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令和5年6月定例県議会知事施政方針並びに提案理由説明要旨

 定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、知事として2期目の県政に臨む私の基本的な考え方を申し上げ、県議会の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 

(1.県政運営に臨む決意)

 はじめに、今後の県政運営に臨む私の決意を申し述べます。

 

(1)私は、島根県の最大の課題である人口減少に歯止めをかけるため、これまで「島根創生計画」の実現に向けて着実に取り組んでまいりました。しかしながら、まだ道半ばであることから、取組の強化を図るとともに、喫緊の課題であるエネルギー価格・物価の高騰対策や、新型コロナウイルス感染症が5類に移行しても引き続き必要となる感染症対策に取り組み、県民の生活と県内事業者の経済活動を全力で支援してまいります。

 

(2)今後とも現場主義、県民目線に徹し、「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」の実現に向けて、県議会、市町村、関係団体、県民の皆様とともに、「島根創生」を総力をあげて推進してまいります。

 

(2.エネルギー価格・物価高騰及び新型コロナ対策)

 次に、エネルギー価格・物価高騰及び新型コロナ対策についてであります。

 

(1)昨年度の消費者物価指数は、前年度比3%を超える上昇、特に光熱水費では、前年度比約12%の上昇となり、エネルギー価格・物価の高騰は、県民生活や企業活動に大きな影響を及ぼしております。

 県としましては、物価高騰等に対する追加の対策に取り組むため、必要な予算を今議会に提案するとともに、これまで行ってきた対策につきましても、引き続き、着実に取組を進めてまいります。

 

(2)中小企業、小規模企業の資金繰りにつきましては、これから多くの事業者でコロナ資金、いわゆるゼロゼロ融資の償還が始まります。

 厳しい経営環境の中、償還期間の延長など返済計画の見直しによって生じる追加の保証料を県が負担し、事業継続を支援する制度を創設しており、これまでに1,500件を超える利用があります。

 加えて、エネルギー価格・物価高騰の影響が広がっていることを踏まえ、県制度融資におきまして国の新たな保証制度を活用した新資金による支援を実施しております。

 

(3)宿泊事業者等への支援につきましては、国の制度を活用した、全国旅行支援キャンペーンを、今月末まで実施し、観光需要喚起を図っております。

 

(4)このほか、国の補助事業を活用して、事業者が、地域一体となって観光拠点等を整備する場合に、市町村と協調して支援を行うなど、受入環境の整備を促進しております。

 

(5)LPガス消費者の負担軽減につきましては、関係省庁等に対し、39都府県知事の連名による緊急要望を行ったところ、特別高圧契約を結ぶ中小企業への電力料金の支援に要する経費を含め、地方創生臨時交付金が追加交付されました。これを受けて、LPガス料金とともに、特別高圧契約についても高騰対策に取り組むこととし、必要な予算を今議会に提案しております。

また、エネルギー価格高騰の影響を受けている事業者が取り組むコスト削減、生産性向上のための設備投資についても支援しております。

 

(6)資材価格等の高騰の影響を受けている農林漁業者に対しましては、肥料、飼料価格の高騰分に補てんを行うとともに、省エネルギーや省コストにつながる機械、設備等の導入、耕畜連携による県内産の堆肥、飼料の利用拡大に向けた支援を行っております。

さらに、特に経営環境が厳しい酪農においては、乳質や乳量の改善など、収益向上への取組を支援してまいります。

 引き続き、農林漁業者が経営を継続できるよう機動的に対応してまいります。

 

(7)生活に困難や不安を抱える方への支援につきましては、各市町村の生活困窮者自立相談支援機関において、相談者の状況に応じた就労や家計改善への支援が行われておりますが、感染症や物価高騰の影響が長期化していることから、県としましても、引き続き、支援員の増員やスキルアップに向けた市町村の取組に対する支援を行っております。

 

(8)また、医療、介護、保育施設や公衆浴場等に対しましては、エネルギー価格・物価高騰による影響が長期化していることから、応援金により支援してまいります。

 

(9)また、県民生活に必要不可欠な地域公共交通につきましても、燃料価格高騰の影響を受けているため、関係市町村と連携して、県内事業者を支援し、事業の継続を支えてまいります。

 

(10)このように厳しい県内経済や県財政の現状に鑑み、私をはじめとする特別職の給与と退職手当については、引き続き減額を行うための条例を提案させていただいたところであります。

