軒下の一輪挿キイロスズメバチ

 令和7年6月19日(木)晴れ

 

 「本館実験棟にハチが巣作りをしているみたいです。まだ女王バチだけのようですよ」

総務課の熊本さんから、そしてほどなく同課の岸さんからもハチの巣が、、、とお話をいただきました。連絡イコール巣の撤去をお願いします、

というリクエストで、撤去対象の状況もしっかり報告いただいています。

 

 当センターは豊かな自然環境に囲まれて各種生物も多く、また、広い敷地に点在する各種の建物はハチが巣を作るのに好適な場所を提供しています。

 毎年、ハチの巣が複数設営され、いつの頃からかハチの駆除担当を拝命しています。

 

 撤去指令のあった場所、実験棟に行くと巣は見つかりました。一輪挿しの花瓶を逆さまにしたような形で、軒下にくっついています。この形状は

スズメバチ類の初期の巣に独特のものです。

 

 スズメバチ類の巣は、子育てをする部屋、六角形の小部屋(育房:いくぼう)が集合した巣板(そうばん)が外皮に覆われています。

 環境緩和や、外敵からの攻撃に備えるために覆われる外皮ですが、巣を守る働きバチが少ない営巣初期には、細長い構造の出入り口にすることで

防衛機能を高めているようです。

軒下のハチの巣の画僧

 

軒下にぶら下がる一輪挿し(巣)。外皮は付近の木の幹や樹皮等をかじり取り、唾液でこねて作りあげます。

かじり取る材料の色によって外皮には美しい模様が入ります。この巣はほぼ均一の材料から作られたようで、白みの強い、美しい作品に仕上がっています。

 

 撤去の前に、巣を創生された女王様はどなたか(どの種類か)知っておきたかったので、再三、面会に伺ったのですが、女王様は巣材や幼虫の餌集め、

あるいは巣内作業がお忙しいためか、出入りされるお姿は拝めず、その後10日あまりお目通りが叶わない状態が続きました。

 このまま日数が経過すれば働きバチがどんどん誕生して、撤去作業が大変になるため、とりあえず巣だけ撤去することにしました。

ハチの巣の画像

撤去した巣。大きさは15cmほど。外皮内部の巣板には25個の育房が作られ、卵・幼虫・蛹までの各ステージが生育中。

蛹の模様からキイロスズメバチ(ケブカスズメバチ:R4年9月15日のコラム参照)と分かりました。

 

  今回の駆除は女王様がお出かけの隙に巣を撤去したので、また、近くに新たに巣作りを始めるかもしれません。そうなれば、また改めて駆除、ということに

なります。しかし、スズメバチ類は生態系の重要な構成員。今度はセンターの外、人への危害が発生しない別の場所で営巣・生活していただくことを祈っています。

 

農林技術福井

 

 

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