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須山議員

(問)県立高校の県外生の受け入れ体制について

1.県外生徒を受け入れることのできる19の高校のうち寄宿舎を設置していない高校と、その受入体制の状況について伺う。

2.県の空いている職員住宅の活用状況について伺う。

3.借り上げアパートについて、県の費用負担の実績について伺う。また、県による費用助成について所見を伺う。

4.県外生徒を現実的に受け入れられない体制について、いつまでにどのような形で解消できるか伺う。

5.収容率の高い寄宿舎の現状と今後の対応策について、また、男子寮のみの寄宿舎の女子生徒の対応策について所見を伺う。

6.県外募集を積極的に行っている高等学校では、教職員の業務負担が増加しており、具体的な対策を講じてほしいと考えるが所見を伺う。

7.魅力化・活性化に取り組む島根中央高校、矢上高校、隠岐高校について、実態をどう認識しているか伺う。また、魅力化、活性化の継続には、更なる人的支援を含めた対応策が必要と考えるが所見を伺う。

 

(答)教育長

1〜5.県立高校における県外生の受け入れ体制についてのご質問にお答えを致します。

 県外生の受け入れに関する7点のご質問をいただいておりますが、相互に関連を致しますので、一括してお答えさせていただきたいと思います。まず、基本的な考え方を述べさせていただきます。

 現在、県内のそれぞれの地域は、人口減少問題に対処するため、いわば生き残りをかけて「地方創生」の取組を進めておられ、高校の存在は、特に離島・中山間地域において、学校教育だけでなく地域の存立に関わる問題であります。

 このため、「地域の拠点としての学校を地域が協力して支える」という考え方を持つ市町村が、県立学校と協働して高校の魅力化・活性化事業に取り組み、県外からの入学生の増加、学校と地域との交流、学校・地域の活性化など、様々な成果を生み出してきておられます。

 県教育委員会としては、こうした第1期、第2期合計6年間の成果を踏まえまして、今後、「魅力化・活性化事業」のいわば第3期、第3ステージとしての取組を進めていきたいと考えております。9月定例会での知事答弁を踏まえまして、その後、市町村との意見交換を重ねて参りましたが、現時点における第3ステージのイメージとしては、市町村のご意見は概ね次のとおりであります。

 まず第1に、県立高校と地域が一体となって取り組んできた高校魅力化を引き続き支援してもらいたいということ。

 そして2点目は、幼稚園、保育所、小学校、中学校、特別支援学校、高等学校を貫いて「教育の魅力化」に取り組む市町村を積極的に支援してもらいたい、ということであります。

 この「教育の魅力化」の具体的内容については、引き続き市町村とよく協議・調整していく必要があると考えておりますが、決して金太郎飴のようなものではなく、それぞれの地域において、教育に関するどのような取組を進めることが、その地域の魅力につながっていくのか、「地方創生」や中山間地域の活性化の観点から、今後議論を尽くしていくことが大切であると考えております。

 その中で、県外生を受け入れる体制の質的・量的な拡大という課題についても、今後市町村とともに検討していきたいと考えおります。

受け入れ体制の具体的な方法論としてはいくつかございますが、現行の寄宿舎を改修するやり方の他にも、例えば、教職員住宅の空き室利用、複数校による寄宿舎の共同利用、また、県と市町村が連携した対応として、市町村が整備する公共的施設の中に寄宿舎としての機能を確保するやり方、あるいは下宿・アパート等の借り上げなど、様々な対応策が考えられます。

 これらのうち、どのやり方を選択するかという課題については、それぞれの事情、実態を踏まえまして、今後市町村と共に十分に検討していきたいと考えております。

 以上のような基本的な考え方を踏まえまして、いただきました具体的なご質問にお答えを致します。

 1点目でありますが、寄宿舎を設置していない高校とその受け入れ体制の状況についてであります。

 県外生徒4名枠を撤廃した19校のうち、寄宿舎を設置していない高校、安来高校、情報科学高校、大東高校、江津高校、浜田商業高校、吉賀高校の6校であります。このうち浜田商業高校を除く5校は、地元市町や地域の協力によりまして、下宿先やアパートなどの受け入れ先を確保しております。

