知事定例記者会見(9月30日)

質問事項

3.島根原発関連について

 

○読売新聞

 今のこの9月定例会の、特に議員の方から関心が高いなと思うことに、島根原発で大きな事故があったときの県庁機能の移転先をどうするのかというような質問が何人かの方からあって、中には県西部県民センターなんかどうかと具体的におっしゃるような方もいらっしゃったんですけど、そのところ、知事の御回答は、移転先として、当面の応急的な場所について関係部局で既に検討を進めていると、関係市町の意向も確認しながら進めねばならないということを、関係市町との協議も必要だということをおっしゃっているんですが、このおっしゃり方だと、もう既に幾つか候補が絞られていて......。

 

○溝口知事

 いやいや。

 

○読売新聞

 そういうわけではないんですか。

 

○溝口知事

 それは候補を絞るというようなことまでは行っていないと思います。私どもでも、ここの候補でどうしましょうかというようなことにはなっていません。いろいろ可能性のある場所ですね、いろんな条件が必要ですわね。それはやはり対応によると思いますからね。

 

どの程度の人が事務がとれるかといったようなこと、あるいは仮に原発事故を想定したようなことですと、風向きにもよりますけども、相当程度離れたところということが必要ですし、それから職員等が当座、通ったりするというようなことでありますと、距離ということも問題でしょうし、あるいはそれから通信機能等はどうであるかとか、いろんな要素がありますから、いろんな必要条件などをチェックしながら候補地を模索をしているといいますか、探しておって、そう多くはないですね、相当程度の県庁機能が移転をするということになりますと。

 

もちろん全部が一緒に移転しなきゃいかんわけじゃなくて、独立してできるようなものは、また別のところでも構いませんし、いろんな対応があり得るわけでしょう。それで現実に県庁そのものの、例えば今、ここにいる職員が全部移るような建物なんてないですよね。だから、そこら辺は現実的に考えるほかないわけでありましてね。それからやっぱり短期間に使用できなきゃいけません。あるいはオフサイトセンターなど等も近くなきゃいかんでしょうし、そうすると、オフサイトセンターとして活用できるようなところもあわせて考えなきゃいかんでしょうしね。

 

いろいろ条件がありますから、そういう条件に合いそうなところを探しておるという作業は既にやってますと。

 

○読売新聞

 今の話だと、業務によって数カ所、1カ所におさまるところはもちろんないでしょうから、数カ所、業務ごとに分けて確保しようというようなお考えであるわけですか。

 

○溝口知事

 それは頭の想像で考えるわけですけれどもね。だから移転するといっても、どの程度の規模になるのか、対応によって違いますから。

 

○読売新聞

 6月に県防災対策本部会議、これの初会合のときには、移転先としては30キロ圏内ということしか、ちょっと条件としては私覚えてないんですけど、おっしゃったことって。それが例えば県が所有している施設であるとか、ほかに何か条件があれば、ちょっと示していただきたいんですけど。

 

○溝口知事

 県が。

 

○読売新聞

 条件として、県が所有する施設とか出先の施設であるとか、ほかに何か条件があれば。

 

○溝口知事

 今申し上げたように、一定の職員が働ける場所がなきゃいけませんし、それからそこに移動できる場所もなきゃいかんでしょうし、あるいは県自身が移転をするというようなことになると、それはそのときには多くの方々も移転をしなきゃいかんというようなことになりますわね。だから、非常に県だけの問題でもないでしょうし、範囲が広いわけでありまして、ただ、県庁のような大きな組織が移れるというところはそんなにありませんから、大きな体育館だとか、あるいはほかの庁舎だとかですね。まだまだそう具体的なところまでは行きません。

 

むしろ候補になりそうなところを見て、それが条件にかなうかどうかというようなチェックをしていくと。あるいは条件にかなうためには、例えばどういう組み合わせをしなきゃいかんかとか、あるいはどういう手当てをしなきゃいかんとか、そういうこともあわせて考えていくということだと思います。

 

○中国新聞

 原発の再稼働についてなんですけども、この前の議会で、知事は常々言われているんですけども、国が方針を示すことがまず前提だと。その中で、来年の夏までに、夏をめどに原子力政策の方向性を示すというようなことを今、政府が言われてますよね。そういう会議も発足したんですけども、知事の今の言われ方でいくと、その来年の夏の方向性が出るまでに再稼働を県として認めることはあり得ないということでよろしいんですか。

 

○溝口知事

 そこら辺は、国がどう対応されるかというのが、まだよくわかりませんからね。国の方針といったものも、どの程度のものかわかりませんから、だからわからないものを前提にして答えるというのは非常にあいまいなことになりますからね、そこはちょっと、その問いに対して答えるというのは難しいと思いますよ。

