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令和2年6月定例県議会知事提案理由説明

 提案理由の説明に先立ちまして、申し上げます。

 

 さきに急逝されました、故小沢秀多県議会議員におかれましては、平成11年4月の初当選以来、21年の長きにわたり、副議長をはじめ、建設環境委員会委員長、文教厚生委員会委員長、地方創生・行財政改革調査特別委員会委員長、竹島領土権確立島根県議会議員連盟会長などの要職を歴任され、島根県勢の発展に多大なご尽力とご貢献をされました。

 ここに、小沢議員の長年にわたるご功績に深く敬意を表し、謹んで哀悼の意を表する次第であります。

 

 さて、定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.新型コロナウイルス感染症対策)

 はじめに、新型コロナウイルス感染症の状況について申し上げます。

 

(1)新型コロナウイルス感染症への対応にあたり、県民の皆様及び事業者の皆様には、長期にわたる外出自粛や営業活動への影響にご理解とご協力をいただいておりますことに、心から感謝を申し上げます。

 また、医師・看護師をはじめとする医療従事者の皆様には、高い使命感をもって、最前線で新型コロナウイルス感染症の治療に当たっていただいておりますことに、深く敬意を表しますとともにお礼を申し上げます。

 そして、感染リスクがある中で、社会福祉施設や交通・物流など、県民生活に不可欠な事業を継続しておられる事業者及び従業員の皆様にも、心から敬意と感謝を申し上げます。

 

(2)さて、政府においては、5月25日に、全ての都道府県での緊急事態宣言の解除を決定されました。

 しかしながら、感染リスクがなくなる訳ではないため、県民の皆様には、引き続き、「三つの密」を徹底的に避けるなどの基本的な感染症対策や、中国地方を除き不要不急の帰省や旅行など県をまたいでの移動を極力避けることなど、感染拡大防止の対策をお願いしております。

 一方で、県立施設及び県立学校につきましては、県民生活への影響を踏まえて、徹底的な感染防止対策を行った上で再開しております。

 

(2.経済対策と知事専決処分による補正予算)

 次に、国の経済対策と県の補正予算について申し上げます。

 

 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済は危機的な状況に陥っており、日本国内にも極めて深刻な影響を及ぼしております。

 県内経済におきましても、感染拡大防止のための外出自粛や営業活動への影響が長期間に及び、宿泊業、飲食業、小売業、製造業、運輸業など幅広い業種で大きな打撃を受けております。

 このような状況を踏まえ、政府は、感染症の早期収束と雇用の維持、事業の継続、生活の下支えを最優先に取り組む観点から、総額108兆円規模の「緊急経済対策」を決定し、そのための補正予算が4月末に成立しました。

 さらに、5月27日に、第一次補正予算を強化するため、約32兆円の第二次補正予算案を閣議決定し、今国会に提出されました。

 県においても、これらの国の対策を受け、感染症の拡大防止と医療提供体制の強化、売上げが減少している中小企業者の資金繰り支援など、当面の厳しい状況を乗り切るために必要な、緊急性の高い施策などにつきまして、予備費の活用や知事専決処分により補正予算を編成して対応しております。

 

(1)感染症の拡大防止と医療提供体制の強化につきましては、県民の健康に関する不安や疑問に幅広く対応するため、6月1日にコールセンターを設置し、電話相談窓口を一本化したほか、専門的な相談に対応する帰国者・接触者相談センターの人員体制を強化しました。

 

(2)PCR検査体制につきましては、保健環境科学研究所の検査機器の追加整備や施設改修を行うとともに、島根大学と連携して、1日あたりの検査実施件数をこれまでの90検体から212検体まで拡大することとしております。

 これらにより、今後来る可能性がある第二波への備えを強化してまいります。

 

(3)新型コロナウイルス感染症患者の入院ベッド数につきましては、県内の医療機関に約250床を確保するとともに、軽症者や無症状者の療養施設として、松江市内の宿泊施設に45室を確保しております。

 さらに、人工呼吸器や、体外式膜型人工肺、いわゆるECMOなどの県内医療機関への整備や、「まめネット」を活用して医療機関と介護施設等の情報連携や遠隔診療を行うための環境整備などにより、医療提供体制の維持と強化に取り組んでおります。

