知事定例記者会見(12月8日)

質問事項

2.島根原発関連について

 

○読売新聞

 前回の会見のときでの発言を踏まえて、ちょっともう一度確認したいんですが、原発のことなんですけど、事故が起きてから、溝口知事、一貫して判断基準、再稼働に向けた判断基準というところでは、福島の事故の原因究明と、それを踏まえた抜本的な安全対策の見直しと、それをわかりやすく国民に伝える、説明する、国が説明することが大事だ、それがなければ判断できる状況にないということをおっしゃってきたんだと思うんですね。

 

その上で、ただ、それを待っていたらちょっと何もできないので、暫定計画、暫定避難計画づくりに向けた準備というのも一方では進めていきますよというお話をずっと聞いてたんですけども、前回の会見で同じ質問を、判断基準は改めてお願いしますという質問に対しては、今回ちょっと福島の原因究明というところのトーンがダウンしたような印象を受けたもんですから、発言の中でその原因究明ということも人にもよるしねとかいうお言葉もあったり、一方で避難計画というのも大枠はないといけないよねということもおっしゃったり、何かここに来て考え方に変化がおありになったのかなと。

 

○溝口知事

 私の意識の中ではありませんね。あるいはそういう考え方についての、何か変わったということはありません。あらゆることが関連しますから、安全対策というのが基本であるのは、これは間違いないですね。それから万が一のケースというのは排除できませんから、それに対応した対応もできる限り考えていくということを言っております。そういうものをする中で、福島原発での事故の原因とか、あるいは福島での経験とかをちゃんとそういう対策の中に織り込んでいかなきゃいかんでしょう。だから、言ってる要素は大体いろいろあるわけです。

 

さらに国全体としてエネルギー政策をどう考えるかとかですね。だから、それが何か整然と、まだ整理ができてないと思いますね。我々として必要なものはできる限り早くどんどんやっていくということですけども、そういうものがどの程度どうするかということについては、いろんな意見がありますから、人によっても、あるいは国の中でも、あるいは専門家の中でもありますから、やっぱりそういうものを整理をしないといけませんね。まだそういうものができてない段階であります。まだ原因の究明も十分できない、中間報告ですか、は出るようでありますけども、どの程度出るかもまだ現段階でわかりませんね。

 

そういう意味で、原発の再稼働にかかわる要素と申しますか、項目と申しますか、そういうことは申し上げていますけれども、その内容をどうするかということについてが一番問題なわけですね。安全対策なら、どこまでをどうするかというようなことになるわけですけども、そこら辺は先ほど、繰り返しになりますけども、いろんな考え方、意見がありますから、一つの考え方が存在しているわけじゃないですね。それはやはり、これまでの経験などを踏まえたり、あるいはいろんな知見をもとに整理をしないと固まっていきませんね。

 

だから、そこはやはり原子力発電及びエネルギー政策全体を管轄するといいますか、している国においてそういうものをきちっと示さないといけませんね。それについて、それがいいかどうか、それで十分かどうかという議論をしなきゃいけませんし、我々としてはそういうものが出れば、専門家の意見を聞いたり、あるいは地元の方々の意見を聞いたりした上で総合的に判断をして、県としての考えを決めたいと、こういうことを言っているわけでありまして、私が今申し上げているような考え方は当初から同じですけども、説明の段階で、時間の関係とかがあって、その項目が入っている場合、入ってない場合、短く言う場合、いろいろそれはありますが、さっき申し上げたようなものは主要なものとし

て、大体取り上げて言っているつもりであります。

 

○山陰中央新報

 これも原発に関連してなんですが、中国電力の安全協定について、鳥取県側の方で、いわゆる年内締結というのを平井知事が盛んにおっしゃってまして、年内をめどに米子市、境港市との、あと中電さんの4者協議で何かしらの、できないかという議論が進行中です。中身も、内容、協定内容も、かなり松江市、島根県レベルとまでは言いませんが、近い状態に踏み込んだ内容にもなっておると。これに対して、まず立地県側として、こういった内容が隣接県でとられるということについての、まず見解をお願いしたいんですが。

 

○溝口知事

 それは隣接であろうとなかろうと、関係するところはやっぱり電力会社とも話し合い、もちろん国の考え方もあるかもしれませんけれども、そういうことをやることが必要でしょうね。

 

