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知事定例記者会見(2月15日)

質問事項

1.平成24年度当初予算案について

 

○山陰中央新報

 来年度の当初予算について、一つは経済対策の、これ積極的に取り組むというふうな表現にはなっているんですが、一つはいろんな要因があるんでしょうが、量的にはやはり縮小となった印象があるんですが、その辺は、知事としてはどうお感じでしょうか。

 

○溝口知事

 絶対量で見ますと、リーマンショックがありまして急激な景気の低迷が起こって、国も累次の補正予算を組んできましたから、それに合わせて県の方も大幅な補正の追加などをしたわけでありますが、そういう要素は、そういうリーマンショック後の落ち込みから見ると、随分状況は、よくなっているのは事実でしょうね。リーマンショックが平成20年の秋ですね。

 

9月から10月にかけてでありますけども、そのとき大体鉱工業生産で見ますと、全国も島根も100を超えておりましたけれども、それが3カ月ぐらいの間に3割ぐらい減になって、その後、国の経済対策、あるいは金融緩和もありまして、22年の、底から1年ぐらいたつと、工業生産などで見ますと90を超えるような状況になりまして、ショック前の状況に近づいたということがあります。

 

 23年になりますと、3月の大震災で、特に東北、東日本を中心にサプライチェーンの混乱と申しますか、そういうようなことで大きな工業生産の低迷がありますが、その後、また景気対策もあり、戻ってはきておりますね。全体として見ますと、リーマンショック、大震災の影響を吸収しつつありますけれども、円高といった国際的な問題、あるいはそれを進めている欧州の金融危機、アメリカ経済のやや低迷といったもので、厳しい状況にはあるという認識であります。

 

 だから、リーマンショック直後等と比べると、それは、その直後の対策が終了してまいりますから、いわゆる雇用の需給ということで見ますと、有効求人倍率は、やはり21年の春から夏にかけて非常に低迷して、全国では有効求人倍率は0.4から0.5の間ぐらいまで落ち込みますね、その前は1前後でありましたけれども。それもかなり改善をしてきておると。

 

島根で見ますと、有効求人倍率は全国よりも0.2ポイントぐらい高い状況で、最近が0.9ぐらいでありますが、全国は0.7ですから、非常に底の時期と比べると改善はしているけれども、まだ厳しい状況が続いておると。そういう意味で、去年、おととし等と比べると、量の面では、それは若干の、かつてほどは大きくありませんが、全体としては公共事業で単独事業を伸ばすとか、そういう景気対策を打ってきているということと同時に、やっぱり中・長期的に競争力を向上するということが大事なので、産業振興に力を入れていると、こういうふうに私どもとしては考えております。

 

○山陰中央新報

 財政改革の集中期間とリーマンショックが重なったということで、県の財政にとっては非常に厳しい4年間を、一応の成果を達成、一定の成果を経て、4年間終わって、次の、まだ2年間は経過監視期間ということで、しばらくは注視されるということなんですけど、一つは財政集中改革期間が終わって、次のステップというふうな位置づけで注目はしていたんですけど、その中で、経済対策が今言われたように鉱工業生産指数あるいは有効求人倍率を見ると戻ってきていると。一方で、県民所得とか総生産という大きなマクロの面では、まだちょっと数字も改善されてないように思うんで、県民の実感として県の経済、景気が戻っているかどうかというのはいろんな見方があると思うんですけど、改めてお伺いしますが、知事としては、このリーマンショック以降、景気は回復していると。

 

○溝口知事

 いやいや、そうではなくて、リーマンショック以降、急激に落ちましたね。

 

○山陰中央新報

 はい。

 

○溝口知事

 落ちた時点から回復しているということでありますので。リーマンショックと比べると、前と比べると、リーマンショックのころはもうかなり景気が相当上向いていましたから、それと比べるとまだ低い状況にあるというのが一つ。

 

 それから、国際情勢がリーマンショックも含め、まだまだ安定していない。あるいは欧州の金融の問題とか、そういう問題があって厳しい状況にはあるという認識であります。だから、やはり予算全体としては、県としてできるだけの配慮をしていますけれども、今後も経済の状況等をよく見まして、よく注視をしまして、機動的な運営に心がけていこうというのが私の考えであります。

 