 

(3.新型コロナウイルス感染症対策)

 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてであります。

 

(1)県民の皆様には、感染症対策にご理解とご協力をいただいていることに、心から感謝を申し上げます。

 また、治療、介護に当たっておられる医療、福祉関係者の皆様に、改めまして、心から感謝を申し上げます。

 

(2)新型コロナの感染症法上の位置付けが5類感染症に変更され、行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関が患者を診療する対応に移行されました。

 県におきましても、医師会や医療機関等のご協力のもと、幅広い外来医療機関で診療に対応いただいており、今後も、新たな医療機関の参画を促してまいります。

 入院医療体制につきましては、最大438床の病床を確保し、第8波が流行した時の最大入院者数393人を上回る入院が可能な体制としております。

 

(3)症状に心配がある方のために、健康相談コールセンターを9月末まで継続して設置し、発熱時の受診相談、療養中における体調急変時の相談等について、引き続き対応してまいります。

 

(4)また、重症化リスクの高い高齢者や障がい者の方々は、特に配慮が必要であると考えており、高齢者施設等の感染対策についても引き続き支援してまいります。

 

(5)基本的な感染対策等は、個人や事業者の判断に委ねられておりますが、県民の皆様に適切な対策をとっていただけるよう、県が指定した医療機関における発生動向に加えて、クラスターの発生状況や医療のひっ迫状況等の情報提供も行ってまいります。

 

(6)ワクチンの接種につきましては、自己負担なく接種できる期間が1年間延長されております。

 引き続き、ワクチンの有効性、安全性等を周知し、実施主体である市町村と協力してワクチンの円滑な接種を進めてまいります。

 

(7)今後も、感染拡大時に医療ひっ迫を招かないよう、市町村、医療機関等と密接に連携しながら、感染拡大防止や医療提供体制の確保に取り組んでまいります。

 

(4.「島根創生計画」の取組)

 次に、「島根創生計画」の取組についてであります。

 

 今年度は、「島根創生計画」策定4年目となります。人口減少など、島根県が直面する課題について、取組を一層強化してまいります。

 

(5.魅力ある農林水産業づくり)

 まず、魅力ある農林水産業づくりについてであります。

 

(1)担い手の育成につきましては、拠点となる農林大学校の農業科において、産地づくりを進める地域と連携した研修制度の創設や、農業高校との連携強化を行った結果、入学者数は3年連続で50名に達しました。

また、林業科では、高校での林業教育等を通じた働きかけにより、定員を20名に倍増した令和2年度以降、初めて定員を充足しました。

今後も、一人でも多くの意欲ある学生を確保し、次世代の担い手を育成してまいります。

 

(2)農業につきましては、昨年の全国和牛能力共進会において肉質が全国トップクラスと認められた「しまね和牛」や有機農業など、島根の強みをしっかり伸ばしていくとともに、産地創生の取組や水田園芸を更に推進することで、収益性が高く、安定的に担い手を確保できる農業構造へと転換を図ってまいります。

 また、昨年末に県、JAしまね、西部9市町と有機野菜の産地づくりに関する連携協定を締結した、楽天農業株式会社が、浜田市、大田市、邑南町で地域と連携した産地づくりを開始されました。引き続き、こうした産地づくりの取組を支援してまいります。

 

(3)林業につきましては、輸入木材の高騰により、全国的に国産材の需要が高まる中、昨年の県内の原木生産量は、対前年2万m3増の68万m3となり、着実に増加してきております。

 今後も国内の木材需要に応えるため、高性能林業機械の導入、林業専用道等の路網整備、製材工場の施設整備等を促進し、林業、木材産業界とともに、循環型林業を推進してまいります。

 

(4)水産業につきましては、意欲ある沿岸漁業者に対し、収益性の高い操業モデルの実践、売れる商品づくりなどを支援しております。今後も、魅力ある沿岸漁業となるよう、所得向上や就業者の確保、育成等の取組を強化してまいります。

また、沖合漁業につきましても、引き続き、関係機関と連携して漁船更新等への支援を行い、水産業の持続的な発展を図ってまいります。

 

(6.力強い地域産業づくり)

 次に、力強い地域産業づくりについてであります。

 

(1)ものづくり産業につきましては、脱炭素化やデジタル化等の進展により、産業構造が大きく変化していくと見込まれるため、グリーン産業や航空産業、モーター産業など成長が期待される分野への県内企業の参入を促し、魅力的な雇用創出を進めてまいります。

