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建設環境委員長報告

 

建設環境委員長報平成十五年九月定例会


建設環境委員長報告をいたします。

建設環境委員会に付託されました議案及び請願の審査経過並びに結果について、ご報告いたします。

今定例会において建設環境委員会に付託されました議案は、知事提出による予算案八件、条例案一件、一般事件案三件、議員提出による意見書案一件であります。

まず、知事提出議案についてご報告します。
全ての案件について、執行部に説明を求め、慎重に審査をいたしました結果、いずれも全会一致を持って、原案のとおり可決すべきものと決定を致しました。

次に、議員提出議案についてご報告します。

議員提出第十号議案「情報通信技術等を悪用した不当な請求の防止に関する意見書」については、執行部に現状を確認するなど、慎重に審査をいたしましたが、さらに詳細な現状や関係法令について調査を行ったうえで判断をするため、継続して審査を行うべきものと、決定を致しました。

それでは、付託された議案の審査過程での、
執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項のうち、主なものについてご報告いたします。

初めに、第百十一号議案「平成十五年度島根県一般会計補正予算」のうち、教育費に計上されている芸術文化センター(仮称)整備事業費についてであります。

これは、芸術文化センター(仮称)の建設事業に伴い、搬出先の残土置き場の土壌から、環境基準を超えるヒ素が検出されたため、その残土を処理するための費用であります。

執行部からは、本年五月末、工事に伴い場外に搬出した土壌について、住民から安全性を確認するよう申し出があり、調査の結果、残土置き場から環境基準を上回るヒ素が検出されたこと。

国の指針に基づき処理方法を検討した結果、地元の意向・経費面等から、搬出土壌量の見直し・削減を図ると共に、今回の汚染土壌については、原則、セメント工場へ搬入処理することとしたこと。

今後、建物本体工事・外構工事・備品整備等の見直しを行い、事業費のさらなる縮減を行っていくこと。

今回の予算案が議決されれば、住民の安全・安心を図るため、速やかに汚染土壌処理に着手、工事再開をし、平成十七年度秋の開館を目指したいことなどの説明を受けました。

委員からは、有害化学物質の監視等を所管する環境生活部の実施した工事の過程で、住民からの指摘によりヒ素が検出されたことへの疑問や、
詳細な経緯について説明を求める発言がありました。

執行部からは、一月から二月に二十二カ所でサンプリング調査を実施し、安全を確認した上で土壌の搬出を開始したものであるが、搬出土の色が通常より黒く、それを見た住民から調査要請があったこと。

サンプリング調査においては検出されなかったヒ素が、再調査で検出されたことについては、専門家からは「野積み状態にしたために酸化溶出したのでは」との見解を得ているが、今後の組成検査等の中で確認していくとの答弁がありました。

さらに委員からは、この案件については、住民の安全を確保するために、所要の対応をとる必要性は理解するが、本会議の一般質問でも議論があったように、厳しい財政状況の中での巨額の出費であり、さらなる芸術文化センター整備事業の見直しを行い、事業費の縮減に努められたいという要望がありました。

執行部においては、この要望の趣旨を十分に踏まえ、一層の事業費縮減に取り組まれるよう重ねて要望するものであります。

次に、議員提出第十号議案「情報通信技術等を悪用した不当な請求の防止に関する意見書」についてであります。

この案件については、執行部に関係法令の種類や被害の現状について説明を求めた上で、慎重に審査をいたしました。

委員からは、時宜を得た内容ではあるが、関係法令が多岐にわたっていることから、今少し時間をかけ、詳細な現状や関係法令について調査したうえで判断をしたいという意見がある一方で、提出者である委員からは、この意見書の趣旨は、消費生活全般にわたって様々な問題があり、法令の種別を問わず検討、改正をしてほしいという意図であり、スピードを重視して可決するべきではないかとの意見がありました。

さらに、別の委員から、国民的、社会的問題としては認識しているが、意見書の内容について検討を行いたい。そのことにより議員全員の賛同を得られる意見書になればよりよいという意見がありました。

これらの意見を踏まえ、今回は継続審査とすることを全委員が了承し、閉会中に委員会を開催してさらなる調査を行うことに決定いたしました。

 

