9月17日質問項目9

9.次期学習指導要領

○山陰中央新報(曽田):学習指導要領の関係でお伺いします。

 中教審の特別部会が先日、次期学習指導要領の論点整理素案を示されました。これまでこの分野を注視されてこられた知事として、率直な受け止めがあればお願いいたします。

 

○丸山知事:文科省の基本的な考え方の中身の一つには、教科書の内容の重点化、分量の精選という項目が入ってますので、内容の重点化、分量の精選ということが基礎学力の定着を重視する形で進むということ、そのように進むのかどうかということを注目していきたいというふうに思ってます。

 懸念を持っていますのは、授業時数ですけども、授業時数の柔軟化みたいな話がありますけど、教えろっていうことを決める世界で、今の学校にそれぞれ学校現場で柔軟に判断して工夫して授業時数を割り当ててくださいみたいな、要するに自分で工夫して考えろとか、これは最後はどうなるかというと、先生が自分で生徒の状況に応じて自分で考えてやりなさいというふうに、普通で考えれば下りてくるわけですよ。忙しくてかなわんと言ってる人に、どうやるかを決める人が、あんたらの好きにやりなさいというんじゃ、これはもう答えになってないと。みんながこういうふうにしましょうというものを学習指導要領は示すべきで、お任せしますというんだったら、中教審の委員、全部入れ替えて、そんなもん、野菜くれって言ってるのに魚出してくるような、そんな人じゃあ仕事を任せられないという感じなので、内容を削ると、内容を重点化するということに応じて、私からすると、要するに、これも何回か言ったことあるけど、九九って、ボードに書いてある九九を10回読み上げたら覚えるわけじゃないわけですよ。10回読み上げて覚える人もいるかもしれない。でも覚えれない子もいる。同じことをやって、できる子とできない子がいるんだから、できない子にはもうちょっと時間をかけて九九を覚えてもらうための時間を確保して、それを指導するっていう時間を取ってあげなきゃいけない。単純にそういうことですよ。その時間が今与えられてないからこんなことになってるんでしょ。九九を先生が教えたんだから、先生が授業時間を使って教えたんだから、できてますよね、できてる前提でやりますよといって掛け算……。この前、私が問題にしているのは、足し算、引き算の世界からできてないんじゃないかという問題を指摘してますけど、小学校1、2年生でできてないことが小学校6年生まで引きずられてるという現状が今起きてるわけだから、それは、取り残されてるところで、取り残されてる人をちゃんと取り残さないようにする、それ用の時間をつくる。もしかすると、もう覚えちゃった子は、もう発展的な内容を、覚えたことをもう一回暗唱なんかしたくないとかいうんだったら、その子は、そういうことであれば、進度別で発展的な内容を勉強する子と振り返り学習をする子と分ける時間をつくるとか、そういうことをやらないとできないですよね。

 私は何度も言ってるけど、平仮名は小学校1年生になって、平仮名は小学校で習ったし、九九も小学校で習った。家で幼稚園のときに親から教えてもらったことはないです。九九なんか覚えられないから。明確に覚えてるけど、七の段が覚えられなくて、九九を覚えるまで帰さないといって居残りしろと言われて、できるようになるまで居残りさせられましたよ。それをやってもらったから自分はできるけど、恐らく今、学校の先生が生徒を粗雑に扱ってやってくれないのではなくて、そういうふうにやってあげる時間がないってことだと私は思う。そういう時間をつくるってことが基礎学力の定着ということだし、家庭学習もあるけども、やっぱり家庭の環境というのはいろんな、その家庭の違いがあるから、家庭の違いに関係なく学校という場に出てきてもらって、学校で家庭の違いというものの差異を、差の影響を受けない形で学校に登校してもらって義務教育として受けてもらうということを通じて、家庭の影響を受けない平等な教育を提供しようというのが義務教育の基本的考え方なわけだから、そういうことを、漢字とかも含めてですよ。漢字とかだと、どうしても書き取り、書かなきゃ覚えないから家庭学習をしなさい、宿題としてやってきなさいということをしなきゃいけないんだろうけど、してこない生徒もいるし、漢字の練習帳をちゃんとしてるかどうか、花丸つけるとか丸つけるとか、そういうことをチェックする時間がないのかもしれない、私の頃はしてもらったけど。そういう時間をきちんと取ることのほうが、情報の処理の時間とか、何か金融リテラシーとか、分かんないけど、日本のもう何か現役を退いた経団連の在外活動をしてる人たちがやったほうがいいんじゃないかとかって茶飲み話で言ってるような話に付き合うよりも、子どもが一生暮らしていく上で必ず必要になることがちゃんと身についているかどうかをきちんと、ある意味しつこく教える、しつこく教育するということに重点を置いてほしいと思ってます。

