令和7年6月定例県議会知事提案理由説明要旨

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 提案理由の説明に先立ちまして、おわびを申し上げます。

 最初に、職員の逮捕についてであります。

 6月6日に職員が「不同意わいせつ罪」の容疑で逮捕されました。

 被害者及び関係者に、心よりおわび申し上げます。

 このような事件は県職員に対する県民の信頼を裏切るものであり、今後、事実関係を確認した上で厳正に対処してまいります。

 

 次に、国庫支出金の実績報告誤りについてであります。

 6月6日に公表いたしましたとおり、令和6年度のデジタル田園都市国家構想交付金につきまして、国に対して実績額を誤って報告したことにより、国からの交付金1,780万円余りを県会計に収入することができず、県の一般財源で賄うこととなりました。

 県議会の皆様、県民の皆様に、深くおわびを申し上げます。

 今回の原因は、地域生活交通再構築実証事業の実績額を、「円単位」で記載すべきところ、誤って「千円単位」で記載し、その後の事務手続においても誤りを発見できなかったことにあります。

 今後、こうした事態が二度と発生しないよう、国費に係る事務の各段階における数値の確認と組織内のダブルチェックを徹底するとともに、関係者が異常な数値を判別できるように報告様式を改善するなど事務処理を見直してまいります。

 

 定例議会開会にあたり、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.エネルギー価格・物価高騰対策及び価格転嫁対策)

 はじめに、エネルギー価格・物価高騰対策及び価格転嫁対策についてであります。

 

(1)エネルギー価格や物価の高騰、行き過ぎた円安は依然として続いており、県民生活、農林水産業、商工業等に多大な影響を及ぼしております。

 一方、今般の米国の関税措置による県内の経済、事業者等への影響も懸念されており、先月26日には米国関税対策会議を開催し、今後想定される県内産業への影響や対応について、関係機関、業界団体等と情報共有し、連携を強化したところであります。

 また、国への重点要望において、米国の関税措置に対して必要な対策を講じるよう要請したほか、影響を受ける事業者に対して助言、伴走支援等を行うアドバイザーを派遣する事業の拡充に必要な補正予算案を今議会に提出しております。

 引き続き、県民の生活、経済活動の回復に向けて全力で取り組んでまいります。

 

(2)中小企業、小規模企業につきましては、国の経済対策を受け、エネルギーコスト削減や生産性向上のための設備投資を支援するとともに、商工団体の相談対応の強化を行ってまいります。

 また、国の特別保証制度を活用して3月に創設した「協調支援型経営課題対応特別資金」等により、企業の資金繰りを引き続き支援してまいります。

 あわせて、物価高騰や賃上げに伴う経費増加分の価格転嫁が進むよう、国への重点要望において、取引環境の整備を要請してきたところであり、県としましては、価格交渉に取り組む企業への専門家の派遣を強化し、交渉に用いる資料の作成等を支援してまいります。

 

(3)価格高騰が続く米につきましては、消費者に安定的に供給できるよう、国への重点要望において、価格の安定や中長期的な視点に立った政策の実施について要請してまいりました。

 また、小中学校の給食費における米の価格上昇分への支援につきましては、当初設定した上限を上回る米価の上昇が続いていることから、給食の質を維持できるよう、支援を拡充するために必要な補正予算案を今議会に提出しております。

 

(4)診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス等報酬につきましては、昨年行われた報酬改定は従事者の賃金水準の上昇やエネルギー価格・物価高騰への対応として十分ではなく、医療機関や介護サービス事業者等の経営に大きな影響を与えております。

 加えて、訪問介護につきましては、基本報酬の引下げが行われ、サービス提供が非効率なへき地においては事業者の経営が一層厳しさを増しております。

 こうした状況を踏まえ、国への重点要望において、報酬を遡及して再改定するなどの対策を行うよう要請してまいりました。

 今後も国の動向を注視し、必要な取組を求めてまいります。


(2.「第2期島根創生計画」の取組)

