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ASEANパワーを島根に取り込め

島根・ビジネスサポート・オフィスの開所を祝う溝口善兵衛知事(中央)ら関係者の写真
島根・ビジネスサポート・オフィスの開所を祝う溝口善兵衛知事(中央)ら関係者=タイ・バンコク、同オフィス

 

 

東南アジアの10カ国で構成する「東南アジア諸国連合(ASEAN)」は、世界有数の成長市場として日本企業のビジネス展開が活発化しています。
平成26年9月、タイに、県として初めての海外支援拠点である「島根・ビジネスサポート・オフィス」を開設し、県内企業のビジネス展開を支援しています。

 

注目集める成長市場

 

 

ASEANの域内人口は6億人を超え、過去10年間で国内総生産(GDP)が2倍に拡大するなど、著しい経済成長を見せています。
ASEANは、若年層が多く、豊富な労働力を持った「世界の工場」として注目されるとともに、経済発展に伴う所得向上により消費市場としての魅力も高まっています。

 

また、ASEANは平成27年に、ASEAN経済共同体(AEC)を創設する予定です。
域内の関税が撤廃され、人やモノ、カネの動きはさらに活発化。
アジアでは中国、インドに次ぐ巨大な経済圏が誕生します。

 

 

ASEAN加盟国

 

タイに初の海外拠点施設を開設

 

 

県は平成25年度から、タイの展示会への出展などASEANでのビジネス展開の支援に本格的に取り組んできました。
ASEANの中でもタイは、インフラ整備が進み親日的であることから、日本企業が多く進出し、ASEANにおける製造業の拠点となっていること、また、高中所得層が増加し消費市場が堅調に拡大していることから、重要な市場として注目してきました。

 

そして平成26年9月、タイの首都バンコクに「島根・ビジネスサポート・オフィス」を開設しました。
現地事情に精通した日本のコンサルタント会社に業務を委託。
同オフィスでは、ASEANでのビジネス展開を検討する県内企業に対し、法制度や商慣習、市場動向などの現地の情報を提供。取引先の開拓や紹介、商談会や展示会の出展支援などを行います。

 

 

タイで開催された展示会での展示ブースの様子の写真
タイで開催された展示会での展示ブースの様子

 

ASEANで羽ばたく島根の企業


ASEANでビジネス展開している県内企業の取り組みを紹介します。


伝統文化でタイ市場に挑戦(中村茶舗)

 

 

日本茶製造・販売の中村茶舗は平成19年から、タイ・バンコクの大型商業施設内に、「chaho(チャホ)」を出店し、お茶を販売しています。
お茶の薬効成分をPRし、健康志向が高まるタイで消費者の支持を広げています。

 

タイにはお茶を飲む習慣がありませんが、同店舗では、タイで高級食材とされるリンゴと自社の抹茶を組み合わせたドリンクや、抹茶のムースなど個性的なメニューを提供して、若者の人気を集めています。
中村寿男(なかむらひさお)社長は「日本の味、スタイルをそのままタイに持ち込んでも通用しない。現地の嗜好に合わせて変化することが重要だ」と話します。

平成26年8月には和菓子製造の福田屋(松江市)と連携し、同店舗で、日本茶と和菓子をPRするイベントを開催したところ大好評でした。
中村社長は「タイは日本の伝統産業に対する関心や評価は高い。松江のお茶と和菓子を広めていきたい」と意気込みます。

現在、同社の総売上げに占めるタイの売上げの割合はまだ1割程度ですが、平成26年の売上げ(平成26年9月現在)は前年同期比で約2倍と大きく伸びています。
今後はバンコクだけではなく、タイ全域へと事業を拡大させる計画です。

県の拠点開設について中村社長は「今後ASEANで事業展開を目指す企業にとって心強いだろう」と話します。

 

 

大型商業施設内に出店した「chaho」の写真
大型商業施設内に出店した「chaho」=タイ・バンコク

 

 

 

多くの客でにぎわう日本茶と和菓子のPRイベントの写真
多くの客でにぎわう日本茶と和菓子のPRイベント=タイ・バンコク

 

インドネシア市場を先行開拓(産機)

 

 

産業用クレーンの設計、製造、販売を行う産機(松江市)は平成22年に、インドネシアに工場を新設しました。
日本企業でインドネシアにクレーン工場を設けたのは同社が初めてです。
インドネシアはASEANでタイに次ぐ自動車生産国で日本の自動車メーカーが相次いで工場を構えており、自動車関連部品を製造する工場の新設や生産増強も見込まれています。

 

産機は、平成19年ごろから、インドネシアにある日本の建設機械メーカー向けに部品を輸出していましたが、現地生産の要望を受けて進出。
日本の同業他社の工場がなかったため、市場を先行開拓できることが進出先選定の決め手でした。

平成23年に現地法人を設立し、平成24年に操業を開始。
工場の天井に設置する天井クレーンを日本基準で生産し、現地の日本企業や、インドネシア企業に販売します。

野元利幸(のもととしゆき)専務は「インドネシアは重厚長大な製造業の急成長が見込まれ、運搬機など設備機械の需要が期待できる。
『メード・ウィズ・ジャパン』の精神で日本の高品質な製品を現地で生産し、販路を拡大したい」と話します。

県の現地拠点について野元専務は「海外に挑戦しやすい環境が整ってきた。
積極的に活用して交流を広げてほしい」と話します。

 

 

インドネシアに開設した産機の事務所の写真
インドネシアに開設した産機の事務所

 

 

 

産業用クレーンを製造する工場の写真
産業用クレーンを製造する工場=インドネシア

 

 

 

●県の海外展開支援
県では海外展開の段階に応じた各種支援制度を用意し、成長著しいASEANなど海外市場の需要獲得に挑戦する県内企業を支援しています。

 

島根県の海外展開支援制度
https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/syoko/sangyo/kyousou_project/kaigai_tenkai/index.html


問い合わせ先
産業振興課TEL0852・22・5303


お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp