6月11日質問項目7

7.米価高騰

○読売新聞:お米のこともお聞きしたいんですけれども、今もなお、お米の価格高騰が続いていますが、政府のほうでは生産調整を見直す方針を先日固められました。増産によってお米の価格が下落し、農家の経営難を防ぐために所得補償も検討されているようです。この政府の一連の対応についての御所感など、伺えますでしょうか。

 

○丸山知事:今、小松さんがおっしゃった話は、何かちょっと正確じゃないと思うんですけど、小泉大臣は戸別所得補償、考えてないとはっきり言い切ってますので、立憲民主党はそう言ってるのかな、分かりませんけど、報道が錯綜してますからよく分かりませんけど、まずは、今の小松さんの話の中のちゃんと整理しなきゃいけないポイントは何かというと、減反を、米を作るなということを役所側から指示をしたりしてたのかということでいくと、それはしてないんです。ただ、米以外のものを作っても、米を作るのと比べて損が出ないような、ソバだとか大豆だとか、多品目に対して助成金を出すという制度をやってました。それはどういう目的かというと、水田をフル活用していこうと、水田を耕作放棄地みたいにしないように、今せっかくある水田をきちんと維持していくために、米を作らないとしても、ほかのものを作ってもらう。なおかつ、米の価格が長らく低迷してましたんで、米からほかのものを作ってもらうというのは、米のさらなる下落を防ぐことができるので、米価のさらなる低下を防止する効果を持っていたということだと思います。

 それは、私は全くもって正しい政策だと思うんです。今のその政策が全くもって正しくて、農家に好きなだけ作らせてないからこんな米不足になるんだという間違った指摘をされる方がいます。これは完全に間違いです。こういう助成金も設けずに好き勝手にやっていたらどうなっていたかというと、今年のJAしまねの60キロの概算金は最低2万1,000円と言われてますよね、2万1,000円。去年は1万6,800円が最初の概算金で、プラス1,200円追加金を出すと言ってますので、JAの支払う金額というのは1万8,000円ですよ。それに対して1万1,000円を割ってた時代があるわけです、1万1,000円いかない。1万1,000円いかないということは、要するに2万1,000円の半分ぐらいだったときがあるわけですよね。それよりもさらに下がってたらどうなってるかというと、1万1,000円でぎりぎり作ってた人が作らなくなってるわけですよ。それもうやめてますよ、とっくに、そんなことをやってたら。とっくに作らなくなってて、この米不足が数年前に発生してますよ。好きに作らせときゃよかったんだって言う人いますけど、それは今の値段じゃないわけだから。だって、コロナの頃なんて、私、コロナの交付金使って米の増量キャンペーンやってたんですよ、県費で。5キロのものに1キロ、県費でお金を出して6キロ売ってくださいって、5キロの値段で。米が余って、米が下落して。そういう時代に好き勝手作ってくださいって、今は別に生産をどんどん拡大しろなんていうふうにやっていたらどうなっていたかというと、米が下落してた。一旦下落して、作らなくなって生産量が減って、こんな、いずれ今のような状況がもっと早く来てた。

 なおかつですよ、なおかつ作らなくなった土地をもう一回生産しようと思ったって、できないですよ、すぐには。草ぼうぼうで、草だけじゃないですよ、草ぼうぼう、灌木が立って、そこには、野っ原だからいろんなものの種が、耕作したところで田んぼの代をかいたところで、そこには雑草の種がいっぱいあるわけですよ。それがどうなるかというと、稲を植えたところで、雑草がどんどん生えてきて、農薬、何回も振らなきゃいけないとか、反収取れない。そんなことになって、どういうことかというと、今回、作付増えてるでしょ。作付増えてるのは、そうやって水田をちゃんと使い続けてください、ほかのものを使ってても、米が作れなくても、米が安いから米を作らないんだったら、大豆でもソバでも何でもいいから作ってみてくださいよといって補助金を出していたから、それを今、切り替えて米にしてくれてるんですよ。一番典型なのは飼料用米です。飼料用米から、家畜が食べる米から種類を替えて主食用米にしてもらう。またはWCSという稲わらを作ってたところを米にしてもらう。ソバやめて、大豆やめて米に切り替えてるから生産拡大ができてる。だから、何で生産できてるかというと、そういう政策をやってるからですよ。そんな政策やってなかったら増産なんかすぐできないんですから。どこで増産するかって、耕作放棄地が田んぼに替わってるわけじゃないんですよ。ほかのものを作ってた田んぼが米に替わってるんで、ほかのものを作るための政策をやってくれてたから、今、主食用米に切り替えることができてる。つまり、米がもっと必要になったときに米に振り替えることができるようになってる。そういう政策をやってくれてるからなんです。