 また、残る浜田商業高校におきましても、現在市の広報などを通じて、下宿先などを募集しており、早ければ29年度から19校すべてにおいて、受け入れ先が確保される見通しとなっております。

 2点目は、県の職員住宅の活用状況についてであります。

 現在、浜田水産高校の専攻科生2名が教職員住宅に入居しております。また、過去には、隠岐水産高校の専攻科生4名が教職員住宅に入居していた時期もありました。

 3点目は、借り上げアパートに対する県の費用負担あるいは助成についてであります。

 これまで、高校生が住むアパートの家賃を県が助成した実績はございません。寄宿舎並みの負担に抑えるための家賃助成の是非につきましては、「教育の魅力化」を進める中での、今後の検討課題になりうると考えております。

 4点目は、受け入れ体制をいつまでに、どのように確保するのかということでありますが、これは先ほどご答弁したとおり、浜田商業高校における対応が順調に進めば、早ければ29年度から19校すべてにおいて、受け入れ先が確保される見通しとなっております。

 5点目は、収容率の高い寄宿舎の現状と対応策、そして男子寮のみの寄宿舎の女子生徒の対応策についてであります。

 近年寄宿舎の収容率が90%を超える高校は、飯南高校、島根中央高校、浜田水産高校、隠岐島前高校の4校であります。また、男子寮のみの寄宿舎を設置している高校は、江津工業高校と浜田水産高校の2校であります。

 これらの高校の対応策につきましては、先ほど基本的な考え方で述べましたように、寄宿舎の共同利用や市町村施設の活用など、様々な手法が考えられますので、今後、地元市町村とともに検討して参りたいと思います。

 

6.次に県外生徒受け入れにより、教職員の負担が増している。その軽減対策についてのご質問にお答えします。

 県外からの生徒を積極的に受け入れている高等学校では、親元を離れて生活する生徒に対して、生活面を含めた様々な支援をしたり、地域と連携した特色ある教育活動を実践したりするために、学校の先生方にこれまでになかった負担が生じております。この状況は、県教育委員会としても把握しております。

 このような状況に対しまして、これまで嘱託式舎監の配置、あるいは県外生徒の募集に向けた説明会の共同実施などによりまして、学校の負担を軽減するための取組を進めてきております。

 また、高校魅力化・活性化事業に取り組んでいる高等学校の中には、地元の市町村の支援により配置された魅力化コーディネーターが、生徒募集や地域との連携に関わる業務を担当することによりまして、学校の先生方の負担が大きく軽減されている事例もあります。

 この他8校では、同じ課題を抱える学校・地域が互いに情報を共有し、それを活用することで、実質的に教職員の負担軽減につながるような様々な支援も行われてきております。

 しかしながら学校現場からは、魅力化・活性化事業の意義は理解しつつも、依然として負担が大きいとの声を聞いております。

 したがいまして、県教育委員会として、現場の負担が少しでも軽減されるよう、引き続き検討して参ります。

 

7.最後に、島根中央高校、矢上高校、隠岐高校の問題についてお答えを致します。

 ご指摘いただいきましたとおり、学級数を維持するために1学級の収容定員を30人に設定しておりますこの3つの高等学校では、国が措置する教員定数の制約によりまして、40人定員を設定した場合よりも配置できる教員数が少なくなっています。

 したがいまして、こうした高等学校においては、従来からの教育課程を変更したり、授業の実施方法を工夫するなど、生徒第一の視点で様々な努力を積み重ねていただいている状況であります。

 県教育委員会としては、こうした現場の状況を踏まえまして、1学級30人の定員設定を行っている3つの高等学校に対しては、近隣の学校と兼務して授業を担当する教員を、通常の教員数に加えて特別に加配しております。

 また、国への重点要望においては、教育の機会均等や進路保障の観点から、中山間地域の教育環境を確保するため、1学年1学級又は2学級の小規模高校に対する教員定数の加配措置を強く求めております。

 島根県の高校魅力化・活性化事業の取組や「教育の魅力化」の考え方について、国も注目しているところでございますので、引き続き国に対して働きかけて参りたいと考えております。

 


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