○山陰中央新報

 その上でもう1点お伺いしたいんですが、これ前から何度か聞いたんですが、ことし集中改革期間が終わって職員の給与の特例減額も終了されると。その財源が60億円で、戻しても財政運営はできるという判断のもとでやられたことだというのは以前からお伺いしているんですが、あえていいますと、今おっしゃったような経済的な、まだ景気の回復に向けて課題がある、あるいはその以前、9年前、10年前に特例減額をスタートしたときに、聖域なき改革ということで福祉・医療とか、そういった予算もある程度かなりカットしてきているという中で、知事の財政的な手法では筋が通っているのかもしれませんが、県民へのメッセージに対して、その60億円というのがほかに回せなかったのかというようなところを私は感じる部分があるんですが、その点について、順番が

間違っているんじゃないかと思うんですが、その辺については、改めてちょっと見解をお伺いしたいと。

 

○溝口知事

 特例減額というのは、緊急避難的な措置なんですね。やはり制度としては長年にわたりまして公務員の争議権が制約をされているといったことから、国においては人事院勧告制度、地方においては人事委員会勧告制度というのがあって、国はほとんど人事院勧告どおりの対応をしていますけれども、地方はやはり規模が小さいですし、いろんな調整の余地が少ないですから、ぎりぎりの場合には給与の特例的な減額を行うということもあるわけですけども、それはやはり言葉が特例的と常に言っていますように、通常の状態ではないので、基本的にできるだけ早く通常の状態に戻るようにするというのが私どもの義務でもあるわけですね。

 

 しかし、そこも財政の見通しとかも踏まえてしなきゃいかんわけでありますが、今般は人事委員会の勧告で、今までは特例減額については人事委員会のその年における勧告ということじゃなくて、報告の中で言及はありましたけれども、今回は勧告という明快な形で示されておるということが一つと、人事委員会の方も、前から懸案でありました地域給の導入を特例減額の終了とあわせて勧告をされておられるわけですね。地域給につきましては、それはいずれはやる必要があるわけでありますが、人事委員会の方では特例減額の終了と同時にやるという勧告を出されたわけでありまして、地域給についてもいろんな考えがあると思います。

 

地域給をほかの団体では導入していますけども、ほとんど国家公務員と変わらないような地域給になっておるわけでありまして、しかし、島根の場合ですと、今度の勧告では2%ぐらいで引き下げの勧告になっているわけですね。過去に毎年の勧告の中で減額の分がありますから、それを合わせると累積で実質3%を超えるぐらいの地域給の導入ということになるわけですね。そうすると、一般職の管理職を除いた場合でも特例減額が6%ぐらいですから、地域給の導入を前提とすると、特例減額の幅自体がもう実質上は小さくなっていたんだと思います。

 

 そういう中で、地域給を導入しますと、それはある意味で恒常的なものですから、その効果は出てくるわけですね。そういう効果も勘案して、中期的な財政の見通しをしますと、この機会に普通の状態に戻るのが適当だというふうに判断をしたということです。

 

○山陰中央新報

 そうすると財源と、その順序のような、これだと政策の方に回せるじゃないかというのは、それは誤解であって、それは職員の給与の水準はどうあるべきかということの中で解決されるべき問題だということですか、端的に言えば。要するにその財源が政策に回せるじゃないかとか、そういう議論は議論として成り立たないということで、そういう意味ですか。

 

○溝口知事

 いや、そうじゃないですね。それは全体の中でどういう施策を展開するということの中で考えていくということですね。

 

○山陰中央新報

 そうした中で、限られた予算の中で産業振興を積極的に取り組む、知事が一番伸ばしたいのは、今、特殊鋼とか観光振興、あるいは石州瓦とか、こう地域ならではのものが言葉としては端々に出ていますが、一番島根の特徴のある産業、これを伸ばしたいという知事の一番の思いみたいなのは、ある程度何本か分野を網羅しておっしゃっていますけど、これを伸ばしたいという、これが島根の生きる道というか、そういうところで何か一つ上げるとすると、これを伸ばしたいという知事の思いをちょっと聞きたいんですが。

 

○溝口知事

 各地で、県単位で見ますと、それぞれが競争関係にあるわけですね。だから、その地域でいわば優位性のある資源を活用していくということが大事なわけですね。そういう目で見ると、一つはやはり島根の自然でありますとか、あるいは古い文化・歴史だとか、住みやすさとかいったものが、それでそこにまた、そういう世界に住んでおられる県民の方々の粘り強さだとか熱心にいろんなことに取り組むといったこと、そういうものがこの島根の優位性といいますか、資源ですから、そういうものを活用したいろんな事業を行っていくと。