 また、家族の入院などにより養育者が不在となった児童への支援体制も整えております。

 

(4)医療機関における感染防止対策につきましては、感染症患者の受入医療機関の従事者や、妊婦を対象にしたPCR検査を実施することとしております。

 このほか、社会福祉施設等へのマスク・消毒液などの衛生用品の提供、介護施設の相部屋を個室化する改修経費の支援、県立体育施設の空調設備の整備など、県民生活に必要な各種施設の感染防止対策を行っております。

 

(5)次に、学校の対応について申し上げます。

 県立学校においては、感染予防に最大限配慮した上で、児童生徒が学び続けることができる環境づくりが求められております。

 そこで、感染症が再び拡大する事態に備えるため、県立高校や特別支援学校に、ICTを活用した遠隔授業や学習支援が実施できる環境を整備することとし、6月下旬から、順次運用を開始する予定であります。

 これにより、臨時休業や分散登校を実施することとなった場合においても、パソコンなどを用いて児童生徒と教員の双方向のコミュニケーションが可能となるため、これまでのプリントなど紙の教材による学習支援だけでなく、授業の代替措置となる遠隔授業や、障がいの特性に応じた学習支援が行えるようになります。

 

(6)また、県立学校の衛生用品の確保や、飛沫感染防止の環境整備を行うほか、特別支援学校のスクールバスについては、5月25日から小型バス等の借上げにより運行台数を増やし、乗車する児童等の少人数化を図るなど、感染防止対策の充実に取り組んでおります。

 

(7)県立大学においては、5月11日から、録画授業の配信など対応可能な手法により授業を開始いたしました。

 教員と学生とのやりとりが円滑に行えるよう、5月下旬から順次、必要な機器や学内のネットワーク環境を整備するほか、受信環境の準備が整わない学生に対しては、必要な通信機器を貸与し、全ての学生が遠隔で受講することができる環境の整備を進めております。

 

(8)農林大学校においては、5月18日から体育館等の広い場所で講義を実施しており、今後も通常1教室で実施している講義を2教室に分けて実施するなど、「三つの密」を避けるための取組を実施してまいります。

 

(9)次に、県内経済を守る施策について申し上げます。

 全国的な感染拡大に伴う観光客の減少、各種イベントや会合の自粛、サプライチェーンの分断などにより、県内でも、幅広い業種で事業活動に深刻な影響が生じております。

 このため、資金繰りが厳しくなっている中小企業者等を支援するため、全期間保証料不要、当初3年間無利子、保証付き既往債務の借換も可能、1社あたりの融資限度額を1億1,000万円とする「新型コロナウイルス感染症対応資金」を800億円の融資枠で創設しました。

 これにより、中小企業者等の資金の借入先が、政府系金融機関または民間金融機関のいずれの場合であっても、同様の条件で、新規借入と既往債務の借換を行うことが可能になりました。

 5月末時点の申込実績は、申込件数が1,575件、金額は304億円であります。引き続き、中小企業者等の資金繰りを支援してまいります。

 

(10)また、小売業や飲食サービス業などに対し、店舗での感染防止対策や、事業継続のためにテイクアウト、デリバリーなどの新事業に取り組む場合に、市町村とともに支援することとしております。4月7日以降の取組に遡及して適用するなど、ニーズに応じたきめ細やかな支援を行っております。

 

(11)このほか、飲食サービス業に特化した相談窓口の設置や、事業所が感染症に備えるため事業継続計画を策定する場合にアドバイザーの派遣をしております。

 

(12)雇用関係につきましては、就職活動中の大学生等を対象に、対面での合同企業説明会に代えて、5月18日から24日までインターネット上での説明会を開催しました。県内企業97社の参加があり、これまでに録画を含め、延べ約2万人の方に視聴いただきました。今後も継続して開催してまいります。

 

(13)また、県の支援により商工関係団体が県内各地で雇用調整助成金など各種助成制度の説明会を開催しているほか、企業における在宅勤務の導入を促進するセミナーを開催しております。

 雇用調整助成金の加算対象となる教育訓練につきましては、高等技術校で5月20日から開始しており、7月中旬まで実施することとしております。

 