○山陰中央新報

 ただ、要するに島根県側のいわゆる30キロ圏の周辺市でいきますと、安全協定等を求めているけど、まだ結ばれてはいない状況でして、一時的とはいえ鳥取県側の自治体の方が状態としては、何というか、先行するといいましょうか、重い協定を、一義的にはそういったものを持つような状態に。

 

○溝口知事

 そこは、まずそれぞれのところがやる必要があるでしょうね。

 

○山陰中央新報

 それはできるところからというか、結べる自治体、隣接。

 

○溝口知事

 というか、内容等について、それぞれ合意ができればということでしょう。

 ただ、大きな違いが出てくるとは余り考えられませんわね。それぞれ同じ、似たような立場にあればですね。

 

○山陰中央新報

 大体似たような立場の自治体で結ぶ協定内容に余りにも差異があるというのは、それは決して望ましくないと。

 

○溝口知事

 そこは、一義的にはそれぞれの団体が、その住民の方の関心とか、いろんな方の意見も聞いて判断するということが大事でしょうね。

 

○時事通信

 先ほどの御発言をちょっと整理すると、国の原因究明と国のエネルギー政策が出るまでは判断できないということになるんですか。

 

○溝口知事

 いやいや、いろいろ要素が関連しますからね、そういうものがまず出て、そういうので適当かどうかというのをね、国だけじゃなくて、ほかの専門家もいますね。一般の国民の方もわかるようにならないといけませんね。いずれにしても、そういうものが、それに限りませんけども、安全対策としてここまで国としてはやるというようなことが出るでしょう。それでいいのかどうかということについて多くの人が違う意見もあるわけですから、議論をしたり、意見を聞いたりしなきゃいかんと。

 

○時事通信

 その議論は、その知見なり原因究明が出ないと、議論自体もできないはずでは。

 

○溝口知事

 細かい具体的な議論はなかなかできないですね。いろんなことを言われますね、例えば原発の福島の事故で、地震の影響があったのかないのか、ここもまだはっきりしませんね。あるいは古い原子炉ということで問題があったのかどうかとか、あるいはプルサーマルというものが影響したのかどうかとか、そういうもののやっぱり具体的な分析が出て、そういうものがないと、一般論ではなかなかどうするこうするということにならんでしょう。

 

○時事通信

 ということは、それが出るまではやっぱり......。

 

○溝口知事

 そういうものが出て、例えば国の安全基準でいいのかどうかというのを、それがなかなか一般の我々じゃあわかりませんから、専門家の方々がよく議論をしたり、その中で、それでも一つには、いずれにしてもまとまりませんわね。だけど、大勢としてこういうことだということが出てくるプロセスを経ないと、ここまでならいいとか、ここまでならだめだということにはなかなかならんと。一本、すっと線が引けるような話じゃありませんから。そのためには、やはり国がどうするというのを決めないといかんわけですよね。国のエネルギーをどう供給するか、原発をどうするかということについて。ただ、そういう考えでいいのかどうかということについては、いろんな材料が要ると、あるいはいろんな準備が要るということなんですね。

 

○時事通信

 大前提として、そういうものが。

 

○溝口知事

 そういう枠組みでやるほかないでしょう。

 

○時事通信

 やるほかない。それまでは再稼働もできない。

 

○溝口知事

 それは一般論としてはいろんなことが言えますけども、それ以上先にはなかなか議論が進まないでしょう。

 

○時事通信

 議論が進まない中での再稼働はないということですか。

 

○溝口知事

 それはできないでしょう。やはり立地県だとか立地市町村だとか、そこの住民の方々がやはり理解をしたりできないといかんでしょう。

 

○読売新聞

 今の古い原子炉がどうかということも一つおっしゃったんですけど、年明けに国の方が福島の原発の高経年化による事故への影響というのを取りまとめるという話があるんですが、これもずっと求めてこられたことの一つかなと思われるんですが。

 

○溝口知事

 そういう問題も福島の事故の原因究明などから一つの考え方が出てきたときに、そういう考え方でいいのかどうかという、国だけの判断ではいいかどうかということは意見が違いますから、国の判断ですべてそうなるわけじゃありませんで、やっぱり国の判断が適当かどうかというような論議がやっぱり必要だと思いますね。

 

○読売新聞

 高経年化の考え方が年明けに示された場合、例えば知事から直接の説明を国に対して求めるとか、そういったことは考えておられないですか。

 