 次に、「第2期島根創生計画」の取組についてであります。

 

 人口減少に歯止めをかけ、将来にわたって人口を安定させていくために、第2期計画におきましても、「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」を目指す将来像とした上で、合計特殊出生率2.07と、人口の社会移動の均衡を長期の目標とし、人口減少対策に取り組むこととしております。

 人口減少対策には特効薬はありませんので、様々な施策を総動員し、島根で暮らしたい、働きたい、結婚したい、子育てしたいと希望する人が、安心して希望を実現できるような環境づくりを着実に進めてまいります。

 その際、現場主義の徹底により、県民、県内事業者の皆様の声をじかに伺い、地域の実情や各産業の実情を具体的に把握するとともに、市町村や関係団体等とも連携しながら、県民目線、県民本位で施策を進めてまいります。

 また、人口の東京一極集中の是正など、一地方では解決できない日本社会・日本経済全体の課題の解決につきまして、県の重点要望や知事会の場などを通じて、国に対し強く求めてまいります。

 

(3.魅力ある農林水産業づくり)

 次に、魅力ある農林水産業づくりについてであります。

 

(1)農林水産業の振興につきましては、3月に策定した「第2期農林水産基本計画」に基づき、若い世代にとって魅力のある農林水産業を確立し、持続可能な農林水産業や農山漁村を実現できるよう取り組んでまいります。

 

(2)農業につきましては、中山間地域等の水田農業において、人手不足や気候変動等の厳しい状況下でも担い手の経営が持続的に発展できるよう、水稲の生産、集出荷作業の省力化を図るとともに、収量や品質の向上、集落営農による人材確保を推進してまいります。

 また、水田農業の経営多角化のための水田園芸や有機農業の産地づくりを推進するとともに、ブドウなど地域独自の品目につきましても、新規就農者の確保や販路の拡大など、地域主導による産地の形成、発展の取組を支援してまいります。

 

(3)畜産につきましては、昨年度、全国トップの肉質能力を誇る種雄牛「暁之藤」号が誕生し、しまね和牛が全国から注目を集め、和牛子牛価格が上昇しております。

 加えて、この度、新たに全国随一の肉量を誇る「忠白隆」号を造成し、供用を開始いたしました。

 これらの種雄牛の利用が拡大することにより、しまね和牛の全国的な評価が一層高まり、本県が魅力ある和牛産地となるよう取組を進めてまいります。

 

(4)林業につきましては、これまで原木生産の低コスト化や就業者確保等に取り組んだ結果、原木生産量は増加しております。

 一方、資材費の上昇や人手不足、伐採現場の奥地化といった課題もあり、今後、ICTなど新たな技術の導入による原木の増産に向けた生産性向上や森林整備の省力化、就労環境の改善等を推進してまいります。

 また、中核的な製材工場の施設整備等により、製材用原木としての需要を拡大し、森林経営の収益向上につなげてまいります。

 

(5)水産業につきましては、昨年度の沿岸自営漁業の新規就業者数は、取組を開始した令和2年度以降最多となった前年度と同数の17人となりました。

 今年度から、新たに研修生に対して生活支援金を給付するなど研修体制を強化しており、引き続き就業者の安定確保に取り組んでまいります。

 また、松江圏域の水産物流通の拠点である松江水産物地方卸売市場の老朽化や取扱量の増加に対応するため、今年度、JFしまねが実施する施設の改築について、松江市とともに支援してまいります。

 さらに、漁業経営の安定化に向けて、高性能漁船の導入や作業の省力化を図る設備投資への支援を進めてまいります。

 

(4.力強い地域産業づくり)

 次に、力強い地域産業づくりについてであります。

 

(1)観光の振興につきましては、「ご縁も、美肌も、しまねから。」をキャッチフレーズに、積極的なプロモーションを展開し、島根の魅力発信と誘客に取り組んでまいります。

 あわせて、温泉や食材等を観光素材とした商品化など、観光消費額の増加に向けた魅力ある観光地づくりを進めてまいります。

 

