7月15日質問項目6
6.最低賃金
○時事通信:時事通信社の江上です。よろしくお願いします。
話替わりまして、最低賃金についてお伺いします。
最低賃金について、政府が骨太の方針で、政府が示す基準よりも高い水準で最低賃金を引き上げた都道府県に対して補助金や交付金を支給する方針を示しました。県内でも最低賃金の引上げ金額についての協議が始まるなど、これから10月の最低賃金適用に向けて、各地で議論が活発化するかと思います。この点について、政府が示した方針、政府の水準よりも高い水準で引き上げた都道府県に対する補助金とか支援を行うことについての御所感と、県として、県内の中小企業支援等補助金を打ち出すなど、行政側から引上げに向けて働きかける考えがあるかについてお聞かせいただければと思います。
○丸山知事:1つ目は、そもそも最低賃金って、都道府県別に決めてますけど、政府の仕組みで決まるんですよね、労働局とか。何でそれで都道府県に補助金出すとかって、そんな話になるんですか。そんなもん、もし補助金出すにしたって、国の直接執行でしょう、普通。何で国が基準を示して、国の労働局がつくった審議会で議論して決めるっていう仕組みの話を、都道府県に経由して補助金出すとかって、何でそんな話になるのかってさっぱり分からない。そもそも高くしたからといって補助金を出すって言ってますけど、それは未来永劫出すんですかと。そんなの、高くしてあげたら補助金出しますよといって、補助金出すっていったって、どこかでやめるんでしょう。
何か、そんなの偉そうに言える話じゃないし、結局のところ賃上げって、事業者の皆さんが自分の利益の中からというか、その費用の中から工面して、売上げの中から工面して経営者が捻出するしかないわけですよ。それを補助金出すんだからやれとか、そもそも私からすると、賃上げが公約になってるって、多分そんな、賃上げって、経営者がやるのに、何で政治家が、何か自分がやったような顔をするんだって、多分本音、企業経営者の皆さんは多分怒っておられると思いますけど。何かちょっともう、そういう感覚を変えないと、賃上げをできるようにしてないんじゃなくて、やりようがないから困ってるんであって、それを、補助金を出すっていうんだったら、ずっと補助金出してくださいよと。申し訳ないけど、何で都道府県がそこで絡むんですかと。最低賃金を決める仕組みは国の中で完結するでしょと。そんな訳の分からないことをするから、本当にね、こんな苦境に立ってるんですよ、多分。
だって、賃上げって、地方の経営者が、中小企業の経営者が何か賃上げしなきゃいけないって分かってるのに、賃上げする余力もあるのにやってないみたいな、そんなことないわけだから、もう。さんざっぱら分かってる話を、補助金出しましょうとかって、じゃあ、つまりそういう、政府が企業の給与の一部を未来永劫出し続けるなんてするわけないってみんな分かってるから、何か、ああ、いい政策だと思う人は、まあいないと思いますよ。何考えてんでしょうって感じですよね、はっきり言って。だって、賃上げは結局、経営者がやるしかない。
この前も、昨日も農業者の皆さんとの意見交換に出たけど、農事組合法人だって同じですよ、農家だって同じなんです。多分個人でも、アルバイトに来てもらってたら、最低賃金ってほぼ直撃ですよ。それを、米は今年はよかったけど、野菜とかは上がってるわけじゃないし、年々きついっていう話ですよ。それを、何か賃上げ、最賃を1,500円にするんでしたっけ。それ、その補助金出すからいいでしょって言ったって、どうせ、その500円分出してくれるわけじゃないでしょ、ずっと。500円出せるような環境をどうやってつくるかってことを示してほしい。500円にしても非正規手当を、それは経営者の皆さんだって思ってる。でも、今の経営環境でいくと、そういうことができる環境にとてもないから、そういう環境をつくってくれるかどうか。どうせ補助金なんて、うまくいったって3年ぐらいで切られるのは分かりきってる。その後、賃金上げちゃったものを下げるわけにいかないんだから、最低賃金ね。そうすりゃ自力でやんなきゃいけない。そのときにできるかどうかっていうこと。みんな考えてますよ、そんなの。
なので、まず都道府県がかむ理由というのも制度論として分かんないし、やるんだったら政府がやればいい、政府が。何でそこで逃げるのよ。LPガスだって、何で都道府県がやってんだとさんざん言ってるけど、何で最賃決めてるの厚労省とか労働局なのに、何でそこで都道府県知事がいきなり出てくるんですか。さっぱり分かんないよ。ということで、いい政策だとは思わないですね。
で、何でしたっけ、後段は。
○時事通信:後段は、県として中小企業の最低賃金の引上げの支援みたいなことを打ち出す、補助金等を打ち出す考えがあるのかどうか。
○丸山知事:補助金なんていうことじゃ、補助金なんかで事が済むわけない。ないでしょ。だから私は……。全県調査だと思うんであれだけど、基本的にそういう環境をつくれるっていう、つくるために価格転嫁ができるようにするっていうことだし、そういった意味で、それをちゃんとやってくれないんだったら、もう本当に、法人税増税して大企業から、利益の出る企業から財政移転で、本当にそういう最低賃金の引上げ部分というか、もともと、だって最低賃金を、だって上げていく上で、上げていく目安額よりも超えたところだけ見ましょうってことでしょ。ここがきついって言ってるんですよ、みんな。こんな、これまで1,000円に上げていったペースだってきつかったし、それを上回るペースで1,500円に上げていこうとしてる。それを、国の基準額をさらに上回ったら、そこを見ましょうっていう話ですけど、違うんです。ここのところがきつくてどうしようかってみんなひいひい言ってるのに、ここを補助金で見てあげましょうって、何か夢物語みたいなことをされても困っちゃいますよね。多分、翌年にはまた上がっていくから、これはだからもう吸収しちゃうから、さらにもう一回上乗せしろってことなんでしょうけどね。