 

 一つが、今やっております観光の振興とかというのも一つですね。あるいは農林水産業で特色のある産品をつくって、いわゆる県外で評価をされませんと、市場が大きくなっているのは外の世界ですから、そういうものに売れるような、人々が買ってくださるような魅力のある商品づくりを支援をするといったことですね。それからソフトビジネスですね、ITの関連の。そういうものはまつもとゆきひろさんのRubyといった言語があるというのもこの地域の持つ一つの特色ですね。

 

それをベースにソフト産業が集まってくる、人材の集積ができる。したがって、そういうものを支援をしていくとか、あるいはものづくりも長い伝統があるわけです。金属加工でありますとか、あるいは鋳造業なんかもそうですけども、あるいは石州瓦といった特産品もあるわけで、世の中の嗜好の変化などに対応するようにリオーガナイズ(=再構築)するとか、いろんなことをやっていく。だから、個別の産業というよりも、島根の持ついろんな資源をさらに活用する、磨きをかける、そんなようなことが産業振興の大きな柱じゃないかと思います。

 

 それから、人の育成ということもそうですね。まじめに粘り強く働く県民性が多いということで、かつてよりも企業立地にまじめに働く、粘り強く働く人を求めて立地をするという企業なんかがふえているわけですね。過去においては、それが道路整備などが不十分で、そういう制約があるから来ようと思っても来れないということがあるわけでありまして、そうするとやはり道路整備といったインフラの整備というようなものも必要になってくると。

 

そのいずれも島根の中に魅力のある資源、魅力のある人材、そういうものがあり、そういうものを活用しやすいような環境をつくる、あるいはそれに支援をする、それが産業振興の仕方じゃないかというふうに考えております。

 

○山陰中央新報

 あらゆる資源を活用して、人的な魅力も島根県人は持っていると。それを生かして産業振興を打って、これ中・長期的な、ちょっと乱暴な質問かもわかりませんが、単年度の当初予算をつかまえてですね、なかなか言えないかもしれませんが、ターゲットというか、結局のところ、例えば所得をどのぐらいふやすとか、なかなかそういう数的な、この予算での目標というのは必ずしも決めてかかっておられないと思うんですが、何かを示していただく......。

 

○溝口知事

 そういう目標は、もう国もそうですが、かつてのようなことじゃなくて、それは難しい問題ですね。いずれにしても、いろんな島根の中のいい資源なり活用されていないもの、あるいは活用の仕方を変えれば伸びるもの、そういうものを伸ばしていく、そういう施策をいろいろやっていくということじゃないでしょうか。

 

あるいは産業振興などに障壁になっているものを低くするような、今のインフラ整備なんかがそうですね、港湾もそうでしょう、道路もそうでしょう、あるいは空港もそうでしょう。これをすればこうなるというわけにはなかなかいかないんで、いろんなことをやっていくということじゃないですかね。

 

○中国新聞

 今の観光のところでいいますと、古事記1300年ということで節目の年なんですけども、今、非常に財政状況厳しい中で、県の財政も厳しいと。それで、その中でこの30億の、ほぼ大半が県費なわけですよね。県費を投じてこの厳しい中でもやっていくんだと。

 

そこの知事のねらいというか、この厳しい中でもこんだけの県費を投じてこの観光振興をやらないといけないんだというところの知事の思いを、ちょっと改めて教えてください。

 

○溝口知事

 やっぱり一定の支援を投入しないと、全国の大きな広い市場にはインパクトを与えることはできません。それが基本にあります。

 それから、そういうインパクトを与え得るような素材が今あるということでしょう。それは一つは古事記1300年といった、この一つのテーマがありますね。それからそれに関連した出雲大社の大遷宮といった、これも一つのテーマと言ってもいいでしょうが、そういう時期で、そういう好機を活用するという考えです。

 

 それから、次第次第にそういうもので島根に行ってみたいという、島根に関心を持つ人がふえておりますから、そういうものに対しては一定のインパクトを与えるものが必要だろうということであります。

 

○中国新聞

 その好機というのは、やっぱり......。

 

○溝口知事

 効果が後に続くようにですね。

 それから、県内で、それが各地に広がるように、そしてそういうことを通じて人をお迎えする、もてなす県民の経験が積まれてくる、そういうものが残っていく。そういうことを期待をしておるということです。

