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加藤議員(自民)

(問)青少年の非行防止対策について

1.昨今の子供達の規範意識及び人と関わる力についての所感を伺う。

2.学校現場における子供達の問題行動の現状とその背景及び対策を伺う。

3.これまでの非行防止に向けた連携の中に、幼稚園や保育所を加える考えはないか伺う。

4.幼児教育における規範意識を醸成する活動の現状と今後の取組に対する所見を伺う。

 

(答)教育委員長

1.非行防止対策に関連して子どもたちの規範意識、人と関わる力についてご質問をいただきましたので、所感を述べます。

 昨今の子ども達の規範意識の希薄さや人と関わる力の乏しさが、少年非行事件の原因とも指摘されるところでありますが、確かに、昨今の犯罪や非行を犯す子ども達のその背景には、規範意識の希薄さがあると思われます。

 それ以外にも、事件の動機や引き金の根底には、多様で複雑な問題が存在し、社会病理ともいうべき深刻な状況も原因にあるのでないかと思います。

 かねてから、私は教育の原点は家庭にあり、子どもの健全な人格形成を図るための基礎的教育、規範意識をはじめとした社会人としての基礎的な力を身につけさせる教育やしつけは、第一義的には家庭がその役割を担うべきと考えます。

 少年の犯罪や非行を防止するためにも、自己中心的な考え方でなく、他を思いやる心や、卑怯を恥じる心、コミニュケーション能力を身につける教育を、できるだけ早い段階から行っていくことが大切であります。

 また、人と関わる力の育成については、家庭・学校・に加えて地域社会の役割も重要でありますが、核家族化や少子化の進行などとともに、家庭と地域の教育力が昔に比べて低下しているのは否めないところであります。

 その対策としては、まず家庭の教育力を高めるため、乳幼児と保護者双方を対象にした教育の機会を作ることが必要であると思います。

今の子供たちの親の世代にも規範意識欠落現象が見受けられ、十分な家庭でのしつけを行うためには、むしろ親達への教育こそ必要なことと思います。

 次に、社会的実体験が不足している子供たちに、家事の手伝いはもとより地域の自然や人々とふれあう機会をできるだけ作って、豊かな感性を磨くことが大切でないかと思います。

感情をコントロール出来、自制心や抑制力、想像力を養っていくことで、事件やいじめ、登校拒否、引きこもり、非行などが未然に防げると思います。

 私は、教育委員長という立場で県内の様々な学校や公民館を訪問して子ども達の活動を見学してきましたが、その率直な感想として、島根の大多数の子ども達は、心豊かに健康に育っていると思います。

 先月、神戸で開催された「第一回観光甲子園」において、島前高校の地域観光プランが参加校六九校の頂点であるグランプリを受賞しました。「自分らしく生きることができず、殻に閉じこもろうとする全国の中高生を、島の人とのつながりを通して元気にしよう」と、島の魅力を再発見し島を紹介し、誇りを持とうというもので、(人と人をつなぐ)「ヒトツナギ」プランと命名されていました。こうした取り組みを島の人たちとともに行うことで、生徒数減少に悩む島前高校に全国から仲間を募り、島の活性化と高校の存続を確かなものにいきたいと主張していました。

まさに、家庭・学校・地域が連携して実践している取組みであり、県内全域に広がっていくことを期待しています。

 規範意識を身につける教育は、少年犯罪や非行の未然防止のための教育という観点からだけでなく、これからの子ども達の人生において、自立した良き社会人として成長していくためにも必要なことであり、孤立せず、孤立させず、自己中心でなく他人とも協調し、思いやる心や公共心などを養うことが大切であります。

 いまこそ、家庭と学校がそれぞれに役割を果たし、相互に補完しながら、生きる力を備えた子どもたちを育んでいくという、意識と実践が重要であり、課題であると痛感しています。

 

