7月2日質問項目3
3.合計特殊出生率
○山陰中央新報:先日、出生率の発表がありまして、2年連続過去最低ということになりましたけれども、どういうふうにして今後取り組んでいくかという点も併せて、所感をお願いいたします。
○丸山知事:やっぱり出生というか、子どもをつくるということをためらわざるを得ないという社会環境を変えていかないといけないということだというふうに思いますので、実質所得が下がり続けてるという現状の改善、そして子どもの教育、子どもを育てるというプロセスに、私、昭和45年生まれですけど、私と同じプロセスを経ようと思ったら、私のときの費用よりも、多分何か3倍とか4倍ぐらいお金かけないと同じ人生たどれないみたいな状況になってるように私は感じますから、ともかく子どもを産み育てるということに対するハードル、子どもを一人前にするってことのハードルがすごく上がってるという社会環境、社会システムを変えていかなきゃいけない。
東京の一流企業のぴかぴかのところに入らないと、もうあとは負け組だみたいな、こんな社会を早く変えていかなきゃいけない。私の時代はまだまだ、つまり1970年生まれの年代は、私の親なんかは、私の家は基本、親の務めは高校を卒業させて就職に必ず必要になる自動車免許を取らせるまでが親の務めだと、親はそう思ってました。だから大学に行かせるというのはプラスアルファで余計なことをさせてると、してあげるんだというふうに言われて大学に行きましたけど、ちょっとそういう人たちが90%だとは思いませんけど、何とか県立高校とか、高校を卒業させていけば何とか飯は食っていけるし、社会的に自立できるという感じで、うちは子ども3人ですけど、何かそんな感じで、もう子どもをつくれなくなってるということを変えていかないと、何かね、いけないと思いますよ。
もう一つ言うと、うまく立ち回らないと成功できないとか、一人前になれないみたいなことじゃなくて、普通に努力していけばちゃんとした生活ができるという安心感、これがなくなってるということも含めて、これはちょっと、東京と地方とかって話の前にですよ、うまく立ち回るとか、努力をするにしても、普通に努力してても、努力してるだけじゃいい生活なんかできないという社会というのを早く戻さなきゃいけない。何かちょっと抽象的ですけど、そういうふうに思います。
うまく立ち回らないとみたいなものって、こうかつじゃないと成功できないみたいな社会になっちゃってる。そんなんじゃ、おちおち子どもを社会に出して幸せになれるかどうか分からないような、そんな社会に子どもが生まれてこないということだと私は思うので、そういう子どもを育てるとか、子どもを一人前に自立させようという責任感を持ちながら子どもを産み育てるわけですから、それをちゅうちょせざるを得なくなってるという様々な問題を、ちょっと牧歌的な見方かもしれませんけど、何か牧歌的に戻さないといけない。今のようなぎすぎすした競争社会、行き過ぎた競争社会とか行き過ぎた功利主義とか、出し抜き主義みたいなことを、もう早く改善しないといけないと思ってますし、その象徴である東京、東京一極集中っていうか、超過密が行き過ぎて、もう23区の東京のマンション、平均マンション価格1億1,000万超えでしょ。皆さん東京に戻られる方もおられるかもしれませんけど、東京に戻ってもマンション買えるかどうか分かりませんよ。東京に出ていきたいっていう子どもがいても、行ってもね、それはやめとけと、行くんだったら、もう広島とか大阪にしとかないと、マンションの一つも持てないとこ行ってどうすんだっていうふうに説教しなきゃいけない時代になったということですよ、本当に。1億円なんて、固定資産税とか税金払うので大変ですよ、これ、保有コスト。ぽっと出で出ていって、自分たちの、我々の子どもとかが出ていって、私の年代だって、今55ですよ。昭和、私の年、大体1969年の学年なんだけど、1969年の学年の人間が今、私の同期だと、そろそろいわゆる肩たたきに遭う年代で、公務員住宅、職員住宅にも、もう出ていってくれって言われる状況になって、マンション買おうと思っても、高過ぎて買えないといって慌ててますよ、みんな、本当に。どこまで離れればいいのか、東京からね。どこまで古くすれば、中古のマンションの古いのに替えれば買えるか、そんな世界になってます。