 

(2)IT産業につきましては、若者の就職の有力な受け皿となるよう、県内事業者の新たな事業へのチャレンジや、IT人材の育成、確保等を引き続き支援してまいります。

 

(3)美肌観光につきましては、先月開催された「国際ウェルネスツーリズムEXPO」に出展し、国内外の旅行会社やメディアに向けて、美肌コンテンツをPRしました。

 今後も、「美肌」をキーワードにした温泉、食などの観光素材に加え、「ご縁」をキーワードに島根の魅力ある自然、文化、歴史を活かした観光素材を組み合わせ、「ご縁も、美肌も、しまねから。」のキャッチフレーズのもと、認知度の向上を図り、誘客を進めてまいります。

 

(4)外国人観光客の誘致につきましては、先般、消費単価の高い傾向にある旅行者の誘客に向けて支援を行うモデル観光地に、島根県と鳥取県にまたがるエリアが選定されました。

 こうした旅行者の誘客も含めて、台湾などターゲットとする国、地域へのプロモーションや受入環境の整備を進め、引き続き、外国人観光客の誘致に取り組んでまいります。

 

(5)中小企業、小規模企業への支援につきましては、地域経済の維持、発展を図るため、関係団体や市町村と連携し、起業、創業や円滑な事業承継、さらには、県外での事業展開等を支援してまいります。

 

(6)また、産業のデジタル化につきましては、引き続き、企業のデジタル技術導入に対して支援し、県内企業の生産性の向上や競争力強化を図ってまいります。

 

(7)企業立地の推進につきましては、県内産業の高度化や地元企業への波及効果につながり、若者の県内定着への貢献も大きいと考えております。

 これまで、新型コロナの影響により企業誘致活動にも制約がありましたが、成長が期待される「グリーン」「次世代モビリティ」「ヘルスケア」の次世代産業分野など、若者にとって魅力的な雇用分野の創出に向けて、企業立地を推進してまいります。

 

(8)江津地域拠点工業団地につきましては、未造成の区画約12.9haの整備に着手いたします。

 引き続き、豊富な工業用水や物流の利便性など、優れた立地環境をアピールし、一層の企業集積を図ってまいります。

 

(7.人材の確保・育成)

 次に、人材の確保・育成についてであります。

 

 全国的な人口の減少に伴い、人手不足の状況が続いている中、人材の確保には、若者、女性、高齢者、障がい者など多様な方々に、それぞれの経験や能力を活かせる魅力ある職場が島根にあることを伝え、県内就職を促進していくことが必要です。

 誰もがいきいきと働きやすい職場づくりに向けて、県の支援制度を利用し、人材育成や就労環境の改善に取り組む中小企業が、令和4年度は前年度と比べて48件増の73件となり、こうした取組が広がりつつあります。

今後も、魅力ある職場づくりに取り組む企業等への支援を進め、人材の確保、育成、定着を図ってまいります。

 

(8.結婚・出産・子育てへの支援)

 次に、結婚・出産・子育てへの支援についてであります。

 

(1)結婚支援につきましては、縁結びボランティア「はぴこ」や、コンピューターマッチングシステム「しまコ」の取組に加え、民間事業者に結婚支援コンシェルジュを配置し、市町村と連携した広域イベントや、将来の結婚生活を考える講座を開催するなど、結婚を望む方の希望をかなえる環境づくりに取り組んでまいります。

 

(2)放課後児童クラブにつきましては、利用定員の拡大等を進めた結果、利用定員は昨年度から237人、平成30年度からは、1,800人以上増えるなど、受入環境の整備が着実に進んでおります。

 一方で、潜在的な需要が掘り起こされ、依然として100人を超える待機児童が発生している状況です。このため、既存の保育所等の人材や施設を活用した学童の受入促進など、更なる受入環境の整備を進め、子育て環境の充実を図ってまいります。

 

(3)母子保健と児童福祉の相談に一体的に対応できる「こども家庭センター」が、4月に松江市と津和野町において設置されたところであります。

 県としましては、市町村における設置の促進と円滑な運営に向けて引き続き支援し、子育て世帯や、子育てに困難を抱える世帯等が、安心して出産、子育てができる環境づくりを進めてまいります。

 

(9.中山間地域・離島の暮らしの確保)

 次に、中山間地域・離島の暮らしの確保についてであります。

 

(1)中山間地域、離島における「小さな拠点づくり」につきましては、中山間地域の251の公民館エリアのうち、144のエリアで、買い物支援や生活交通など生活機能を確保するための住民が主体となった実践的な活動が進められております。

 重点的に支援を行う4つのモデル地区の活動を含め、こうした取組を広く周知するなどして、地域の課題解決に向けた取組が進むよう、引き続き支援してまいります。

 また、今年度は、次期中山間地域活性化計画の策定に向けて、集落の人口や活動状況、日常生活に必要な施設の設置状況など、中山間地域の実態調査を実施することとしております。

 引き続き、中山間地域で生活する上で重要な医療、介護、買い物等の生活機能を将来にわたり維持し、住民がサービスを利用できるよう、市町村と連携、協力して、旧市町村単位での生活機能の維持、確保に向けた取組を進めてまいります。

 

(2)離島振興につきましては、離島振興法に基づいて、今後10年間の隠岐の振興方策を定めた離島振興計画を昨年度末に策定し、今年度から取組を進めているところです。今後も隠岐4町村と連携して、この計画の取組を着実に進め、離島地域の実情に沿った総合的な支援に取り組んでまいります。

 

(10.世界に誇る地域資源の活用)

 次に、世界に誇る地域資源の活用についてであります。

 

隠岐ユネスコ世界ジオパークにつきましては、引き続き、隠岐4町村等と連携し、豊かな自然環境を活用した誘客促進や、受入体制の整備等に取り組んでまいります。

 

(11.地域振興を支えるインフラの整備)

 次に、地域振興を支えるインフラの整備についてであります。

 

(1)山陰道につきましては、今年度、益田道路「久城~高津間」が新規事業化され、「大田中央・三瓶山IC~仁摩・石見銀山IC間」が開通予定であり、全線開通に向け、大きく前進する年になります。また、令和7年度にかけて合わせて約37kmが順次開通する見込みとなっております。

 県としましては、事業中区間の整備推進を図るとともに、引き続き、一日も早い全線開通を国に働きかけてまいります。

 

(2)山陰道安来道路及び浜田自動車道において進められている4車線化につきましては、関係機関と連携し、円滑な事業実施を図るとともに、残る優先整備区間の4車線化の早期事業化を、引き続き国に求めてまいります。

 

(3)出雲縁結び空港につきましては、昨年5月に合意された運用時間の延長と発着便数の拡大について、引き続き、空港周辺の住民の皆様に、誠意を持って対応してまいります。

 また、「出雲~台湾線」等の新規路線開設に向けて、チャーター便の誘致等の取組を進め、空港の利便性の向上や誘客促進を図ってまいります。

 

(4)今年開港30周年を迎える萩・石見空港につきましては、今年10月末から令和7年3月までの東京便の2便運航継続が決定したところです。

 高速交通網の整備が遅れている県西部にとって、大都市圏との間を短時間で結ぶ航空路線は、観光や産業の振興、定住促進等に極めて重要な役割を担っていることから、引き続き地元協議会等と連携して利用促進を図り、路線の維持、発展を図ってまいります。

 

(5)隠岐世界ジオパーク空港につきましては、引き続き、国の有人国境離島に係る交付金を活用しながら、全国各地からのチャーター便の誘致に取り組んでまいります。

 

(6)島根県唯一の国際貿易港である浜田港につきましては、防波堤や岸壁、臨港道路の整備推進を図ってまいります。

 また、今年度からは河下港の新岸壁整備に着手するなど、引き続き港湾機能の強化を図ってまいります。

 

(12.島根を愛する人づくり)

 次に、島根を愛する人づくりについてであります。

 

 県内公立学校では、交流や体験を通じて、子どもたちが地域の人から直接学ぶ、ふるさと教育や地域課題解決型学習に取り組んでおり、この学びにより、社会で生きるために必要な力を育むとともに、育った地域の将来に関わり、支えたいという思いも醸成しています。

 こうした特色ある教育に取り組んできたことで、県立高校の今年3月卒業生の県内大学合格者数は、2年前と比べると、24%、111人増の577人となり、県内大学への進学者の増加につながっております。

 今後も、ふるさと教育等を通じて、自分たちが育った地域について子どもの頃から学び、島根の未来を考え、将来の自分の役割に思いを馳せる、その結果として、島根に住み続けたい、一旦県外に出ても島根に戻り貢献したいという若者の育成に取り組んでまいります。

 

(13.新しい人の流れづくり)

 次に、新しい人の流れづくりについてであります。

 

(1)Uターン、Iターンにつきましては、コロナ禍による行動制限等の影響もあり、近年人数が減少する傾向が続いていましたが、令和4年度は前年度と比べて101人増の、3,463人となりました。

 引き続き、Uターン、Iターン希望者への仕事や生活に関する情報提供、相談対応に加え、市町村等と連携した定着支援に取り組むほか、7年ぶりに今年度行う移住者の意識に関する調査結果も踏まえ、移住、定住を促進してまいります。

 

(2)また、関係人口の拡大につきましては、都市部等でのセミナーの受講者が、令和元年度から昨年度までに1,657人となるなど、着実に成果が現れております。

 今後も、このような島根での暮らしや地域づくりに関心を持つ方々への働きかけを強化し、地域の活性化や将来の移住につなげてまいります。

 

(3)県内高校生の就職状況につきましては、企業ガイダンスや保護者向けセミナーなどを実施した結果、今春の県内就職率は78.9%と前年に比べ0.4ポイント増加しました。

 来春の大学生や高校生の就職に向けては、4月に島根労働局等と連携して、県内企業に対し、採用枠の確保を要請したところです。

今後も、県内企業との交流会等による学生とのつながりづくりや、企業の採用力の強化など魅力ある企業づくりへの支援を進め、若者の県内就職を促進してまいります。

 

(14.女性活躍の推進)

 次に、女性活躍の推進についてであります。

 

 本県は、子育てをしながら働いておられる女性の割合が全国で最も高く、家事、育児を夫婦で分担するものという意識は高まりつつありますが、依然として女性に負担が偏っている状況です。

 このため、男性の主体的な参加を促すための家事、育児を応援するメッセージの発信や、経営者や管理職が意識、行動改革を行うための企業向けセミナーの開催等を通じて、男性が家庭の中で役割を果たすことを当然として捉える気運の醸成に取り組みます。

 今後も、県民の皆様の意見を伺いながら、女性が家庭や職場でいきいきと活躍でき、誰もが仕事と子育てや介護等を両立し、安心して働き続けることができる島根の実現を官民一体となって進めてまいります。

 

(15.保健・医療・介護の充実)

 次に、保健・医療・介護の充実についてであります。

 

(1)「しまね健康寿命延伸プロジェクト」につきましては、健康に配慮した弁当の考案など、企業や団体がタイアップした食環境整備や、県内7つのモデル地区におけるイベントを通じた住民による健康情報の啓発等により、健康づくりに取り組む県民、団体が増え、一定の成果を上げたところであります。

 今年度は、こうした取組を県民及び団体へ発信し、モデル地区以外へも住民主体の活動が波及するよう、県民の取組を促進してまいります。

 

(2)医療と介護の提供体制につきましては、できる限り住み慣れた地域で、医療、介護、予防、生活支援のサービスや、住まいが提供される地域包括ケアシステムを整え、病気や高齢になっても、それぞれの地域で安心して生活していただける環境を維持できるよう、取組を進めております。

今年4月には、訪問看護師の育成や訪問看護ステーションへの支援を行う「訪問看護支援センター」を開設し、在宅医療の充実に向けた体制を強化したところです。

引き続き、関係者や市町村と連携し、地域に必要な医療と介護の提供体制を充実してまいります。

(16.地域共生社会の実現)

 次に、地域共生社会の実現についてであります。

 

(1)島根県では3人に1人が高齢者であり、高齢者が生きがいをもって地域の支え手として活躍できる仕組みの構築を目指し、市町村や地域組織等との連携を強化しております。

 

(2)障がい児支援につきましては、昨年度、「医療的ケア児支援センター」を開設し、医療的ケア児やその家族の生活支援、就学支援など様々な相談に応じております。

 今後も、関係機関との連携を強化し、本人の成長に応じた適切な支援が受けられるよう、取組を進めてまいります。

 

(3)ひきこもり支援につきましては、ひきこもり状態にある方やご家族に対する専門的な支援を「ひきこもり支援センター」で行うとともに、市町村の実施体制の整備に向けた支援を行ってまいります。

 

