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エノキタケ品種の開発

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 本県の豊富な森林資源には多くの野生きのこが生息し、そのうち食用きのこは100種類以上が発生しています。当センターでは有用な野生きのこを見つけ、採取・保存して、栽培化に向けた研究に利用しています。

 

 平成24〜29年度にはエノキタケの品種開発に取り組みました(重点研究プロジェクト)。研究には過去に採取・保存したものを含め(平成17年〜)、県内7箇所で採取したエノキタケ(No.1〜7)を使用しました。野生のエノキタケは私達がいつも見ている白くて細’もやし状ではなく、黄色〜茶色で、傘は大きく成長します。また、柄が黒くなるのが特徴で、これが鑑定の決め手になります。

 

写真)野生のエノキタケ

野生のエノキタケ(当センター構内)

 

 

 品種開発の手順は次の通りです。

(1)野生エノキタケNo.1〜7から、それぞれの子や孫をつくり(1A、1B、1C・・・7A、7B、7C・・・)、栽培して家族毎の特徴を確かめます。特徴とは、色、形、大きさ、重さ、栽培日数、作業性など(例:No.1の家族は共通して背が高い)。

(2)家族同士を組み合わせて子や孫をつくります(1A×2A、1A×2B・・・6A×7A・・・)。この時に(1)で確認した特徴から、高品質・多収量で、栽培管理が容易な家系となるように組み合わせ方を考えて誘導し、得られた子や孫を栽培して特徴を確かめます。

(3)総合的に特徴を評価して、上位候補だけ(今回の研究では16候補)の栽培を繰り返し、最も優れた一つを決めます。

 

 実際には多くの課題があり、選抜するには方針決定が重要となります。

 今回、重視したのは柄の色です。冒頭で述べた通り、エノキタケは柄が黒くなるのが特徴で、栽培してもその傾向が見られ、これは外見上の欠点と考えられます。そのため、なるべく柄の色が黒くならないように、組み合わせ方を工夫しました。

 

 

 下の写真は選び抜いた品種候補を栽培したものです。形‘もやし状のエノキタケと同じですが、色は全体が綺麗な淡黄色です。栽培条件によって、形や大きさを変えることもできます。

 

写真)品種候補

品種候補(3E×7E)

 

 

 平成30年度に3E×7Eを品種登録出願しました。品種名は「黄雲(こううん)」です。当面は島根県内の生産者向けに、品種使用の準備をしていきます。

 食感は歯ごたえが強く、味にはコクがあります。エノキタケ自体‘ぬめりで、汁物はとろみを感じます。多くの方に召し上がっていただけるように、生産が拡大することを期待しています。

 

関連情報:12月6日掲載の一言コラム

 

 

 


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中山間地域研究センター

島根県中山間地域研究センター
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