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地方分権・行政改革調査特別委員長報告


地方分権・行政改革調査特別委員長報平成16年9月17日


地方分権・行政改革調査特別委員長報告をいたします。
本委員会は、昨年6月定例会において設置されて以来、付託を受けた「市町村合併に伴う県議会議員の選挙区及び選挙区定数のあり方に関する審査及び調査」に精力的に取り組んできたところであり、以下その経過及び結果について申し上げます。

県議会議員の選挙区は、公職選挙法によれば、郡市の区域によることが原則とされておりますが、市町村の合併により郡市の区域の変更を生じる場合においては、「市町村の合併の特例に関する法律」及び本年5月に公布され、来年4月1日から施行される「市町村の合併の特例等に関する法律」に定めるところにより、市町村の合併が行われた日から次の一般選挙により選挙される議員の任期が終わる日までの間に限り、「なお従前の選挙区によることができる」又は「合併市町村の区域が従前属していた郡市の区域を合わせて一選挙区を設けることができる」とする特例措置が認められております。
この2つの法律、いわゆる合併特例法に定める特例措置を適用するためには、その旨を条例に定めるとともに、市町村の合併の日に、その条例が施行されていることが必要とされており、本県においては、本年10月1日に行われる安来市、能義郡広瀬町及び同郡伯太町の合併等により郡市の区域の変更を生じることから、これら市町村合併に伴い、関係する県議会議員の選挙区について特例措置を適用しようとする場合には、本定例会において結論を出し、条例の制定等を行う必要があります。
また、合併特例法に定める特例措置を適用せず、公職選挙法の原則による場合にも、本定例会で現行の選挙区条例を改正する必要があり、いずれにしても、県議会としての結論を本定例会において出すことが求められております。

市町村合併に伴う県議会議員の選挙区をどのように取り扱うべきか、すなわち、次の一般選挙を公職選挙法の原則により行うべきか、又は、合併特例法に定める特例措置により行うべきかは、県民の選挙権の行使と議員の身分に関わる極めて重要な問題であることから、本委員会においては、公職選挙法や合併特例法に定める制度の詳細、本県における市町村合併の進捗状況、他の都道府県における検討状況等について調査するなど、慎重に検討を行ってきたところであります。
 
最初に、統一した取り扱いを行うことの必要性と包括的な条例を制定することについてであります。
郡市の区域の変更を生じる市町村合併ごとに、関係する選挙区のあり方を検討し、決定する方法も考えられますが、個別の市町村合併ごとに選挙区の取り扱いを異ならせる合理的な基準を示すことは困難であり、この方法による場合は、県民や議員にとって不平等な結果を生じる可能性があります。このため、市町村合併により郡市の区域の変更を生じる場合における県議会議員の選挙区に関しては、統一した取り扱いを行うことが必要であります。
また、合併特例法に定める特例措置を適用する場合においても、統一した取り扱いを行うことをより明らかにする観点から、郡市の区域の変更を生じるすべての市町村合併を対象とした包括的な条例を制定することが適当であります。

次に、公職選挙法の原則により次の一般選挙を行う場合についてであります。
次の一般選挙を公職選挙法の原則により、合併後の市町村に基づく郡市の区域で行うことは、市町村合併による新しいまちづくりや地域づくりを推進し、そのために自分達の代表を選ぶという住民の意識と合致するとともに、市町村合併により、地域住民の間には、新しい市町村の住民であるとする意識が醸成されていくことから、県議会議員の選挙区も合併後の新しい市町村の枠組みと一致させることが県民の理解を得られやすいものと考えられます。
また、合併後の市町村に基づく郡市の区域を選挙区とする場合、同一市町村に属する住民が同一の条件下で選挙権を行使することができ、1票の格差が生じないこととなり、住民にとって公平な結果となります。
さらに、選挙される県議会議員としても、合併後の市町村の住民から選ばれた地域の代表としての位置づけが明確となり、地域住民や市町村と一体となって、新しいまちづくりや地域づくりを推進していくことが可能となります。
 

次に、合併特例法を適用して、従前の選挙区、つまり現行の選挙区で次の一般選挙を行う場合についてであります。
この場合、現議員の任期満了による場合の次の一般選挙は平成19年4月に予定されており、郡市の区域の変更を生じる最初の市町村合併が行われる平成16年10月1日から、その一般選挙により選挙された議員の任期が満了する平成23年4月までの約6年7月の長期間にわたり、市町村合併による新たな枠組みとは異なる選挙区によることとなり、また、合併後の市町村が複数の選挙区により分断される結果となります。
合併後の安来市、松江市、雲南市、江津市等がこの場合に該当し、特に、新松江市における旧八雲村は、八束郡東出雲町と選挙区を構成する、また、江津市における旧桜江町は、邑智郡と選挙区を構成するという、旧八雲村や旧桜江町の住民にとって、理解しがたい状況を生じさせることとなります。
一方、八束郡東出雲町の住民からしても、公職選挙法の原則による場合、
独立した選挙区として、地元代表の県議会議員を選挙することが可能であるにもかかわらず、合併特例法を適用して、現行の選挙区で行う場合、それが不可能となります。
以上のように、次の一般選挙を合併特例法を適用して現行の選挙区で行おうとすれば、郡市の区域の変更により現行の選挙区に影響を与えるすべての市町村合併において、深刻な問題を生じさせることとなります。

続いて、次の一般選挙に合併特例法を適用して、合併市町村の区域が従前属していた郡市の区域を合わせて一選挙区を設ける場合についてであります。
この場合においては、合併特例法を適用して従前の選挙区で行う場合に比較して、合併後の市町村が複数の選挙区で分断されるという結果は生じないものの、「合併後の松江市と八束郡東出雲町」、「合併後の江津市と邑智郡」等がそれぞれ1つの選挙区を構成し、合併後の市町村の枠組みとは異なる大きな選挙区となります。
 
次に、現議員の任期中は、合併特例法を適用して現行の選挙区どおりとすることについてであります。
現議員の任期中は、合併特例法を適用して現行の選挙区どおりとし、補欠選挙がある場合に現行の選挙区で行うこととすれば、補欠選挙で選挙された議員の任期が前任者の残任期間であることから、県民にも理解されやすいものと考えられます。

以上申し上げました点を総合的に勘案した結果、次の一般選挙は公職選挙法の原則により行うこととし、現議員の任期中は、合併特例法を適用し、現行の選挙区どおりとすることが適当であり、合併特例法の適用に関しては、郡市の区域の変更を生じるすべての市町村合併を対象とする包括的な条例を制定することが適当であるとの結論に至りました。

なお、現議員の任期満了による場合で、平成19年4月に予定される次の一般選挙については、平成17年国勢調査の結果を踏まえた議員の総定数や各選挙区において選挙すべき議員の数をはじめとして、同一市町村を分断する衆議院議員小選挙区選出議員の選挙区や八束郡東出雲町の任意合区の問題も含めた選挙区のあり方について、十分な検討を行い、その結果に基づき必要な見直しを行った上で実施する必要があると認識しているところであります。

最後になりましたが、今回の本委員会の結論は、これまで市町村合併を支援してきた県議会の立場、さらには、市町村合併に尽力されてきた住民や市町村関係者の皆様の御苦労を踏まえるとともに、県民の理解と信頼を得るため、その目線に立って判断した結果であることを申し添え、付託を受けた「市町村合併に伴う県議会議員の選挙区及び選挙区定数のあり方に関する審査及び調査」についての委員長報告とさせていただきます。

 

 



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