 

 むしろ国の方が、我々の方はこういう計画でやりますと、こういう考えでやりますと、そういうものを出して、それを立地県等に問うということが先じゃないですか。我々が国の対応を推測して、ただ、国の方もなかなか、これまで見てますと、いろんな行ったり来たりがありますから、我々は我々として、我々のできるものはやっていこうということでやっているというのが現状ですから、やはり国自身が、来年の夏というのは国としてのエネルギー政策をどうするかと。その中で、原発等をどういうふうに位置づけるかというようなのをまとめていきたいということでしょう。

 

仮にそういうことだとすれば、これからは想像になりますけれども、じゃあ原発の安全性というのはこういうふうに確保しますと、こういうことで国民の方々に説明をしますと。あるいはその前提としては、安全対策は各電力会社に対してこういうふうにしますとか、あるいはストレステストなんかについてはどういうふうに位置づけて、どういうふうにするかとか、あるいはいろんな疑問が出ているわけですね、原発について。

 

そういうものについて答えるということが必要ですわね。そのためにはやっぱり福島原発で起こったことを相当程度究明して、そういうものに基づいてこういう対策が必要なんですと、あるいは必要だからやろうとしてるんですとか、あるいはそれで十分なんですとか、やはり国民が理解ができる、そういうものをやはり示していきませんと、この議論は進みませんね。それがまだはっきりしないわけでしょう。ざっくりわかっているのは、エネルギー政策全般について検討を始めて、夏ぐらいにまとめましょうというようなことですよね。

 

 それから、総理が再稼働の必要な時期のめどとして発言をされたけども、報道を見ますと、そこもまだ決まってないというお話になってますし、まだ政府の対応が不明確でありますから、我々の方でいつまでにどうこうということじゃなくて、やはりまず政府がお考えをちゃんと示さないと、そしてそれについてやはり国民的なある程度の、どこまでコンセンサスを得るかというのは難しい問題ですけども、考え方について整理がされて、国民全体もこうだというようなことが必要なんだろうというふうに思ってます。現状では、まだそういうところにまで来てませんから、だから、先行きどうなるかというのを我々がそういう不確定な状況の中で見通すということは極めて困難ですね。

 

○中国新聞

 そういう国の説明がない前に、説明があるまでに県として判断するということはないというのは間違いないわけですか。

 

○溝口知事

 それはできないですね。

 

○中国新聞

 できないということですね。

 それを今、普通に考えますと、その方針を示すのが来年夏がめどと言われてるんで、それぐらいか、それ以降に少なくともなると。

 

○溝口知事

 その方針というのが、枝野さんがおっしゃったわけですよね、夏というのは。

 

○中国新聞

 ええ。

 

○溝口知事

 それはエネルギー政策全体についてのたしかお話だったと思いますけれども、全体についての話ができるためには、やはり原発をどうするかということがわかってなきゃいかんということになるという想定はできるということですが、そのところをどこまで政府がその時点までにおやりになるかというのは、政府が今まで言っていることからではわかりませんね。

 

○山陰中央新報

 関連ですが、福島原発で何か起こったかという原因究明と、原発、今後のエネルギー政策をどうするかというのがちゃんと連動してかみ合ってこないといけないということに対して枝野さんがああいう発言をする。一方で、究明はいつなされるかわからないという、非常にちぐはぐで、その辺は不安を感じてはいらっしゃらないですか。

 

○溝口知事

 それはみんな、知事会なんかも、そういうことをきちっとやってもらいたいというのは、秋田の知事会のときにも言ってますし、その後の14立地道県でも言っております。これも報道等も見ますと、政府の方は原因等について調査検討委員会ですかな、つくってやってるわけですね。いろんな人を呼んでヒアリングをしたり、いろんなことをやっておられますね。そちらも一定の進展があるんだと思いますけども、それも、これも報道ですからはっきりわかりませんけども、年内ぐらいに中間報告をというような話も出ておりましたね。ただ、それがどういう性格のものであるかというのは、我々は何も政府から、政府の発表がありませんからわからないわけでありますが。

 

○山陰中央新報

 知事おっしゃいましたが、首相も再稼働を来夏めどというふうな趣旨の発言されておられたかと思えば、その後、ある程度修正されるような発言もありました。その、不透明というふうな言い方されましたけども、そのあたりの国のぶれと申しましょうか、発言、方向性がいまだに新政権になっても定まってないというところについて、立地県としての不満といいましょうか、意見としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。