 

○中国新聞

 あともう1点よろしいですか。

 今回の予算の特徴は、原子力防災の充実というところだと思うんですけれども、改めて、さっき国の交付金と言われましたけども、国の交付金ももちろんあるんですが、県の財源で食糧備蓄なんかをやっていくと、国の交付金がまだ定まらない分野にでも県のお金を投じていくというようなところもちょっと見えまして、県として原子力防災を推進していくんだという姿勢があらわれているんじゃないかなと思うんですけども、その背景というか、知事の思い、そういうふうにされた理由をちょっと教えてください。

 

○溝口知事

 今後原発をどうするかというのは、具体的にしていくというのは、国が方針を定めるべく今検討中ですね。夏ぐらい、あるいは春先からいろんな提案が出たりして議論が進むと聞いておりますけれども、政府が言っておられるのは、一定の安全対策を講じ、それから地元の理解を得て、当座は原発をエネルギー供給の一定部分として活用していくというのが政府の考えですね、一挙に減らすわけにいかないというのが政府の考えでありますね。それが具体的にどうなのかというのは、まだわからんわけです。

 

しかし、そういう考えを前提にすると、原発について、例えば原発による発電をやめたとしても、ウラン燃料とか、そういうものは処理できないわけですから、やはり原子力の利用に関連した安全対策というのは、これはやっぱりしっかりやっていく必要があるということも踏まえ、安全対策を国にしっかりやってもらいたいということを立地14の道県と一緒になっていろいろ昨年来やっていまして、それが国の補正予算でありますとか、3次の補正予算、あるいは4次もあるかもしれませんが、あるいは来年当初もありますけど、そういうものに盛り込まれましたから、それを受けて立地県が行うというものが相当部分ですね。

 

○中国新聞

 その国の予算と関係ないとこで、県も避難計画なんかをつくられてますし、今回は食糧備蓄、保育所なんかの食糧備蓄というのは県の独自のものなんですけども、こういったとこはどうですか。

 

○溝口知事

 それは、そういうものもそういう原発に関連あるものは、いずれ国に負担をしてもらわなきゃいかんだろうと思いますけども、そういうことを今決める状況に国の方もありませんから、県として必要なものはやっていくと。それから、後の費用弁償的なものはまたその後で考えていくということですが、今度の予算では、大半は施設整備などは国の交付金を活用したものですね。それは我々が年末の予算編成に向けて随分国に話をしてまいりましたから、そういうものを受けて国が予算計上しているということです。

 

○中国新聞

 住民の思いからすると、原発が今は全部とまっていますけども、あるということで不安もやはり大きいと思うんですけども、住民感情に配慮した部分、例えば災害全般でもそうなのかもしれないし、非常に去年より災害全般、防災というところにも1割ぐらいふえていると。その住民感情への配慮みたいなところはあるんでしょうか。

 

○溝口知事

 そうですね、原発はやはり福島原発の事故があって、万が一という事態も想定したいろんな対応をしなきゃいかんと、できる限りですね。そういう考えで我々も対応しようとしていると、こういうことであります。

 

○中国新聞

 避難なんか、やっぱりハードルもなかなか高くて、現実的にはかなり難しいんじゃないかという意見もあって、それであれば、もう原発そのものを縮小していくような、原子力防災をやるということは原発があるという前提で予算を組んでいるわけですから、そもそもその原発をもう縮小していく、減らしていくべきなんじゃないかというような意見もあるんですけども。

 

○溝口知事

 それはあると思いますね。ただ、原発の発電をやめても、ウラン燃料がこの貯蔵プールなりにあるという事態は変わらないわけでありまして、それは、何というか、仮に原発がすべて停止になって廃止になったとしても、その処理というのには物すごい時間かかりますわね。だから、いずれにしても安全管理というか、それはやっていかなきゃいかん課題だと思っております。

 

○中国新聞

 最後に、国の方針は夏ぐらいにということなんですけども、現時点で知事が原発を抱える県の知事として、現状やっぱり原子力発電所というのは必要なものなのか、やっぱり現実的にはすぐなくせるものではないと思っているのか、その辺のちょっと知事のお考えを伺いたいんですけども。

 

○溝口知事

 その点は、電力需給とか、あるいはピーク時電力をどういうふうにして分散していくかとか、いろいろな要素に依存しますが、一概にこうだと割り切れるデータなり、そういうものを持っていませんから、まだ一般的な方針としては、ほかのもので代替できるんであれば、その方がいいというふうに思います、一般論として言えば。