(4)また、ひとり親家庭、特別な配慮が必要な子どもやその家庭など、全ての県民が、社会から孤立することなく、自分らしく生活できるよう、引き続き支援してまいります。

 

(17.教育の充実)

 次に、教育の充実についてであります。

 

(1)特別支援学校のスクールバスによる通学支援につきましては、松江養護学校及び出雲養護学校の便を、今年度から合わせて3便増便し、保護者送迎の負担軽減を図っております。

 また、保護者の朝の就業時間を確保するため、益田養護学校においては、今年度から、学校始業前の児童生徒の預かり事業を開始いたしました。松江養護学校においても、現在準備を進めております。

 

(2)松江清心養護学校においては、松江市のご理解、ご協力のもと、隣接する松江市立生馬小学校のグラウンドの一部を、身体に障がいのある子どもたちも利用できる全天候型の舗装等に改修し、今年度から共同利用を開始しました。

 今後も、スポーツや地域との交流等を通して、特別支援教育の充実に取り組んでまいります。

 

(3)浜田養護学校においては、児童生徒数の増加に伴い、教室不足が生じており、校舎内の部分的な改修等により対応しております。今後も児童生徒数は増えると見込まれていることから、児童生徒に望ましい学びの環境が提供できるよう、教育委員会において検討してまいります。

 

(4)平成31年2月に策定した県立高校魅力化ビジョンにおいては、中学校の卒業者数や高校の入学定員に対する志願者数、入学者数の状況等を注視しながら、地域における高校、学科の在り方や配置について検討することとしています。

 教育委員会においては、近年の少子化の影響や進学先の多様化により、江津地域における現状の県立高校の配置では、望ましい教育環境を将来にわたって維持することが、難しくなってきていると判断し、その在り方の検討を始めております。

 地域の子どもたちの選択肢を確保した上で、充実した高校教育を提供し、卒業後の進路につなげてまいります。

 

(18.スポーツ・文化芸術の振興)

 次に、スポーツ・文化芸術の振興についてであります。

 

 令和12年に開催予定の「島根かみあり国スポ・全スポ」につきましては、各競技における運営計画等の策定や競技役員等の養成など、大会開催に向けた準備を市町村や競技団体と連携して進めてまいります。

 また、競技力向上につきましても、競技体験会等を通じて、大会時に主力となる現在の小中学生から選手を発掘、育成していくとともに、優秀な選手、指導者をUターン、Iターンにより確保していく取組を強化してまいります。

 

(19.人権の尊重と相互理解の促進)

 次に、人権の尊重と相互理解の促進についてであります。

 

性的少数者の方々が、自分らしく生きることができる環境をつくるため、今年10月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を県内全市町村との共同事業として開始します。

引き続き、様々な人権課題の解決に向けて取り組み、人権が尊重され、偏見や差別のない住みよい社会づくりに努めてまいります。

 

(20.自然、文化・歴史の保全と活用)

 次に、自然、文化・歴史の保全と活用についてであります。

 

 世界遺産である石見銀山遺跡や、7件の日本遺産など、県内の魅力あふれる歴史文化遺産や自然について、確実な保全、継承を図るとともに、県内外に向け、広く情報発信を行うことで、認知度向上と理解促進を図り、観光振興や地域の活性化につなげてまいります。

 

(21.生活基盤の確保)

 次に、生活基盤の確保についてであります。

 

(1) JRの地方路線につきましては、地域公共交通活性化再生法の改正により、国が沿線自治体や鉄道事業者で構成する協議会を設置する制度が創設されることとなり、今年秋の施行に向け、制度の詳細や運用の検討が進められているところです。

この協議会の設置や運営に当たっては、国が中立的な立場で責任を持って関与するとともに、地域の実情に配慮するよう、国に求めてまいります。

また、路線維持に向けた利用客の増加を目指し、沿線自治体や関係団体と連携して、利用促進に積極的に取り組んでまいります。

 

(2)デジタル化の推進につきましては、県及び県内13市町が国の「デジタル田園都市国家構想交付金」の採択を受け、地域課題の解決や、行政手続のオンライン化に取り組むこととなりました。

 県としましては、市町村の取組を支援するとともに、各分野におけるデジタル化施策を着実に推進し、デジタル化の恩恵が県民に広く行き渡るよう取り組んでまいります。

 また、自治体毎に異なる情報システムを令和7年度までに全国統一の仕様に移行することが、国から求められており、専門人材の知見を活用し、市町村振興協会とともに市町村の取組を支援してまいります。