○溝口知事

 そこは、どういうことになるかちょっとわかりませんね。それは立地道県で一緒にしたりするというようなこともあるでしょうが、別にどうするこうするというのが今決まっているわけではありません。

 

○朝日新聞

 先ほど言われた万が一の対応はできる限り考えていくとおっしゃいましたけれど、先般から会見の場でも出ていますけど、県庁の機能の移転先、県庁の移転先ですね、それから風向きですとかいろいろ状況があると思うんで、ここというよりは、多分何カ所か候補を考えてというふうになると思うんですけど、現在想定されている候補が何カ所とか、こういう条件のところを考えているというのはいかがでしょうか。

 

○溝口知事

 まだそこまでお話しできるような状況には、まだなってないと思います。

 

○朝日新聞

 当然拠点として幾つか、企業だってそのようにされているみたいですし、お話しできるところではないといつもおっしゃいますけれど、何カ所ぐらいとか、どんな条件とかいう、ある程度想定はされているんじゃないかと思うんですけれど。

 

○溝口知事

 それはある程度遠いところとかね、一般的なことはありますけれども、それからある程度の広さが必要だということもあるでしょう。他方で、そういう場所が避難先とも若干競合したりする可能性もありますし、そこら辺のところでどうするこうするというところまで、まだ行っておりません。

 

○朝日新聞

 福島の事故も踏まえて、今後、防災訓練とかも新たに条件を設定してされると思うんですけど、そういうときに想定する場所ですとか、あと被災訓練の計画ですとか、どのようにお考えでしょうか。

 

○溝口知事

 それは、まだ具体的なとこまでは、検討は行っていません。

 

○朝日新聞

 時期のめどなどはありますでしょうか。新たな事故を踏まえた防災訓練の時期ですとか。

 

○溝口知事

 それは、いろんな訓練がありますからね、机上でやる場合もありますし、あるいは専門家、市町村の場合、関係の方だけでやる場合もあるでしょうし、住民の方をインボルブ

(動員)して行う場合もあるでしょうし、そこら辺はどういうことが必要か、まだ検討中です。

 

 今、時間がかかりますのは、やはり万が一の場合の避難所の確保と、そういうものをどういうふうに割り振っていったらいいかとか、そういう問題は多くの方々が関連しますから、その作業の方は先に進んでいると、こういう感じですね、私が感じているのは。

 

○中国新聞

 関連なんですけども、原子力防災訓練についてですけども、13年度以降でしたかね、多分毎年度行ってこられてると思うんですが、今年度、今、避難計画なんかをつくっているという段階で、そちら、避難先の確保を優先しているという状況の中で、現実的に考えて、かなり事前協議も多分必要だと思うんで、今年度内の実施は多分かなり厳しくなっているんじゃないかなと思うんですが、その辺はどうでしょうか。

 

○溝口知事

 避難訓練も、福島のような非常に広範な放射性物質が拡散するようなケースになりますと、これは多くの人をどういうふうに、モデル的にやるということも考えられるでしょうけども、関連しますから、そうすぐに簡単にはできませんね。まずそれより前に、避難所とか、そちらの方を先にやっていかないといけませんね。そういうものがある程度めどがつくとか、そういう仮定で考えていくということじゃないでしょうか。

 

 それから、今までは、風向きで、例えば住民の方が避難するといった場合に、風向きをはかって、じゃあこの地区の人が避難をするといった、非常に小規模な狭い範囲の訓練が多かったですから、それも必要だと思いますけれども、広域的な訓練となりますと、それをどういう形でやるかというのは、それ自体が大きな問題ですから、そう簡単にはまいりませんね。今やっているのは、広域的な災害が起こる可能性があるようなときに、大事なことはやはり避難をどうするか、そのためには場所をどういうふうに確保するかということがあるわけでして、そこがやっぱり大事じゃないかという考えで作業を進めています。それがある程度めどが、それも大枠のめどをつけるようにするというのが当面の課題ですね。

 

○中国新聞

 訓練の参加者ですけども、やはり国の原子力安全委員会がUPZを30キロ圏としたということをやっぱり重視すれば、30キロ圏に入る自治体なんかも一緒にやるのが筋かなと思うんですけども、その辺は......。

 

○溝口知事

 そういうことになりますね。

 

○読売新聞

 ということは、今年度の原子力防災訓練は、避難先の確保など大枠のめどがつかない、つくのが年度末......。

 

○溝口知事

 今年度。

 

○読売新聞

 今年度分としては......。

 

○溝口知事

 大枠をどこまでのことにするかにもよりますけどもね。頭の中に描いているイメージとしては、例えば松江市を例にとると、松江市は約20万人ぐらいの方がおられますけども、松江市の方々は、例えば県内ですとこの市と、この町の、例えば避難施設を活用すると。それで近隣のまた違う市の場合は県内のこことここと。あるいは県内で足らないと県外ではこことここというようなのを、まずそういう市ベースとか町ベースでつくらないといけませんね。それで、そういう割り当てが済みますと、今度は松江市の方が割り当てられた施設に対してどういうふうな避難の計画をつくっていくかということになるわけですね。

 

それもどこまで細かくできるのかというのは、時間とも関係しますし、例えば松江市の中のこの地区のこの公民館の、公民館単位の地区がありますから、その地区の人は、こことここの施設を、この町のここの施設に避難をすることを想定するというようなところまで詰めていくことになりますが、またそれはもう少し時間がかかりますね。ただ、そういう作業はある程度避難の例えば県内、県外を含めて、ほぼ40万人ですけども、そういう場所が確保できたら、それを割り当てて、割り当てたら、割り当てられた松江市なら松江市が今度は自分のところの地域はこういうふうに割り当てるというような計画をつくっていくと。

 

そういう作業が始まるためには、総枠がそれぞれ固まらないといけませんね。それは来年、一定の時期にはできて、その松江市の地区別に、じゃあこういうところに、県外のこの市のこの場所を避難場所にしましょうというような割り振りをまた中でやっていく作業が始まっていくというふうなイメージですね。

 

○中国新聞

 そうすると、訓練をもしやるとすれば、さっき知事が言われた大枠のところでやるのか、それとも基礎自治体が細部の計画を詰めていく、その後にやるのかというのはどうなんですか。

 

○溝口知事

 そこら辺はやりながら考えるほかないですね。訓練ができる状況か、あるいは違った訓練が可能かとか、そこら辺は実践的にやるほかないでしょう。

 

○毎日新聞

 今年度は、訓練は行わない可能性もあるということですか。

 

○溝口知事

 わかりません、そこは。訓練はいろいろありますから。

 

○毎日新聞

 例年やっているようなものは、やらない。

 

○溝口知事

 いや、そこを含めて、まだ私のところまで報告が上がっていません。

 

○山陰中央新報

 すると、知事のおっしゃるように、大規模で、住民参加型をやるとなると、それはかなり大変になってくるんですが、知事、先ほど御自身でおっしゃったように、机上訓練という選択肢もあれば、自治体の関係者だけでやるという選択肢も、規模を絞るとか、工夫することは、やることは、やり方はいろいろあるわけであって......。

 

○溝口知事

 ありますね。それから訓練も、例えばバスに乗っていくような場合に、バスがとまるところに地区の人が集まるとか、ここに集まるんですよとか、そのためには住民にどういうふうに連絡をするというような訓練もあるでしょうしね。

 

○山陰中央新報

 こういう、だから福島の事故があって原発への関心が高まっている中で、訓練自体、何もしないという選択肢は、ちょっとそれは県民も納得できないんじゃないかというふうに思われるんですが。

 

○溝口知事

 それは訓練のやり方にもよりますから、それはこれから考えていきますが、まず避難する場所をある程度めどをつけるということが必要でしょう。

 

○山陰中央新報

 だから形、手法、規模はともかくとして、何らかの訓練的なものは行う方向に持っていく。

 

○溝口知事

 当然そうなるでしょうね。ただ、それをいつやるかというのは、今の作業と関連して考えなければいかんということです。

 

○中国新聞

 必ずしも年度内に、今までのようにこだわってやるわけではないということですね。

 

○溝口知事

 それは今どうするこうするというところまで検討が終わってません。

 

○中国新聞

 今、だから見通しは立ってないというのは事実、わかります。

 

○溝口知事

 はい。

 

○山陰中央新報

 もう一度防災訓練の方を、ちょっとお話戻ってあれなんですが、やり方、手法、あと規模、まあ時期についてはまだちょっと見通しは立ってないと。ただやはり全くのゼロというのは、これはやはりこの時期に県民の不安、安全。

 

○溝口知事

 それはいつするかは、それはいろんな作業の動向を見ながら考えますと、こう申し上げているわけですね。

 