(14)農林水産業につきましては、これまで、経営等に関する電話相談窓口を設置して相談を受け付けているほか、国の農林漁業セーフティネット資金の対象とならない方を含め、県内の農業者、漁業者の方が広く活用可能な融資制度を創設し、保証料を実質不要にするなどの措置を講じております。

 また、飲食店や産直市、加工業者の休業等により県内農林水産品の販売が低迷しているため、県内スーパー等における販売コーナーの拡大や、県外向け宅配など消費拡大に向けた取組に係る経費を支援しており、これまでに121店舗において実施されております。

 

(15)次に、県民生活の支援について申し上げます。

 高校生や県立大学等の学生がいる世帯に対しては、前年度の世帯収入に応じた授業料減免や教材費等に係る経費の助成に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が大きく減少した世帯に対しても、収入減少後の額に応じて減免等を行い、就学の継続を支援しております。

 

(16)外国人住民向けの相談窓口につきましては、5月末までの間、平日の開設時間を2時間延長し、土日も開設して相談に対応しました。

 

(17)このほか、新型コロナウイルス感染症に関する広報の充実につきましては、不要不急の帰省など都道府県をまたいでの移動の自粛を呼びかけるメッセージや、県の取組内容などをホームページや新聞に掲載するなど、県民の皆様への情報発信を状況に応じて行っております。

 今後も、県民の皆様に、正確な情報をわかりやすく伝えるよう、各種広報を工夫してまいります。

 

(3.6月補正予算案)

 県では、これまで感染症の拡大防止対策に全力で取り組んでまいりました。5月2日を最後に、県内での新たな感染者が発生していない状況であります。

 しかしながら、第二波への備えとして、医療提供体制を更に強化する必要があります。

 また、県民の皆様が安定した生活を取り戻すことができるよう、飲食・観光の消費喚起など、県内経済活動の回復に向けた施策にも取り組む必要があります。

 そのため、これらの対策に必要となる歳出を、6月補正予算案として今議会に提出しております。

 

(1)医療提供体制の強化につきましては、感染症対策に必要な医療従事者を確保するため、医療機関が感染症患者の治療等に当たった医療従事者へ手当を支給する場合に、経費の助成を行ってまいります。

 また、感染症患者を受け入れる医療機関が、病床を確保するために、やむを得ず病床を閉鎖する場合に、損失相当額の補てんを行ってまいります。

 

(2)学校における子どもたちの学習環境の確保につきましては、臨時休業に伴う学習の遅れに対応するため、非常勤講師を追加して配置することに加え、児童生徒の様々な不安に対応し、心のケアを適切に行うため、スクールカウンセラーや子どもと親の相談員、教育相談員などによる相談体制を拡充してまいります。

 また、県立学校における図書館の蔵書の充実や、夏季における健康管理のためのエアコン整備を行ってまいります。

 

(3)県立学校の感染防止対策につきましては、手洗い設備の自動化や、トイレの洋式化など、衛生設備の整備を進めてまいります。

 

(4)民間の認可保育所や放課後児童クラブにつきましては、感染症対策に留意しながら、より安全・安心かつ継続的に開所することが求められるため、感染防止のために必要な環境整備を支援してまいります。

 

(5)次に、県内経済の回復に向けた施策について申し上げます。

 県内経済を回復させていくためには、まずは、これまで手控えられてきた県民による県内消費を喚起していくことから始めていくことが重要であります。

 このため、農林水産品の消費拡大のために、県産牛肉や県産地鶏の学校給食への無償提供や、県産木材を利用して住宅以外の民間木造建築物を建築する場合に、建築費の助成を行ってまいります。

 

(6)飲食や観光につきましては、外出自粛などにより手控えられてきた消費を喚起するため、特典付きの「しまねプレミアム飲食券」と「しまねプレミアム宿泊券」を発行し、県民の皆様に購入していただき、県内での消費を拡大してもらえるよう取り組んでまいります。

 

(7)また、外出自粛の影響により、止まっていた人の流れを呼び戻し、県内旅行やイベント参加などの需要を喚起するため、貸切バス等の利用運賃を助成してまいります。

 

