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平成28年5月定例県議知事提案理由説明要旨

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.県道落石事故)

はじめに、県道で発生した落石事故について申し上げます。

 

(1)今月4日に邑南町内の県道で起きた落石により、尊い人命が失われるという重大な事故が発生しました。

お亡くなりになられた方、そして、ご遺族の方々に心よりお悔やみとお詫びを申し上げます。

 

(2)県としましては、一般の道路利用者を巻き込む重大な事故の発生を重く受け止めております。

今月22日に、専門家からなる「落石事故再発防止検討委員会」を設置し、検討を開始しました。

この委員会で原因を究明するとともに、再発防止対策について検討し、実施してまいります。

 

(2.熊本地震)

次に、熊本地震について申し上げます。

 

(1)先月14日からの地震により、多くの方々がお亡くなりになるなど、甚大な被害が生じております。

お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 

(2)島根県では、これまでDMAT医療チーム、警察、消防、保健師、建築物応急危険度判定士、県の事務職員などの派遣を行ってまいりました。

また、被災者の方々に対して、県営住宅の提供を行うほか、県民の方々からの被災地支援や被災者の方々の受入れについての相談窓口、県内中小企業の経営相談窓口を設置しております。

さらに、日本赤十字社、共同募金会による募金に加えまして、県は県庁などに募金箱を設置して支援金を受け付けております。

 

県といたしましては、今後とも現地からの要請等に応じ、可能な限りの支援を行ってまいります。

 

(3)今回の地震においては、避難所によっては、被災者に支援物資が必ずしも十分に行き渡らない事態や、車中泊をする避難者への対応が求められるなど、新たな問題も指摘されております。

 

県としましては、今回の地震を踏まえ、県内市町村とも連携しながら、住民の防災意識の向上や防災体制の強化を図っていく考えであります。

 

(3.最近の経済情勢)

さて、日本経済の動向を見ますと、緩やかな景気回復基調が続いておりますが、新興国の景気減速懸念や金融市場の変動など、引き続き、先行きに注意が必要であります。

 

県内経済につきましても、緩やかな回復が見られるものの、このような情勢から、要注意の状況が続いております。

このため、県としましては、引き続き、内外の情勢をよく注視しながら、必要な対応を行ってまいります。

 

(4.産業振興)

さて、今年度は、「総合戦略」に沿って、各種施策を本格的に展開する年であります。

「子育てしやすく活力ある地方の先進県しまね」を実現するためには、産業振興により、若い人たちが安心して働ける雇用の場を増やしていくことが重要であります。

 

(1)まず、観光につきましては、昨年「津和野今昔」が日本遺産に認定された津和野町では、多くの観光客の方々にお出でいただいております。

先月には、「出雲國たたら風土記」が新たに日本遺産に認定されました。

これも地元市町の皆様の長年のご努力の成果であります。

 

(2)来春には、島根県出身の映画監督錦織良成さんの新作映画「たたら侍」の公開も予定されております。

これを好機として、地元市町とも連携し、たたら製鉄で栄えた島根の歴史文化などを国内外に発信し、観光振興を進めてまいります。

 

(3)2年目を迎える「ご縁の国しまね」プロモーションでは、先週東京で、劇団EXILEの青柳翔さんなど3人のイメージキャラクターの皆さんに出席いただき、プレス発表会を開催いたしました。

映画「たたら侍」の宣伝活動とも連携しながら、島根の魅力を発信してまいります。

 

(4)国際観光につきましては、先月22日に、鳥取県及び民間事業者の方々と連携し、「山陰インバウンド機構」を設立いたしました。

そして外国人旅行者を地方に呼び寄せるため、国が認定する「広域観光周遊ルート」につきまして、「縁の道−山陰」をテーマとした計画を策定し、先週、この「機構」から国に対して、認定を受けるべく申請いたしました。

今後、「山陰ブランド」の確立に向け、インバウンド戦略の策定、受入れ体制の整備、海外向けプロモーションの強化などにより、山陰一体となった誘客を促進してまいります。

 

(5)隠岐ユネスコ世界ジオパークにつきましては、推進協議会において、このほど、ジオパークを活用した地域振興などの全体構想が策定されました。

この構想に基づき、隠岐の4町村などと一緒になり、ガイドの養成、ジオサイトの施設整備、情報発信などを、さらに推進してまいります。

 

