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新春知事対談

強みを磨き、地方の先進県へ

坂根正弘コマツ相談役(右)と溝口善兵衛知事の写真
坂根正弘コマツ相談役(右)と溝口善兵衛知事

 

 

県は昨年10月、地方創生を目指す戦略として「まち・ひと・しごと創生島根県総合戦略」を策定しました。浜田市出身で政府の「まち・ひと・しごと創生会議」構成員を務める坂根正弘コマツ相談役と島根県の溝口善兵衛知事が、「島根の地方創生」について語り合いました。

 

 

 

坂根正弘コマツ相談役の写真
坂根正弘:コマツ相談役

 

坂根正弘(さかね・まさひろ)

浜田市出身。大阪市立大工学部卒。昭和38年に建設機械メーカーのコマツ(株式会社小松製作所)入社。小松ドレッサーカンパニー(現コマツアメリカ)社長、コマツ代表取締役社長、同会長を経て平成25年から現職。元経団連副会長。国家戦略特別区域諮問会議議員、経済産業省総合資源エネルギー調査会会長、まち・ひと・しごと創生会議構成員を務める。平成27年に浜田市名誉市民。

 

 

溝口善兵衛知事の写真
溝口善兵衛知事

 

地方創生提唱の先駆け

知事:
政府は地方創生を重要課題に位置付け、取り組みを本格化させています。こうした政府の取り組みの火付け役になられたのが坂根相談役ですね。


坂根:
平成24年に、自民党の新総裁に選ばれた安倍晋三氏(現首相)に頼まれ、日本経済再生本部の第一回会合で講演しました。講演で、日本は東京一極集中の結果、大都市も地方も成長機会を失ったことや、地方創生をしなければ問題は解決しないことを訴えました。この講演が、政府が地方創生に取り組む契機になったと思っています。


東京集中が少子化招く

知事:
坂根相談役は以前から、人口や経済の東京一極集中が日本の少子化を進めたと指摘し続けておられます。


坂根:
企業や若者が地方から東京へ流出し続けた結果、地方は農林水産業をはじめとして産業が衰退しました。一方で、女性が長く働き、キャリアアップを目指そうとすると、子どもをつくることが難しいのが東京の論理です。東京一極集中を是正しなければ日本の少子化は止まりません。


女性が輝く島根へ

知事:
平成26年の合計特殊出生率は島根は1.66(全国平均1.42)で全国3位です。また、平成24年の25〜44歳の子育てをしている女性の就業率は、島根は約75%(全国平均約52%)で全国トップです。この数字は島根の子育て環境が優れていることの証左で、これが島根の強みです。


板根:
地方は3世代で同居したり、近くに親や血縁者がいたりして子どもの世話をしてもらいやすく、女性が子育てしながら働ける環境が整っています。コマツの例では、30歳以上の既婚女性社員1人当たりが産む子どもの数は、東京の0.9人に対し、石川は1.9人です。さらに、結婚率が東京50%、石川80%と大きく違っています。女性が子育てと仕事を両立できる地方や企業が増えることが、日本の少子化対策になります。


知事:
県総合戦略の基本目標の一つが「結婚・出産・子育ての希望をかなえる社会づくり」です。県は平成28年度、第1子(3歳未満)から保育料を軽減する支援制度を創設するなど、子育て支援を強化します。子育ての負担を軽減することで、女性が安心して子どもを産み、子育てをしながら働き続けられる環境づくりを進めます。


産業振興で若者の働く場を確保

知事:
坂根相談役は社長時代に、東京にあったコマツの本社機能の一部を石川県に移転されました。採用では本社一括から、地方採用枠を設けて、地方の雇用を増やされました。東京一極集中の是正、地方創生に率先して取り組んでおられますね。


坂根:
平成14年に本社の購買部門を創業地の石川県小松市の工場内に移管しました。平成23年には社内研修機能を集約し、小松市内に研修センターを建設しました。交通やITの発達で、地方でできる仕事も増えています。


知事:
県総合戦略の基本目標「しごとづくりとしごとを支えるひとづくり」の柱が産業振興です。島根にとって有望な産業がソフト系IT産業です。松江発のプログラミング言語「Ruby(ルビー)」を呼び水に、大都市からソフトやシステムの開発部門を島根に移すIT企業が増え、雇用が増えています。県は昨年10月に、松江市に「しまねソフト研究開発センター」を開設しました。企業のソフト、システム開発を支援して、さらなる企業誘致、雇用創出につなげます。


地方創生のダントツ県へ

坂根:
島根が元気になることが、日本全体の元気につながります。元気は競争の中から生まれます。コマツは強みの「ものづくり」を磨き、他社が3〜5年は追いつけない先進性を持った製品「ダントツ商品」を生み出し続けて、競争力を高めてきました。条件の決して良くない島根が後追いや、平均点で勝負しては、他地域との競争には勝てません。県と市町村が連携して強みを生かした特色ある取り組みを、他に先んじて展開していかねばなりません。私の持論は「隗(かい)より始めよ」です。島根の企業、自治体のリーダーが、それぞれ今できることから始めてほしいと思います。


知事:
今後、総合戦略を進める上で、参考になる提言を数多くいただきました。島根の強みである優れた子育て環境や観光資源、ITやものづくり産業などを磨き続け、市町村との連携を進め、県民の総力を結集して「子育てしやすく活力ある地方の先進県しまね」の実現に邁進してまいります。



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