(8)県内経済の回復のためには、今の段階から、本格的回復を見据えて取り組んでいくことも必要であります。

 このため、農林水産業につきましては、需要ある生産への転換を進めるため、水田園芸や有機農業等の新規導入への支援、肥育農家による新たな販路開拓への支援、県産木材製品の新商品開発等への支援を行います。

 また、原木の需給調整が可能なストックヤードの整備や、養殖イワガキの出荷を円滑に翌年度へ繰り延べるための施設整備を支援してまいります。

 

(9)さらに、農林水産業分野における雇用確保として、受入が可能な経営体における体制整備の支援、指導・研修費の助成や、農林大学校における10月入学コースの開設など、雇用・新規就業者の安定的な確保にもつながるよう積極的に取り組んでまいります。

 

(10)県産品の販売支援では、島根県物産協会が運営するインターネット通信販売サイトを改修し、登録事業者を約3倍、登録品目数を約5倍に拡大することを目標に、幅広い県内事業者の県産品販売を支援してまいります。

 

(11)ものづくり産業等につきましては、生産拠点の国内回帰などサプライチェーンの再構築の動きなどがある中、県内での生産活動を拡大する県内製造業の設備導入を支援してまいります。

 また、新型コロナウイルス感染症を契機とした企業の地方拠点整備の動きに迅速に対応できるよう、県外企業に立地環境のPRを行ってまいります。

 

(12)観光産業につきましては、感染収束後の観光需要に備え、観光地などへの「美肌県しまね」の統一ロゴを用いたのぼり等の設置や、イメージ浸透を図るための空港・駅・観光施設等におけるPRなど、受入環境の整備を進めてまいります。

 また、県内の宿泊施設が、新たな美肌コンテンツの磨上げに取り組む場合の経費を支援するほか、感染収束後のイベントの開催支援や、感染収束後を見据えた誘客プロモーションの準備などにも取り組んでまいります。

 

(13)県民による文化芸術活動の支援につきましては、文化芸術団体等の無観客公演を企画・配信するなどして、活動を支援してまいります。

 また、社会貢献活動の継続に支障が生じているNPO法人等に対しては、新たな補助制度を創設し、感染症の影響を受けている子どもや生活困窮者など、弱い立場の人々の生活を支える新たな活動や、感染防止のための環境整備などを支援してまいります。

 このほか、感染の第二波により、今後、外出自粛が求められる事態に備えて、県立図書館の蔵書を充実し、各市町村での貸出を通じて、県民の皆様が自宅での読書や学習、読み聞かせなどに活用していただけるよう取り組んでまいります。

 

(14)仕事と子育てを両立するための環境整備の促進につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大により、短時間勤務制度やローテーション勤務など、「新しい生活様式」に対応した働き方の実践を、中小・小規模事業者等に促す必要があります。

 このため、3歳以上の子の養育に係る短時間勤務制度や、時間単位の年次有給休暇制度を導入する際の奨励金を、今年度に限って2倍に増やして、子育てしやすい柔軟な働き方ができる環境整備と、感染症に強い働き方・企業・社会づくりを推進してまいります。

 

(15)このほか、県民の皆様や県外へのきめ細かな情報発信につきましては、引き続き、新聞広告やテレビ・ラジオCMなどの各種媒体を効果的に活用し、県民の皆様へのわかりやすい広報を行うとともに、県外に対しては「暮らしやすい島根」をPRし、島根へのUターンやIターンを考えるきっかけとなる広報を展開してまいります。

 

(16)最後に、本年5月に大田市三瓶山北の原で開催を予定しておりました第71回全国植樹祭は、開催を1年延期することといたしました。

 来年の開催に向けて機運の醸成を図りながら、島根県が目指す循環型林業を広く発信する大会となるよう引き続き準備を進めてまいります。
 
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言や、外出自粛要請などにより、県民の皆様の生活や事業に深刻な影響が生じ、また、流行の第二波も懸念されるなど、事態の収束は依然として不透明であります。

 こういった状況を踏まえて、県民の皆様が苦しい生活を強いられている現状を少しでも我が身で実感し、県民目線の県施策を実行していくためには、県政全般の方針決定を担う私と副知事は、本年6月の期末手当を受け取ることはできないと判断しました。