○山陰中央新報

 ただ、何かしらの対応はやはり。

 

○溝口知事

 今はそういうふうに申し上げているということです。

 

○山陰中央新報

 その訓練、本年度の防災訓練で県境をまたぐような大規模訓練というのは、ちょっとそれは考えにくいという......。

 

○溝口知事

 それはちょっと無理でしょうね。まずやっぱり避難先も確保しないと、それはできないでしょう。

 

○山陰中央新報

 その関連では、県境をまたいだ部分でいっても、広島県の協力をあおいでやるのと、例えば鳥取県の協力をあおいでやるというのは勢いレベルの違う話で、鳥取県とは一衣帯水といいますか、歩調を合わせていかないとちぐはぐなことになるんじゃないかと思うんですけど。

 

○溝口知事

 個別の訓練としては、バスで集まっていく場合は、それは広域であろうと広域でなくても似たようなことになると思いますね。広域の場合は、やっぱり距離が長いとか、あるいはそこでの、ちょっと例えば生活をしなきゃいかんといった場合にどういう対応をするとかね、そこら辺は訓練の話というよりも、行政の方がどういう準備をするかとか、そういう問題になると思います。

 

○山陰中央新報

 だからその辺は、あるいは境港、米子あたりとは、経済圏、生活圏を同一にしている場合のところは、一概に県境をまたいだところでちょっとできませんというのとは、ちょっと別に考えないといけないと思うんですけど、どうなんでしょうか、その辺は。

 

○溝口知事

 いろんな問題が、それはあり得ますからね、いろいろ出していただいて、そういうものも検討していくと。

 いずれにしても、前例のない大がかりなことですから、そうすぐに簡単にはできないわけでありまして、できるだけの努力をすると、最善の努力をすると、こういうことです。

 

○毎日新聞

 避難の関係で、少しちょっと観点を変えた質問になると思いますけれども、避難の計画を今立ててらっしゃいますけれども、当然避難した後というのもあるわけですよね。事故の規模にもよると思いますが、現在の福島のように何カ月も住民の方が戻れない、いつ戻れるかもわからないという状況が続く可能性もあるわけです。これは島根原発で重大な事故が起こった場合も状況は同じだと思いますけれども、じゃあ、そういうような長期間、1年、2年、5年、10年、もし島根県、松江にだれも戻れないというような状況になったときにどうするかというようなことは、今後考えていかれるんでしょうか。

 

○溝口知事

 それは地域の問題であると同時に、国がそういう制度をどうするかというのを考えてもらわないといけませんね。それは避難というよりも、避難というのは今、当座考えているのは、放射能の影響から逃れるという比較的短期間の避難を考えているわけですよね。だから、仮に福島のような汚染が広がったりすると、もうこれは難しい問題になるわけですね。だから、そういう方々に対する、それを避難生活というのか、そういうものの手当てをどういう形でするのか、だれがどうするのか、そういう制度的な問題になってくると思います。それはやはり国全体で、どこで起こるかわかりませんから、そういう仕組みをちゃんとつくっておくということが必要になろうと思いますね。

 

○毎日新聞

 今、知事お話の中で、短期間という言葉を使われましたけれども、現状では今、立ててらっしゃる計画、広域の避難についても、短期間というのは具体的にどのくらいの期間を想定されてらっしゃるか。

 

○溝口知事

 例えばそれは県外の場合の施設、市町村に説明しましたけれども、学校の施設なんかを使いますと、例えば体育館を1年も使えない状況になると、それは困りますねというような声がありますから、だから、それは当座は半年とか、半年を超えるような事態になれば、それはその間にいろいろ当然考えていくということになるでしょうが、そういう長期に及ぶような問題については、やはり国の制度としてやらないといけませんね。

 

 それで今、我々がやっている暫定的な避難も、本来、国がこういう仕組みでというのを出して、それに合わせてやらないといけないと思いますけれども、国がまだそこまで行っていませんから、我々の方で考えてやっているというのが現状でありまして、そういう意味では、不十分なところは多々あろうと思います。

 

