め、慎重に審査いたしました結果、すべての議案について全会一致をもって、「原案のとおり可決すべきもの」と決定いたしました。

これらの議案のうち、審査過程において委員からの質疑や意見が集中した第21号議案「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」について申し上げます。

執行部から、職員在職中の公務への貢献度を退職手当に的確に反映するため、一定期間の職務内容に応じた調整の仕組み(調整額)を創設すること、及び勤続年数に応じた退職手当支給率のカーブをよりフラットとなるよう見直すことがこの条例改正の提案理由であり、その背景として、閣議決定による公務員制度改革大綱において、年功を過度に重視した制度の是正や在職期間の長期化を求められていること、給与構造の基本的見直しに伴う影響が出ること、民間企業の退職金制度が年功重視型から貢献重視型に移行していることなどがあるとの説明でありました。

議案説明に対し委員からは、条例改正により退職手当総額がどうなるのか、調整額総額の配分はどうなのか等、財政上の見地からのほか、県民への説明責任を果たす観点から、県内民間企業における退職金制度の調査並びにその結果との比較検証の状況はどうか、さらには、退職手当の基礎となる職員給与体系において職務職階制を採りながら、その上に公務への貢献度をもってする調整額を加算すべき必然性、また、改正条例の18年4月1日施行の必要性など、多面的に質疑が行われました。

執行部からは、本年3月末に退職予定の職員164名をベースとした、現行条例に基づく場合と改正案に基づく場合の退職手当の算定比較について説明があり、それによれば、現行条例では、新年度から退職金の算定基礎が新給料表に移行するため、退職金の総額は約3億円の減額となり、改正案における調整額約2億9千万円を付加しても、退職手当の総額については、改正案の方が1千万円程度下回ること。
また、県内民間企業における退職金制度の調査と比較検証については、民間企業に係るデータはあるとしても、本県職員の退職手当との比較を適切に行うには専門的考察が必要でもあり、国家公務員に係る退職手当制度に準拠せざるを得ない現状であること。
調整額の創設については、地方公務員の退職手当制度そのものを国家公務員に係る制度に準拠し定めるよう、従来から総務省の指導がなされていること。
本年4月施行の必要性については、次年度以降、平均4.8%引き下げた新給与を基礎に退職手当が算定されることから、現行の退職手当制度のままでは、次年度以降に退職する職員と今年度末で退職する職員との間に著しい不均衡が生ずること。以上のような答弁や補足説明がありました。

これに対し、委員の中に、説明が十分に尽くされていないとの意見があり、採決にあたっては、執行部から、職員の退職手当に関し他都道府県の状況を調査し今後の対応をしていきたい旨の回答を得たうえ、全会一致をもって可決すべきものと決定したところであります。

続きまして、請願の審査結果について申し上げます。
継続審査中であった6件の請願は、私学への助成や振興を願意とするものでありますが、厳しい財政状況を踏まえ、いずれも「継続して審査」を行うことといたしました。

以上が、当委員会が付託を受けた議案と請願に係る審査の結果と経過の概要であります。

次に、執行部からの報告事項あるいは新年度予算に係る新規事業などのうち、主なものについて申し上げます。

まず、総務部報告事項の平成18年度主要組織改正の概要についてであります。
簡素で効率的な執行体制を図る一方、緊急かつ重要な行政施策に対応するため、所要の組織改正が行われます。知事部局本庁にあっては、数値目標と設置期限を設定のうえ、例えば、総務部総務課に「竹島担当スタッフ」の設置、地域振興部市町村課に「権限移譲推進室」の設置、健康福祉部医療対策課に「医師確保対策室」の設置、商工労働部しまねブランド推進課に「貿易促進支援室」の設置などが行われることとなっております。
また、地方機関にあっては、合併による市町村規模と能力の拡大に伴い、県に求められる役割・機能の変化への対応と県民の利便性や業務の現場性を考慮し、例えば、隠岐支庁を除く6つの総務事務所を再編し、東部・西部に「県民センター」を設置すること、同様に農林振興センターを東部・西部の2ヶ所に再編すること、農林振興センターの公共事業実施部門と土木建築事務所を統合した「県土整備事務所」を設置することなどが行われます。
この組織改正は警察本部においても行われ、治安回復の歩みを確実なものとするため、刑事部内の「組織犯罪対策室」を「課」に格上げするとともに、警備部警備第一課内に「国際テロ対策室」を、生活安全部地域課内に地域警察官の力量向上を任とする「地域指導室」を新たに設置することとされております。