(6)次に、ものづくり産業につきましては、企業の経営力・技術力・販売力の強化に向けた支援を引き続き行ってまいります。

新分野に挑戦する中小企業の課題解決への支援や、企業と高等教育機関との連携による人材育成に取り組むなど、企業の競争力強化を着実に進めてまいります。

 

(7)県内のIT産業につきましては、首都圏などからの受注が堅調であり、即戦力人材の確保と地域での人材育成、技術開発力の強化などにより、さらに事業拡大を進めてまいります。

また、IT産業と県内の製造業などとの連携を進め、これらの産業でITを活用した新たな技術や商品開発が拡大するよう支援してまいります。

 

(8)企業誘致につきましては、昨年度は、27件の立地認定を行い、認定企業の総投資額は約340億円、新規雇用の創出は約780人となりました。

今年度は、立地助成制度の対象業種を増やすなど、制度の拡充を行っております。

東京で開催する立地セミナーなどで、こうした支援制度を積極的にPRし、島根への企業進出を進めてまいります。

 

(9)中小企業・小規模企業につきましては、引き続き、アドバイザーの派遣などによる経営力の強化を図るほか、円滑に事業を承継するためのビジョンの作成、新たな商品開発、人材育成の支援などを行ってまいります。

 

また、この4月から、資金繰りなどの対策として、制度融資や立地関係資金などの貸付利率を引き下げました。

今後も、企業の経営状況などの把握に努め、必要な支援を行ってまいります。

 

(10)雇用対策につきましては、県内産業に必要な人材を確保するため、東京・大阪・広島で開催する就職フェアの回数を増やすなど、県外へ転出した学生をはじめとする若年層への働きかけを強化してまいります。

 

また、人材育成研修を実施する企業に対する助成や、従業員の出産後の職場復帰を進める中小企業への奨励金の支給などを行ってまいります。

 

(5.農林水産業の振興)

次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 

(1)TPP対策につきましては、農業関係者の不安を取り除くため、引き続き国に対し、TPPの影響や関連対策の考え方について十分な説明を求めるとともに、中山間地域などの実情に配慮したきめ細やかな対応を求めてまいります。

 

(2)県としましては、国の施策も活用して、担い手への農地集積や、地域の特性に応じた農業の競争力強化を進めてまいります。

 

具体的には、

(イ)規模拡大が難しくコスト削減などに限界がある中山間地域において、地域農業や農地の多面的機能を支える「集落営農組織」の維持・再構築を図るため、組織の法人化や広域連携、経営多角化を進めてまいります。

(ロ)また、園芸産地を再生させるため、国のTPP対策事業を活用し、産地のビジョンに基づいて、安定した生産・販売を担っていく中心的な経営体の育成を支援してまいります。

 

(3)地産地消につきましては、県産品の認知度向上や消費拡大を進めるため、食のポータルサイトや、地産地消に取り組む店舗の認証制度を創設いたしました。

 

(4)林業につきましては、原木増産対策により生産量が大きく増加し、加えて、昨年運転を開始した木質バイオマス発電所への燃料供給の効果もあり、木材関連産業の新規雇用が増えております。

引き続き、林業・木材産業が成長産業となるよう、支援してまいります。

 

(5)水産業につきましては、漁業の経営安定化や所得向上への取組みを支援し、漁業・漁村の活力再生を図ります。

また、県内主要漁港の流通機能の強化や、水産資源の回復を目指した漁場整備を進めてまいります。

 

(6.結婚・出産・子育て対策)

次に、結婚・出産・子育て対策について申し上げます。

 

若い世代が、島根で希望どおりに結婚し、子どもを生み育てることができるような環境を整備してまいります。

 

(1)結婚支援につきましては、昨年度、松江と浜田に設置した「しまね縁結びサポートセンター」を、この4月に一般社団法人化し、市町村や経済団体などと一体となって取組みを進めております。

 

(2)子育て支援につきましては、働きながら、いつでも安心して子どもを預けることができるように、待機児童の解消や、病児保育の実施箇所の拡大、放課後児童クラブの整備を進めてまいります。

