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地方分権・行政改革調査特別委員長報告


地方分権・行政改革調査特別委員長報告(中間報告)平成16年12月定例会


島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例に基づく経営評価結果及び外郭団体の見直しの方向性に関する調査報告


地方分権・行政改革調査特別委員会では、平成16年9月定例会以降、島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例に基づく経営評価結果及び外郭団体の見直しの方向性に関する調査を行ったので、その結果について報告を申し上げます。

【1.島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例に基づく経営評価】
最初に、条例に基づく経営評価結果についてであります。
この条例は、外郭団体の自主的な運営の確保や県の指導監督の充実を期待して議員提案により制定したもので、調査は、提案の趣旨に沿った取り組みが行われているかとの観点で実施したところであり、数点意見を申し述べます。

【(1)県の評価】
一点目は、県の評価についてですが、県が作成した評価調書には、人的関与や財政的関与の度合いが適切かどうかという視点からの評価が示されておりません。県民に分かりやすい情報提供を行う意味から、今後の評価に当たっては、団体毎にこれらの視点を踏まえるなど、評価手法の改善が必要と考えます。
また、条例第7条では、知事等は経営評価により経営改善が必要と認められる団体に対して、助言又は指導を行うとともに必要な措置を講ずるものと規定しており、経営評価に併せて、県が取るべき措置も明らかにするよう望みます。

【(2)県の人的関与、財政的関与】
二点目は、県の関与についてであります。
平成16年7月時点では、代表者や非常勤役員への就任に関しては改善が見られましたが、常勤役員への就任に関しては改善が図られておりません。県OBの在職、県からの職員派遣など県の人的関与について、引き続きその必要性を検証し最小限となるよう、さらなる見直しを求めます。
次に、県の財政的関与についてですが、経営評価対象27団体全体の平成15年度事業費総額約363億円のうち約69億円が県からの補助・負担金や委託料で賄われております。県からの補助・負担金や委託料は平成13年度以降減少傾向にあるものの、本県の財政状況を考慮した場合、引き続きその縮減や効率的な執行が必要と考えます。
また、中には「島根県並河萬里写真財団」のように、県が出捐した基本財産を運用財産に振り替えて事業費に充当したり、「しまね長寿社会振興財団」のように県が出捐した運用財産を事業費に充当している団体があります。県の財政的関与には、これら運用財産の事業費充当についても県の支援相当額として含めるとともに、団体において適切な執行が行われるよう指導監督に努めなければなりません。
併せて、運用財産の減少等に伴い財源の確保を課題とする団体に対しては、長期的視点を持った運用財産の活用や新たな財源確保策等について、適切な助言等が必要と考えます。

【(3)情報公開の推進】
三点目は、情報公開の推進についてですが、経営評価対象団体の中に、情報公開等に関する規程を定めていない、あるいは、財務状況等を積極的に情報公開していない団体が数団体見受けられます。今回の経営評価結果を速やかに県民に公表することなど、該当団体に対する適切な指導を求めます。

【(4)自主的運営の確保】
四点目は、自主的運営の確保についてであります。
経営評価では、県の人的・財政的関与の状況や団体の自己評価結果が明らかにされていますが、例えば「北東アジア地域学術交流財団」のように県の関与度が著しく高い団体や、「ふるさと島根定住財団」、「しまね女性センター」、「島根ふれあい環境財団21」のように他団体と比較して県の関与度が高く、かつ、団体の自己評価結果で課題が多いとした団体が見受けられます。
また、「島根県環境保健公社」、「島根難病研究所」のように県への財政依存度が著しく低く自立性が高いと考えられるにも関わらず、依然として県が人的関与を行っていたり県出資割合が高い団体が見受けらます。
今後、団体のあり方、県関与のあり方の見直し等に際しては、このような点をどう解決していくのかといった視点も持ちながら検討を加え、条例で期待している団体の自主的な運営の確保を図る必要があります。

【(5)まとめ】
経営評価については、今回が初の試みであり、今後も自己評価、県評価の手法等経営評価制度の充実・改善を図りながら継続して実施し、県民にとって分かりやすいものとして、また、団体、県として有益な制度として定着させるよう、一層の努力を期待します。

【2.外郭団体の見直しの方向性】
次に、外郭団体の見直しの方向性に関する意見であります。

【1)平成16年9月定例会で報告を受けた外郭団体見直しの方向性】
経営評価に併せ、外郭団体の見直しの方向性を調査しましたが、県として経営評価を通じて整理した課題を踏まえ、今後の指導監督を徹底することは勿論のこと、県出資割合50%以上の団体数を概ね3割程度削減するという見直しの目標達成のためには、本県の厳しい状況について、県、県以外の出資者及び団体が共通認識を持ち、見直しに向けて速やかに取り組む必要があります。

そのためには、取り組みの方向性に沿って自立に向けた見直しを実施する団体については、今後取りうる具体的見直し手法を団体毎に明らかにしていくこと、また、必要性を検証し縮減を図ることとされている県の人的・財政的関与についても、団体数の削減と同時に、可能な限り具体的な目標数値を掲げ、県民に分かりやすい形で進めることが必要と考えます。

なお、県の関与を縮減し自立を目指す団体についても、効率性のみを優先した運営を行うことなく、できる限り、中山間地域や離島地域の状況にも配慮されるよう望みます。

【2)行財政改革調査特別委員会で指摘した外郭団体の見直し】
本委員会では、併せて、行財政改革調査特別委員会で個別意見を付した7団体について、その見直し状況を調査しましたが、一部の団体については、具体的な見直しの内容が固まっていない状況にありました。当該委員会の指摘の趣旨を踏まえた見直しを早急に行うよう、該当団体に対する県の指導監督を求めます。

【まとめ】
外郭団体や県行政を取り巻く状況が大きく変化する中で、外郭団体には、自立的・効率的な運営が、また、県には、多様化・高度化する県民ニーズに応えていくため、住民団体、民間事業者、外郭団体を含む各種団体との新たな関係の構築が望まれています。

県は、これまで増大する行政需要に対応するため、機動性を持つ外郭団体に補完的役割を担わせてきましたが、今、県に求められていることは、県自らが機動性を持った行政運営を行うことや外郭団体との協働に向けた環境づくりであります。また、行財政改革の取り組みに当たっては、「官から民への移行」が重要な視点の一つであり、この点に関しては、県民をはじめ多くの者が期待するところであります。

県においては、このような認識のもと外郭団体に関する徹底的な見直しを行い、事業のスリム化や統廃合等による経営基盤の強化を図るとともに、県民が隔靴掻痒の感を持つことがないよう迅速な対応を求め、本委員会の中間報告といたします。

 

 



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