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平成27年2月定例県議会知事所信表明並びに提案理由説明要旨

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、私のこれまでの在任中の県を取り巻く動向にも触れながら、県政運営に臨む基本的な考え方を申し述べたいと思います。


(1.人口減少問題の克服と地方創生の動き)
(1)まず、日本全体の大きな動きとして、政府におかれては、昨年夏以降、日本の人口減少問題に対処し、そしてまた、アベノミクスの効果が地方に波及するよう、地方創生の取組みを本格的に進められております。

 
(2)政府は、そのための5か年の「総合戦略」を、昨年末に決定されました。


(3)この「総合戦略」では、次の4つの基本目標が定められています。
第一に、地方における安定した雇用を創出する
第二に、地方への新しいひとの流れをつくる
第三に、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
第四に、時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する

そして、この目標の達成のための政策が取りまとめられております。


(4)政府は、地方自治体にも、この「戦略」に対応した「地方版総合戦略」を来年度中に作成することを求めておられます。


(5)また、政府は、この「戦略」を推進するため、地方創生対策を盛り込んだ予算や、企業の本社機能の地方への移転を推進する税制改正などを決定され、また、地方財政計画には、地方創生のための歳出を計上されております。
今月初めには、地方創生先行型の交付金を含む今年度補正予算が国会で成立しました。


(2.県の取組み)
県としましては、こうした政府の動きに対応して、地方創生に全力を挙げて取り組んでまいります。

 

(1)まず、県の「総合戦略」の作成につきましては、現在、具体的対策の検討や市町村からの意見聴取などを行っているところであります。
引き続き、県議会のご意見をよくお聞きしながら、市町村や経済界などとの意見交換を行い、来年度半ば頃には、県の「総合戦略」を作成する考えであります。


(2)そして、地方創生・人口減少対策のために、県として必要な経費につきましては、今後、策定する県の「総合戦略」を見据えつつ、また、国の基本目標も踏まえながら、今年度補正予算と来年度当初予算に計上し、今議会に提出しております。


(3.予算の概要)
それでは、提出いたしました今年度補正予算と来年度当初予算についてその概要をご説明申し上げます。

これらの予算につきましては、いずれも喫緊の課題に対し、迅速かつ適切に対応することを念頭におき、編成しております。


(1)まず、今年度補正予算では、
第一に、プレミアム付き宿泊券の発行など地域の消費喚起、多子世帯の経済負担軽減への支援や、社会インフラ整備などの経済対策
第二に、国の交付金を活用した地方創生・人口減少対策
のために、総額で77億円の歳出を追加しております。


(2)次に、来年度の当初予算では、次の3点を大きな柱として編成しております。
第一に、地方創生・人口減少対策の推進
第二に、安全・安心な県土づくり
第三に、医療・福祉・教育など、安定した生活を支える公共サービスの充実
であります。


(3)このうち、地方創生・人口減少対策に関連する予算につきましては、今年度補正予算及び来年度当初予算を通して、一体的に編成し、次の4つを大きな柱としております。
第一に、しごとをつくり安心して働けるようにする
第二に、島根への新しい人の流れをつくる
第三に、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
第四に、時代にあった地域をつくる


この4つの目標に向かって、次のような施策を積極的に展開してまいります。
(イ)商工業、観光、農林水産業の振興などによる雇用の場の創出
(ロ)企業誘致や農業の担い手確保などによる定住・UIターンの推進
(ハ)結婚支援の充実や出産・子育て対策の推進
(ニ)中山間地域の活性化の推進
(ホ)産業振興のためのインフラ整備の推進
などであります。


(4)この結果、来年度予算の総額は、5,300億円で、前年度に対し、0.5%、27億円の増加となっております。


それでは次に、地方創生・人口減少対策を中心に、主要施策について順次、ご説明申し上げます。

 

(4.産業振興)
まず、産業の振興について申し上げます。


(1)ものづくり産業につきましては、国内市場の縮小や国際競争の激化などに対応した適切な対策が必要であります。
県では、ものづくり産業の競争力強化に向け、引き続き、企業の経営力・技術力・販売力や連携の強化を進め、各地域の産業の強みを活かした取組みを支援してまいります。
また、県内企業の新技術や新製品の開発が、一層促進されるよう、産業技術センターの「先端技術イノベーションプロジェクト」に取り組んでまいります。