(2)この秋からNHKで放送される小泉八雲の妻セツをモデルとした連続テレビ小説「ばけばけ」につきましては、島根での撮影も始まったと伺っております。

 島根の風情や人情、歴史等を全国の方々に知っていただく絶好の機会と捉え、関係市町村等と連携し、ゆかりの地をはじめとした県内各地への周遊の促進につなげてまいります。

 

(3)外国人観光客の誘致につきましては、8月末に大阪・関西万博のギャラリーにおいて、県内の自然や文化、歴史等を紹介してまいります。

 あわせて、関西を訪れる外国人観光客に向け、現地の観光案内所や宿泊施設等と連携した情報発信や、バス料金の割引等により、県内への誘客に取り組んでまいります。

 加えて、ベトナムや台湾などターゲットとする国や地域へのプロモーションや受入環境の整備を進めてまいります。

 

(4)県産品の魅力ある商品づくりにつきましては、県内の食品及び工芸品の製造事業者を対象として、商品企画やブランディングから魅力の伝え方までを学ぶ機会、さらに商談の機会を設けることにより、全国に通用する売れる商品づくりを切れ目なく支援してまいります。

 また、関東、関西及び中四国の3地域において、県産品を積極的に取り扱うパートナー店との連携強化や新たな取引先の掘り起こしを行う販路開拓員を配置し、販路拡大に取り組んでまいります。

 

(5)島根県物産観光館につきましては、大規模改修工事を終え、4月にリニューアルオープンいたしました。

 リニューアル後は、食の魅力を楽しんでいただけるよう、実演販売やイートインのスペースなどを新たに設置しております。

 多くの観光客や地元の方々にお越しいただき、島根県の観光情報を発信する拠点となるよう、引き続きPRに取り組んでまいります。

 

(6)「日比谷しまね館」につきましては、先月、開館5周年を迎えました。

 これを記念し、4月下旬から約1か月の間、限定商品の販売や新メニューの提供等のイベントを実施し、多くの方々にご来場いただきました。

 引き続き、「日比谷しまね館」を首都圏での情報発信拠点として活用してまいります。

 

(7)中小企業、小規模企業につきましては、小規模事業者等を中心に人手を確保することが一層難しくなっていることから、人手不足を要因として売上等が減少している事業者に対し、省力化に資する設備投資等の支援に取り組んでまいります。

 

(8)企業立地の推進につきましては、昨年度、県西部の4件を含む13件の立地認定を行い、164人の新規雇用が見込まれております。

 引き続き、県内企業の再投資や県外企業の新規立地を促進し、若者にとって魅力的な雇用の場を創出してまいります。

 また、安来市切川地区の工業用地造成につきましては、4月に出雲村田製作所、安来市及び県の三者による協定書を締結し、用地買収及び設計業務に着手したところです。

 引き続き、地元安来市とも連携し、着実に事業を進めてまいります。

 

(5.人材の確保・育成)

 次に、人材の確保・育成についてであります。

 

 島根大学材料エネルギー学部では、新しい学部棟が完成し、4月1日から運用が開始されました。

 この学部棟の5階には、県も整備費の支援を行いました「産学共創スペース」が設置されており、共同研究等の推進や研究者、企業、学生等の交流が図られることを期待しております。

 引き続き、研究機器の整備や県内企業との共同研究等への支援を行い、産学官連携による産業の振興や高度な専門人材の育成、若者の県内定着を図ってまいります。

 

(6.結婚・出産・子育てへの支援)

 次に、結婚・出産・子育てへの支援についてであります。

 

(1)妊娠・出産、子育てにつきましては、こども基本法に基づき、こども施策に関する計画を一元化した新たな「しまねっ子すくすくプラン」を3月に策定いたしました。

 この計画に基づき、こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じた支援を総合的に進めてまいります。

