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卒業論文デラウェアのジベレリン処理を1日でやってみました

 デラウェアのジベレリン処理は種無しにする効果や肥大促進の効果があります。ジベレリン処理は、開花前と実止まり後の2回行います。その中で1回目処理は果実の品質や収量を左右する最も重要であり、熟練を要する作業とされています。ジベレリン処理の時期は満開予定の18〜14日前にとされていますが、初めて処理する学生にはどんな状態が適期なのか見極めできません。

 そこで、今年度の卒業論文の試験では樹の中でどれかの花穂が満開約14日前になったと思われる日に樹全体の花穂にジベレリン処理をしてみました。その結果、花の成熟度は展葉枚数や花穂の状態等の見た目ほど差が無く、ジベレリンの処理適期は、従来言われているよりはるかに長いことが分かりました。従って、デラウェアの1回目ジベレリン処理は余り深く考えずにどれかの花穂が処理時期になったら1日で樹全体の花穂を処理しても問題ないと思われました。

 慣行処理だと後日処理した房の実止まりが悪くなる現象が見られますが1日処理では花ぶるいが少なく、商品性の高い房が生産できることが分かりました。また、慣行ではジベレリン処理のために同じ樹を何度も回るので歩く距離が長くなります。さらに、処理した房と処理していない房が混在しているため、見落としたり、重複処理することもあります。1日処理だと同じ樹を1度しか回らないので確実に歩く距離が減り作業時間が短くなり、また処理した房と処理していない房が混在しないので見落としや重複処理が少なくなります。このように、ジベレリン処理にはそれほど熟練が必要で無いことからパート従業員等の雇用労力を利用し、農家の栽培規模拡大につなげることができると思われます。

 ただし、農大で取り組んでいる準加温や無加温等の作型では新梢の生育がそろいやすいので1日処理が可能ですが、早期加温等の発芽が早い作型では生育にばらつきが生じやすいため、1日処理は難しいと思われます。

 

短い新梢をジベレリン液に浸ける様子

短い新梢では新梢全体をジベレリン液に浸けます

 

 


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