吉田議員
(問)伝統的価値観の教育について
1.昨年の学習指導要領改正による道徳教育導入の経緯を伺う。
2.ライフプランに関する教育の実態について伺う。
3.「地方の先進県しまね」の実現に向けて、社会教育を振興する立場でどう関わっていこうとするのか、所見を伺う。
(答)教育長
1.道徳教育等に関します三点のご質問にお答えをいたします。
まず、学習指導要領の改正に伴う「特別の教科道徳」の導入の経緯についてお答えをいたします。
平成27年の学習指導要領の一部改正によりまして、これまで小中学校で「道徳の時間」として行われてきた道徳の授業が、「特別の教科道徳」となりました。
この改正の背景としては、主として四点があげられております。
一つは、深刻ないじめの本質的な解決。二つ目は、情報通信技術の発展による子供の生活の変化。三点目は、諸外国に比べて低い、高校生の自己肯定感や社会参画への意識。そして、四点目は、世界に例を見ない急速な少子高齢化。こういったことを背景として行われたと、このように聞いております。
このような与えられた正解のない社会状況に対し、課題に向き合い、自分の頭でしっかりと考え、他者と協働しながら、よりよい解決策を生み出していく力が求められております。
「特別の教科道徳」では、「答えが一つではない課題を自分の問題として考えたり、真剣に議論したりして、自立した人間として他者と共によりよく生きようとする道徳心を育む」このような授業が求められております。
また、道徳教育の内容も改正されておりまして、中学校では、郷土を愛する態度の記載が充実されております。島根県では、島根県内の優れた「先人・自然・伝統・文化」を素材といたしまして、平成25年度より道徳教育郷土資料「しまねの道徳」3部作を作成いたしまして、小中学校に配付をしております。
これらは、議員ご指摘の子どもたちが地域との絆を深めていくことにつながるものと考えております。
2.次に、ライフプランに関する教育についてお答えをいたします。
ライフプランに関する教育、すなわち自分の人生設計を考える学習につきましては、小・中学校においては、家庭科や道徳などの時間に、家庭生活や家族の大切さを学んだり、自分の将来について考えたりしております。
例えば、10年後に、「家族は何人いますか」「どんな仕事をしていますか」といった自分の将来を具体的に考えてみる学習などを行っております。
高等学校におきましては、家庭科の時間に、進学、就職、結婚、出産といったライフイベントについて、自らの責任で人生を選択していくことの大切さを学んだり、自分のライフプランを考えたりしております。
総合学科のある高等学校においては、「産業社会と人間」という科目がございますが、その中で自分のライフプランを考えて発表したりしております。
また、昨年度より、健康福祉部と協力いたしまして、高校生や大学生が、子育てや仕事を含めた自分の将来について考える機会を持ち、結婚や家庭について理解を深める「ライフプラン設計講座」を実施しております。
引き続き、この講座への参加を各高校に呼びかけるなど、自らの人生を選択していくことの大切さを学べる機会を提供していきたいと考えております。
3.「地方の先進県しまね」の実現に向けた社会教育の役割についてお答えをいたします。
「家族の絆」「地域の絆」の大切さは、阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震など大規模な自然災害が発生するたびに話題となり、また、世界から日本人の美徳として注目されてきました。
このような「絆」の根底には、他者をいたわる心、助け合い、勤勉、誠実、実直といった気質や精神性が存在しているとこのように思っております。
また、島根におきましては、こうした気質・精神性が比較的強く受け継がれてきたのではないかと思います。
教育委員会では、こうした「絆」が残る県民性のもとで、これまで、ふるさと教育の推進、ふるまい向上、家族や地域で読み聞かせを行う子ども読書活動など、特色ある教育活動を、学校教育と社会教育の両面で、また連携をしながら積極的に進めてきたところであります。
特に社会教育の面では、公民館や地域婦人会など社会教育団体の学びの機能を活かして、地域防災、環境保全、若者の地域参画、伝統文化の継承など、地域が抱える諸課題に主体的に関わろうとする人づくりに取り組んできております。
今後、「地方の先進県しまね」の実現に向けた、様々な施策の推進に際しまして、県民の皆様の主体的な参画をお願いする機会が増えていくことになると思います。社会教育による人づくり・地域づくりを通して、教育委員会に期待される役割を果たしていきたい、とこのように考えております。
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