 なので、もう分量を減らすしかない。分量を減らすのは、ベーシックなところをきちんと押さえるということに重点を置いて、ベーシックなところを早々クリアする人たちにはアドバンスの内容を教える時間と、基礎が定着してない子どもには基礎を定着する時間、授業を分けてやるというふうなことも含めて、やるしかないと思うんですけどね。

 なので、ともかく難しいことをやらせて、授業をやったから身についてるとかっていうことの虚構の積み重ねが砂上の楼閣になってるというのが小学校6年生の一斉学力調査のあの惨たんたる結果なので、ともかくKPIとかって言うぐらいだったら、あれが一番分かりやすいKPIですよ。文部科学省が何か総ざんげしなきゃいけないような、惨たんたる結果じゃないですか。だからそれをちゃんと、政治家もおられるわけだから、大臣も副大臣も政務官もおられる。与党には部会もあるんでしょう。あの結果を見せて、こういうことをやんないと、もうもちませんということを赤裸々に議論してもらう。当然、結果的に間違った過重な内容を盛り込むことを推進してきて、それを是としてきた委員の方々もおられるかもしれないけど、間違ったものは間違った、改めるにしくはなし。学者さんだったら自分の間違ったことなんて、それはちゃんと認めてやらないと、それは学者じゃないよね。それは真実を追求しなきゃ駄目。真理、真実から目を背けて空理空論を振りかざすとか、自分の言ったことが間違ってないというふうに固執するなんていうのは、有識者でも何でもない。有識というか、害悪をまき散らす有識者だね。

 なので、私は一斉学力調査の分かりやすい結果が出てるから、それを見て、このままでいいんですかっていうふうに問うたら、そんな結論、ほかにいい方法があるんだったらやってくれればいいけど、普通に考えて、このままでいいなんてならないでしょう。あの結果を見てこのままでいいって言うんだったら、もう正直言って、その人たちは教育政策にタッチすべき人たちじゃないと思う。もう何か、100万円でも渡すから、もうお引き取りくださいと。日本の子どもの教育にタッチしないほうがいいと思う。あの数字を見て、今のままでいいなんていうことを言う人がいたら、それは教育に携わってはいけないと思いますよ。

 長くなりましたけど、基礎学力の定着というのは子どもの人生を大きく左右する。それを小学校1、2年生の内容を小学校6年生まで、もう半数近い人たちに身につけさせられてないんじゃないかというふうに疑わざるを得ないような結果が出てる。これ、はっきり言いますよ。よく石破政権の参議院選挙の結果を踏まえるべきなのか、世論調査の結果を踏まえるべきなのかというような意味でいくと、全国一斉学力調査って悉皆調査ですからね、悉皆調査になる。みんな、日本の小学校6年生、みんなに受けてもらったテストなのよ。だから総選挙と同じなのよ。総選挙の結果として出てる数字があれだから、逃れられないと思いますよ。もう何か、全小学校6年生の悉皆調査の統計データとして、もう本当に、ある意味、簡単な問題が5割前後しか正答してないわけだから、それは今のままでいいわけがないでしょ。

 ということで、私は学習指導要領(基礎学力定着)についての良心的ストーカーとして、この問題については一歩たりとも引かないつもりです。ともかく政治家も行政官も有識者も、この数字を見て、このままでいいって言うのかというふうに問うたら、このままでいいですって言えないでしょ。ということをいろんな場を通じて言っていくつもりであります。

 なので、ある意味、進度別学習みたいな世界になるかもしれません。でも、それは公平じゃないとか、何か差別されてるとかって、子どもを差別することになるといったところで、形式的に平等に扱って、実質的に学力を身につけさせないということのほうがよほど人権侵害だ。同じ授業を受けさせるという形式をもって、結果的に必要な学力を身につけられない子どもを多数発生させるというのは、形式的に平等にするために実質的に子どもを不平等にしてるということなので、実質的な平等を目指すべきだというふうに思います。

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