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総務委員長報告

 

総務委員長報平成28年11月定例会(12月16日)

 

 総務委員長報告をいたします。

 今定例会において総務委員会に付託されました議案のうち、既に12月7日に報告いたしましたものを除く議案の審査結果等について報告いたします。

 

 当委員会に付託されました議案は、「平成28年度島根県一般会計補正予算(第4号)」の予算案1件、「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」など条例案4件、「財産の取得について」など一般事件案2件であります。

 

 これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 次に、請願の審査結果について報告いたします。

 このたび新規に提出された請願第14号「平成25年6月26日付で決議された″日本軍「慰安婦」問題への誠実な対応を求める意見書″の撤回決議を求める請願」は、平成25年6月定例会において議決した「日本軍「慰安婦」問題への誠実な対応を求める意見書」の撤回を求めるものであります。

 委員からは、意見書を島根県議会が議決した際、事実認識に誤りがあるため、この意見書については撤回すべきであるとの意見がありました。一方、国において「河野談話」を見直す動きはないことなどから、撤回すべきではないとの意見もありました。最終的には、挙手採決の結果、賛成少数により「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に新規に提出された請願第15号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願書」は、私学助成の増額と保護者負担の軽減等を求めるものであります。

 県では、平成28年度においても私立学校への経常費助成の生徒一人あたりの単価の増額などにより保護者負担の軽減を図るとともに、国に対しては、就学支援金や奨学のための給付金の拡充要望を行っているところであります。国の予算化の状況を注視しつつ、慎重に検討を行う必要があることから本請願については、「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 なお、継続審査中の請願第7号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願書」についても、同様の理由から、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に、報告事項など所管事項調査における質疑、意見等のうち主なものについて申し上げます。

 

 地域振興部から報告のありました「しまねU・Iターンフェア開催状況について」であります。

 委員からは、アンケート調査によると、開催時間がもう少し長ければよいとの意見があるが、参加者の期待に応えられるフェアになるよう取り組んでほしいとの意見、開催地区によってニーズなども異なるので、アンケート調査を点検し、来年度以降に役立ててほしいとの意見がありました。

 これに対し、執行部からは、予算的な制約はあるものの、今後、どのようなことができるのか考えていきたいとの回答がありました。

 

 次に、県立大学についてであります。

 当委員会は、昨年度から県立大学の在り方について数回にわたり、調査を行ってまいりました。その中で、設立当時から国際情勢も変わっており、県立大学のあり方について議論する必要があるとの意見、県立大学として県民愛をもって教育・研究に取り組んでほしいとの意見、これまで以上に地域に根差し地域に貢献する大学とするよう努めるべきである等の意見がありました。

 来年度から新たに始まる平成31年度以降の中期目標の策定にあたっては、調査の過程で出された意見等を十分に踏まえると共に、積極的に県民の声が反映できるように努めていただくことを要望いたします。

 

 最後に、当委員会では昨年度から「地域交通の確保ー交通弱者対策を中心としてー」をテーマとして、交通弱者の移動手段を確保するため、基幹集落と周辺集落との間や広域的交通ネットワークの形成にどのような取り組みが必要なのかという観点で、現地調査を含め調査活動を行ってまいりました。その結果を報告いたします。

 

 まず、人口規模の小さい市町における取り組みについてです。

 安曇野市地域公共交通協議会の「あづみん」は、14台の車両でデマンド交通を展開しています。1乗車300円とし、交通体系を整理し、地域住民の日常生活の利便性を飛躍的に向上させました。特色は、GPSの利用により車両の位置が3分毎に把握され、この情報を基に、地元の地理を熟知している主婦などを採用し、効率的な運行計画を作成している点です。

 浜田市の旭自治区交通再編事業では、市役所支所や商業施設等がある基幹集落を中心とした地域交通の再構築を図っています。例として、一般利用が少なく中学生以下の利用が多い区間では、曜日運行やスクールバス混乗方式を導入するため、民間バスから市の生活路線バスに切り替えられています。また、交通空白地域の解消と空白曜日を埋める予約型乗合タクシーを導入されています。