 

ただ、そこのところがどういうふうに代替できるのか、そこら辺はよく、まだわかっていませんね。だから、原発自身も事故があればものすごくコストが高いということになりますけども、そういうものを一体どう見るのかとか、あるいは高いコストでもみんなが負担していく方がいいとするのか、あるいは日本だけがそういうことをして、国際的な競争の面ではどういう影響が出るのかとか、複雑に要素が絡み合っていますから、そういうものをよく分析をし、整理をしないと、かちっとした結論に到達するというのは難しいと思います。

 

一般論として言えば、危険性というか、起こったときの事故なんかによる被害が少ないものがいいということは言えますけども、それと比較考量するもの、それからそういう考えについて、みんなが納得するものでないとだめですね、国民全体が。

 

○中国新聞

 その結論は先なんでしょうけども、今の時点で、例えば島根原発1、2、3、もうすべてとめてしまうというような、とめてしまうというか、廃炉ですよね、廃炉にというようなのは、さすがに現実的ではないだろうということですね。

 

○溝口知事

 そういう問題は、どういう影響が出るかとか、よく考え、そういうものをベースにして言わないと、ちょっと誤解を受けますから、そこは仮定の話でありまして、今どうこうというよりも、やっぱり原子力発電、原子力政策、あるいはエネルギー政策を国全体としてやっていますのは国ですからね、やっぱり国がまずこういうことだからこうだということを国民全体に示して、それでいいのかどうかというのをやはり国全体として議論をして、それは意見いろいろ分かれると思うんですね。

 

しかし、総体がこうだからこうしましょうというようなことになるので、一本のロジックで右、左ということにはなかなかなりにくいと思いますね。

 

○NHK

 歳入の面ですが、県税収入について、3号機の核燃料税、来年度は計上されていませんけれども、県独自の財源である核燃料税が今年度、想定してたものが来年度は入ってこないというふうに見込んでるということで、この辺の影響についてはどんなふうに知事御自身はお考えでしょうか。

 

○溝口知事

 それは原発に関してですか。

 

○NHK

 そうですね。

 

○溝口知事

 それは、まだ原発の停止をし、先行きどういうふうになっていくかというのも明確でありませんから、それから今までですと5年間で大体決めていますから、まだ途中の段階ですからね、問題意識は持っていますけれども、今、当座どうするということについては、もうちょっと時間が要るんじゃないかと思います。

 

○NHK

 財源の確保という面については影響はいかがですか。

 

○溝口知事

 財源の確保と同時に、原発自体をどうするかということと絡みますからね。

 

○中国新聞

 関連で、福井が去年の11月に導入されたのが、いわゆる発電、出力規模に応じなくても課税できるという方式なんですけども、そういうふうにすれば、発電してなくても課税ができるということになるんですけど、今年度、収入ゼロだったわけですけども、そういうような事態はなくなるということに対して、一定のそういう考え方もあるということは以前言われてましたけど......。

 

○溝口知事

 ええ、それはありますね。

 

○中国新聞

 それはお変わりなく......。

 

○溝口知事

 ただ、福井の場合はちょうど切りかえの時期でしたからね、その切りかえのときにそういうことをおやりになったということなんです。そういうことも考えていく必要がありましょうが、原発自体をどうするということが今問題なわけでありまして、そこのところはまだはっきりしていませんから。

 

○朝日新聞

 先ほど原発で一般的にほかのもので代替できるならその方がいいというふうにおっしゃいましたけれど、今回、県の地域事業で再生可能エネルギーの活用事業がありまして、国も改めて福島の事故以後に注目されていますし、知事も先日の会見でおっしゃったとおり、県には恵まれた資源があるんですけれど、そのあたり、例えば今後、シフトしていく思いとか、どんな可能性を見ているかということをお聞きしたいんですが。

 

○溝口知事

 そういうものに努力をしていかなきゃいかんと思います。そういう関連の予算も計上しておりますが、やはりボリュームということからいいますと非常にまだ小さいわけでありまして、長い年月を要するだろうと思います。

 