 

また、保育士の人材不足の解消に向けて、保育士修学資金の貸付枠の拡大や、県内外での就職相談会の開催、潜在保育士の再就職支援などを行ってまいります。

 

(3)不妊にお悩みになる夫婦への支援につきましては、不妊治療費の助成に加え、男性を含め多くの方々に不妊や治療に関する正しい情報を提供するため、普及啓発などに取り組み、不妊治療を受けやすい環境づくりを進めてまいります。

 

(7.男女共同参画と女性の活躍推進)

次に、男女共同参画と女性の活躍推進について申し上げます。

 

3月に「女性活躍推進法」に基づく推進計画を盛り込んだ「第3次男女共同参画計画」を策定いたしました。

「しまね女性の活躍応援企業」登録制度の創設や、働きやすい職場環境整備を支援することにより、男性も女性も職場や地域において活躍できる環境づくりを進めてまいります。

 

(8.中山間地域・離島対策と移住・定住対策)

次に、中山間地域・離島対策と移住・定住対策について申し上げます。

 

(1)中山間地域対策につきましては、日常生活の機能の一定の集約化を図り、安心して住み続けることができるよう、住民の方々に地域の現状を丁寧に説明し、住民同士の話し合いの場を通して「小さな拠点づくり」を推進してまいります。

 

(2)離島対策につきましては、以前から要望しておりました有人国境離島に関する特別措置法が、先月20日に可決・成立しました。

この法律では、国の責務として、有人国境離島地域の保全と地域社会の維持のために必要な施策を策定し、実施するものとされております。

この法律に基づき、速やかに離島地域に対して適切な支援措置が講じられるよう、国に強く働きかけてまいります。

 

(3)移住・定住対策につきましては、UIターン希望者の雇用面での支援を強化し、市町村、ふるさと島根定住財団など関係機関と一丸となって取り組んでまいります。

 

(9.社会基盤の整備)

次に、社会インフラの整備について申し上げます。

 

(1)山陰道につきましては、国に要望していました「福光・浅利道路」が今年度新たに事業化されました。

今後も、早期開通に向けて沿線市と事業推進に協力してまいります。

残る未事業化区間である「益田・萩間」につきましても、早期に着手され、1日も早く山陰道全線が完成するよう、引き続き、国に強く働きかけてまいります。

 

(2)大橋川改修につきましては、向島川の水門工事が今年度完成の見込みであります。

福富地区や矢田地区におきましても、堤防整備が順調に進められており、引き続き、国や松江市と連携して事業が着実に進むよう取り組んでまいります。

 

「新大橋」の架け替えにつきましては、今年3月に都市計画の手続きが完了し、今年度から事業に着手いたします。

景観や周辺環境に配慮した橋となるよう、県民の方々の意見をよくお聴きしながら進めてまいります。

 

(3)三江線につきましては、2月に発足した、沿線6市町、JR西日本及び島根・広島両県で構成する「検討会議」において、鉄道の存続の可能性も含め、持続可能な地域公共交通のあり方について検討が進められております。

先月21日には、沿線6市町の首長・議長で構成される「三江線改良利用促進期成同盟会」において、「検討会議」の経過報告が行われました。

期成同盟会からは、「JRが三江線の運行を継続する可能性を高めるための方策」についても検討を行うとともに、新交通プランの可能性についても議論を進めるよう指示があり、現在「検討会議」で精力的に議論が交わされております。

 

今月14日からは、沿線市町の住民説明会も開催され、同様の経過報告が行われているところであります。

県としましては、引き続き、関係者間で丁寧な議論がなされ、適切な方向性が見出されるよう努めてまいります。

 

(10.地域医療と福祉の充実)

次に、医療、福祉の充実について申し上げます。

 

(1)医療分野におきましては、医師等の医療従事者確保など、

引き続き、地域医療の充実に全力を挙げて取り組んでまいります。

また、都道府県ごとに策定する地域医療構想につきましては、今年秋頃の策定を目指し、現在、圏域ごとに市町村、医療機関、関係団体などと議論を進めております。

今後、圏域ごとに課題解決に向けて検討を進め、国の対応が必要な課題については、その対応を求めてまいります。

 