次に、請願の審査について、ご報告いたします。
 
請願第八号「建設機械の排出ガス・騒音・振動の規制に際して国にも助成措置を求める意見書採択を求め、かつ島根県においても県独自の助成措置を講じられることを求める請願」についてであります。

本件は、先の六月定例会において付託を受けましたが、現行の制度や環境対策型建設機械の普及状況などさらに調査して判断を行うため、継続審査としていたものであり、閉会中の九月二日その状況を把握するため勉強会を開催するなど、慎重に審査を行いました。

その結果、
一.建設工事における環境対策は住民の生活環境を保全する観点から重要であり、業者が一方的に負担を強いられないように十分に配慮しながら、建設機械の使用を規制することはやむを得ないこと。

二.低騒音・低振動対策については、五年間の経過措置を設け、建設業者の負担の軽減をはかってきているという現状があること。

三.既存建設機械を低騒音型・低振動型機械に改良するための助成措置を講じることは、既に機械を更新した業者に対して公平を損なうこと。

四.排出ガス対策については、平成三年に技術指針を定め、対応型機械の普及を推進しながら、計画的、段階的に実施が図られていること。

五.これらの点から、未対応機械への公費による助成措置を講じることは適当ではないと考えられること。

以上の点から、請願第八号は、不採択とすることが適当という結論に至りました。

次に、所管事項の調査についてご報告いたします。

まず、NPOと行政の協働のあり方検討会からの報告書についてであります。

この検討会は、昨年十月の環境厚生委員会の「NPOと行政の協働に関する提言」や、新行政システム推進計画を受け、具体的な方策を提言いただくために、昨年の十一月に設置されたものであります。

執行部からは、本年の一月より六回の検討会と報告書作業部会一回を開催し、今回の報告書が提出されたこと。

報告書の内容は、家族力や地域力の減退など厳しい状況がある一方で、島根県は温かな人情やふれあいがまだ残されているなど明るい材料もあること。

今までの、他人任せや行政任せから、住民自らが地域の課題解決に取り組んでいくことにより、「自治能力の向上・地域自治の実現」を目指し、自治・公共サービスの新たな担い手であるNPOに対して、「支援」・「協働」を進めていくこと。

そのための具体的な支援策として、県民参画のための条例等の検討や、活動拠点の整備など行政の取り組み、また、「県民一人一人の支援と参加」、「市町村・企業による支援」など地域をあげての取り組みや、「NPOの活動を支援する組織」の機能強化が望まれること。

また、NPOとの協働も進めるべきとし、その推進方策として、行政の理解促進やNPO自身による社会的信頼性の向上などの課題解決への取り組み、協働事業実施にあたっての留意事項等が示されたことが報告されました。

また、今後の取り組みとして、この報告書を受け、協働にあたっての基本的な考え方、協働を行う上での具体的留意点などを内容とするガイドラインを作成すること。既存事業の見直しや、来年度予算での具体的な取り組みの検討を行いたいこと。市町村における協働の取り組みが進むように、報告書やガイドラインの説明を行いたいこと、などの説明を受けました。

これに対して、委員からは、今後ガイドラインの作成等に際しては、多くの意見が吸収出来るよう、意見集約の輪を広げて頂きたいという要望がありました。

次に、有料道路の料金に係る社会実験の実施についてであります。

執行部より、この実験は、期間を限定して山陰自動車道、安来道路等で割引回数券あるいは料金変更を行い、交通量や主要交差点での渋滞状況などについて調査を行い、料金割引における効果を検証しようとするものであるという説明を受けました。

委員より、米子道路を西に向かう車が、有料となる安来道路の手前のインターチェンジから大量に降りてくる姿を目にする。
松江の周辺は有料である一方、鳥取市の周辺は直轄事業で自動車道が整備され無料であり、同じ県都でありながら一種の割高感がある。
今回の実証実験を通じて、一般道路から有料道路への交通の転換の促進等について検討頂きたいという要望がありました。

このほか、先の六月定例会における、
「島根県港湾施設条例の一部を改正する条例」の審査の過程において、委員から要望のあった「港湾の保安対策及び適正管理」について、国への第二次要望として要望されることなどの報告がありました。

以上、概要を申し述べ、建設環境委員長報告を終わります。
 



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