 

次に、地域振興部における定住促進や地域振興に関する取り組みについて申し上げます。
定住促進に関し、1点目は18年度新規事業の「島根暮らしUIターン支援事業」についてです。「団塊の世代」大量退職を前にして、本県出身者に対する知事からの手紙が反響を呼んだところですが、この事業は、U・Iターン希望者への無料職業紹介や住まいに関する相談・斡旋、農業希望者に対する研修実施などの総合窓口を「ふるさと島根定住財団」に置き、市町村や民間とも一緒になってU・Iターン促進策の強化を図ろうとするものであります。
委員からは、農業希望者への農地提供が円滑に進むよう農業委員会との連携確保に配慮を求める要望や、U・Iターン者のニーズを踏まえた住宅の確保など、関係部局が本気になって取り組んで欲しいといった意見があったところです。
2点目は、平成8年度から実施されている「島根の産業体験事業」についてです。
この事業は、県外在住者を対象に、本県への定住の見極めの一助とするため、主として第一次産業の分野において最長一年間の体験を提供するものでありますが、事業開始から昨年度までの間に合計941名がこの事業での産業体験を受け、このうち、ほぼ半数の461名が県内定着を果たし、関東・関西地域出身でその6割を占めるとのことでありました。

地域振興に関しては、「アクアス」の集客対策や隠岐汽船の経営問題などについて報告・説明がありました。
「アクアス」の集客対策につきましては、入館者の逓減傾向から脱却を図るため、県、指定管理者たる財団法人しまね海洋館及び地元市からなる実務的プロジェクトチームを設置し、ここでハード、ソフト両面での集客増方策が検討されております。ソフト対策としては、シロイルカのバブルリング調教、スポットガイドの充実、広島市のケーブルテレビへの映像配信などが既に着手されております。また、ハード整備として、ペンギン舎及び雨天でも対応できる弁当広場の設置について、平成20年4月オープンを目途に具体化するとのことでありました。
次に、隠岐汽船の経営問題についてです。経常利益の赤字が拡大していることを踏まえ、隠岐汽船では経営改善計画の策定が進められております。県としても中長期のあり方を踏まえた支援について隠岐の町村とともに検討するとの説明がありました。
これに対し委員から、隠岐航路や航空路は島民や観光客にとって不可欠であり、何とかしなければならないが、このままでは隠岐汽船の赤字はなかなか減らないので、利用客増につながる娯楽施設など新たな発想で思い切った地域振興策を考える必要があるとの意見がありました。

報告の最後に、当委員会が行っているプルサーマル実施計画に関する調査について触れさせていただきます。
今定例会の委員会では、2月27日に島根原子力発電所の実地調査を行いました。この日の調査では、島根2号機や訓練施設などの現場視察を中心に、原子炉の制御、放射線の管理、緊急時の対応、運転員の教育・訓練など具体的に説明を受けました。
さらに、3月8日には、この課題について一層理解を深めるため、経済産業省から参考人を招請し、同省資源エネルギー庁からは国のエネルギー政策及び原子力政策について、また、原子力安全・保安院からはプルサーマルの安全規制について、それぞれ専門的立場から説明を受け質疑を行ったところです。

当委員会としましては、適切な意見の取りまとめへ向け、原子力燃料サイクル関連施設の実地調査など、引き続き必要な調査を重ねていくことといたしております。

なお、3月8日は、委員外議員の皆様にも当委員会への出席を御案内しましたところ、多数の議員に出席いただきました。日程の都合もあり、結果的に委員外議員の皆様の質疑時間が取れなかったことは申し訳なく思いますが、貴重な時間を割いていただきましたことをこの場をお借りし、お礼申し上げます。

以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。
 



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