○山陰中央新報

 関連といえば関連なんですが、今、現状、福島原発の事故で島根県内に避難しておられる方がまだ、ちょっと今、数は正確に把握できてないんですが、残っていらっしゃると思うんですが、事故からおよそ9カ月程度たって、今のところは、最初は、当初は最低限の生活支援ということで対策を打ってこられましたが、例えば来年の当初予算編成とか、そういう中でその方々への、例えばいわゆるIターンというか、移住を呼びかけるような動きを知事の方から、知事というか、県あるいは市町村の方からアクションされるのかどうかということは、何か今、イメージとしてありますか。

 

○溝口知事

 まだイメージはありませんね。これから。そういう問題も福島の原発の災害に伴う問題ですから、どういう補償をするとかいうのは、国の制度としてちゃんとやってもらわないといけませんね。

 

○山陰中央新報

 それを見た上で、補完的にどういうことができるかということになるんでしょうかね。

 

○溝口知事

 そこら辺まで、今の国の、あるいは東電の作業が進むのかどうかというのがちょっとよくわかりませんね。そういう状況も見ながら考えないといけないでしょう。

 

○山陰中央新報

 今度また安全協定の方にちょっと話戻って恐縮なんですが、先ほど申しましたように、鳥取県側の自治体が年内締結というのを一つのめどにして中電と協議してらっしゃると。島根側の周辺市の方は、まだ協議、締結のめどが立ってない状況でして、これ、県としては例えば中電に後押しといいましょうか、協議をある程度進ませるよう急がせるといったような、その辺について。

 

○溝口知事

 中電の方には、我々はいつもよく話をしてくださいということは言っているわけです。

 

○山陰中央新報

 鳥取県側の動きを見て、改めてというか、これを見てさらにというふうなお考え等は。

 

○溝口知事

 ちょっと鳥取県側の動きも余りよく承知していませんから。

 

○山陰中央新報

 あと、隣接県、隣接自治体が、これは鳥取県側等の要望なんですが、立地県と同様。

 

○溝口知事

 それより基本的にやっぱり住民の方々に説明をしたりするのは、やっぱりその市の行政の方ですから、それぞれがやはり責任を持って、まずお話をするということが大事だというふうに思います。

 

○山陰中央新報

 ただ、その協議の中で、隣接自治体に立地自治体と同様の権限ですね、例えば増設時の事前了解であるとか立入調査であるとか、そういったような権限を周辺自治体、隣接自治体にも認め得るというふうなことは。

 

○溝口知事

 それは今、私がコメントできる話じゃありませんね。

 

○山陰中央新報

 いや、立地自治体の知事として、その。

 

○溝口知事

 まずやっぱりそれぞれの自治体と中国電力がやっぱり一義的に早くよく話をされるということが大事ですね。

 

○毎日新聞

 6日に、御存じだと思いますが、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の方で福島の原発事故に関して避難された方々に対する賠償の指針が出されたのは御存じだと思うんですけども、避難指示区域のほかで、避難するしないにかかわらず1人8万円、妊婦や子供の場合は1人につき40万円という額が提示されてます。今回、福島はこれだけ大きな事故になりましたけれども、こういう指針ですね、恐らくもし万が一島根で原発事故が起こった場合にも、当然前例として扱われる可能性が大きな数字であり金額だと思いますので、島根県としても注目しておかなければならない数字なんではないかと思いますけれども、この金額について、知事はどういうふうにお考えでしょうか。

 

○溝口知事

 今、それについて判断する材料を十分持っていませんね。実際にどのような被害がですね、いろいろ人によっても違うでしょうし。まず現地の福島県だとか、あるいはその関連の市町村ですね、そういうところでどういうお考えであるかというのもよく見たり、お聞きしたりした上で考えるべきことでしょうね。

 

○毎日新聞

 もし島根県の県民にこういうものが示されたと仮定した場合に、県民は納得すると思いますか。

 

○溝口知事

 いや、そこは仮定の話じゃなくて、実際に起こっているところの意見などをよく聞いた上で考えた方がいいだろうということを申し上げているわけです。

 

○中国新聞

 原子力防災訓練で、予算がたしか1,700万ぐらい計上されてたと思うんですね、本年度実施分に向けた予算。本年度の訓練に関しての予算、1,700万円ぐらい、たしか。それは今、知事が言われた避難先の確保とか、そういうのを一定にちゃんとやった上で訓練をするという考えに基づけば、是が非でも年度内に消化するべきものではないというような考えで......。

 

○溝口知事

 いや、まだそこまで報告受けていませんが、よく聞いてみたいと思います。

 

○中国新聞

 わかりました。

 

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