 このため、今議会に期末手当の特例減額を行うための条例案を提案させていただいたところであります。

 

 県としましては、県民の皆様の命と生活や、県内事業者を守るため、引き続き、国や他の都道府県、市町村、医療機関などと緊密に連携を取りながら、感染拡大防止、医療提供体制の強化、地域経済の回復など、事態の収束に向けて全力で取り組んでまいります。

 

(4.「島根創生計画」の取組)

 次に、「島根創生計画」の取組について申し上げます。

 

 「島根創生計画」につきましては、3月に決定し、今年度は実行に移す年であります。

 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、各種イベントや県外との往来、対面会議などを自粛する必要があったため、これらに該当する事業については、中止または延期を余儀なくされております。

 また、当面は、新型コロナウイルス感染症対策を最優先して取り組む必要があるため、特に業務が大幅に増加している健康福祉部や商工労働部においては、「しまね健康寿命延伸プロジェクト」の一部や「商業・サービス業県外展開支援事業」などの執行を、当面、延期・繰り延べ・縮小するなどして、感染症対策と経済対策に取り組む人員体制を整える考えであります。

 まずは、事態の収束に向けて、感染症対策と経済対策に全力で取り組んでまいりますが、並行して、状況が改善し、社会経済活動が回復する時期を見据えて、「島根創生」の取組を全面的に進めていけるよう準備を行ってまいります。

(5.力強い地域産業づくり)

 次に、力強い地域産業づくりについて申し上げます。

 

(1)島根県の首都圏における新たな情報発信拠点「日比谷しまね館」につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大により開館を延期しておりましたが、5月29日に開館いたしました。

 「日比谷しまね館」が首都圏と島根のご縁を結ぶ場所となるよう、県産品、観光、移住定住情報はもとより、様々な情報発信の拠点として活用してまいります。

 

(2)企業立地の推進につきましては、昨年度は15件の立地認定を行い、認定企業の総投資額は約101億円、新規雇用者計画数は約250人となりました。

 今年度は、地元企業に対して要件緩和した助成金制度を広く周知し、地元企業の立地を更に促進いたします。

 また、企業立地が、中山間地域を含めた県全体に広がるよう、企業誘致の専任職員を増員するとともに、市町村による貸オフィス等への整備支援に取り組んでまいります。

(3)3月に設立した「しまね産学官人材育成コンソーシアム」につきましては、県内大学、松江高専、企業、県等が参画して運営を行っております。

 まずは、島根大学に「協働教育コーディネーター」を配置し、大学と企業が連携して実施する教育プログラムにより、地域を支え、地域で活躍する若者の育成と県内定着を目指してまいります。

(4)浜田市三隅町の協同組合三隅プラザの事業の再生につきましては、先に、島根県中小企業再生支援協議会が支援の決定を行い、これに伴い、県に対し、債権の一部を放棄するよう要請がありました。

 県としましては、浜田市三隅町の生活インフラ、地域経済の活力や雇用を維持するため、再生が必要と考え、これに同意することとし、債権の一部放棄に必要な議案を提出しております。

 

(6.結婚・出産・子育てへの支援)

 次に、結婚・出産・子育てへの支援について申し上げます。

 

(1)妊娠・出産支援につきましては、第2子以降の不妊治療を安心して受けられるよう、この4月から不妊治療費の助成回数等を拡充しております。

 また、産前・産後の家事・育児への支援や、産後の専門的ケアを充実させるため、市町村の実情や意見をお聞きしながら、体制整備に向けて必要な働きかけと支援を行ってまいります。

 

(2)保育所の待機児童につきましては、今年4月時点の速報値ではありますが、昨年に引き続きゼロとなっております。

 今後も、年度中途における待機児童解消を目指して、定員を増やす取組を支援してまいります。

 

(3)保育士の確保等につきましては、養成施設がない石見・隠岐地域等出身の学生向けの家賃相当額を貸与する支援制度を創設し、募集を開始したところであります。

 

