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中山間地域資源活用調査特別委員長報告


中山間地域資源活用調査特別委員長報告(中間報告平成16年12月定例会

 
中山間地域資源活用調査特別委員会では、昨年7月、本県の「中山間地域活性化計画」の中間報告を受けて以来、今日まで、議会定例会ごとの調査以外に、「中山間地域研究センター」に出かけて施設や研究概要などの取り組み状況を調査したり、和歌山県における公的環境林整備、雇用対策及びUIJターン対策を目的とした「緑の雇用事業」の調査を踏まえての本県森林組合等との意見交換の実施、また、県内のコミュニティ・ビジネスの取り組み状況や「中山間地域集落・活性化緊急対策事業」の取り組み事例など、「中山間地域の資源を活用した、中山間地域の公益的機能の増進及び具体な地域産業の振興策」について様々な調査を行って参りました。

この度、それらの結果を「さらなる中山間地域の活性化に向けて」とする提言にとりまとめましたので、ご報告いたします。
詳細は、お手元にお配りしております提言書をご覧いただきたいと思いますが、以下、その要点を述べさせていただきます。

まず、「課題解決に向けた基本的方向性」としては、中山間地域の資源に着目するとともに、「人」と「生活」の観点から、現在特に求められる取り組みの基本的方向性を整理しました。
「人に着目した方向性」としては、今、中山間地域で生活している人々が、「快適に楽しく幸せに」暮らしていくことのできる仕組みづくりが必要であること。また、次代の地域の担い手であると同時に今の課題を解決してくれる若者が活躍していける仕組みづくりが必要であること。
次に、「生活に着目した方向性」としては、中山間地域における雇用、医療、買い物、冠婚葬祭、教育、交通、交流について、トータルな仕組みの再構築を図ることが必要であること。
その上で、この2つの基本的方向性を基に、地域の資源を活用した具体的方策として、5つの項目をあげ、提言することとしました。

1番目の項目は、「集落を補完する新たな地域運営の仕組みづくり」であります。
集落の小規模化により、農業の共同作業、葬儀などの集落機能維持が困難となっている地域や、市町村合併による行政の広域化の中で、より各地域の独自性・自主性が求められる地域に、おおむね旧小学校区等に、集落を補完する新たな組織を構築する必要があり、県は「集落を補完する新たな組織」の構築のための地域・市町村の主体的な取り組みに対し、中山間地域研究センターを中心とした各種情報の適宜提供などを行うとともに、地域・市町村と一緒になって取り組んでいくこと。

2番目の項目は、「医療・買い物・学校等の新たな生活運営の仕組みづくり」であります。
「交通結節点と生活拠点の集中整備」に向けて、アドバイザーの派遣、ショッピングセンターと公共施設の一体的整備などの商業集積に向けた利用可能な整備支援メニューの紹介等、県内各地で地域の実情に応じた取り組みが展開されるよう県の関係部局が連携した支援を実施することとし、当面は、ループバスの運行を行い住民の利便性向上を図るといった、地域の実情に応じた取り組みが必要であること。
また、「圏域の総合交通計画の立案・実施」として、一定水準の公共交通サービスの提供は、中山間地域における生活を維持していくため必要不可欠であることから、県は、財政的支援に加え、福祉・教育・交通分野の連携やデマンド型公共交通サービスなど、それぞれの地域にあったシステムの構築に向けて、地域・市町村と一緒に知恵を出し合って取り組んでいくこと。

3番目の項目は、「所得確保及び活動の場としての地域産業の新たな展開の仕組みづくり」であります。
農産物の安全性や県外も視野に入れた各種情報の提供などによる「産直市への支援」や地域・市町村と連携した「都市住民との交流の促進」に向けた積極的な支援をしていくこと。

4番目の項目は、「土地利用の再構築に向けた仕組みづくり」であります。
まず、「森林・農地の土地利用プランの策定」として、地籍調査の一層の促進と土地利用プランの策定による、土地の有効利用をあげ、次に、「農地の耕作放棄対策」としては、特定農業法人等の管理能力のある担い手に農地を集積するためのシステムを強化推進すること、および、耕作放棄地を減らし、農地を守り、豊かな田舎暮らしを楽しむための農地保有下限面積要件の緩和について検討すること、次に、「森林の荒廃対策」としては、公的関与による整備の一層の推進と、地域と一体になった森づくりなど、住民参加の整備の方法を検討する必要があること、さらに、県産木質資源の需要拡大に向けて県、企業、県民等が連携・協働して事業を推進し、森林と産業のつながりを回復し、木を育て、森を護る循環を再生していくこと。

5番目の項目は、「U・Iターンによる若者の定住促進の仕組みづくり」であります。
「U・Iターン者への親身になった支援」や、「空き家を改修した賃貸住宅の確保」に向けた市町村と一緒になった検討の必要性、また、「ふるさと島根定住財団」などで取り組まれている「従来型定住支援事業」のさらなる促進について指摘しました。
 
最後に、今回の提言は、平成13年に策定された「中山間地域活性化計画」の計画期間が、平成16年度で終了するところから、平成17年度以降の新たな中山間地域対策に向けて、中山間地域の資源に着目して、活性化方策を提案したところであり、県の財政状況も大変厳しい時に直面していますが、本県中山間地域の活性化に向けて、当該地域に不可欠な社会基盤の整備も視野に入れたビジョンを描き、県民が将来への希望を持てる取り組みをしなければならないと考えます。執行部におかれては、本提言を真摯に受け止められ、中山間地域の活性化の推進に向けて全力を挙げて取り組まれるよう強く望むものであります。

以上、中山間地域資源活用調査特別委員会の提言について、その要旨を述べましたが、何とぞ、本提言に、ご理解、ご協力をたまわりますよう、お願い申し上げ、委員長報告といたします。
 

 



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