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平成23年2月定例県議会知事所信表明並びに提案理由説明要旨

 定例議会開会にあたり、提出議案の説明に先立ちまして、当面の県政の課題に加え、知事就任以来の動向などにも触れながら、県政運営に臨む私の基本的な考え方を申し述べたいと思いますので、宜しくお願い申し上げます。

 

(最近の経済情勢)

 まず、最近の日本経済の動向を見ますと、2年半前のリーマンショックによる急激な落ち込みの後、輸出の増加などから生産が相当程度、回復してまいりましたが、昨年、欧州の金融不安や円高の進行などがあり、現在、景気の先行きは不透明で難しい状況にあります。

 県経済も同様に、大変厳しい状況にあります。

 

(県の経済対策)

 こうした中で、当面の県政の大きな課題は、引き続き、景気の回復と雇用の確保を図り、県民の方々の生活を守ることだと考えております。

 

 このため、12月補正予算に加え、今議会に提出致しました2月補正予算と来年度当初予算により、全体で約450億円の経済対策を切れ目なく実施して行く考えであります。

 

 これにより、リーマンショック後3年間に県が実施する経済対策の総額は、約1,350億円にのぼることになります。

 

(予算の概要)

 それでは次に、今般、提出致しました予算の概要について、ご説明申し上げます。

 

 2月補正予算におきましては、第一に社会基盤の整備などの経済対策、第二に鳥インフルエンザや大雪に係る緊急対策のために、総額で30億円の歳出を追加しております。

 

 次に、来年度当初予算では、276億円の経済対策及び緊急対策のほか、産業振興、医療の確保、子育て支援、福祉の充実、定住対策、中山間地域対策、教育の充実、交通の確保、安全・環境対策など、当面する課題の解決や県の総合的な発展に資する事業に、予算の重点的な配分を行っております。

 この結果、来年度当初予算の総額は、5,322億円となっております。

 

 

 それでは、次に主要な施策について、順次、ご説明申し上げます。

 

(産業の振興)

 まず、産業振興は、雇用の創出のため、引き続き県の最も重要な政策の一つであります。

 

 ものづくり産業につきましては、「ものづくり技術支援センター」の整備や、「しまね産業活性化ファンド」の創設などにより、新分野や新技術に挑戦する企業が着実に増えてきております。

 現在、整備を進めている産学官の共同研究拠点施設などを活用し、今後とも企業の新たな取組みを積極的に支援してまいります。

 

 また、新産業創出プロジェクトにつきましては、プラズマ熱処理、ITソフトウェア、機能性食品の各分野で製品化や事業化の取組みが拡大しております。

 新素材や太陽電池の開発につきましても、事業化に向け、企業との共同研究等をさらに進めてまいります。

 

 情報関連産業につきましては、知事就任以来、その育成に重点を置いてまいりました。

 

 県内の情報関連産業は、厳しい経済状況の中、売上げ高、従業者数ともに、過去2年間でそれぞれ10%を超える高い伸びを見せております。

 

 また、松江市とともに推進しているプログラム言語「Ruby」を活用したソフトウェア開発に取り組む企業は、現在、30社を超えました。

 

 今後さらに、県内の情報関連企業が強みとする技術を活かし、収益性の高いビジネスが確立できるよう支援してまいります。

 また、ものづくり・情報関連産業の競争力を高めていくため、島根大学、松江高専、民間企業とも連携して、優れた人材の育成・確保を進めてまいります。

 

 中小企業の資金繰り支援につきましては、国の緊急保証制度は今年度末に終了しますが、県の貸付制度により、引き続き円滑な資金供給を図ってまいります。

 

 企業誘致につきましては、平成19年度以降の誘致企業の認定件数は52件、総投資額は660億円、新規雇用計画数は1,700人を超え、一定の成果をあげております。

 今後とも、産業振興の大きな柱として企業誘致に取り組んでまいります。

 

 また、県産品の販路拡大のために、貿易の振興をさらに進めてまいります。重点的に取り組む品目や相手国を定め、集中的なマーケティングを行うなど、戦略的な取組みを強化してまいります。

 

 また、国内の販路拡大に向けて、これまで、ローソン、ファミリーマート、楽天、イオンといった全国展開を行っている企業との間で、業務提携の協定を結んでまいりました。

 これにより全国規模での県産品の販路開拓や観光誘客などを図ってまいります。

 

(観光の振興)

 次に、多くの観光資源を有する島根にとりまして、観光の振興は極めて重要な課題であります。

 県では、平成20年3月に制定された観光立県条例を踏まえ、行政、業界団体、事業者、県民が一緒になって観光立県に向けた取組みを強化してきております。

 