だから結局、ベースの賃上げ分は全部経営者がやらなきゃいけないわけですね。だから、そういう最低賃金の引上げっていうのはいい政策目標だと思いますけど、それを実現できる環境をどうつくるかと。それは、下請法の、何か名前変えて改正してもらったやつを厳格実施するとか、実際トランプ関税で受注減が起きてる企業にどうやってやってもらうか。今まではまだ受注減みたいなことを想定しなくてよかった環境だったけども、こうなると、製造業の中ではきついところも出てくるし、最低賃金は最低賃金だけじゃなくて、正規職員の方の水準が最低賃金プラスアルファで設定してあるところは、正規職員の皆さんの給料にだって影響するわけですよ。だって、アルバイトの人のほうが、より責任の重い正規職員の人よりも給料が高いっていうわけにいかないから、本体の給与にも影響するっていうことを含めて、みんなやりたいと思ってるし、やらないと人が採れないからやってるんだけど、それをどうやって、それをやるための原資をどう確保するかということに四苦八苦してるわけなので、そっちの道筋を示さないと、上積み分を補助金で出しますよ、1年だけみたいな話をしたところで、何のことですかみたいなことにしかならないし、もともとそういうのを政策にするのはやめてほしいってみんな思ってると思いますよ。経営者の皆さんの気持ちからすると、我々が血へど吐く思いでやってることを、自分がやったみたいに言われるのは片腹痛いって思ってると思いますよ。もう最低賃金のこれまで引上げだって、実績って言われるけど、やってるのは我々でしょと。我々の決算の中で、我々の利益を吐き出してやってるんでしょということなので、だから、そういう政策をつくるときに、企業経営者の皆さんの声を聞いてやっていないんじゃないですか。
本当に地元、今、選挙活動回られてますけど、今、支援を頼んでる人たちが、本当にそんな政策、評価してると思うんですかと。上げなきゃいけないというのは分かる。ただ、どうやって上げるかが問題。平和を求めるというのはみんな同じだよ、賃金上がったほうがいいって、みんな同じだよ。問題は、それをどう実現するかだよ。そこのところを、別に反対する人いないけども、それをどうやったら実現するか、実現できる環境をつくってくれよと、自分たちも一生懸命努力するからっていうことなので、そこの政策がやっぱり示されないと、やれる環境にないのに最低賃金だけ上がっていくので、結局、そういう最賃を理由とした廃業とかっていうのが生じかねないっていう状況になるんじゃないですか。
だから、補助金で支援するったって、多分政策論としてないし、政府がやるようなことってそんな、徳島か何かでやられたみたいですけど、そんな、みんなハッピーってなってないでしょう。だから、どこかで成功例があるわけでもない話を全国展開されても困りますよね。上げていくための環境をどうつくっていくか。だから、例えば……。まあまあ、そういうことです。
だから、価格転嫁できるように大企業からね、これまで大企業から、部品下げろとか上げさせないとかっていって剥がれてきた利益を取り戻せないわけですよ。これまで合理化して、新しい設備を入れて効率化したけど、効率化して原価下げた分を全部製品の値下げしろって言われて持っていかれたら、自分のとこに原資なんか残らないじゃないですか。そんなことをずっとやられてきてる中小企業に対して、皆さんの経営努力が足りないとか、そんなことを、本当にそんなふざけたことを言うなっていうことですよ。もう不当な搾取を受けてるのと同じでしょう、取引先に。その大本に大きな企業があるということが問題なわけですよ。その大きな企業のところを問題とせずに、外国人とか高齢者の介護とか、医療が手厚いとか、そういう瑣末じゃないですけど、我々もいずれその制度の世話になるのに、そこのところを目先の判断で悪くして、何とかその場をしのごうみたいな話をしたってどうしようもならない。負担能力のある人間にもらっていくっていうことです。負担能力のあるセクターに、もっと負担をしてもらおうということですよ。
我々、今の今回の選挙結果というのは、もう個人、国民の一人一人に社会保険料とか税金の負担をもっと求めていこうというのは、もうやめてくれと言ってるんだ。というのが、減税路線の政党のほうが伸ばしてるというのはそういうことでしょう。だから、そういう中でいくと、もう大企業に対して、これまで下げてきた法人税を一部戻すということを真面目に議論しないと、減税減税と言ってきた政党だって財政運営できないですよ。何が起きるかというと、金利上昇、円安ですよ。長期金利が上がって円安が進んで、さらに物価高になりかねない。これ以上財政悪化させると、金利上昇と円安で、金利は上がるわ、円安は進むわで、輸入物価のアップで、さらに物価上昇が進む。減税すればいいっていうそんな単純な話じゃないことはもう明白だから、選挙結果を踏まえて、それは公約は公約ですけど、本当にどこまで実現できるのかというのは、塗炭の苦しみをしないとできないと思いますよ。そんな簡単にできるんだったら、それは無税国家をつくればいいんだから。そんな減税ができるんだったら無税国家できてますよ。できないでしょう、無税国家なんて。
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