 なので、米を自由に作らせればいいって言う人たちは、米が高いときだけをイメージして、今のこの瞬間をイメージして言われてますけど、安いときに、もっと安くなるっていうことにどう備えるとかないからね、ないから、それはさっき小松さんがおっしゃったように、所得補償しないと、そんな、もう怖くて米なんか作れない。どんな値段になるか分からないのにってなるから、戸別所得補償と一緒にならないと実現できないと思いますけど、でも、戸別所得補償って、単に予算だけじゃ駄目ですよ。法律つくって、ちゃんとそういう補償をするっていうふうに法律上ちゃんと決めないと、お金がないから削りますみたいなことを平気でこれまでやられてきてるわけだから。ちょっとそれはイントロです。

 今の米の、農水省、それから小泉大臣がやられてることっていうのは、私は適切だと思います。何かというと、ものすごくざくっと言うと、令和5年産米の米っていうのは、島根県のJAでいうと、ざっというと60キロ1万2,000円です。じゃあ、去年の、去年というか、令和6年産米の米は幾らかというと、さっき言ったように1万6,800円に1,200円足されて1万8,000円だから、1万2,000円が1万8,000円、50%上がってます。単純に分かりやすく言うと、60キロだから1キロに直すと1キロ200円だったものが1キロ300円になってるってことですよね。1万2,000割る60は200でしょう。1万8,000割る60は300ですよね。だから、令和5年に比べて令和6年の米というのは1キロ当たり200円から300円に、農家がJAに売り渡すとしたら、その金額は100円分上がってる。それに対して、じゃあ小売の価格は幾らなのかといったら、よく言われるのは、今、5キロ4,000円って言われますわね、5キロ4,000円。去年の倍になってると言われますよね。ということは、去年は5キロ2,000円だったということは、割り算すると1キロ400円でしょ、1キロ400円。小売ベースでいうと1キロ400円だったんです。1キロ400円のものっていうのは、そのうち原価として農家さんの取り分は200円でしょ、200円ですよね、さっき言った200円。だから、農家さんの手元から離れるときに200円、それから先で200円かかってる。だから200円に200円が乗っかって400円で売られてたのが去年です。去年というか、おととし取れた米はそうです、令和5年産米ね。

 今問題になってるのは、令和6年産米はどうかというと、さっき言った、農家の取り分というか、農家が売り渡すお金、300円でしょ。じゃあ1キロ、4,000円で5キロだったら、割り算すると800円ですわね、800円。今は300円で農家が売ったものが800円で売られてるわけですよ。差額は500円ですわね、500円。去年の200円の流通の乗せ具合に比べて、今年は200円じゃなくて500円になってるんですよ。米価の、今言った400円から800円に、確かに2倍になってる。400円上がってるうちの100円は農家さんでしょう。でも300円は流通なんですよ。細かな話でいきますけども、これは米の卸だと言われてます。米の卸さんの営業利益がすごく大手が伸びているので、その多くは米の卸さんが乗せて売られてるのではないかというふうに言われてます、JAではなくて。

 ということは、何かというと、米が高い低いっていったときに大事なことは、米の値段が2つある。農家の皆さんが言っているのは、さっきの200円とか300円の話。消費者の皆さんが言っているのは400円が800円になったって話。だから、私が言うのは、農家の皆さんが今でもきついと言っているのは、300円だってもうちょっと上げてほしいと言ってるんです。でも、決して800円のものを900円にしろとか1,000円にしろと言ってるわけじゃないんです。農家の皆さんは、200円から300円になって一息ついたけども、それでもやっぱりきつい。大規模に作れないところはまだまだきつい。まだまだいろんな機械を買わなきゃいけない。300円だから、もう万々歳というわけではないですよというふうに言われるのが誤解されて、1キロ800円じゃなくて900円でも1,000円でもいいじゃないかみたいに誤解されてたたかれちゃってるけど、それは言ってる数字の中身が違う。200円から300円、300円をアッパーというふうに言われてもきつい。もうちょっと上がんないだろうかという話があって、実際にJAが今回、令和7年産米で2万1,000円と言っているのは、60で割ると350円でしょ。だから、そういう声を受けて、もうちょっと買取り価格を上げようというふうにJAしまねは最低保障を提示してるってことです。

