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古代出雲の謎に迫る

出雲国風土記シンポジウムを開催

県は7月26日、東京都内でシンポジウム「出雲国風土記と古事記・日本書紀−出雲神話の深層を探る」を開催しました。出雲国風土記の歴史的価値や古代出雲について考察し、杵築(きづき)大社〔現在の出雲大社〕創建の謎などを首都圏の古代史ファンに紹介しました。

 

 

出雲国風土記シンポジウムのパネルディスカッションの写真
出雲国風土記シンポジウムのパネルディスカッション=東京都、有楽町よみうりホール

 

 

 

風土記とは地名の由来や、地形、動植物、習慣や風俗などを記録した書物で、713年(和銅6年)に全国に編さん命令が出されましたが、現存するのは常陸(ひたち)、出雲、播磨(はりま)、豊後(ぶんご)、肥前(ひぜん)の5カ国のみ。大半のものが部分的にしか残っていない中、唯一完本として伝えられているのが出雲国風土記で、古代出雲を知るための貴重な資料です。

 

繁栄した古代出雲


シンポジウムは県が昨年に続いて主催し、有識者による基調講演やパネルディスカッションを行いました。「出雲神話の深層」と題したパネルディスカッションで、立正大学文学部の三浦佑之(みうらすけゆき)教授は古代出雲について、日本書紀や古事記に書かざるを得ないほど繁栄していたと考察。杵築大社の創建についての古事記の神話や、米子市内で発掘された土器に高層建築が描かれていることなどを踏まえ、日本海側には高く大きな神社を造営する独自の文化があったことを強調しました。

県文化財課の丹羽野裕(にわのひろし)課長も、県内で銅鐸や銅剣など大量の青銅器が出土したことから古代出雲は日本を代表する勢力だったとし、ヤマト王権に大きな影響力を持っていたことが、杵築大社の創建につながったと推測しました。


古代出雲と日本海交流


駒澤大学文学部の瀧音能之(たきおとよしゆき)教授は、出雲国風土記の国引き神話など古代出雲が日本海交流をしていたことをうかがわせる神話があることや、杵築大社が高層だった理由について、灯台的な役割があったとの持論を展開しながら、古代出雲と海とのつながりについて語りました。

東洋大学文学部の森公章(もりきみゆき)教授も日本書紀から見た古代出雲の姿について、日本海交流の拠点だったと推測。ヤマト王権は古代出雲を地方勢力の代表と位置付け、杵築大社を創建したとの考えを示しました。


三書の特徴を紹介


基調講演では三浦教授が出雲国風土記・古事記・日本書紀の三書について、編さんの経緯や時代背景、特徴などについて話しました。

シンポジウムには満員の約1100人が来場して古代出雲に思いをはせました。


●問い合わせ先
古代文化センター/TEL:0852・22・6727


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