 

○溝口知事

 そこはやはり、今の政府の調査検討委員会ですかね、そこでやはり検討が進まないと、政府自身もどうしたら、どうすべきかというようなことについて、考えなり方針が定まらないという関係があるんじゃないでしょうか。

 

 それから、現実に福島原発の中を子細に調査し得るような状況にまだなってないんじゃないでしょうか。だから、そういう難しい状況がありますから、いろんなことが進んでないように思われます。

 

○山陰中央新報

 いろんなことが進んでないのに、来夏というのはちょっと早いんじゃないかという感触は。

 

○溝口知事

 それは政府の方も一定のめどを想定しながらやらなきゃいかんでしょうから、いろんな方がそういう意味でおっしゃるというようなことは、ある意味でやむを得ないところもありますけれども、そういうことを含めて、やはり政府内でよく議論をし、調整をし、政府としてきちっとした方針を出される、それが大事なことじゃないかというふうに私は思います。

 

○山陰中央新報

 でも、国がエネルギー政策をまとめると言っている、そのめどと言っている来年夏ですね、これと島根原発1号機の再稼働の判断というのが、全くどういうふうに関係してくるのか、前後関係というのはどういうふうになってくるというふうなお考えでしょうか。

 

○溝口知事

 そこは今さっき説明もありましたからね、そこは政府がどこまでどうされようとするのかわからないから、そういうわからない前提のもとで、我々がこうするというのは誤解を招きますから、そこは今の段階では、我々の方から言える立場にないということですね。

 

○毎日新聞

 原発の関連で一つ、ほかの県の話で恐縮ですけれども、静岡県も、これも同じく浜岡原発を抱えてらっしゃる、知事がよく言われる原発がある、いわゆる立地県の一つですけれども、静岡県の川勝平太知事が、少し前になりますが、12日の静岡県知事の定例会見の中で、使用済みの核燃料の処理方法が明確になるまでは、浜岡原発を再稼働させないというような趣旨の発言をされたということが報道されています。同様に使用済み核燃料をどうするかという話というのは、全国すべての原発が抱えている大きな問題だと思いますし、これは島根原発についても同じことが言えると思います。

 

細かい話になりますと、MOX燃料を使うプルサーマルが始まりますと、さらにMOX燃料の再処理をどうするのかという話まで含めて、国でも大きな政策、今後どうするのか、特に福島原発事故以降どうするのかという問題、課題になってくると思うんですが、知事はこの発言をどういうふうに考えられるかということと、もう1点、川勝知事と同様に、同様なお考えを示されるということはないか、この2点をお伺いしたいんですが。

 

○溝口知事

 そこはさっきから申し上げてますように、国がエネルギー政策全般をどういうふうに考えていくかと。その中に原発をどのように位置づけるのかと。それで位置づける中では、それがプルサーマルの問題もあるでしょうし、プルサーマルの問題は核燃料の再処理と申しますか、リサイクルの問題と関連しているわけですから、そういうものをどう進めるのか、そして非常に難しいプロセスだろうと思いますけども、そういうものに対してどのような政府が見通しを持ってやられるのか、そういうことをきちっと示さないといけませんね。

 

それに対してやはり、この日本の中で、あるいは専門家の方々がそれに対して意見を言ったり、そういうことをやるということが一番大事なことでありまして、そういうことをきちっとやることによって、我々もこの問題をどう考えていくかということを考えなければならんだろうというふうに思いますが、現時点で感想を言うということではなくて、やはり根拠に基づいていろんなことを、我々も基づいた意見を専門家の方々からよくお聞きをして対応していきたいというふうに思います。

 

○毎日新聞

 発言そのものについては、どういうふうに受けとめられましたか。

 

○溝口知事

 それはノーコメントです。それはほかの知事さんの、川勝さんのお考えですから。

 それは、核燃料のサイクルの問題というのは大きな問題であることは間違いないですね。それは、そういう問題については専門家の間でも意見が分かれるでしょうね。分かれているかもしれない。

 

○山陰中央新報

 関連で、使用済み核燃料の問題は、必ずしも解決されないまま動かしてきたという現実があって、それで今、今回こういう事故があって、再度、エネルギー政策をどうするかというときに、その問題の今、現状よりの進展がない限りは再稼働のゴーサイン出せないというようなことですか。

 

○溝口知事

 それは感想としてはいろんなことがあり得ると思いますよ。だけど、やっぱり根拠がなければ、難しいですね。この論としてまとまるのは。そういうことをやることが政府の役割なわけですね、いろんな考え方がありますから。

 

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