(2)団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、住み慣れた地域で安心して暮らすための「地域包括ケアシステム」の構築が必要となっております。

現在、市町村を主体に検討が始まっておりますが、県としましては、医師会をはじめとした関係団体との調整を行うなど、医療・介護の連携に向けて積極的に支援してまいります。

 

(3)「障害者差別解消法」がこの4月に施行されました。

県としましても、県職員一人ひとりが様々な障がいに関する理解を深め、障がいのある方に合理的配慮を行うなど、適切に取り組んでまいります。

 

また、民間事業者や県民の方々に対しても啓発を行い、障がいに関する理解の促進と、障がいを理由とする差別の解消に取り組んでまいります。

 

(11.教育の充実)

次に、教育の充実について申し上げます。

 

社会の変化や生徒のニーズの多様化などに対応した高校教育の在り方について検討するため、先月、有識者による「今後の県立高校の在り方検討委員会」を設置いたしました。

 

ふるさと島根の将来を担う高校生が、生き生きと勉学や部活動などに励み、個性と能力を伸ばしていくことができるよう、島根らしい高校の在り方を目指して、関係各方面の意見もよくお聴きしながら、幅広い視点から丁寧に検討を進めてまいります。

 

(12.原発の安全・防災対策)

次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)先月28日、中国電力から、島根原発1号機の廃止措置計画と島根原発2号機の特定重大事故等対処施設などの設置について、原子力規制委員会への申請に先立ち、県に対して安全協定に基づく事前了解願いが提出されました。

 

(2)県としましては、原子力規制委員会に安全性の審査をしてもらう必要があることから、

(イ)まず、中国電力から説明を受け、県議会、安全対策協議会、原子力安全顧問、松江市及び周辺自治体の意見をお聴きした上で、原子力規制委員会へ申請することについて了解の判断を行い、

(ロ)原子力規制委員会の安全性の審査終了後に、同様のプロセスを経て、最終的に判断する

という、いわゆる二段階による了解手続きをとることとしております。

 

(3)また、低レベル放射性廃棄物に係る流量計の取扱いに関して生じた不適切事案につきましては、中国電力は再発防止対策に取り組んできておりますが、原子力規制委員会は、今月の会合において、中国電力の再発防止対策が着実に実施されてきていることが原子力規制庁の保安検査等によって確認された旨、発表しました。

原子力規制委員会は、今後も引き続き、保安検査の状況を確認していくとされております。

県としましては、今後も原子力規制委員会と中国電力の適切な対応を求めてまいります。

 

(4)次に、原発の防災対策につきましては、3月に地域防災計画や広域避難計画の修正を行いました。

引き続き、国、島根・鳥取両県、島根原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、検討を進めてまいります。

 

(13.防犯・交通安全対策について)

次に、防犯・交通安全対策について申し上げます。

 

県内では、依然として高齢者を中心に特殊詐欺の被害が後を絶たず、交通事故死者数も、その多くを高齢者が占めております。

犯罪被害や交通事故を抑制するため、「犯罪に強い社会の実現のための島根行動計画」や、3月に策定した「第10次島根県交通安全計画」に基づき、官民一体の対策を講じてまいります。

 

(14.若者の活躍)

(1)さて、3月末から4月初旬に全国各地で行われた全国高校選抜大会では、石見智翠館高校女子ラグビー部が4年連続優勝し、なぎなた競技では出雲北陵高校の高田彩さんが優勝するなど、多くの種目で入賞を果たしました。

今後も、島根の若者たちが大いに活躍することを期待しております。

 

(2)今年は7月から8月にかけて、全国高校総体が中国5県の会場で開催され、島根県では、体操、新体操、テニス、柔道、ボートの5種目が実施されます。

出場する選手と大会を支える高校生がともに活躍する大会となるよう、開催市町や関係団体と連携して準備を進めてまいります。

 

(15.補正予算など提出議案)

それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

今回の補正予算では、熊本地震による被災地への支援のほか、早急に対応すべきものについて措置することとし、総額4億3,600万円余を増額しております。

 

この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,206億5,500万円余となります。

 

この補正予算案のほか、条例案6件、一般事件案5件の計12件を提出しております。

 

これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。


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