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ブドウ‘ピオーネ’の無核化・省力化栽培技術の実証

 

ブドウの‘ピオーネ’は無核化栽培が容易で脱粒性も‘巨峰’より低く、フルメットを加用すると果粒肥大もよくなります。このため、ブドウの各産地で導入が行われ「種なしピオーネ」として消費者に受け入れられており、本県でも‘巨峰’に代わる品種として推奨されています。
また、‘ピオーネ’は基部の芽でも容易に花房が着生し、少々樹勢が強くてもジベレリン処理をすることで着粒が安定し、良形の房をつくることができるため、高度な技術を要する長梢剪定の整枝に比べて容易な、主枝を一文字やH形で配置する形態が多く取り入れられています。

実証の方法
県内K町のN氏ブドウ園で栽培されている短梢H型整枝の3年生‘ピオーネ’3樹を用い、ジベレリンによる無核化の実証と省力のための1回処理技術について実証試験を行いました。
試験区のジベレリン処理は前期が満開約3日後(図1)、後期は前期処理10日後に行いました。
また、前期処理において着粒をさらに安定させるためフルメット液剤を加用しました。

実証の結果
(1)一回処理では果粒がやや小さい傾向があるものの、糖度や着色は2回処理区と大差がなく実用化が可能と思われました。(表1、図2)但し、果粒肥大の促進を目的に使用できる登録濃度の限界である10ppmのフルメットを加用しました。

(2)前期処理にフルメットを加用することによりジベレリンの濃度は12.5ppmでも着粒の安定及び無核化は可能でした。(表1)

今後への考え方
(1)省力化のための1回処理は果粒肥大が2回処理よりやや劣るものの十分商品性はあると判断されます。しかし、樹勢が弱い場合や処理が遅れると種子が混入するとの他県の成績もあるので処理時期等を正確に判断することが肝要です。

(2)2回目処理はジベレリン単剤処理が勝っているが、フルメット液剤の2回使用が登録申請中で、今後脱粒性等と併せて総合的な検討が必要となっています。

表1実証の結果(表は略AcrobatDataを参照)

図11回処理期(開花3日後)の花房(図は略AcrobatDataを参照)

図2処理後の果実(図は略AcrobatDataを参照)

専門技術員スタッフ小塚昭正

 

 [島根県農業試験場だより第107号2004年11月]


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