 石見銀山の世界遺産登録やアクアスの施設整備などが行われ、さらに近年、島根を舞台にしたテレビドラマや映画が数多く制作され、全国的に島根への関心が高まり、観光客が増加する動きが見られます。

 

 さらに、来年の古事記編纂1300年や、再来年の出雲大社の大遷宮という好機を活かし、神々の国しまね推進事業を進めてきております。

 今後、この事業推進のための実行委員会を設置し、また県庁内の実施体制を大幅に増強し、県を挙げて取り組んでまいります。

 また、各地で県民の方々が企画されるイベントなどにも幅広い助成を行い、地域の主体的な取組みを促進してまいります。

 

 外国人観光客の誘致につきましては、日本への観光客が増えている中国や、山陰との定期航路ができた韓国に現地駐在員を置くなど、取組みを強化することとしております。

 

 しまね海洋館アクアスにつきましては、この4月に新しいシロイルカ用のプールがオープンします。県西部における観光の拠点として、さらにその魅力を高めてまいります。

 

 隠岐地域につきましては、平成24年度の世界ジオパーク認定を目指して、地元で準備が進められております。県も、この活動を積極的に支援してまいります。

 

 また、本年5月には、世界60の国・地域の代表選手による第32回世界アマチュア囲碁選手権大会が、松江市で開催され、各種の交流イベントも行われます。こうした機会を捉え、島根の魅力を広く伝えてまいります。

 

(農林水産業の振興)

 次に、農林水産業の振興につきましては、引き続き、産業振興の大きな柱として積極的に取り組んでまいります。

 

 農業の戸別所得補償制度は来年度から本格実施となり、また林業・水産業についても新たな制度が導入されることになりました。

 県としましては、これらの制度が地域の実情を十分反映したものとなるよう、引き続き国に働きかけるとともに、農林水産業の基盤整備の促進についても国に要望してまいります。

 

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)につきましては、関係国との協議が開始され、6月には政府の方針が決定される予定でありますが、引き続き、国に対して農林水産業への十分な配慮がなされるよう強く要請してまいります。

 

 県では、平成20年度から「新たな農林水産業・農山漁村活性化計画」により、地域ごとに様々なプロジェクトに取り組んできております。

 

 美味しまね認証制度や有機農業の推進などが、県産品の品質やイメージの向上につながっており、引き続き特色ある売れるものづくりを進めてまいります。

 

 また、農林水産業への関心の高まりと、就農支援の拡充により、新たに就農する若者も増えてきております。こうした皆さんの雇用の受け皿となるよう集落営農組織等を積極的に支援してまいります。

 

 今後は、各地域の特性を活かした農林水産業の振興が、ますます重要になってきております。

 耕作が行われていない水田で、飼料米の作付けを促進するなど、水田の新たな活用を支援してまいります。

 

 また、豊かな森林資源を活用するため、公共建築における木材利用を促進しております。さらに民間建築でも木材利用が進むよう支援を行ってまいります。

 

 県内で広がっているナラ枯れや有害鳥獣による被害につきましては、被害林の伐採利用やシカの捕獲などを進め、その拡大を抑止してまいります。

 

 また、宍道湖・中海において漁業資源の回復に向けた環境整備や稚魚の放流を行うなど、漁業の振興を図ってまいります。

 

(社会基盤整備)

 次に、道路整備や治水事業などの社会インフラ整備は、産業振興を進める上で、必須の要件であります。

 

 まず、山陰道につきましては、県東部では出雲インターまで開通いたしました。今後は、さらに県西部での整備が早く進むよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。

 

 また、尾道松江線につきましては、平成24年度に三次まで開通する見込みであり、広島方面へのアクセスが格段に改善いたします。

 

 さらに、宍道湖・中海圏の発展を支える松江第五大橋道路「松江だんだん道路」につきましては、来年春に一部区間の供用を始める予定であります。

 

 今後とも、国の道路整備予算の確保と整備が遅れている地域への予算の重点配分や、高速道路の未着手区間の早期事業化を国に強く求めてまいります。

 

 斐伊川・神戸川治水事業につきましては、上流部の尾原ダムと志津見ダムが、今年度末までに完成予定であります。

 

 中流部の斐伊川放水路につきましては、平成20年代前半の完成を目指して順調に工事が進められております。これに関連し、出雲市内の中小河川改修も、さらに促進してまいります。

 

 下流部の大橋川改修につきましては、くにびき大橋より下流の北岸地域の工事の早期実施に向けて、国により準備が進められております。

 