(2)このほか、健康増進などヘルスケアの分野では、島根の地域資源を活かし、多様な産業の連携により、新たなビジネスの創出を目指してまいります。
海外展開では、タイに開設した「島根・ビジネスサポート・オフィス」を活用し、東南アジアでの県内企業の受注開拓や進出準備などをきめ細かく支援してまいります。


(3)次に、県内IT産業につきましては、県が情報産業振興室を設置した平成20年からこの6年間で、売り上げが約80%、雇用が約25%増加するなど着実に成長してきております。
こうしたことから、県内において、さらにIT産業が発展するよう、新たに、
(イ)技術力、情報発信においては、ソフトウエア系IT研究開発支援の強化
(ロ)Rubyを活用して、優れたソフトの開発や、新たなビジネスを創出した国内外の企業を対象に表彰する「Rubybizグランプリ」の開催
(ハ)人材育成においては、学生を対象にしたプログラミング甲子園の開催
に取り組んでまいります。
また、IT企業の立地が県内全域へ広がるよう、市町村と協力して、フリープログラマーなどのIT技術者の県内移住や、その事業所の開設を支援してまいります。


(4)次に、企業誘致につきましては、今年度は、現在までに23件の立地計画を認定し、約400名の雇用増加が見込まれております。
今後とも、島根の優れた立地環境などについて一層のPRを行い、誘致に取り組んでまいります。

 

(5)中小企業につきましては、引き続き、アドバイザーの派遣により経営力の強化を図るほか、経営状況の厳しい企業も含め、商品開発や販路拡大などを支援してまいります。


(6)円安による原材料費の上昇などによる収益悪化が懸念される企業に対しましては、円安等対策資金を創設し、今月から取扱いを開始しております。


(7)また、企業が少ない離島・中山間地域において、貴重な雇用の場となっている小規模な企業の設備投資を、新たに、市町村と協調して支援し、定住を促進してまいります。


(8)食料品製造業につきましては、離島・中山間地域も含め、県全域での雇用の維持・確保のため、引き続き、売れる商品づくりを進めるほか、新たに、品質向上の取組みなどを支援してまいります。

 

(5.観光の振興)
次に、観光の振興について申し上げます。


(1)出雲大社の「大遷宮」をはじめ、「神々の国しまね」プロジェクトなどにより、島根の観光は大きく伸びました。
本殿遷座祭が執り行われた一昨年と比較しますと、少し落ち着いてきておりますが、引き続き、多くの観光客の方々が島根にお出でいただいております。


(2)今年は、いよいよ、尾道松江線が全線開通となり、様々な分野での交流促進が期待されております。
観光の分野では、日本海と太平洋を結ぶ壮大な周遊ルートが形成され、島根の中山間地域や隠岐地域の観光素材にまで目を向けていただく絶好の機会になりますので、PR活動を強力に進めてまいります。


(3)石見地域につきましては、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」のスタートに合わせ、関係自治体、JRや航空会社などと連携し、PRや旅行商品づくりを進めております。
また、石見銀山遺跡や石州半紙、石見神楽、三江線など、この地域ならではの資源を活用して誘客を進め、その効果が広範囲に及ぶよう取り組んでまいります。


(4)隠岐地域につきましては、世界ジオパーク活用推進検討会議において、「拠点施設」の整備、映像やITの活用などによる観光振興策が検討されており、5月頃に提言としてまとめられる予定であります。

 県では、隠岐の4町村などとともに、その実現に向けて取り組んでまいります。


(5)「ご縁の国しまね」キャンペーンにつきましては、新たに、若者を中心に全国的に人気が高いタレントを、イメージキャラクターとした「ご縁の国しまね」プロモーションを展開し、事業規模も拡大することにより、これまで以上に島根の認知度を高め、さらなる観光誘客の促進に努めてまいります。


(6)また、奈良県など5県の連携による「古代歴史文化賞」に加え、「古墳時代の玉類」をテーマとした調査研究を14の関係県と共同で行うなど、日本の中で古代世界への興味・関心がさらに高まる取組みを行い、観光誘客に活用してまいります。


(7)国際観光につきましては、県内の観光事業者と検討会議を設けるなど、外国人観光客の受入れ態勢の整備を進め、特に、東南アジア地域などでの誘客に積極的に取り組んでまいります。