 

(3)道路整備につきましては、骨格幹線道路の改良を優先的、重点的に進めるとともに、通学路等の交通安全対策や落石対策、耐震補強、老朽化対策等を進め、県民の安全、安心と、快適な日常生活及び産業活動の基盤を整えてまいります。

 加えて、道路の除雪対応について、今年1月の大雪時に除雪作業に時間を要した要因や課題を検証し、改善に努めてまいります。

 

(22.防災対策の推進)

 次に、防災対策の推進についてであります。

 

(1)江の川下流域の治水対策につきましては、「江の川中下流域マスタープラン」に基づく事業が早期に完成するよう、引き続き、国に強く働きかけていくとともに、地元の合意が得られたその他の地区につきましても、事業推進を求めてまいります。

 また、県が実施する江の川支川の取組につきましては、ハード対策や新たに配備した排水ポンプ車による内水対策の強化等を、国や沿川市町と連携を図りながら進めてまいります。

 加えて、県東部地域における浸水対策等につきましても引き続き推進してまいります。

 

(2)斐伊川神戸川治水事業につきましては、大橋川改修と中海、宍道湖の湖岸堤整備の円滑な事業実施及び早期完成を目指し、国、県、市で連携し、流域全体の治水に係る安全、安心が確保されるよう努めてまいります。

 

(23.原発の安全・防災対策)

 次に、原発の安全・防災対策についてであります。

 

 島根原発2号機の再稼働につきましては、「現状においては、やむを得ない」と考え、昨年6月に、再稼働を容認する判断をいたしました。

 現在、原子力規制委員会において、設計及び工事計画認可の審査、保安規定変更認可の審査が継続中であります。

 私自身、再稼働を容認する判断をした者の責任として、引き続き、中国電力が安全に原子力発電所を運転するよう、その動向を厳正にチェックするとともに、避難対策の向上に取り組むなど、必要な対応をとってまいります。

 

(24.安全な日常生活の確保)

 次に、安全な日常生活の確保についてであります。

 

(1)県内における交通事故の発生件数及び死傷者数につきましては、5月末現在、昨年と比べ、ともに増加し、死者数に占める高齢者の割合が7割を超えております。

 また、今年4月から努力義務となった自転車のヘルメット着用の促進に向けて、広報、啓発を進めていく必要があります。

  来月から始まる「夏の交通事故防止運動」等を通じて、高齢者の交通事故防止や自転車のヘルメット着用等の交通安全対策を、関係機関、団体等と連携して、一層推進してまいります。

 

(2)県内における特殊詐欺の被害状況につきましては、昨年の同時期に比べ被害金額が増加しており、高齢者を中心に、幅広い年代の方が被害に遭われています。

 このような状況を踏まえ、関係機関、企業、ボランティア団体等と連携し、官民一体となった被害防止対策を推進してまいります。

 

(25.若者の活躍)

 次に、若者の活躍についてであります。

 

3月に開催された第45回全国高等学校柔道選手権大会において、男子60kg級で開星高校の田窪剛共選手が優勝されました。

 また、第2回全日本UJフレッシュボクシング大会において、男子68kg級で松江市立湖北中学校の兵主瑠聖選手が優勝されました。

こうした県内の若者の活躍は、県民に大きな感動と喜びを与えてくれるとともに、令和12年の「島根かみあり国スポ・全スポ」に向けても、大きな希望となります。

今後も、島根の若者が大いに活躍することを期待しております。

 

(26.竹島問題)

 次に、竹島の問題についてであります。

 

 この問題が早期に解決されるよう、あらゆる機会を通じて国に強く働きかけてまいります。

 また、県としても、竹島問題についての国民の理解と関心が高まるよう、「竹島の日」の式典など、様々な啓発活動や、竹島問題研究会による調査研究、竹島に関する学習を推進するための検討等を進めてまいります。

 

(27.補正予算案等)

 それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案等の概要について、申し上げます。

 

 一般会計の補正予算案については、エネルギー価格・物価高騰対策の追加など、早急に対応すべきものについて措置し、総額48億円を増額しております。

 

 この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,872億円となります。

 

 この補正予算案のほか、条例案11件、一般事件案5件の計17件を提出しております。

 

 これらの議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることといたします。

 

何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。


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