(2)結婚支援につきましては、コンピューターマッチングシステム「しまコ」の機能を3月に大幅に拡充し、オンラインでの会員登録手続きを可能とするなど、より利便性の高いシステムといたしました。

 今後も、会員数の増加や利用促進につながるよう、情報発信を強化し、結婚を希望する方々を支援してまいります。

 

(7.中山間地域・離島の暮らしの確保)

 次に、中山間地域・離島の暮らしの確保についてであります。

 

 中山間地域・離島における「小さな拠点づくり」につきましては、3月に策定した「第6期中山間地域活性化計画」に基づき、市町村と連携して、持続可能なコミュニティづくりや生活機能・サービスの維持・確保に取り組んでまいります。

 

(8.地域振興を支えるインフラの整備)

 次に、地域振興を支えるインフラの整備についてであります。

 

(1)山陰道につきましては、3月2日に出雲ICから出雲多伎IC間が開通し、また今年度中には三隅益田道路が開通予定であります。

 これらにより開通率は85%となり、企業活動や観光振興による地域経済の発展が期待されます。

 引き続き、事業中区間の整備の推進と、一日も早い全線開通を国に働きかけてまいります。

 

(2)中海・宍道湖圏域を結ぶ「8の字ルート」を構成する「境港出雲道路」につきましては、現在、一部区間である松江北道路の整備を進めております。

 また、境港・出雲間の未着手区間について、引き続き、国土交通省をはじめとする関係機関とともに、整備方針の具体化に向けた検討を進めてまいります。

 

(3)国道54号につきましては、大雨や大雪による通行規制やトンネルの老朽化といった防災上の課題への抜本的な対策を国に強く求めてきたところであり、この度、経年劣化が進行した赤名トンネルの改修が新規事業化されました。

 引き続き、他の区間の対策についても、国に要望してまいります。

 

(4)萩・石見空港の東京線につきましては、2便運航の継続に向けて、年間の有償旅客数が基準を下回った場合に、その不足人数に応じた額を、県と地元協議会の関係市町が航空事業者と折半して負担する仕組みを設けております。

 この度、航空事業者より、昨今の燃油等の物価高騰や部品調達等に係る為替の影響等で運航費用が増加していることから、基準を現行の12万7,000人から14万5,000人に変更するよう申入れがありました。

 これを受け、関係市町等と協議を重ねた結果、航空事業者が2便運航を継続するためには、路線収支の改善のために地元も応分の負担をする必要があることや、申入れがあった基準は、利用者数の目標として国に示している人数の範囲内であることなどから、県として変更の申入れを受け入れることとし、必要な補正予算案を今議会に提出しております。

 利用者数の目標の達成に向け、引き続き、島根、山口両県の関係自治体や経済団体、航空事業者と連携して、首都圏等からの観光誘客など利用促進に取り組んでまいります。

 

(5)国際線の誘致につきましては、ベトナムと出雲縁結び空港を結ぶ国際チャーター便が、好評をいただいたハノイ市との間の2便に続き、ホーチミン市を新たな就航先として10月に運航されることになりました。

 引き続き、こうしたチャーター便の実績を着実に積み重ね、将来的な国際定期便の就航を目指して取組を進めてまいります。

 

(6)ICT・デジタル化の推進につきましては、県及び県内10市町が、国の交付金を活用し、防災、地域交通、介護等における課題解決や行政手続のオンライン化等に取り組むこととなりました。

 県としましては、「ICT総合戦略」に基づき、市町村の取組を支援するとともに、産官学民で連携して地域の課題解決に取り組んでまいります。

 

(9.地域の生活基盤を支える人材の確保)

 次に、地域の生活基盤を支える人材の確保についてであります。

 

(1)医療従事者の確保につきましては、看護職員の不足が地域の医療体制に大きな影響を与えていることから、今年度から実施している病院が行う看護職員確保の取組への支援に加え、看護師の資格取得を希望する准看護師養成所の学生に対する奨学金制度の創設を今議会に提案しております。