 これらの治水対策事業が今後とも円滑かつ速やかに進められるよう、引き続き、国や地元自治体と連携して取り組んでまいります。

 

 次に、航空路や離島航路は、地域の住民の生活や産業の振興に必要不可欠な社会インフラであり、その充実・整備に努めてまいります。

 

 萩・石見空港につきましては、運休しております大阪便が、地元の取組みなどの効果もあり、来年度は7月、8月のシーズンに運航されることになりました。

 今後とも、通年運航の再開、併せて東京便の2便化に向け、利用促進に取り組んでまいります。

 

 出雲縁結び空港では大阪便の増便、隠岐空港では夏のジェット便の継続が決まりました。引き続き観光誘客などを図ってまいります。

 

 また、隠岐航路につきましては、高速船レインボーIIが平成25年末に使用期限を迎えるため、後継船について必要な支援を行ってまいります。

 

(離島・中山間地域対策等)

 次に、過疎対策につきましては、他県とも協調して国等への働きかけを行い、昨年度末に延長された過疎法で、新たにソフト事業への財政支援が盛り込まれました。

 

 こうした制度を活用し、集落の維持・活性化、地域資源を活用した産業振興、高齢者等の生活支援など、地域の実情に応じた施策に、市町村と連携しながら、取り組んでまいります。

 

 次に、定住対策につきましては、県やふるさと島根定住財団で、積極的な定住支援を行っており、平成19年度以降のUIターン者は400名を超える状況にあります。

 

 引き続き、多くの方々に島根での暮らしに関心を持ってもらえるよう情報発信を行うとともに、市町村と連携して、最初の相談から定住後の支援まできめ細かく一貫した取組みを行ってまいります。

 

(安全・安心な暮らしの確保)

 次に、深刻化する離島・中山間地域などの医師不足につきましては、国に対して医師確保対策の拡充を働きかける一方、「地域医療再生計画」に基づき、医学生に対する奨学金貸与など、対策を強化してまいりました。

 

 さらに医師の県内定着を図るためには、若手医師が県内においても、高度な医療知識や技術を身につけることができる機会を確保することが重要な課題であります。

 このため、行政・医師会・医療機関・大学等が一体となって、若手医師のキャリア形成を支援するプログラムを策定するとともに、県内定着促進の中核となる「地域医療支援センター」の設立に向けて準備を進めてまいります。

 

 ドクターヘリにつきましては、離島・中山間地域の救急医療を充実するため、年内の導入に向け、鋭意、準備を進めております。

 

 看護職員の確保につきましては、奨学金制度により県内就業を促進するとともに、県内病院での研修を支援することなどにより、新人看護職員の定着と経験者の再就職促進を図ってまいります。

 

 県立大学短期大学部看護学科の四年制化につきましては、平成24年4月からの移行に向け、施設整備や教員の確保などの準備を、鋭意、進めております。

 

 また、がん対策につきましては、県庁内に「がん対策推進室」を新たに設置し、予防・検診部門と医療部門が一体となって総合的な対策を進めてまいります。

 

 次に、高齢者をはじめとして、県民の方々が身近な地域で安心して暮らせるためには、行政、住民組織、NPO等が協働して、日常的にみんなで支え合う仕組みを構築していくことが重要であります。

 このため、住民組織等が地域ニーズに対応して行う活動への支援や、活動を担う人材の育成に取り組んでまいります。

 

 障がい者福祉につきましては、サービス基盤の整備は概ね順調に進みつつあります。今後は就労機会の一層の拡大が必要であります。

 このため、県庁内のワークセンターなどにおいて、障がい者の方々の働く場を広げ、民間での採用拡大にもつなげてまいります。

 また、県民の皆様に、障がいのある方々への理解が広まり、配慮や手助けを行ってもらえるよう、「あいサポート運動」を鳥取県と連携して進めてまいります。

 

 次に、防犯対策につきましては、昨年度策定した「犯罪に強い社会の実現のための島根行動計画」により対策の強化を図っております。

 事件や事故への迅速な対応や街頭での防犯活動を強化し、暴力団排除活動などに県民総ぐるみで取り組むことで、犯罪の起きにくい、安全安心な地域づくりを推進してまいります。

 

(教育の充実)

 次に、教育につきましては、小中学校への学校司書の配置などにより、子ども読書活動が活発化しております。今後さらに、高校を含め読書活動を推進してまいります。

 

 また、離島・中山間地域では、地元の方々が、地域の高校の魅力を高め、域外からも入学生を受け入れる活動に積極的に取り組んでおられます。県では、こうした各地域の動きを支援してまいります。

