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大国議員

(問)高校生の政治活動と主権者教育について

1.「新通知」においても、高校生に政治的活動に制約を課していると考えるが、認識を伺う。

2.政治について高校生が自由に発言し行動ができるよう、主権者としての政治的権利が保障されることが何よりも重要であると考えるが、所見を伺う。

3.生徒の政治活動の届け出制や許可制は、憲法が保障する内心の自由を侵すものであることは明白であり、このような制限は課すべきではないと考えるが、所見を伺う。

4.生徒も教師も自らの意見を述べながら自由闊達に政治や社会の問題を語り合える学校環境こそ、民主主義国家の教育の場にふさわしいと考えるが、所見を伺う。

(問)全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)について

5.全国学力テストの結果が、市町村別あるいは学校別に公表されるのは一般的に「序列化」であり、「過度な競争」のもとになっていると考えるが、認識を伺う。

6.全国学力テストの自校採点の実施が計画・実行されたが、学校現場の理解が得られる下での実施であったと考えているのか認識を伺う。合わせて、4月末時点及び現時点での自校採点の実施状況を伺う。

7.全国学力テストへの参加は中止するとともに、学校別結果の公表は実施しないことを求めるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.高校生の政治的活動と、更に全国学力・学習状況調査に関しまして、7点のご質問にお答えをいたします。

 まず高校生の政治的活動等に関する文部科学省の「新通知」に対する認識についてお答えをいたします。

 昨年10月29日付け文部科学省から「新通知」が出されました。その通知は、「政治的教養を育む教育」と「生徒の政治的活動等」の2つに関しまして、それぞれが行われる形態ごとに、学校の教育活動、学校の校内での教育活動外のもの、学校の構外での教育活動外のもの、に類型化した上で、一般論としての留意事項を整理したものであります。

 通知の具体的な内容といたしましては、「政治的教養を育む教育」これはいわゆる主権者教育に近い概念でありますが、この教育につきましては、学校が政治的中立性を確保しつつ、現実の具体的な政治的事象も取り扱い、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、より一層具体的かつ実践的な指導を行うことが重要とされております。

 また、「生徒の政治的活動等」については、例えば学校の教育活動の場を利用して選挙運動や政治的活動を行うことは、教育基本法第14条第2項に基づき、政治的中立性を確保する観点から認められないことになる、また教育活動外においては、学校の構内では、「必要かつ合理的な範囲内」で一定の制約がありうる、さらに学校の構外では、「必要かつ合理的な範囲内」で一定の生徒指導を行いうる、このような趣旨が記載されております。

 以上のような「新通知」の内容は、妥当なものであると認識をしております。

 

2.次に高校生の主権者としての政治的権利の保障についてお答えをいたします。

 生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することは、尊重されるべきと考えます。

 ただし、学校の教育活動には、政治的中立性が求められますし、教育活動外での生徒の政治的活動等については、「必要かつ合理的な範囲内」で、一定の制約を受けたり、一定の生徒指導を行ったりすることはありうると考えております。

 その際、この「必要かつ合理的な範囲内」を具体的にどう運用していくのか、ということが重要でありまして、これを拡大解釈することなく、具体的事例に則して、また生徒の立場に立って検討を積み重ねていくことが大事であると、このように考えております。

 このため、学校教育及び社会教育を通じまして、生徒の政治的教養を高めていくという目的に資する環境を作っていくことが大切である、このような基本認識に照らしまして、具体的な運用の在り方を学校現場とともに丁寧に検討していきたいと、このように考えております。

 

3.次に生徒の政治的活動の届出制や許可制についてお答えをいたします。

 先ほど答弁いたしましたとおり、学校教育や社会教育を通じまして、生徒の政治的教養を高めていくという目的に資する環境を作っていくことが大切であります。

 そうした観点から、網羅的かつ一律の外形的な基準による対応、具体的には、事前届出制や許可制などがそれにあたると思いますが、そのような対応を学校現場に指示するようなことは考えておりません。

 

4.高校生の政治的活動等に関します最後のご質問として、自由闊達に政治や社会の問題を語り合える学校環境についてお答えをいたします。

 学校教育において、生徒が自分の意見を持ちながら、異なる意見や対立する意見を理解し、議論を交わすことを通して、自分の意見を客観的に検討し、吟味していく力を育むことは大切であります。

 したがいまして、政治的教養を育む教育におきましても、学校が政治的中立性を確保しつつ、自由闊達に政治や社会の問題を語り合える環境を創り出していく必要があると考えております。

