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高速交通網整備促進調査特別委員長報告

 

高速交通網整備促進調査特別委員長報平成17年2月定例会

高速交通網整備促進調査特別委員会の審査及び調査の経過並びに結果について御報告いたします。

本委員会は、平成15年6月定例会において設置され、「高速交通網の整備促進に関する審査及び調査」を付託されました。
以来、2年間にわたり、本県の高速交通網、とりわけ高速道路の早期整備と空港並びに航空路網の整備充実に向けて、執行部から事業の進捗状況や今後の計画、課題等について説明を受けるとともに、各種の調査・要望活動を実施してまいりました。
高速道路については、国、関係団体等に対する提言・要望活動や、国土交通省の担当者との意見交換を行い、さらには第1回「国土開発幹線自動車道建設会議」いわゆる「国幹会議」に意見を反映させるため2件の意見書を提出いたしました。
航空路網につきましては、日本航空、全日空本社を訪問し、本県航空路の充実について要望をし、また、意見交換をしてまいったところであります。
それでは、「高速道路の整備」「出雲空港の整備」「航空路網の整備」の3項目について御報告いたします。
第1に、「高速道路の整備について」であります。
本県における高速道路は、県勢発展の基幹となる交通手段であり、産業の振興や交流の拡大のみならず、災害時の緊急輸送、救急医療など県民の安全・安心の面からも欠くことのできない最も根幹的かつ重要な社会資本であります。また、全国的なネットワーク化が図られてこそさまざまな効果が現れるものであります。したがって、整備の立ち遅れている本県においては、早急に整備を進めていく必要があり、本委員会としても最重要課題として取り組んでまいりました。
まず、この2年間の、高速道路の整備に関する動きについてご報告させていただきますと、平成15年4月、高速自動車国道法を改正する法律が成立し、これまで日本道路公団により「有料道路」として整備されてきた高速自動車国道は、今後、公団民営化後の新会社による「有料道路方式」と国土交通省による「新直轄方式」により整備されることになりました。
そこで、同年11月、国土交通省は、今後整備される予定の各路線についての総合評価結果を公表するとともに、各県に対し今後いずれの整備手法を選択するか意見照会をいたしました。
そして、これに対する県の回答をもとに、同年12月の第1回国幹会議の結果、松江道の尾道−三刀屋木次間は、「新直轄方式」で、また、山陰道の出雲−宍道間は当面、これまでどおり「有料道路」として整備されることが決定されました。
さらに、平成16年6月には、道路関係4公団民営化関係法が公布され、日本道路公団は本年10月に民営化され、新たな組織となることになっております。
このような中での、本県の整備の状況であります。
県内計画延長283km中、供用済みでありました119kmに加え、平成15年9月には江津道路14.5kmが開通いたしました。江津−浜田間の所要時間が二分の一に短縮されたところであります。
また、平成16年4月から5月にかけて、国道9号バイパスの仁摩温泉津道路及び浜田三隅道路、松江道の三刀屋木次インターから県境の間が、着工の運びとなりました。
さらに、山陰道で事業化にいたっていない74kmのうち、出雲仁摩道路37kmは、ルートの概要が固まり、11月から順次地元説明が進められているところであります。今後環境アセスメント等の手順を踏み、平成17年度中に都市計画決定が終わる予定となっております。
この区間の国道9号は急カーブ、急勾配の箇所が多く、災害時等の緊急輸送、救急医療の面からも、その整備は県民の悲願であります。早期の事業着手を強く要望していくものであります。
このように、整備に向けた動きは進んでおりますが、本県の現在の供用率は全国平均69%に対し47%と、依然として低い状況が続いております。
一方、利用促進についてであります。
昨年秋以降、国土交通省により、高速道路に係る2つの社会実験が行われました。一つは、米子西インターから三刀屋木次インターまでの間と江津道路について実施された、「料金」に係る実験であります。いずれも、段階的に割引料金を設定し、利用者数や既存道路の交通渋滞、騒音との関係を調査するためのものであります。
もう一つは、浜田自動車道の金城パーキングエリアに、一般道からの「簡易的なETC専用の出入り口」を設ける実験であります。これによりアクセスの利便性向上を図り、利用状況等のデーターを収集し、今後の本格導入する場合の課題や対策を検討することを目的としたものであります。
いずれも、有益なデータが収集され、今後、国交省において十分な分析、検討がなされ、利用促進、機能発揮に向けた施策がとられるものと期待されるところであります。
なお、供用済みの区間については、一般道からの接続も含め、分かりやすい標識など利用者への配慮を十分に行い、利用促進を図る必要があろうと思います。
第2に、「出雲空港の整備について」であります。
「滑走路延長等の取組み」の延期についてであります。
県は、今後の利用者の増加や航空機の大型化に対応するため、平成13年11月に、滑走路を500m延長し2500mとする、機能拡充整備についての方針決定を行ないました。
その後、事業採択に向けて国と協議を重ねられてきましたが、技術的に解決すべき課題が多く、採択の見込みがたたない状況でありました。
このような状況の中で、平成15年9月、次の4つの理由により、滑走路延長などの取組みはいったん延期されることとなりました。
1点目は、今後の空港整備は大都市圏空港に重点化するという国の方針により、地方空港である出雲空港の機能拡充整備の事業採択は非常に厳しい状況となったこと。
2点目は、県の財政状況が厳しく、財源確保が難しいこと。
3点目は、羽田空港の4本目の滑走路が平成21年に完成すれば発着枠が大幅に増加し、出雲−東京路線の需要増加に対しては増便で対応できると考えられること。