 

 近年、特別支援学校高等部の生徒数が増加しております。この傾向が特に顕著な松江養護学校及び出雲養護学校において、校舎を緊急に整備することとしております。

 

 スポーツの分野では、全国高校サッカー大会で立正大淞南高校が県勢として初の全国第3位となりました。こうした若者の活躍は県民にとって大きな喜びであります。

 今後ともスポーツ・体育の振興を含め、青少年の健全育成に取り組んでまいります。

 

(財政健全化の取組み)

 これまで各分野ごとに私どもが目指すべき施策について説明してまいりましたが、こうした施策を着実かつ効果的に進めるためには、悪化した県財政の健全化を図り、財政基盤を強化することが必要であります。

 

 県財政は、国の地方財政対策などに大きく依存しておりますが、我々自身も行財政改革に積極的に取り組んでいかなければなりません。

 

 これまで、職員の理解も得ながら総人件費の抑制など歳出削減に取り組み、また各種歳入の確保を進め、当初想定した健全化目標にほぼ沿って財政収支の改善を図ってまいりました。

 これにより来年度末の通常の県債の残高は、19年度末に較べ約1,200億円減少する見込みであります。

 

(誰もが住みやすく、活力ある島根を目指して)

 さて、最後に、私が日頃考えております島根の将来や発展の展望などについて若干、総括的に申し上げたいと思います。

 

 私は、知事就任以来、できるだけ多く県内各地を回り、現場を見、皆様のご意見などをよくお聞きしてまいりました。

 そうした中で、島根は、なぜ発展が遅れたのか、なぜ少子高齢化が早く進んだのか、この流れを変えるにはどうしたらよいかなど、いろいろ考えてまいりました。

 

 戦後、日本が復興し、工業化・近代化により高度経済成長が進む中で、島根の発展が遅れたのは、その大きな発展の波が島根まで十分には届かなかったことにあると考えております。

 

 島根は東京などの大都市から遠く、大都市と結ぶ交通と情報のネットワークが島根まで達していませんでした。

 島根の若者は発展する大都市に出て行き、それが島根の少子化、高齢化をもたらし、人口減少につながってまいりました。

 

 しかし、私はこの4年間、島根の中を見てまいりまして、新たな動きが出てきていることを感じております。

 

 島根でも高速道路などがだんだんと整備されてきて、大都市へのアクセスの障害が徐々に低くなってきております。

 

 また、近年、ITによる情報通信ネットワークが急速に整備・拡大され、地方にいながら日本中から必要な情報を得て、ビジネスの全国展開ができるような時代になってまいりました。

 

 さらに、大都市の企業の中には、まじめで粘り強く働く島根の若者を求めて、島根での立地を検討する企業がかなりあります。これが、県内雇用の増加につながっております。

 

 また、都市の人々の中に、自然や自然食品に関心を持つ人が増えてきております。こうした都市の人々にとって、島根の農産物を、さらに魅力的なものにすることで、販路は拡大していきます。

 

 NHKの「だんだん」、「ゲゲゲの女房」、映画「レイルウェイズ」の放映などにより、島根の豊かな自然や、古き良き文化や歴史に関心が高まり、観光客が増加する勢いにあります。

 

 さらに、社会の成熟化とともに、人々の価値観も変わってきております。多くの人が大都市の住みにくさに気づいてきているように感じます。

 毎日、新聞などを見ますと、大都市などにおいて、孤独死、凶悪犯罪、あるいは子どもの虐待など目を覆いたくなるような事件が起こっております。

 

 そうした中で、自然が豊かで、温かい地域社会が残る地方に住みたい、農業をやりたい、林業や漁業に従事したいという若者が増えてきているのだと感じます。

 

 私は、地方の遅れた社会インフラの整備などを進め、もう少し地方を大事にする国の政策がとられ、地方の不便さが改善していくと、住みにくい大都市から人口の地方分散が進み、大都市の過密も改善し、日本が全体として豊かになると考えております。

 

 もちろん、国に頼るだけでなく、地方自らが努力していかなければなりませんが、島根など地方の良さが見直される時代になってきていると感じております。

 私は、こうした新しい流れの中で、粘り強く努力していくことで島根の発展の展望は開けると考えております。

 

 私は、今申し上げたような考え方のもとに、「誰もが住みやすく、活力ある島根」の実現を目指して、今後とも全力を尽くす決意でありますので、宜しくお願い申し上げます。

 

 以上、県政に対する私の基本的な考え方を申し述べました。

 提出した予算案を含め諸議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることに致します。

 何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私の説明を終了致します。

 


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