(4)放課後児童クラブにつきましては、利用時間の延長や待機児童の解消対策などを進めることとしております。

 また、放課後児童支援員等の人材確保に向け、支援員資格に必要となる研修機会を拡充し、今年度の募集を開始しております。

 市町村におきましても、今年度予算で待機児童解消の事業化を進めるなど、具体的な取組がはじまりつつあります。

 今年度、新たに市町村と県を構成員とする施策推進会議を設置し、市町村との連携を強化するとともに、力強く市町村の取組を支援してまいります。

 今後も、現場の声をうかがいながら、地域のニーズに応じて放課後児童クラブの充実に取り組んでまいります。

 

(5)子どもの医療費助成の拡充につきましては、令和3年度から県内全ての小学6年生までの子どもが、医療費負担の軽減を受けられるよう、現行の「しまね結婚・子育て市町村交付金」の対象及び規模を拡大することとしております。

 市町村では、今年度から4市町がそれぞれの状況に応じて、子どもの医療費助成の拡充に取り組まれております。

 今後も市町村と連携し、この制度が円滑に実施できるよう支援してまいります。

 

(7.中山間地域・離島の暮らしの確保)

 次に、中山間地域・離島の暮らしの確保について申し上げます。

 

(1)中山間地域・離島における「小さな拠点づくり」につきましては、重点的に支援を行う「モデル地区」を2地区程度追加で募集しており、応募に向けて調整を始めた市町村もあります。

 既に選定した3地区での事業実施は、新型コロナウイルス感染症の影響により延期しておりますが、感染症の動向を踏まえて、事業再開に向けた準備を進めてまいります。

 

(2)現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は、今年度末に期限を迎えますが、現在、新法制定に向けた検討がされております。

 県としましては、こうした検討状況を注視しながら、引き続き過疎地域の実態に沿った支援が継続されるよう、関係者などに働きかけてまいります。

 

(8.地域振興を支えるインフラの整備)

 次に、地域振興を支えるインフラの整備について申し上げます。

 

(1)山陰道につきましては、国に強く求めていた「須子~小浜間」が「益田西道路」として新規事業化されました。

 引き続き、事業中区間の早期完成と、未着手区間である山口県との県境部の「小浜~田万川間」の早期事業化に向け、国に対し強力に働きかけてまいります。

 

(2)萩・石見空港につきましては、今年10月以降の2便運航の継続が決定したところであり、引き続き、利用促進対策会議を中心に、山口県や地元協議会などと連携して、ビジネス利用など安定的な需要の創出を進めてまいります。

 

(3)浜田港につきましては、福井地区の荷捌き倉庫が国の補助事業に新規採択されました。

 早期供用ができるよう、整備に取り組んでまいります。

 

(9.新しい人の流れづくり)

 次に、新しい人の流れづくりについて申し上げます。

 

 Uターン・Iターンにつきましては、全国的な新型コロナウイルス感染症拡大を受け、東京・大阪・広島で開催を予定していた「しまねUターンIターンフェア」を中止することとしました。

 一方で、オンラインの活用を検討しながら、移住希望者のニーズに応じたイベントなどの取組を進めてまいります。

 併せて、東京では、「日比谷しまね館」や「ふるさと回帰支援センター」において、情報発信や移住相談に取り組んでまいります。

 

(10.保健・医療・介護の充実)

 次に、保健・医療・介護の充実について申し上げます。

 

(1)医師の確保につきましては、3月に策定した「医師確保計画」に基づき、医師少数区域等の医師や、不足診療科の勤務医の確保などに取り組んでいく必要があります。

 そのためには、地域枠入試制度による医師や奨学金貸与医師を着実に増やしていくとともに、これらの医師のキャリア形成支援を、しまね地域医療支援センターや大学、市町村等の関係者と一体となって進めてまいります。

 

(2)このほか、出産の前後に高度な医療を必要とされる場合に、安全で安心な医療を提供するため、産科、小児科医の確保に努めるとともに、県内の周産期母子医療センターの体制について、県全体でより効果的な医療が提供できるよう、関係機関と協議を進めてまいります。

 

(3)「しまね健康寿命延伸プロジェクト」につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮し、当面は、県民が直接触れ合うことのない、減塩や運動などの取組に限定し、「健康長寿しまね推進会議」を構成する49団体と連携して進めることとしております。