 それから、代替的なエネルギーということになりますと、それは石油とかになりますと、石油価格も上がるでしょうしね、あるいは石炭、火力というようなこともありますが、そうなるとCO2、地球温暖化との関連もありますし、総合的にやはり国全体、あるいは世界全体を見渡して考えないと。それから技術の進歩ですね、技術の進歩もいろいろ違いますから、そういう再生可能エネルギーがどのぐらいの大きさになるかということについても、やはり国全体として見通しを持ってやらないとできませんね。ただ、県としては地域の活性化にも効果がありますし、そういう観点からも再生可能エネルギーの開発の努力をしていこうと、こういう考えです。

 

○朝日新聞

 将来的には、どんな可能性とか、見ておられるんでしょうか。

 

○溝口知事

 そこは、数量的なところはまだまだ、当座は小さいものだと思います。

 

○朝日新聞

 小水力ですとか豊富な森林資源を生かして、なるべく少しでも多くのエネルギーを代替できるようにシフトしていきたいというお考えはあるんでしょうか。

 

○溝口知事

 シフトまではなかなかすぐにはいかないでしょうね、ボリュームからいいますと。

 

○山陰中央新報

 関連ですけど、特に木質バイオマスの関係でお伺いしたいんですが、前回お伺いしたときには産業振興としても育てていきたいというような趣旨のことをおっしゃってたと思うんですが、さっきボリュームの話よりもというふうにおっしゃったんですが、一つは、木質バイオマスの関係でお伺いしたいのは、地域再生というのは林業の置かれている厳しい状況があって、そこからコストを下げながら木を供給して、地域で熱供給源を回していくという取り組みを例えば県は支援されていると、そういうイメージかと思うんですが、いわゆる林業とか、そういった再生、あるいはそういった総合的な地域課題の解決というものの新エネルギーを育てていくテーマにあるというふうに、知事の念頭にはあると、そういうふうな理解でよろしいんでしょうか。

 

○溝口知事

 そうですね、そういう地域の資源を活用するという効果はあると。

 

○中国新聞

 だからボリュームとか、なかなか。

 

○溝口知事

 ただ、コストがまだ高い可能性がありますからね。やっぱりそういうものが進むことによって、いろんな利用の効率が上がるとか、あるいは技術の進歩があるとかいうこともあるでしょうから、長い目でやっていきたいということです。

 

○山陰中央新報

 今、新年度の予算で想定されているのは、立ち上げに対する話し合いとか、そういった戦略の構築に対する支援が中心で、太陽光とかじゃなくて木質バイオマスの件で言えばあれなんですが、そういったコストに対する支援というのも行く行くは県としてもやっていかんといけんのかなと。

 

○溝口知事

 具体的な案件などをよく見まして検討していく必要があると思いますね。

 

○山陰中央新報

 やっぱりその背景には、島根の森林資源、資源としての山ですね、これはやっぱり何とか生かしていかんといかんという思いが知事に、ないという答えはないと思いますが。

 

○溝口知事

 それは一つのあれですね。

 

○朝日新聞

 2点よろしいでしょうか。

 予算案なんですけども、臨時財政対策債なんですが、今年度3,000億円を超えまして、過去10年でいうと10倍近くに膨れ上がっています。先日も民主党の幹事長が来県した折に知事おっしゃっておられたように、真水の部分ですね、交付税、今後やはり国にはこの臨財債を除いたところでの交付税の維持というところは、やはり改めて。

 

○溝口知事

 臨時財政対策債がたまってまいりますとね、その分を償還しなきゃいかんわけですね。それで、償還費というのは財源を使う話になりますから、それを除いたとこで交付税の総額を維持するようにやっていただきたいということを申し上げたんです。

 

○朝日新聞

 これもまた引き続き、そこはもう国に対して求めていくと。

 

○溝口知事

 求めていきたい。

 

○朝日新聞

 もう1点、これに関連して、県としての借金は確かに8年連続で減って、6,000億円台になりましたけれども、県民は国民でもあるわけでして、国が肩がわりしてくれている臨財債の分を含めると、この1兆円台の借金というのはずうっとこの過去10年ぐらい横ばいが続いているんですけれども、ここは冒頭おっしゃったように、地方全体も国全体でも、ここのあり方というのはやっぱり、今後見直していかなければいけないと......。

 

○溝口知事

 ええ、臨財債というのは、以前は国の交付税特別会計というのがあって、交付税特別会計で借り入れをして、まとめてね。それで、そこで利払いもし、それで交付税特別会計から利用な、交付税特別会計には国から交付税交付金が入ってきますから、それと償還費を除いて、可能な交付税を出すと同時に、足らないものは国の特例交付金とかね、そういうことで毎年の財源を確保していたんですが、それを交付税特別会計で一括して借りるということをやめまして、地方団体で借りなさいと。