 問題は800円なんです、800円。800円です。800円の元は農家じゃないですから、農家やJAじゃないんです。だから全国の流通の世界の中の大本、米の流通の大本にある卸の皆さんが、やっぱり昨年の令和5年産米、だから去年の夏頃に米が足りなくなって大騒動になって、今日も山陰中央新報さんの記事で書いてあったけど、あのときに安定供給しなきゃいけないから、もう赤字覚悟で、契約を、売渡し金額は上げれないけども、高い米をかき集めて大赤字を出しながら商売したっていうのが令和5年産米の話で、その教訓もあって、やっぱり量を確保しておきたいという引き合いが強くて、農家の支払い額も上がっていった。そして実際、卸の皆さんが仕入れたお米をどう売るかといったときに、じゃんじゃか売っていくんじゃなくて、やっぱり売り切れ、新米が出てくる前に自分の在庫が尽きてしまうと、また同じことが繰り返されるから、出す量を、気前よく出せないということ、これが合成の誤謬だっけな、何かそういう、ミクロではそれぞれ合理的な判断が積み重なって、結果的にどうなったかというと、米の売り渋りみたいになって、高値、800円まで行っちゃったということですから、これは、その800円をどう評価するかというと、高いです、高過ぎる。

 これは農家の皆さんも怒るけど、200円のものが300円、300円のものが350円になるのは、それはいいと思う。でも、最終価格が800円の水準では、やはり生活者は困る、消費者が困る。で、どういうことが起きるかというと、ちょっと一部の新聞は書かれてますけど、カリフォルニアの米を、ミニマムアクセス米とかっていうんじゃなくて、高関税と言われる、高関税ってどういうことかというと、1キロ341円という、かつてこの金額を設定していれば日本に輸入米は入ってこないだろうと思われて設定された341円の高関税を払っても国内で商売になるような輸入米が今売られてるんですよ、イオンで、カルローズ米かな。カルローズという米が4キロ2,900円ぐらいで売られてるわけです。なぜ4キロかっていうと、多分3,000円を超えないようにですよ。5キロじゃなくて4キロにしたのは多分3,000円を超えないように。それは単純に計算すると、4キロで2,900円を割ったら七百五十何円でしょ、2,800円以上だから。4で割ると750円ぐらいかな、750円。

 さっき言った800円って、高いですよね、高いでしょう。厳密に言うと今4,200円ぐらいだから850円なんです、5キロで割ると。4,200を5で割ると850円でしょ。100円差しかないわけです。だから、多分さすがにカリフォルニア米の品質が上がってるとはいえ、日本の銘柄米ほどの味とか粘りとか香りはないとしても、そこに100円払う、1キロ100円だから、5キロ袋で500円なんて払うつもりはない。つまり500円安いほうがいいという人はそっち買いますよね。そこまで粘りとか食味とかまで米に求めないっていう人は、500円安いほうを買いますってなると何が起きるかというと、日本で高関税がかかって入ってくる、商社が仕入れて、商社が多分精米とかをかけてパッキングしたものが、大手の小売店などに入っていって定着するわけですよ、今の値段のままだと。1キロ800円とか850円のままで継続したら、高関税を払ってもなお、1キロ750円ぐらいで売れる米が日本で定着してしまったら、日本の農業は崩壊するでしょ。

 日本の農業が崩壊したら、米を作る人が、今作ってる米が要らないってなって暴落したら、米作らなくなりますよね。米作らなくなったら、いざというときに、つまりいざというときとはどういうことかというと、今はアメリカから外国産米入ってきますけど、向こうで不作になるとか、例えば禁輸になるとか、もう向こうが気候変動で作らなくなるとかってなったときに、物が入ってくる前提で考えてますけど、別にウクライナの侵攻のときに小麦が入ってこなくなったように、入ってこなくなったら本当に食べれなくなりますよ。だから食料安全保障にならないでしょう。つまり最後は消費者が困る。でしょ。