4点目は、滑走路、エプロンの沈下に伴う補修など緊急の課題に早急に対応する必要があることなどであります。
出雲空港の機能拡充整備には県民の期待は大変大きなものがありますが、知事の決断はやむを得ないものと本委員会は了承いたしました。
今後は、緊急に整備を要する滑走路の補修、エプロンの補修、拡張、など、質的向上に向け積極的に取り組んでいただくことが重要だと考えます。
第3に、「航空路網の整備について」であります。
現在の航空業界は、規制緩和による激しい競争の中にあり、さらに、米国同時多発テロ、SARS、燃料の高騰などにより、既存航空会社の経営環境は大変厳しい状況が続いております。
そのため、幹線航空路重視の傾向は強まり、収益性の低い地方の航空路線を取り巻く環境は一段と厳しくなっております。
このような中、本委員会は、本年1月、日本航空、全日空2社を訪問し、本県の実情を訴え、本県航空路網の維持発展を要望するとともに、意見交換を通じて、航空業界の実情を調査してまいりまし
た。
ここで、県内3空港について、県の取り組み、路線の状況や課題等についてご報告いたします。
まず、出雲空港であります。
現在、5路線があり、年間利用客数が77万人に達する山陰の拠点空港として発展しております。東京路線については、利用状況は順調に推移してきており、日本航空により現在5便が運航され、県民にとって非常に利便性の高い路線であります。
しかし、日本航空の羽田空港の発着枠の関係で、昨年秋の段階では出雲−東京路線が1便減便となる可能性が危惧されておりました。
そのため、本委員会として、日本航空に対し5便の維持を強く要望したところ、同社からは、「努力して5便を確保したい」旨の回答がありました。当面出雲−東京路線の減便は回避されましたが、今後も予断を許さない状況であります。
旅客はもとより貨物輸送のためにも、現在の利便性を確保する取組みが必要であります。
名古屋路線についてであります。
平成9年10月の路線開設以来、休止、再開を繰り返し、平成15年10月からは初の1日2往復で運航されてきました。これにより年間3万3千人の利用実績があったものの、運航継続には至らず、平成16年10月をもって休止となりました。
本路線は、本県にとって中部圏域との経済交流、観光振興の面から必要な路線であり、今後とも再開の道を探っていく必要があろうと思います。
次に、福岡路線についてであります。
現在1日2往復運航されており、利用率は堅調に推移しておりますが、国際線への乗り継ぎの利便性を図るため、また、今後、本県と九州との幅広い交流を目指すためにも、3往復の運航を求めていく必要があります。
次に、国際路線についてでありますが、今年度、出雲空港から上海に向けた国際チャーター便が計9便運航されました。
集客状況は好調で利用者には好評でありましたが、燃料費の高騰等によりチャーター料が値上がりし、多額の財政負担が伴うことから今後も同様に県が計画していくことは困難な状況にあります。
出雲空港と中国を結ぶ航空路線は、経済交流の拡大、観光客の誘致等に意義あるものであり、今後も民間の主体的な取り組みへの支援を続けながら、将来につなげていかねばならないと思います。
続きまして、萩・石見空港についてであります。
東京路線につきましては、平成14年12月に2往復から1往復となり、利便性の低下により、乗客数が大幅に減少しているため、本委員会として、全日空に対して早期の2往復の復活を要望して参っております。
利用率としては減便後65%前後と堅調に推移しておりますが、2往復復活については、少なくとも平成9年7月に2便化が実現したときの利用率75%程度以上となる必要があり、引き続いて利用拡大の取り組みを進めていくことが重要であります。
次に、大阪路線についてであります。
平成16年10月からは、機材を小型化して運航されておりますが、団体客が減少し、利用者数は伸び悩んでおり、このまま続けば、複便化の実現は難しいどころか路線廃止も懸念される状況であります。
他の路線では複数便化により利用者数を大幅に増加させた例もあることから、利用率の向上を図り、複便化を実現させ、更なる利用者の増加を図ることが重要であります。
次に、隠岐空港についてであります。
平成18年7月の開港を目指し、2000m滑走路を備えた新空港の整備が着々と進められております。
今後、新空港開港による利便性の向上に合わせ、観光の振興等、空港の利活用の促進に鋭意取り組み、出雲路線の維持、大阪路線の充実、ジェット化を図る必要があります。
本委員会として、日本航空に対しジェット機就航を要望したところ、大阪路線に、夏期の就航を検討するとのことでありました。
3空港に共通いたしますが、限られた便数での運航が余儀ない状況では、利便性を確保し利用率を向上させるためには、発着の時間帯の設定が重要だと考えます。増便とともに利便性の高い時間設定を図っていく努力をしていかねばならないと思います。
以上、3項目についてご報告いたしました。
私は、日本民族が未来永劫この日本列島を自らの国とし、民族の発展を期していかねばならないとするならば、いつ、いかなる時代が来ようとも、この日本列島を凝縮し、圧縮して利用度の高い国土としておくことは、間違いなく日本民族のポテンシャルを高めるものであると確信しております。したがって、高速道路、航空路線を始め高速交通網の整備は、日本民族の将来の発展のため、また、危機管理等の面からも、第一義的には国の責任において約束されるべきだと考えます。
一方、本県においては、行政、民間団体、県民一体となって、高速交通網の整備促進や利用促進に向けて、継続的に取り組んでいく必要があると考えます。
執行部におかれましては、国における構造改革、県の財政事情など非常に厳しい状況ではありますが、整備手法に工夫しながら効果的で着実な整備を進めていかれるようお願いして、委員長報告といたします。


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