 社会人や子育て中の方など幅広い層の方々が、看護師の資格取得も視野に入れて准看護師の資格を取得できるよう支援し、県内就業につなげてまいります。

 

(2)介護人材の確保につきましては、人材不足が多くの事業者に共通する課題であり、とりわけ訪問介護サービスにおいては喫緊の課題となっております。

 このため、国の補助金を活用し、研修体制づくりや介護人材の確保のための広報等に要する経費の支援に必要な補正予算案を今議会に提出しております。

 

(10.新しい人の流れづくり)

 次に、新しい人の流れづくりについてであります。

 

(1)高校生の県内就職につきましては、企業ガイダンスや保護者向けセミナーなどを実施してきましたが、今春の県内就職率は、76.1%と前年に比べて5.1ポイントの減となりました。

 先月には、島根労働局と連携して、県内企業に対し、高校生や大学生等の採用枠の確保や労働条件の改善、働き方改革等の取組を要請したところです。

 引き続き、魅力ある職場づくりや、企業の採用力強化を支援するとともに、就職活動を行う際の交通費、宿泊費助成の拡充や、保護者向けの情報発信など、若者の県内就職を促進する取組を強化してまいります。

 

(2)Uターン、Iターンにつきましては、昨年度の実績は前年度と比べて40人増の3,502人となりました。

 また、昨年度のUターン、Iターン希望者の無料職業紹介事業を通じた就職決定者数は、過去最多となる348人となりました。

 引き続き、仕事や生活に関する情報提供や相談、市町村等と連携した定着支援のほか、移住関心層の掘り起こしや就職支援の強化に取り組み、移住、定住を促進してまいります。

 

(3)関係人口の拡大につきましては、関係人口マッチング・交流サイト「しまっち!」に掲載するプログラム数やサポーター登録数、地域活動への参加者数が伸びており、着実に成果が現れております。

 今後も、島根での暮らしや地域づくりに関心を持つ方々への働きかけを強化し、地域の活性化や将来の移住につなげてまいります。

 

(11.女性活躍の推進)

 次に、女性活躍の推進についてであります。

 

(1)島根県は、働く女性の割合が全国で最も高く、多くの女性が結婚、出産後も働き続けている一方で、家庭での負担は女性に偏っております。

 女性が地域や職場で自分らしく活躍するためには、家庭において男性が役割を果たすことを当然と捉え、男性が積極的に家事、育児、介護を担う必要があります。

 このため、4月には、性別による固定的役割分担意識や無意識の思い込みの解消に向けたホームページを開設いたしました。また、今月の「男女共同参画推進月間」において県民の皆様に理解を深めていただけるよう、広報を強化してまいります。

 

(2)「女性活躍100人会議」につきましては、来月、安来市で開催する予定としております。女性がいきいきと活躍できる環境づくりに向け、幅広くご意見を伺い、県の施策に活かしてまいります。

 

(12.保健・医療・福祉の充実)

 次に、保健・医療・福祉の充実についてであります。

 

(1)小児医療につきましては、重篤な小児患者に対する救急医療体制の充実と、小児救急に関わる医療従事者の養成・確保のため、島根大学医学部附属病院に「地域小児救命救急センター」が4月に開設されました。

 県としましては、センターを中心とした医療機関との広域的な連携体制を強化してまいります。

 

(2)家庭での養育が困難なこどもへの支援につきましては、新たな「社会的養育推進計画」を3月に策定いたしました。

 この計画に基づき、すべてのこどもたちが笑顔で安心して暮らせるよう、子育てに不安や困難を抱える家庭への支援の充実や、里親や養護施設等における養育の推進等に取り組んでまいります。

 

(3)性暴力被害者支援につきましては、男性・男児に対応したワンストップの相談支援窓口として「男性・男児のための性暴力被害者支援センター」を4月に開設し、電話相談、臨床心理士等によるカウンセリングなどの支援を開始いたしました。

 引き続き、センターとその支援内容を幅広く周知し、被害者が安心して相談できるよう、関係機関と連携して取り組んでまいります。

 