(答)教育長

2.まず、学校段階における子ども達の問題行動の現状、その背景及び対策についてであります。

 平成20年度の本県の小・中・高等学校における問題行動の報告数を申し上げますと、小学校で496件、中学校で621件、高等学校で399件、合計で1,516件ございました。これは、平成19年度の1,514件とほぼ横ばい、同数でございます。

小学校では、横ばい状態が続いておりましたが、昨年度は約100件程度増加をいたしました。中学校、高等学校では、減少傾向にあります。実態を内容別に見てみますと、特に小学校では、万引きと暴力行為が昨年度より増加しております。特定の子どもが繰り返し行ったということが件数の増加につながったという特徴がございます。

 万引きについては、犯罪であるという規範意識の薄さがあります。暴力行為については、対人関係がうまくいかず、言葉よりも手が先に出てしまうといった傾向、それから自己中心的な考えから、自分の思いどおりにならないと、他人に対して安易に攻撃的な行為に及ぶというような傾向がうかがえます。

 こうした傾向は、子どもたちの問題にとどまらず、社会全体の風潮にもなっている社会病理とも言えると思います。

 取り得る対策としては、社会全体を正すということが必要でありますが、子どもに対する教育としては、規範意識の醸成を図るために、道徳の時間だけではなく、各教科等と関連づけて道徳教育を進めることだと思います。

 また、子どもたちの健全育成には、警察や関係する機関・組織が連携する中で、ひきょうを恥じる心・他人を思いやる心などを育てていくことが大切であります。

 

3.次に、非行防止に向けた連携の中に、幼稚園や保育所も加えるべきではないかとのご意見についてであります。

 先ほど委員長も述べましたように、ご意見のとおり乳幼児期からの心を育む教育は大変大事だと思っております。そしてそれは、今日では、子どもたちを育てるとともに、保護者への教育も併せて行う必要があると思います。

 親との信頼関係を基盤にして、適切なしつけによって善悪の判断とか、人と関わる力の基礎をしっかりつくり、その上に、小学校・中学校・高校と次第に人格形成が成熟していくことが求められると思っております。

 幼児期は、そうした人としての感性や情緒を育む基盤づくりの大切な時期であります。本来、家庭の教育で育むべきものではありますが、幼稚園や保育所でも、その基盤づくりを助長したり、サポートしていくことが必要であります。例えば、「地域ぐるみで、あいさつを交わし合ったり、靴をそろえたり、時間を守るなどのごく日常的な事柄を幼児期から一貫して積み上げていく」「小中学校を中心に行っている、警察と連携した非行防止教室を幼稚園や保育所でも開催する」などについて、関係する部局・幼稚園・保育所が連携を図りながら進めて行く必要があると思います。

 

4.次に、幼児教育における規範意識の醸成についてであります。

 今後の取組について申し上げますと、今年度、県では、新しい教育要領に基づいて、島根の幼稚園教育の重点を示しました。その中で、教員や友達とのかかわりの中で、「自立の心や自分で行動しようとする態度を養うこと」「様々な遊びや生活体験、協同する体験を通して、よい行動と、してはいけない行動があることに気付くなど、規範意識の芽生えを養うこと」「地域の『ひと・もの・こと』に五感を通してかかわったり、絵本や物語の読み聞かせを聞くなど、多様な体験を通して豊かな感性や思考力の芽生えを養うこと」「健やかな体と心を育むための基盤となる基本的生活習慣の形成を図ること」など掲げておりまして、幼稚園の全教員に周知しており、現在、すべての幼稚園においてそうした取組を進めております。このことは、当然保育所でも当てはまることであります。

 今後一層、園と家庭、地域の一体となった取組、先ほど申し上げましたようなことでありますが、例えば、異年齢集団での遊びや近隣の地域の人々との触れ合い、子育てにかかわる保護者同士の学び合い、自然の中での動植物との触れ合いなどを重視していく必要があります。幼・保、小、中、高それぞれの段階で、規範意識も含めた心の教育について、一貫した、そしてまた共通した理念をもって、継続的に推し進めていきたいと考えております。

 


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