 現在、新型コロナウイルス感染症による外出自粛などの影響により、県民の皆様の体力低下が心配されており、屋内でもできる体操をテレビやラジオで紹介するなどし、県民の皆様の自発的な健康づくりを支援してまいります。

 

(11.児童虐待防止対策)

 次に、児童虐待防止対策について申し上げます。

 

 新型コロナウイルス感染症対策の外出自粛により、家族で過ごす時間が長くなった影響で、全国的に家庭内でのトラブルが頻発し、児童虐待通告が増加しております。

 島根県の児童相談所におきましても、4月に入り通告件数がやや増加傾向であり、動向を注視しております。

 また、周囲との交流が減ったことにより、児童虐待などのSOSを察知しにくい状況が生じているといった懸念もあります。

 県民の皆様に、周囲の身近なところで児童虐待などを疑われる兆候を発見されたときには、ためらわず児童相談所や市町村窓口に連絡、報告をしていただくよう呼びかけているところであります。

 

(12.教育の充実)

 次に、教育の充実について申し上げます。

 

 教育の魅力化につきましては、高校において、地域住民や市町村、小中学校、企業、大学等の多様な主体が参加する「高校魅力化コンソーシアム」を構築し、地域と学校が一体となって子どもたちを育む仕組みづくりに取り組んでおります。

 今後は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に細心の注意を払いつつ、学校と地域が協働して子どもたちの成長を支えるモデルを提示できるよう着実に進めてまいります。

 

(13.防災対策の推進)

 次に、防災対策の推進について申し上げます。

 

(1)災害発生時における避難所の開設・運営につきましては、今月中旬から出水期を迎えるため、感染症対策にも留意する必要があります。

 「三つの密」となることを避けるため、通常よりも多く避難所を開設することが想定されます。

 県としましては、関係市町村などと連携しながら、市町村をまたいで避難所を開設する場合の調整や、感染症対策に必要となる物資の迅速な供給などに万全を期してまいります。

 

(2)また、水害対策として、ダムに貯めている水をあらかじめ放流し、洪水調節機能を高める事前放流の仕組みづくりや、河川の情報提供の充実のため、監視カメラの増設などを行ってまいります。

 

(3)次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 島根原発2号機及び3号機につきましては、原子力規制委員会において、新規制基準適合性審査が継続中であり、県としても、引き続き審査状況を注視してまいります。
 
(4)また、島根原発のサイトバンカ建物で、巡視業務の未実施が確認された事案については、5月13日に、原子力規制委員会が保安規定違反と判定し、県は、26日に、松江市とともに事実確認のための立入調査を行ったところであります。

 平成22年3月の点検不備問題以来、中国電力が安全文化醸成に取り組む中で、こうした問題が生じたことは、その取組に対し疑念を抱かせ、地域の信頼を大きく損なうものであり、県としては、原子力規制委員会及び中国電力の対応状況を詳細に確認してまいります。

(5)原子力防災対策につきましては、国、島根・鳥取両県、原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、引き続き、避難計画の実効性向上などに向け、検討を進めてまいります。

 

(14.交通安全対策)

 次に、交通安全対策について申し上げます。

 

 県内では、交通事故の発生件数や負傷者数は、10年連続で減少していますが、交通事故死者数に占める高齢者の割合が高い状況が続いています。

 本年は第10次島根県交通安全計画の最終年となることから、同計画で掲げる抑止目標の達成に向け、引き続き、高齢者対策を最重点としながら、関係機関・団体と連携し、交通事故の防止に向けた取組を推進してまいります。

 

(15.補正予算案等)

 それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について、申し上げます。

 

 一般会計の補正予算案につきましては、先ほど申し上げました新型コロナウイルス感染症への対応など、早急に対応すべきものについて措置し、総額44億円を増額しております。

 

 この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,869億円となります。

 

 この補正予算案のほか、予算案2件、条例案5件、一般事件案12件の計20件を提出しております。

 

 これらの議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることといたします。

 

 何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。


お問い合わせ先

政策企画監室

〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
島根県 政策企画監室
電話:0852-22-6063
FAX:0852-22-6034
Eメール:seisaku-kikaku@pref.shimane.lg.jp