 飯南町の谷自治振興会では、地区内の巡回バスの廃止を機に、地区全体を対象に、自治会による輸送活動を実施しています。運行区域はアンケート調査により決定し、運転や受付事務は、ボランティアにより行っています。このような形で輸送活動が実施できているのは、地域住民の理解と協力、強固な地域組織があることが大きな要因と考えられます。

 

 次に、比較的人口規模の大きい地方都市における取り組みについてです。

 富山市では、鉄軌道の沿線に居住、商業、業務、文化等の都市の諸機能を集積させる公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを目指しています。特に、日本初の本格的なLRT(次世代型路面電車システム)の整備等によるネットワークの形成、高齢者への運賃割引などにより、回遊性と利便性が向上し、その結果、公共交通の利用者の増加を実現しています。

 八戸市では、公共交通需要が大きく、都市交通の骨格となるバス路線を「市内幹線軸」として設定し、利便性の向上に努めています。利用促進策としては、方面別に記号やイメージカラーを定める「路線ナンバリング」、3つの事業者の路線図を一本化した共通バスマップの発行、公共交通アテンダントの配置等を行っています。

 

 次に、複数自治体の連携等広域的な取り組みについてです。

 長野県南信州広域連合では、飯田市中心部と他地域を結ぶ重要な機能を持つ公共交通路線を「基幹路線」として位置づけ、重点的に整備を行っています。また、各地域の主な交通結節点や基幹路線に接続する公共交通路線を「准基幹路線」とし、基幹路線や准基幹路線を結ぶ地域の自治体バスなどを「支線」として整理されました。そして、圏域住民、交通事業者、行政等の関係機関が連携し、効率的で利便性の高い、そして誰もが利用しやすい公共交通となりました。

 青森県の八戸圏域定住自立圏では、圏域市町村間の結びつきやネットワークを強化する計画を策定されています。ここでは、バス運賃を八戸市内300円、圏域500円以内とする取り組みも行っています。これらの取り組みにより、長期にわたり減少傾向にあったバス利用者が増加に転じるとともに、運送収入も下げ止まりの傾向が見られています。

 

 最後に、本県は他県に比べて、市町村と強く連携して地域交通の課題に取り組んでいるところであり、県内市町村から、県の姿勢に対する感謝の言葉を聞いた事を付言しておきます。

 

 以上の調査結果を踏まえ、総括的な意見、要望を申し述べます。

 人口減少等が進む中で、事業者の自助努力のみによる地域公共交通ネットワークの維持には限界があります。今後は、地域交通に係る民間と市町村、県等の関係者が適切に役割分担しながら、まちづくりなどの観点も踏まえつつ、地域において、輸送需要に応じた最適な交通手段の組み合わせを選択することが重要になります。特に、高齢者が安心して暮らせるよう、中山間地域等において買い物、金融、医療介護等の日常生活に必要な機能・サービスを基幹集落等に集約し、周辺集落との間や近隣の中心都市等を結ぶ地域交通を再構築することが必要と考えます。
執行部におかれては、各地域における創意工夫ある地域交通確保の取組効果が十分に発揮されるよう、当委員会として次の4項目を要望します。

 本県は、市町村と共に地域交通の確保に積極的に取り組んでおり、その姿勢は本県の特色として、引き続き堅持すること。

 特に、「小さな拠点づくり」に向けた持続可能な地域交通確保のための支援の充実を図ること。

 市町村をまたがる地域交通の確保については、市町村とともに、広域的自治体である県がより主体的・積極的に取り組むこと。

 地域交通確保における財政支援の拡充強化を国に働きかけること。

 

 以上が、当委員会の調査テーマに関する調査結果の報告であります。

 

 以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。

 



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