(13.教育の充実)

 次に、教育の充実についてであります。

 

(1)中国地方を主会場として来月23日から約1か月にわたり開催される全国高等学校総合体育大会につきましては、本県においても、体操、男子バレーボール、レスリング、フェンシング、なぎなた、カヌーの6競技が実施されます。

 県代表として出場する選手はもとより、大会を支える多くの高校生の活躍に期待しております。

 

(2)教育上の配慮が必要なこどもたちへの支援につきましては、教室に入りづらいこどもたちの居場所である校内教育支援センターに支援員を配置する市町村の取組に対して、今年度から支援を始めております。

 また、外国人住民の増加に伴い、日本語指導が必要な児童生徒が増えていることから、日本語指導員の配置に対して支援しております。

 しかしながら、これらの事業は、国による財政措置が十分でないことから、今年度、市町村が計画する事業規模を確保するために必要な補正予算案を今議会に提出しております。

 

(14.スポーツ・文化芸術の振興)

 次に、スポーツ・文化芸術の振興についてであります。

 

(1)令和12年に開催予定の「島根かみあり国スポ・全スポ」につきましては、3月に開催した県準備委員会常任委員会において、全スポの正式競技のうち未選定となっていた4競技と、国スポの公開競技8競技の会場地を選定いたしました。

 また、今年は開催5年前となることから、今月2日に県、県教育委員会及び県スポーツ協会から、日本スポーツ協会会長及び文部科学大臣に対し、開催申請書を提出いたしました。

 大会の開催時には、多くのボランティアなど県民の皆様のご協力が必要となるため、今後発表予定のイメージソングの普及や、県民参加の取組等により、開催に向けた県民の機運醸成を進めてまいります。

 

(2)島根かみあり国スポに向けて、出雲市内に整備を検討しておりました自転車競技場につきましては、当初、斐伊川放水路残土処理場跡地での新設を検討しておりましたが、土地の造成等に係る整備費が増高したことから、見直しを検討してまいりました。

 現地調査を行った結果、出雲市平成町地内の平成スポーツ公園野球場で整備した場合の整備費が、令和5年10月の財政見通しで想定していた額を下回る見込みであることから、同地において、新設の具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

 今後、県議会のご意見を踏まえ、出雲市や競技団体、県スポーツ協会など、関係の皆様と整備に向けた取組を進めてまいります。

 なお、当初、整備を予定していた斐伊川放水路残土処理場跡地の今後の利活用につきましては、改めて、地元の皆様と検討していく考えであります。

 

(3)県立美術館につきましては、津和野町出身の故永田生慈氏から寄贈いただいた、葛飾北斎とその門人の作品や資料など約2,400件に及ぶコレクションを所蔵しております。

 今年度は、コレクションの全貌を公開する二回目の展覧会を、9月10日から11月3日まで開催いたします。

 世界有数の葛飾北斎コレクションの魅力を広く情報発信し、県内外から誘客を図ってまいります。

 

(4)芸術文化センター「グラントワ」につきましては、今年度、開館20周年を迎えます。

 石見美術館では、この秋に開催を予定するファッションデザイナー故森英恵さんの企画展をメインに、年4回のすべての企画展を本県にゆかりのあるテーマで開催いたします。

 また、いわみ芸術劇場では、「しまね伝統芸能祭2025」をはじめ、伝統文化に焦点を当てた多彩な催しを準備しております。

 貴重なコレクションや両施設の特色を活かし、文化芸術に触れ合う機会を創出してまいります。

 

(15.生活基盤の確保)

 次に、生活基盤の確保についてであります。

 

 JRの地方路線につきましては、昨年6月にJR西日本から、木次線の出雲横田駅から備後落合駅間に関して、地域の移動実態に応じた持続可能な交通体系について地元と相談したい旨の説明を受け、また、今年4月には、直近の利用実態のデータ等について改めて説明を受けたところであり、現在、沿線自治体や広島県の意見を確認しながら対応を検討しております。