(8)航空路線につきましては、来月からの出雲・名古屋便の運航が決まりました。
今後、この路線を活用した観光振興や企業誘致の促進などに取り組んでまいります。
また、萩・石見空港の東京便につきましては、地元協議会とも連携して、2便運航の維持に全力で取り組んでまいります。


(6.農林水産業の振興)
次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 

(1)近年、東京、大阪及び広島で開催している就農相談会への来場者が増加するなど、島根の農業や田舎暮らしへの関心が高まっております。
県では、島根での就農意欲をより高めていただくため、農業セミナーや就農相談ツアーの開催、市町村と連携した具体的な就農情報の提案などにより、農業の担い手確保・育成を進め、就農後の支援も充実させてまいります。


(2)水田農業につきましては、昨年産米の価格下落という事態を踏まえ、農家が安定的に米作りを続けていくことができるよう、昨年11月から実施している緊急融資制度に加え、必要な施策を体系化し、総合的な支援対策を実施してまいります。
また、来年度からは、農産園芸課を設置して、水田農業をはじめとした農産園芸の振興に向け、一層力を入れてまいります。


(3)畜産振興につきましては、近年、「しまね和牛」の繁殖雌牛の減少が課題となっております。
来年度からは、畜産課を設置して体制を強化し、共同の子牛育成施設や繁殖牛管理施設などの整備を支援するなど、生産基盤の強化を図ってまいります。


(4)地産地消につきましては、「島根県地産地消促進計画」に基づき、市町村とも連携しながら、各地域での取組みをさらに進めてまいります。


(5)林業の分野では、松江市及び江津市において、木質バイオマス発電所の年内の稼働が予定され、また、各地の温浴施設では、木質バイオマスボイラーの設置が計画されるなど、木質バイオマスの新たな需要が見込まれております。
また、原木生産機械の導入、木質バイオマス発電に向けたチップ供給施設の整備、製品加工施設の整備など、民間企業による積極的な動きが見られ、雇用の拡大が期待されます。
島根の豊かな森林資源を活かした循環型林業を推進し、原木の増産、木材の利用促進・販路拡大、伐採後の再造林などの取組みを強化してまいります。


(6)水産業につきましては、県内漁業の経営安定や流通体制の強化を図り、地域の実情に応じた所得向上の取組みを支援することにより、漁村の活力再生を推進してまいります。
また、宍道湖・中海におきましては、一昨年の秋以降、シジミの資源量が増加に転じるなど回復の兆しも見られ、引き続き、漁業関係者や県内外の専門家と連携し、水産資源の維持・回復に向けた取組みを推進してまいります。

 

(7.中山間地域・定住対策)
次に、中山間地域・定住対策について申し上げます。


(1)中山間地域対策につきましては、地域が主体となった買い物支援や小売店舗の存続に向けた取組みへの支援などの生活機能の維持や、地域資源を活用した6次産業化などの取組みを支援し、県内に広げてまいります。


(2)定住対策につきましては、
(イ)定住支援員の配置や雇用創出の取組みを行う市町村の体制整備への支援の充実
(ロ)高校生・大学生を対象にした県内企業でのインターンシップの大幅な拡充や、ITなどの専門技術者を対象としたUIターン就業体験事業への新たな取組み
(ハ)過疎地域において、新卒者の地元就職を進める企業を、市町村と協調して支援する取組み
などを進めてまいります。


(3)また、島根の子供たちに郷土の素晴らしさを学んでもらうため、隠岐において、自然、歴史、文化、生活を、学び、知る、体験学習を実施することとしております。


(8.結婚対策・子育て支援)
(1)結婚対策につきましては、結婚相談のボランティア「はっぴぃこーでぃねーたー」の増員や、県内の結婚希望者に、情報提供等を行う結婚支援センターの開設などにより、結婚を望む独身男女の支援を行ってまいります。


(2)また、若い世代の結婚への気運の醸成や、妊娠、出産に関する正しい知識や理解を深めるための啓発事業を進めてまいります。


(3)子育て支援につきましては、引き続き、国の支援制度の対象とならない小規模な保育や子育て支援事業の実施など、市町村が行う子育て家庭のニーズに応じたきめ細やかな取組みを支援してまいります。