 なお、教員につきましては、学校教育に対する国民の信頼を確保するため公正中立な立場が求められており、また、教員の言動が生徒に与える影響も大きいことなどから、法令による一定の制約が課されております。

 このため、こうした留意点についてもこれまで教員に対する注意喚起を図ってきたところであります。

 

5.次に、全国学力・学習状況調査に関するご質問にお答えをいたします。

 まず、調査結果の公表についてであります。全国学力・学習状況調査の結果につきまして、島根県教育委員会からは公表を行っておりません。学校別結果の公表の有無は、市町村教育委員会が判断して行うこととなっております。

 文部科学省の実施要領では、過度な競争につながらないよう、数値を一覧にしての公表は行わないことなどが記載されており、調査結果の公表にあたりましては、議員が懸念されているような学校の序列化や過度な競争につながらないよう配慮することが大切であると認識しております。

 なお、平成27年度は、松江市、出雲市が学校別結果の公表を行っておりますが、数値を一覧にしての公表はしておりません。

 

6.次に、自校採点の実施についてお答えをいたします。

 昨年度は、自校採点を行う意義やその活用方策について、事前に、学校に対して十分に伝わらなかったという点がありまして、このことは反省しております。

 本年度、自校採点を引き続き実施するよう市町村教育委員会、学校現場に推奨しておりますが、自校採点に伴う教員の負担感に配慮する必要はありますが、全国学力・学習状況調査を踏まえた授業改善や児童生徒の個別指導にいち早く取り組むためには、自校採点を実施する意義があると、このように考えております。

 また、今年度は自校採点を通じて、こうしたPDCAサイクルをまわす意義について学校現場の理解を得るための資料を事前に配付したところでもあります。

 なお、自校採点を実施するかどうかは各市町村教育委員会が判断をしております。

 今年度の調査は、4月19日に実施をし、小学校202校、中学校97校が参加しておりますが、その後の自校採点の実施状況については、次のとおりであります。

 4月末までに自校採点を終了した学校、小学校が69校、34.2%に当たります。中学校27校、27.8%に相当します。

 そして、5月末までに自校採点を終了した学校、小学校179校、88.6%に相当します。中学校80校、82.5%に相当します。

 自校採点も含めまして、学力調査を活用した授業改善や児童生徒に対する個別指導の実施状況につきましては、今後も把握に努めていく考えであります。また、教員の負担感などについても学校訪問などを通じて、継続的に現場からのご意見を聴いていきたいと、このように考えております。

 

7.最後に、全国学力・学習状況調査の参加中止と学校別結果の公表をしないことを求めるとの要請についてお答えをいたします。

 島根県教育委員会としては、全国学力・学習状況調査は、学習指導要領で求められている学力の定着状況や学習習慣等を把握する上で、効果の高い調査であると認識しております。

 なお、文部科学省の実施要領では、調査の実施、調査結果の活用、そして公表等の取扱いについては、学校の設置管理者である市町村教育委員会が主体性と責任を持って判断すると、このようにされております。以上でございます。

 

(再質問)全国学力テストの結果の公表は「序列化」、「過度な競争」につながると考えるが、再度認識を伺う。

 

 全国学力・学習状況調査に関しての再質問にお答えをいたします。

 先ほど答弁しましたとおり、この調査は学力の定着状況、あるいは学習習慣などを把握する目的で作問がされております。大変優れた調査であると、このように認識をしております。したがいまして、その調査結果をもとにしまして、具体的に授業をどう改善するのか、あるいは一人一人の児童生徒に応じた個別指導にどう反映させていくのか、具体的にPDCAを回していくことこそが本来の目的であろうと、このようにも考えております。したがいまして、学校別結果の公表のあり方につきましては、この全国学力・学習状況調査の本来の目的趣旨、この原点を踏まえてよくよく各市町村教育委員会において検討がされるべきだというふうに考えております。

 そのような趣旨で、今後もですね、公表のあり方についてはさらに工夫を重ねていく、そういう必要もあろうとこのように認識をしております。以上です。

 

(再々質問)全国学力テストの結果の公表が学校現場に圧力を与えるものになっていると思うが、その点について伺う。

 

 結果の公表のあり方について、改めてお答えをいたします。先ほどから答弁しておりますとおり、この全国学力・学習状況調査の実施、そしてその結果の活用、さらには公表等をするかどうかも含めたこの公表の取扱いについては、学校の設置管理者である市町村教育委員会が主体性と責任をもって判断する、これが基本であろうと思います。そこに対しまして私は、県の教育委員会としてこの調査の原点にかえった対応が必要なのではないかと、このような認識を申しあげたところであります。以上です。

 


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