 なので、私は小泉大臣が一生懸命やられているのは、まずは1キロ800円以外のお米の選択肢を国民に提示するということを今回一生懸命やられてる。これは正しいと思う。それが波及して、ある意味、売惜しみみたいになってたところが、もうシーズン終わりだから、もうこのまま高値でいけないかもしれないといって、ちょっと本体の銘柄米の値段低下にもいくのではないかというふうな勢いになってきてる。私はそうなってくれたほうがいいと思う。なぜならば、やっぱりもうちょっと下がらないと、これ感覚的に言うと、高関税を払ったカリフォルニア米よりもやっぱり下がらないと、日本の稲作とか米作が本当に崩壊しかねない。そこが一番の今回の米問題の中核だと私は思う。日本の、今年、米が高いって話もそうだけど、日本の米作りが外国産米に代替されてしまうっていうこと、そういう構造的な米作りの危機がもう発生してる。それを回避しようと思うと、やっぱり高過ぎる小売米価を下げていかないと日本の農業は守れない。そのために、ちょっと物議を醸してますけど、備蓄米がもう底を尽きる、備蓄米が尽きてしまうと、もう業界の皆さんからすると、もう農水省、小泉大臣が打つカードがなくなる。だからもう価格低下の駒がないというふうに見切られてしまったら、これは下がらないので、やっぱり農水省、小泉大臣として、日本の農業を守る、日本の農業を外国産米から守るためにやむを得ず、僅かな外国産米を活用する、緊急避難的にね。備蓄米がなくなってしまうから。決して外国産米に依存しようというわけじゃなくて、外国産米に依存をしてしまうかもしれない今のような状況を変えるために、万やむを得ず外国産米を備蓄米の代替として活用するということであれば、それは日本の農業にとって私はいいことだと思う。

 外国産米ということに対して非常にアレルギーが農家の皆さんあるけれども、今起きてる、私はメディアの皆さんにも本当ちゃんと報道してほしいんですけど、今の日本の農業の少なくとも一番最大の問題は、外国産米がもう日本の米市場を席巻してもおかしくない価格になってしまってる。それを早急に改善しないと、日本のお米が、日本の農家が作られたお米が日本の消費者から見放されてしまう、それが一番の日本の農業にとっての危機だと。それをやっぱり避けようと思うと、高過ぎる、流通の皆さんが高いマージンを取ってしまってるところをやっぱり改善していかないと消費者に理解をされない。消費者から見放されないように、これは農家の皆さんのせいじゃないですよ。流通の世界の中のにらみ合いの、ポテンヒットみたいな世界なんだけど、なかなかこれがこれまで直ってこなかった。備蓄米を普通に入札で流すだけでは直ってこなかった。だからもうある意味、強権発動で指し値で売る、低い価格で売るという、非常にこれまでにない対応をされてここまでの流れをつくられてる。

 やっぱり5キロ2,000円の米を出すっていうだけではなくて、今5キロ4,000円で売られている米をやっぱりもう少し下げていく。外国産米よりも下げれるっていうことをやっていかないと、日本の農業の先行きが本当に危うくなる。そのために、ある意味、マーケットから、米のマーケットの参加者の皆さんから米を下げるための手札を小泉大臣がきちんと持つ、農水省として、政府としてそういう手札を持つために、備蓄米が尽きた後の弾として、そういう放出の弾として、外国産米を一時的に活用するということというのは、後々の日本の、これからの日本の米作りのために、緊急避難的にやむを得ない合理的な選択だと思います。

 つまり、外国産米に席巻されないように、外国産米に取って代わられないように、まず大きな外国産米を入れないために、小さな外国産米を一時的に入れるということっていうのは、私は合理的で、日本の農業を守るために適切な、というか、ほかに手がないので、いい政策だと思いますよ。私は外国産米ということに対する農家の皆さんのアレルギーが強いのは承知してますし、不安に思われるのは分かりますけども、その不安よりも、この状況が続いてしまうと、本当にカリフォルニア米でいいんじゃないかとか、カリフォルニアに次ぐ外国の産地から出てきて、そういう産地が日本の国産米から置き換わっていってしまう、この米の値段が続くようだと。なので、ともかく今、小売の皆さん、卸の皆さんがちょっとたくさん取ってるマージンを下げざるを得ない状況にやはり持っていくためにも適切な措置だというふうに思います。以上です。長くなりました。

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