(9.社会基盤の整備)
次に、社会インフラ整備について申し上げます。


(1)高速道路につきましては、尾道松江線が3月22日に全線開通します。
山陰道につきましては、仁摩温泉津道路の全線及び浜田三隅道路の約半分の区間が、いずれも3月14日に開通する運びとなりました。
引き続き、事業中区間の早期整備と未事業化区間の早期事業化を、県を挙げて国に働きかけてまいります。


(2)大橋川改修につきましては、先日、天神川水門が完成しました。
引き続き、堤防整備などが進められております。


(3)浜田港の臨港道路福井4号線につきましては、3月に供用開始される山陰道浜田港インターチェンジへの直結工事が進められております。


(10.再生可能エネルギーの導入)
次に、再生可能エネルギーについて申し上げます。


(1)「再生可能エネルギー及び省エネルギーの推進に関する基本計画」につきましては、1月下旬、策定検討委員会において中間報告がとりまとめられ、現在、パブリックコメントを求めている段階にあります。


(2)中間報告では、再生可能エネルギー導入にあたっては、島根の地域特性を活かし、地域振興や産業振興、安全安心な暮らしにつなげていくことを基本的な考えとする、と位置づけられております。


(3)今年度中に、委員会としての最終報告をまとめていただき、その上で、新年度に、県としての計画を決定する考えであります。


(4)県としましては、委員会の議論を踏まえ、新たに、木質バイオマス発電の燃料となるチップの安定供給のための施設整備や、太陽熱を利用した家庭用給湯設備設置への支援を行い、県自らも、企業局で、太陽光発電を新たに3カ所、事業化するなど、再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。


(11.社会保障制度改革)
次に、社会保障制度改革について申し上げます。


(1)医療と介護につきましては、「地域医療介護総合確保基金」などを活用し、引き続き、
(イ)医療と介護の連携の強化
(ロ)医療・介護人材の確保
(ハ)地域包括ケアシステム構築のための市町村への支援
に取り組んでまいります。
また、より効率的で質の高い医療を提供するため、平成27年度中を目途に、地域における将来の医療提供体制の目指すべき姿を示す「地域医療構想」を策定いたします。


(2)国民健康保険につきましては、その運営を都道府県へ移行するにあたり、将来にわたり持続可能な制度が確立されるよう、引き続き、国に対し、必要な財源を確保するよう求めてまいります。


(3)4月から、「子ども・子育て支援新制度」の実施により、保育所などにおいて職員の配置が拡充され、保育サービスの質の改善などが図られることになります。
県としましても、市町村や関係団体と連携して制度の円滑な実施を図ってまいります。


(12.教育の充実)
次に、地域に愛着を持ち、しまねの将来を担う子供たちの成長を支える教育の充実について申し上げます。


(1)学校教育につきましては、児童・生徒に対して、従来よりもさらにきめ細かな教育指導体制とするため、これまで40人学級編制であった小学校3年以上を対象に、今年度から3年計画で35人学級編制の導入を進めております。
来年度は、小学校5年及び中学校2年までそれぞれ拡充してまいります。


(2)また、小・中学校における学校司書の配置につきましても、引き続き、支援を行うとともに、学校図書館を活用した教育を推進してまいります。


(3)離島・中山間地域の県立高校に対しましては、若者の地元定着を進める観点からも、地元町村や住民の方々と連携して行う高校魅力化の取組みを、引き続き、支援してまいります。


(4)特別支援教育につきましては、雲南圏域の保護者や各市町からの要望を受け、4月に、出雲養護学校雲南分教室を開設することとしております。


(5)県立大学松江キャンパスのあり方につきましては、4年制への移行を求める大学の考え方を受け、県として、有識者による懇談会を設置し、幅広く意見を伺っているところであります。
この懇談会や県議会など、様々なご意見をお聞きしながら検討を行い、来年度の早い時期に方針を決めたいと考えております。

 

(13.原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。


(1)島根原発2号機の規制基準適合性審査につきましては、原子力規制委員会において、昨年12月と今月の2回にわたって現地調査が実施されるなど、審査が継続中であります。
この現地調査の中では、宍道断層の西側で追加調査が必要といった指摘がなされています。