普通に公務員として努力して仕事してきた人間がマンション買うのが難しいというのはもう既に発生してるんですよ、発生してます。だから、住みにくい、成功者はごく僅かしか発生しない街なんですよ。ということを我々も子どもさん方に伝えていかなきゃいけないなというふうに思いますし、マスメディアは東京で商売してる、東京のローカル局を兼ねてますからね、テレビ局なんて。キー局って、関東ローカル局を兼ねてるでしょ。東京はホームグラウンドだから、東京の悪口言いませんよ、東京一極集中はね。東京はいいとこだという情報をローカル局が、ローカル局の電波を使って関東ローカル局の番組流すわけだから、そういう情報につかっちゃってそういうふうに思ってしまうのは仕方がないことなんで、それを是正するってことをふるさと教育とか我々大人の側がきちっと伝えていくということをしなきゃいけない。
ちょっと何か話がごちゃごちゃになりましたけど、島根県として取り組むことと、日本全体として取り組むこと、両方だと思います。やっぱり子どもを産み育てるということのハードルをここまで上げて、つまり子どもが生きにくくなってる。子どもが生きにくくなってるし、子どもを育てにくくなってるという状況を改善しないと、生まれる子どもの数が増えない。
先進国はどこも少子化に苦しんでるんだから改善なんかできないでしょって諦めちゃったら、それはもう先進国を将来脱落しましょうっていうことに、諦めることになりますけど、その議論がもう一つ間違っているのは、その例外はアメリカでして、アメリカは移民を入れていくと。まあちょっとトランプさんは厳しくやってますけど、これまでの経過は、移民を入れて、移民の皆さんというのはカトリックが多いんで出生数が多くて、人口減に苦しむことがないという社会構造をつくって、アメリカというのは国内市場を常に大きく保ちながら世界の中でプレゼンスを取ってる。つまり人口が大きいということ自体で、やはり強い立場を得てる。中国も、これから超高齢化が進むんだと思いますけど、これまでも人口の大きさ、そういうふうなマーケットの大きさというのがプレゼンスにつながってる。それはもう小さくなっていくんだというふうに諦めなきゃいけないというのは一つの選択肢ではありますけど、そんなことをして、じゃあ次の展望が開けるのかと。開けてないでしょ。やっぱり社会を変えて、社会を変えてって、少しちょっと昔に戻して、もう一度牧歌的にやっていくということを考えないといけないと思いますね。今の状況ではそれなりの理由があって、必要があって出てきた変化だと思いますけど、その変化の悪い弊害が大きくなり過ぎてるっていうことが今のこの少子化の原因だと思いますので、ちょっと巻き戻さなきゃいけないというのがざっくりした私の感覚ですよ。
私みたいなのでも県知事になれるような社会に戻さなきゃいけない。今、私みたいな人生、何か再現するのって、もう、めちゃ難しいですよ。専業農家の長男に生まれて県知事になれるっていう社会でした、私は、まだ。今、そういうことって、今、私がたどってきた人生をもう一回繰り返せるかっていうと、私が行った高校はね、もう全然、むちゃくちゃ偏差値上がってて、もう、まだ久留米にあるんですけど、久留米の地元の子なんかほとんどいませんよって、この前、校長に言われましたよ。もう九州一円から、新幹線で鹿児島から来る。違う、熊本か。九州新幹線で熊本から通ってくる。かつては男子校だったんで男子だけの競争でしたけど、今は当然男女共学になってて、女子も含めて競争ですから、とてもとてもあなたぐらいの学力じゃあ、もう合格なんかできませんよって、そんなもんです。どんどんランクが上がってる。
そうやって、それは競争とか何でも増してるっていうことでありますけど、その何でも増すことに、難しくすることによって得られるリターンがどれだけあるのかということです。弊害のほうが大きいんじゃないのか。そんな難しいお勉強を早くからやることで、日本の社会が豊かになったりしてるとは思えないから。ちょっと何か哲学的ですけど。ごめんなさい、何か。そんな感じです。
○山陰中央新報:すみません、ありがとうございました。
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