 地方路線の維持を図るためには、利用客の増加が重要であり、引き続き県内市町村と連携し、JRの利用促進に積極的に取り組んでまいります。

 

(16.防災対策の推進)

 次に、防災対策の推進についてであります。

 

(1)家屋浸水被害が頻発する県東部地域の浸水対策につきましては、被害防止の基本となる河川整備を進めるとともに、被害の軽減に向けて、松江市、出雲市とともに取りまとめた緊急対策を実行してまいります。

(2)能登半島地震の被害状況を踏まえた島根半島の震災対策につきましては、地震により孤立が発生した場合の救助、救援活動を円滑に行うため、これまでも半島部における必要な環境整備や、備蓄物資の充実等を進めてまいりました。

 それらに加え、昨年の11月議会において、重点的な実施に向けた検討を行うとしておりました道路の改良や法面、落石対策、漁港の修繕等について、新たに10年間で約103億円の島根半島震災対策を実施したいと考えております。

 これらの対策については、自然災害のみならず、原子力災害との複合災害時の対応力の強化にもつながることから、中国電力に対して、実施に係る財政面での協力要請を行いました。

 中国電力からは、新たに10年間で50億円の協力を行うとの回答をいただいております。

 各事業の内容については、今議会でお示ししたいと考えております。

 こうした事業を実施することで、島根半島の震災対策の強化に取り組んでまいります。

 

(3)島根原発2号機の特定重大事故等対処施設等の設置につきましては、3月24日に安全協定に基づく事前了解を行うとともに、中国電力及び国に対して必要な要請を行いました。

県としましては、島根原発2号機の運転が安全に行われるよう、今年度から体制を強化し、厳正な監視を行うとともに、引き続き避難計画の実効性の向上に取り組んでまいります。

 

(17.安全な日常生活の確保)

 次に、安全な日常生活の確保についてであります。

 

(1)県内の刑法犯認知件数につきましては、昨年は4年連続全国最少となりましたが、今年は前年比で増加しており、中でも特殊詐欺等につきましては、依然として多くの被害が発生していることから、関係機関等と連携を強化しつつ、各種対策を積極的に推進してまいります。

 

(2)県内における交通事故につきましては、昨年の死者数は全国最少かつ過去最少を記録いたしました。

 しかしながら、今年の死者数は昨年の同時期に比べて増加しているほか、高齢者が関与する交通事故の割合も高い状況が続いております。

 来月から始まる「夏の交通事故防止運動」等を通じて、高齢者やこどもを中心とした交通事故防止対策を関係機関等と連携し、一層推進してまいります。

 

(18.若者の活躍)

 次に、若者の活躍についてであります。

 

 3月に開催された第1回全国高等学校カヌー選抜大会において、島根中央高校の植出乙倭選手が、カヌースプリント5,000m女子2年カナディアンシングルで優勝され、初代王者となりました。

 また、5月に開催されたカヌーのアジアパシフィックスプリントカップにおいて、出雲農林高校の宮原悠煌選手が、U18カナディアンペア500mで優勝されました。

 さらに、3月に開催された全国選抜中学校テニス大会の女子団体において、開星中学校が、島根県勢として男女を通じて初めて準優勝されました。

 こうした若者の活躍は、私ども県民に大きな感動と喜びを与えてくれるものであり、今後も大いに活躍されることを期待しております。

 

(19.補正予算案等)

 それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案等の概要について、申し上げます。

 一般会計の補正予算案につきましては、国の補助金の内示等に伴い早急に対応すべきものについて措置し、総額6億円を増額しております。

 この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,726億円となります。

 この補正予算案のほか、条例案11件、一般事件案6件の計18件を提出しております。

 これらの議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることといたします。

 何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

お問い合わせ先

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島根県 政策企画監室
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FAX:0852-22-6034
Eメール:seisaku-kikaku@pref.shimane.lg.jp