(2)また、運転期間が既に40年を経過した1号機の取扱いにつきましては、中国電力は、今なお検討中であります。


(3)引き続き、国による島根原発の審査状況及び中国電力の対応をよく注視してまいります。


(4)次に、原発の防災対策につきましては、国、島根・鳥取両県、島根原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、引き続き、検討を進めてまいります。


(5)また、災害時に防災対応の拠点となる施設や、要支援者が一時的に屋内退避する施設への放射線防護対策につきましては、今般の国の補正予算の中で、一定の予算措置がなされ、これを受け、県も、提出した補正予算の中で対応することとしております。


(14.防犯・交通安全対策)

(1)次に、防犯・交通安全対策につきましては、県内において、高齢者を中心とした特殊詐欺被害が後を絶たない状況にあるほか、交通事故による死亡者数に占める高齢者の割合も高止まりの状況にあります。


(2)県としましては、こうした課題に対し、「犯罪に強い社会の実現のための島根行動計画」や「第9次県交通安全計画」に基づき、関係機関・団体と連携して、犯罪被害や交通事故の一層の抑止に努めてまいります。


(15.竹島問題)
次に、竹島の問題について申し上げます。


(1)来年度の政府予算案では、日本の領土・主権に関する国民世論の啓発など内外発信を強化するため、予算が増額されました。
政府におかれては、竹島に関する調査研究や国際社会への情報発信などに積極的に取り組まれることを期待しております。


(2)来週22日は、「竹島の日を定める条例」制定後、10回目の「竹島の日」であります。
多くの関係者の方々にご出席いただき、記念式典が開催されます。
県としましては、今後とも、竹島問題について、国民の理解と関心が一層高まるよう、10周年を契機として、様々な啓発活動にさらに積極的に取り組んでまいります。


(16.「住みやすく、活力ある地方の先進県しまね」を目指して)
(1)さて、私は、知事就任以来、今日まで、古き良き文化・伝統、豊かな自然、そして真面目で勤勉な県民性など、島根の強みともいうべき各地域の資源を活かし、産業振興や少子高齢化の問題などに全力で取り組んでまいりました。


(2)また、島根では早くから、県及び市町村が連携して、産業体験事業を通じたUIターン事業などにより若者の定住を推進してきております。


(3)しかし、県の人口減少傾向を止めることは容易でなく、今後も厳しい状況が続くことが予想されます。


(4)他方、これまでの取組みなどにより、近年、島根にとってプラスの変化も見られるようになってきております。


例えば、
(イ)島根は大都市から遠いということが、経済発展にとって大きな障害でありましたが、来月の尾道松江線の全線開通や、出雲・名古屋路線の開設など高速道路や航空路線の整備が進んできております。
(ロ)ITによる情報通信ネットワークも急速に整備・拡大され、この分野の県内への企業立地も伸びてきております。
(ハ)出雲大社の「大遷宮」の効果や、高円宮家典子さまと出雲大社権宮司千家国麿さんのご成婚、錦織圭選手や隠岐の海関、里見香奈さんなどの活躍により島根が全国的にもよく知られるようになってきました。
(ニ)国の世論調査によりますと、都市に住む20代から40代の人の半数以上が、地方に移住してもよいと考えております。
こうしたことから、県外で開催する定住フェアなどにも多くの方が来られるようになっております。
(ホ)都会の喧騒を離れ、自然豊かで、子育てがしやすい地方での生活を望む人々の中には、雇用の場がないために都会に出ていくことを余儀なくされた人も多いのではないかと思います。
(ヘ)こうした中、政府におかれては、人口減少問題が地方だけでなく日本全体の大きな問題だと捉え、初めてこの問題に本格的に取り組み、地方への支援を強化されようとしています。
これは、大きな好機であります。


(5)私は、こうしたプラスの流れの中で、引き続き、粘り強く、産業振興やインフラの整備などを進めながら、若者の雇用の場を確保し、医療・福祉、教育の充実などに努めていくことが、島根の発展につながると考えております。


(6)私は、県民の皆様とともに、「住みやすく、活力ある地方の先進県しまね」の実現を目指して、引き続き、全力を尽くす決意であります。


(7)以上、今後の県政に対する私の基本的な考えを申し述べました。


提出した予算案を含め諸議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることに致します。
何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私の説明を終了いたします。


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