 

それで、その償還費用は交付税、将来の基準財政需要に入れて実質交付税で手当てしますよと、こう言っておるんですが、地方は当然、その交付税、臨財債の償還費がちゃんと手当てをされて、それはその年度に使えませんからね、そういうものを除いて毎年の交付税総額を確保するようにしてくださいということなんですね。

 

○朝日新聞

 そうでしたら、借金としては国の借金も、国も財政が火の車という状態におけると、やっぱりここは当然......。

 

○溝口知事

 国も地方もないですね。

 

○朝日新聞

 借金を減らしていくということについては、地方も含めて......。

 

○溝口知事

 そうですね。

 

○朝日新聞

 議論は必要だという......。

 

○朝日新聞

 確認ですが、先ほど島根原発の必要性に関して質問が出ましたけれど、やはり新年度の予算案というものは、県のこれから進む道を示す顔のようなものかと思うので、原発是か非かとか、必要性について改めて新年度に臨んで伺えたらと思っていたんですけれど、先ほどのお話ですと、つまり国が今後のエネルギー政策を出していないこともあるかと思いますけれど、判断できる材料を持ち合わせていないということになるんでしょうか。島根原発の是非とか必要性について確認なんですが。

 

○溝口知事

 是非とか必要性というのを、いろんな観点がありますから、一言でなかなか言うことは難しいですね。

 だから、再稼働の問題については、国において福島原発事故を踏まえて安全対策をきちっとやり、それから国のエネルギー政策の中で原発をどういうふうに位置づけるか、そういう問題も政府の考えを示して、やはりそうした中で地元の意見もよく聞いて判断したいということであります。

 

○朝日新聞

 まだ判断できる材料がそろっていないということですか。

 

○溝口知事

 そこら辺をまだ国が示していませんね。

 

○中国新聞

 特例減額の件に話は戻るんですけども、20%に決められた理由についてもう一度。

 

○溝口知事

 5年前ですか、財政健全化の基本方針をつくりまして、4年間を集中改革期間としまして、そのときに、それまでは20%カットでありましたけれども、5%さらに引き上げてやっていこうということをして、一般職員は特例減額をやめますけれども、特別職はその前の段階に基本的に戻るということで特例減額を続けましょうということにさせていただいたということです。

 

○中国新聞

 ということは、4年間の集中改革期間が終わったので、前の段階と同水準に戻すと。それが緩和の意味ということですね。

 今回、審議会の答申を受けて、3%は条例でもう改定すると。その上でほかのカット率を......。

 

○溝口知事

 そうですね、3%下げて、それから、下げたとこから2割カットをするということですね。

 

○中国新聞

 いわゆる実支給額というものが実際、現行よりも若干上がるという......。

 

○溝口知事

 それは少し上がりますね。

 

○中国新聞

 この手法がちょっと県民にどう理解してもらえるかなと、ちょっとわかりにくいという指摘があるんですけども、どうですか。その2段階になっている......。

 

○溝口知事

 いや、それは、特例減額というのはそういう性格でありましてね。

 

○中国新聞

 一たん下げてから、結局実支給が上がるという形になる......。

 

○溝口知事

 一般職員の場合は人事委員会の勧告がありますから、それで下げて、そこから減額をするわけですけども、特別職の場合は報酬審議会で基本となるところをまず決めてもらって、そこから下げると。そこから下げるというのは我々の判断と、こういうことになるんですよ。

 

○中国新聞

 で、結局実支給額は上がるということの判断を決められたのは、その理由としては集中的な改革期間が終わったと。

 

○溝口知事

 一般職と特別職は大体パラレルに動いているわけでありますが、特例減額を導入したときも、先に特別職の方が導入し、それから大きいカットを続けていって、それから一般職が今般、特例減額をやめるというフェーズに入りまして、特別職もそれに合わせてどうしたらいいかということを考えた上で、今のような措置を決めたと、こういうことです。

 

○中国新聞

 答申の中では、特別職の重責に見合った給料という意見もありましたけれども。

 

○溝口知事

 特別職については、やはり責任の重さがあるわけですから、特例減額から脱却をするのは適当でないんで、20%カットを行うと。それから副知事は15%でしたか。それからその他常勤の特別職は13%でしたか。

