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卸売市場における島根県産‘デラウェア'の動向と有利な販売時期

                           総務企画部 企画調整スタッフ 山本善久
                                                                              
1.目的
 本県産‘デラウェア’は、単価低迷や担い手の高齢化により、出荷量、販売金額、栽培面積が減少してきています。そのほとんどが共販出荷されているなかで、今後とも主要な出荷先になるであろう卸売市場において本県産‘デラウェア’はどう評価できるのでしょうか。
 島根県産‘デラウェア’の販売戦略の方向性を明らかにするため、大阪中央卸売市場を事例として、市場動向の整理と有利な販売時期について分析を行いました。

 

2.方法
1)‘デラウェア’の市場動向
 大阪中央卸売市場における1989年〜2005年(17年間)のデータを用い、年次別・月別単価指数と実質経済成長率をもとに需要構造の把握を行いました。なお、市場データには大阪中央卸売市場青果物流通年報を用いました。
2)需要関数分析(有利な販売時期の検討)
 関数型は、当てはまりが良かった点と弾性値が求められる点の2点より両対数関数型を選択しました。また、分析期間は、同一の需要構造を持つ期間内を一つの単位として計測することとし、市場動向調査から次の3期間を設定しました。(1)バブルの影響を色濃く受けた期間(89年〜94年)(2)バブル以降の期間(95年〜05年)、(3)直近の景気周期(00年〜05年)。分析では、前述(2)、(3)の計測期間の比較を行いました。計算式は以下のとおりです。
数式

3.成果の概要
1)市場動向の整理
 大阪中央卸売市場における‘デラウェア’の単価は、バブル景気以降05年まで一貫して下落傾向にあります。また、年次・月別単価と景気動向の関連をみると、6月、7月入荷果実については、全体として下落傾向にあるものの、景気動向に併せて単価が変動し易い状況にあり、近年では02年以降の実質経済成長率の伸びに反応し単価が少し上昇傾向にあります。一方、入荷時期の早い果実(4月、5月)は、実質経済成長率の変動に関係なく、一貫して下げ傾向にあります(図1)。
月別単価

2)需要関数分析(有利な販売時期の検討)
 需要関数分析では価格弾性値が全ての月で-1よりも小さく、入荷量の増加割合よりも価格下落割合が小さい結果となりました。また、需要関数から読みとれる有利な出荷時期は、4月(-0.22)、5月(-0.33)、7月(-0.52)、6月(-0.88)の順となりました。市場全体と島根県産との価格弾性値比較では、島根県産の値が小さく、価格下落幅が少ないことから比較優位にあるといえます(表1)。 
 需要の価格弾性値(パラメータβ1)の年次比較では、00年〜05年は95年〜05年と比較して価格弾性値は大きくなりつつあり、入荷量増加に対する価格下落傾向が強まる傾向にあります。特に、00年〜05年の6月の価格弾性値は-1.061であることから、入荷量の増加割合以上に価格下落割合が大きい結果となりました(表2)。


需要

価格弾性   
4.今後の課題
 分析に用いた需要関数は、マクロ的視点からの需要動向や産品の位置づけ及び他県産との比較を行う上では有効であると考えます。しかし、本分析では価格、入荷量以外の要因を考慮していないため、需要に影響を与えるであろうその他要因を含めた検討が今後の課題といえます。また、消費者ニーズの視点からも需要の規定要因解明に向けた取り組みを行います。


 アクロバット全文(アクロバットデータ)

 

 


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