 

○山陰中央新報

 脱却というのは、全部やめてしまうのは適当ではないという意味でいいんですかね。

 

○溝口知事

 だから一般職のようにするのは適切でないと。

 

○中国新聞

 すべて廃止してしまうのは適当ではないと。

 

○溝口知事

 そこをどうするかというのを検討した結果、今回決定したようなことで決めましたと、こういうことです。

 

○中国新聞

 逆に言うと、責任の重さから見て脱却できないという形ですけれども、逆に言うと、責任が重いからこそ適正な給料をもらうという考え方もあると思うんで、また......。

 

○溝口知事

 そういう考え方はあるかもしれませんが、私はやはり今のやり方の方が適当だというふうに判断したと、こういうことですね。

 

○中国新聞

 要するにトップが財政健全化に向けての範を示すという、そういう意味でしょうか。

 

○溝口知事

 範を示すというか、そういう言葉で言うようなのはあれですけども、責任の重さに応じた対応、あるいはこれまで導入のときの経緯もありますね。徐々に上げてきているわけですけども、そういうことを総合的に勘案したと、こういうことであります。

 

○朝日新聞

 県債のお話なんですけれども、冒頭で臨財債も含めて、国も地方も減らす努力というのをしていかなければいけないとおっしゃいましたけれども、今の状況を見ていますと、人口が下回りましたが、50年後にはもう八千数百万人になるんじゃないかという、このままいけばですね。マーケットも人口も縮んでいっている状況で、非常に借金を減らしていくというのは厳しいと思うんですけども、この延長線には今言われている消費税の増税論議というのがやっぱりあるというか、将来的にはそういうことは考えてない。

 

○溝口知事

 いや、そこまでは考えていませんね。島根県などの場合は、日本全国で見ますと経済発展が進んだ地域とそうでない地域があって、結局そういう経済的な状況の差異はあるけども、基礎的な行政サービスですね、そういうものは教育であるとか医療であるとか、あるいは介護であるとか、そういうものはなるべく全国と変わらないようにしなきゃいかんということで地方財政の調整の制度があるわけですね。

 

で、交付税というのがあるわけであります。交付税がしっかり確保されませんと、それは県だけの努力ではできないわけでありまして、それは国全体として国が判断をしなければ解決できない問題でありますから、交付税の総額などについてはそういうことも考えてくださいと、こういうことを申し上げているということであります。

 

○朝日新聞

 そういう意味での消費税の増税というのは、国なり今の政府が判断して議論していくことという、あくまで国の、知事、個人的な所見としては。

 

○溝口知事

 今の消費税は社会保障の財源に充てるということで、社会保障の支出は国も地方もしていますからね。それで今回の政府の案では5%のうち1.54%が地方に回ると、こういうことになっていますね。それは社会保障の経費の支出の実態に合わせて、そういう率が決まったというふうに聞いています。

 

○読売新聞

 ちょっと改めてで恐縮なんですが、この予算の4本の柱なんですけど、この医療・福祉・教育というのは従前から県内で指摘されていた課題ではあるんですけど、この柱に上げた理由というのをもう一度教えてもらえますか。今、去年まで柱というと、何か経済対策で、リーマンの関係で打ってきたと思うんですけど、ここで、ここに来て、安心安全は東日本大震災等があり、地域の魅力づくりは今回島根のあれがあり、形で、今回、その医療・福祉・教育を柱として上げた理由というのは何なんでしょうか。

 

○溝口知事

 従来も医療・福祉というのは柱の一つですけどもね。重要な課題でありますので、そしていろんな対策もとってきておりますから、医療などは、国も医療基金をつくってやっていますし、それに合わせて県もやっておりますから、そういう面で、その面を今度の予算で活用していますから、そういうことも踏まえ、4つの柱にしていると。

 

○読売新聞

 あと別件で、77億の基金取り崩しというのがいわゆる収支不足に該当すると思うんですけど、この財政健全化の基本方針の当初の案では、2012年度の最終段階でマイナス30億。ここから見ると、あと47億削らないといけないんですけど、それは何か執行段階で何らかの工夫というのは考えられているんでしょうか。

 

○溝口知事

 ええ、大体これは当初予算とかいろんな予算に対しまして、節約でありますとか、あるいは政策の進行の度合いとかによりまして、マクロ的に見ると、予算の不用も出るんですね。そういうものを活用してと、こういうことになりますね。

 


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